元記事:『Volkswagen Announces Pre-Production At Chinese Electric Vehicle factory』by Tim Dixon on『CleanTechnica』
工場着工からわずか1年で試運転へ
フォルクスワーゲンは中国で自社初の電気自動車専門に使われる工場の試作段階に入ったことを発表しました。
この新しい工場はテスラの「ギガファクトリー3」のように去年建設開始されたばかりで、中国がいかに素早く工場インフラを整えることができるかを示しています。
フォルクスワーゲンはディーゼル・ゲート事件のスキャンダルの後、電気自動車受け入れの方向へ急速に動きました。そして、中国では新エネルギー車両を作るか、ガソリン車を売るならばクレジットを買わなければならないなど、国を挙げて脱ガソリン政策が進められており、さらなるプレッシャーがかけられています。
これが理由で、フォルクスワーゲンは長らくパートナーシップを組んできたSAIC(上海汽車集団)とFAW(中国第一汽車集団)、さらに新しく合弁事業者になったJAC(安徽江淮汽車集団)と共に純電気自動車とハイブリッド車を生産してノルマを達成し市場へのアクセスを維持しようとしています。
11月8日に、社は上海の安亭鎮(あんていちん)にある新工場で中国向け「ID」の試運転が始まったと発表しました。興味深いことに、これはドイツにある改装済みのツヴィッカウ工場(CleanTechnicaでもこの記事とこの記事で触れています)での試運転が始まってからたった4日後のことでした。
着工からほんの1年で試作段階に入った一方、フォルクスワーゲンは2020年10月までは正式な大量生産は始めないと言及しました。工場での年間生産量は30万台になります。中国フォルクスワーゲングループのCEOであるDr. Stephan Wöllenstein氏は次のように語りました。
「この革新的な工場が完成するのにたった12カ月しかかかりませんでした。フォルクスワーゲンIDファミリーの最初の中国モデルを上海で生産することになる、すべての安亭鎮にいる同僚たちに祝辞を送ります。私達はe-モビリティ市場の成長を見据え、新エネルギー車両の臨戦態勢に向けてスピードアップします」
フォルクスワーゲングループの取締役会会長であるDr. Herbert Diessは「フォルクスワーゲンIDファミリーをMEB生産とともに中国でローンチします。純電気でコネクテッド化された、真新しい世代になります」と語りました。
さてフォルクスワーゲンは単独でこれに取り組んでいるわけではありません。パートナー企業と何をしているのか見ていきましょう。
VWグループの中国での電気自動車パートナー
SAIC(上海汽車集団)
上海の安亭鎮にある電気自動車工場では年間30万台を生産できますが、SAICとの合弁事業になります。この工場では6つの違うモデルを同時生産できます。
FAW(中国第一汽車集団)
FAWとの合弁事業として、仏山市にもう一つ30万台生産能力のある電気自動車用工場ができます。
JAC(安徽江淮汽車)
安徽省合肥市では、JACと合弁会社を設立し、新ブランドSOL用に年間10万台以上の車両を生産する予定です。E20Xから始める予定で工場は現在建設中ですが、実はE20Xは既に中国国内で生産・販売されています。しかしMEBプラットフォームを採用していないため、大々的な発表はしませんでした。
全体では
SAICとFAWはフォルクスワーゲンのMEBプラットフォームを使う予定なので、2021年までに60万台のMEBベースのID車両が作られることになります(工場は2020年後半にオープンします)。 JACとの合弁会社で10万台が加わるので、さらに他に追加されなければ2021年には中国で年間70万台の車両生産が可能になります。素晴らしいですね。
社は2025年までにVWグループのブランドから15のMEBモデルを中国で作る予定ですので、次の数年でさらなる工場やモデルに関するニュースを聞くことになるでしょう。
終わりに
フォルクスワーゲンは21世紀に車産業とビジネスを続けるために新たな一歩を踏み出しました。これは持続可能な未来を見たい人達には良いニュースです。手が届きやすい大衆市場向けの電気自動車に関する、VWの国際的なビジョンについてもっと知りたい方は、この記事も読んでみて下さい。
※後日、ここで参照されている記事の翻訳もお届けする予定です。
(翻訳・文 杉田 明子)