元記事:Volkswagen Plans To Dominate Electric Vehicle Manufacturing In China by Steve Hanley on 『CleanTechnica』
世界中の工場設備を一新
VW(フォルクスワーゲン)は新しいMEB電気自動車プラットフォームを使った自動車を生産するために、世界6カ所にある製造工場の設備を一新する予定です。6つの工場の内訳はドイツに2つ、チェコに1つ、アメリカに1つ、中国に2つで、このうち中国工場の1つは仏山市にあり、中国第一汽車集団(FAW)との共同運営、もう一つは安亭鎮(上海市内)で上海汽車集団(SAIC)との共同運営になります。
VWは次の8年間で2,200万台の電気自動車を製造する予定ですが、そのうち半分が中国で作られます。中国の2つの工場だけで年間60万台の電気自動車が生産され、2025年までに中国市場で15の電気モデルを出したい考えです。一方で、テスラは年間15万台のモデル3を新しい上海の自社工場で生産する予定です。それに加えて新しいSUVモデルであるモデルYを、はっきりとした数字は決まっていないのですが、同じ工場で生産するかもしれません。
テスラは最先端テクノロジーの世界的なリーダーと目されていますが、VWは世界のサプライチェーンを通じた競争力のある価格と巨大経済規模を強みにしています。さらにVWはMEBデザインをライセンス化して他企業と共有する事により、MEBへの投資を有効活用しています。
例えば、共同契約を結んだフォードからこの先数年間で大体100億ドル(1兆880億円)の収益を得ることになります。VWの電気自動車海外生産部門役員の一人であるThomas Ulbrich氏は、最近ロイターに「フォードとVWの合意はさらなるライセンシング契約の青写真になる」と語りました。
中国での生産はすべてID.3セダンで始められると予想されるかもしれませんが、会社筋によるとSUVタイプの方が優先されるそうです。世界の他の国々と同じように、中国でもSUVタイプへの需要が爆発的に増えているのです。伝えられるところによると、元々ID. CROZZの名で知られていたID.4もこのタイプの車両で、アメリカで売られる最初のVW電気自動車はこれになるようです。
バッテリー供給の制限
電気自動車革命にはバッテリー供給が必要不可欠になります。VWグループの仕入れ部門役員であるStefan Sommer氏は、先月ロイターに「(バッテリー確保に)多くの投資をしています。しかしサムスン、CATL、LG化学、SKイノベーションのような大きな会社でも、そこまで巨額の資金を投資したがりません。市場の行き先を見ていないからです。私達はポーランドのLG、ドイツのCATLなどヨーロッパ最初のバッテリー工場を見ていますが、技術が備わった従業員の数が足りていません。全員がラーニング・カーブを通らなければいけない段階です。このせいでバッテリー供給に遅れが出るでしょう。しかし他に選択肢はないのです」と語りました。
電気自動車生産が世界中で増えるにつれ、バッテリー供給がその足枷になってきます。VWは既に500億ドル(5兆4,400億円)をこれから5年で生産される車両用バッテリーに投資しており、このバッテリーのほとんどが、中国で製造・販売される車両に搭載される予定です。
※訳者より:ご参考までに、今年VWは電気自動車生産の方向に大々的に舵を切る方向性を示しました。これからのVWが分かる良いプレゼンテーションになっています。その発表を全翻訳した記事がこちら、「フォルクスワーゲンの電気自動車「ID」プレゼンテーション全編翻訳をお届けします!」になります。是非ご一読ください。
(翻訳・文 杉田 明子)
「アイミーブは、テスラモデル3よりも電費が悪いくらいなのです。」
どの様な計算で求められたのでしょうか?
i-MiEV M JC08:120km/kWh 10.5kWh
モデル3 スタンダードレンジ プラス WLTP:409 km 54 kWh
インバーターの変換効率が88%では効率が悪いとは考えますが
”電費が悪い”と明言される根拠は存在するのでしょうか?
あ!様、ご質問ありがとうございます。
https://www.fueleconomy.gov/feg/Find.do?action=sbs&id=37293&id=41416&id=41191
これで見ていただくと、EPA基準で揃えた場合には、モデル3のほうが電費が良いです。これにはいろいろ理由がありますが、出口から見てみると以下のようなことが、(正式計測したわけじゃないので)推測ではありますが考えられます。
– 空力性能が違う。軽自動車は燃費より居住性が重要視されます。背を高くすると電費は一発で悪くなります。
– モーターの差。開発年度が10年違いますから当然ですし不公平ですが、10年でここまで来たということです。空力の影響の出にくいCityでもモデル3のほうが同等か、それ以上の性能を出せている理由は、モーターの可能性もあります。
– インバーターの差。モデル3はSiCなので恐らくかなり良いと思われます。
– 車載充電器の差。EPAはJC08と同様、AC充電で満充電して止まるまで走ります。充電するときの充電器は車内にありますが、これが影響している可能性もあります。
https://evsmart.net/carMaker/
こちらのサイトでは、日本で買えるすべての電気自動車のEPA電費をチェックできます。なぜ日本や世界の標準の基準を使わないのか、についてはこちらの記事にまとめています。
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/energy-efficiency/
何故?軽規格のEVが出揃わないのでしょう。
中国でコンパクトなEVが発売されるなら…、ましてやVWの車なら待ってます。
杉原様、コメントありがとうございます。単に私の認識をお話しするなら、軽自動車は床面積が狭く、搭載できる電池が限られ、かつコストの制約もあるためなかなか出てこない、というところだと思います。ガソリン車の場合は軽自動車のように小さければ軽量化により大きな燃費向上が図れるわけですが、電気自動車では重量の電費への影響度が少なく、それなりの容量を搭載しないと充分な航続距離を得ることができません。例えば軽自動車(今はちょっと大きいですが)のアイミーブは、テスラモデル3よりも電費が悪いくらいなのです。10年間の電動パワートレインの技術の進化はそれなりに大きなものがあるということだと思います。
良いニュースとしては、今回東京モーターショーでも日産がIMkというコンセプトカーを出展しています。噂ではありますが、NMKV(警告出ますが現時点では安全です)から2021年くらいに発売されそう?
杉原さん、安川さんへ:軽EVオーナーとして返答いたします。
i-MiEV(アイミーブ)は2009年のデビユー後なんら大きな改良を受けずにここまでやってきましたが2018年施工の歩行者保護法案のせいで軽逸脱になっちゃいました!(T_T)
安川さんの言われるとおり軽規格だと電池搭載スペースに制限があり16kWhが大きな壁になってます。僕が乗るMタイプに至っては東芝の高耐久SCiB電池が大容量化を果たせず10.5kWhの小容量で100km走ると充電が必要になるほどショボいですよ…それでも1kWhあたりの航続可能距離は最も長く、電気自動車にしては軽量というメリットも見逃せません。あとはSCiB採用からくる充電時間の短さ(15分で80%充電可能、普通充電も4時間程度で完了)は大きなメリットで道の駅のQC利用時間はトイレ休憩程度で済む強みがありますよ。
一番の問題はそれをよしとしない食わず嫌いな人が多い!それに容量の少なさから休日午後の充電渋滞に弱い問題もありますが、僕は混まない午前中に目的地近くで充電してそれを避けてます。要は運用方法さえ工夫すればいいだけ。
それで軽EVが売れなくて三菱以外から出なかったですが、日産は今ソーラー2019年問題で電力自家消費を狙う家庭をターゲットにしています!リーフだけでは限界があるからIMkを発表したという。
ホンダやVWもこの日本市場を狙っているはず、クルマだけでなく電力問題も考えて出すのなら道筋的に間違ってはいませんよ。