元記事:Volkswagen Transitions To Online Sales For All ID. Cars In Germany by Steve Hanley on 『CleanTechnica』
すべてのID.モデルをオンライン販売
フォルクスワーゲンはドイツですべてのディーラーからID.全電気自動車モデルのオンライン販売への合意を取りつけたと発表しました。この合意により、ディーラーはVWに責任が帰属するセールス、マーケティング、ファイナンスの代理店となります。
5月20日付のプレスリリースによると、「ドイツのディーラーの代理店としての役割は、そのうち個人と小規模事業向けに販売することになると思われます。フォルクスワーゲンと協力しながら、顧客獲得、セールスの相談、試乗機会のアレンジ、支払い、車両受け渡しをしてもらいます」とあります。
販売プロセスの始めに顧客が選んだディーラーは、ショールーム販売と変わらないコミッションとボーナスを受け取ります。VWから直接オンラインで車両が購入された場合でも変わりません。車両価格はVWが決めるので、ディーラーは複雑な価格交渉をする必要がありません。よってディーラーは顧客が車両をオンライン、ショールームのどちらで買うかに関わらず、必ず報酬を得ることになります。
VWは車両用の融資への責任を持ち、返品や減価償却のリスクを負います。ドイツVWセールス・マーケティング部門トップの Holger Santel氏は次のように説明しています。
「ディーラーは車両の融資を先にする必要がなくなります。さらに私達が在庫費用とショールーム用車両にかかる費用を負担するようにします。ディーラーに対して、展示車両リースに関する非常に魅力的なコンセプトを提案しているのです」
社は顧客が興味のある車に関してさらに良く知るために地元のディーラーを訪れ、その後オンラインで注文するという複合的なセールス体験を求めていると言います。いわゆる『タッチレス(非接触)』のデリバリー方法も、このモデルで推進されます。社によると、「顧客と車両に関するデータは、顧客からの同意のもと常時個別にコミュニケーションを取るために使われます」。VWの新しいITプラットフォームであるThunderは現在開発中ですが、ID. シリーズと共にディーラーでデビューを飾る予定で、1台の車を作成するのにたった10クリックで済むようになります。
VW・アウディのパートナー・アソシエーション議長である Dirk Weddigen von Knapp氏は、「代理店モデルにより、ディーラーはファイナンスの面でかなりの安心を得ることができます。特に今の状況でこれは重要です。私達のパートナー(ディーラー)はリテールに不可欠な部分である、一人一人に合わせた優れたカスタマー・ケアに集中できるようになります。すべてのパートナーが共同で起草した合意書にサインしてくれたことを嬉しく思います。代理店モデルと私達の繋がりに対する大きな信頼の証であるからです」と話しました。
ドイツを超えた影響
アメリカで広く採用されているフランチャイズ・ディーラーモデルは他の国でほとんど見ません。将来VWのビジネスモデルの変化がアメリカにも影響を与える可能性があります。電気自動車を売ると同時にディーラーとの関係性を見直したVW社は評価に値します。
(翻訳・文/杉田 明子)
【編集部コメント】 日本でのオンライン販売導入などについては未定
グルーバルのメディアサイトでプレスリリースが公表されたので、全世界でオンラインの販売形態が導入されるのか、と思ったのですが、ひとまずはドイツ国内に限ったことのようです。フォルクスワーゲン・ジャパンの広報に確認しましたが、日本でオンライン販売を導入するかどうかは「まだ未定」とのことでした。
ともあれ、電気自動車へのシフトは、自動車の作り方や性能だけでなく、自動車産業全体を変革していくことになりそうです。