ワシントン州でカリフォルニアZEV規制が採用される

アメリカ・カリフォルニア州の『ZEV規制』がワシントン州でも採用されることになりました。これで、全米の12州でZEV規制が行われることになります。TESMANIANより全文翻訳記事をお届けします。

ワシントン州でカリフォルニアZEV規制が採用される

ZEV(Zero Emission Vehicle)規制は、自動車メーカーが一定数以上のゼロ・エミッション車両(ひいては純電気自動車)を販売することを義務付けています。カリフォルニア州から始まり、今までに11の州(カリフォルニア、コロラド、コネチカット、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、オレゴン、ロードアイランド、バーモント)で採用されてきました。ZEV規制を巡っては、カリフォルニア州と連邦政府の対立も話題になったりしていますが、自動車の脱炭素化へのコンセンサスは、着実に広がりつつあります。

【関連記事】
『連邦政府のZEV規制潰しに反発するカリフォルニア州が、政府を支援するメーカーの新車購入を停止』

元記事:Washington To Adopt California’s Zero-Emission Vehicle Mandate by Eva Fox on 『TESMANIAN

『SB 5811法案』が州議会を通過

『SB 5811法案』によると、ワシントン州はカリフォルニア州のゼロ・エミッション・ヴィークル基準(ZEV規制)を取り入れる12番目の州になり、既に法案は州上院議会を通過したことが分かりました。州知事のJay Inslee氏によって署名される予定です。

SB 5811法案には

環境省に、ZEV規制を含むカリフォルニア州排出ガス基準を採用させる。

オレゴン州がカリフォルニア基準を採用した場合にのみ実施されるという条件を含め、ZEV規制がどのように採択されるか定めた既存法案を廃棄する。さらにワシントン州における規制採択前に生産、販売されたゼロ・エミッション車両の製造者向け税金控除と銀行取引に関する既存法案を廃棄する。

とあります。

大気清浄法(CAA)の下では、新車に対する排ガス基準を制定する権限は基本的に中央政府が持っており、ワシントン州を含むほとんどの州が独自にそれを定めるには制限があります。カリフォルニア州はCAAがある中、州独自の排ガス基準を許された唯一の州となります。

カリフォルニア州の車両排出ガス基準は、最低でも国家基準の公衆衛生保護レベルと同じである必要があり、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)の認可を受けなければなりません。他の州でも、特定のモデルや年式の車両にカリフォルニアと同じ車両排出ガス規制を適用するようです。国の法律では、他の州がカリフォルニア州車両排出基準を採用してから少なくてもモデルイヤーが2年経過するまで施行を遅らせる必要があります。

2005年、ワシントン州議会はカリフォルニアのクリーン・カーLEV(低排出ガス車両)基準を採用し、環境省はカリフォルニア基準に見合うルール運用をするように指示されました。しかし、議会は環境省がZEV規制を採用しないように働きかけました。

現在環境省はZEV規制を含むカリフォルニアのエンジン車両排出基準を採用するように指示されています。今まで新しい軽車両、軽トラック、中型乗用車への温室効果ガス排出ラベルを付けるのに必要だった基準が、中型トラックにも適用されます。

今回の法案での変更点は以下の通りです。

• 環境省に車種を指定せず、カリフォルニア車両排出基準を適用するよう指示する。ただしゼロ・エミッション・ヴィークル規制は確実に取り入れる。
• ワシントン州でZEV規制が始まる前に生産、販売されたゼロ・エミッション車の生産者に適用される、環境省の2つの制度(控除と銀行取引)に関する法律を取り消す。
• オレゴン州の採択可否に関わらず、カリフォルニア州の車両排出基準を取り入れる。
• ワシントン州でカリフォルニア州車両排出基準に見合う必要性のあるモデル、年式車両の排出量検査免除をなくす。

法案は議会休会から90日後に効力を持ちます。

SB 5811法案はワシントン州のクリーン・エネルギーと、クリーンな車の未来に対する決意表明です。ガソリンを燃やすことに付随する大気汚染や温室効果ガスを減らす電気自動車を含む、よりクリーンな車両を消費者が購入できるようにします。さらに工場がこれらの車両をより多く供給するのにも役立つでしょう。

(翻訳・文/杉田 明子)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

執筆した記事