国内電気自動車レースシリーズが2020シーズン終了〜総合チャンピオンは地頭所光選手

JEVRA(日本電気自動車レース協会)が主催する『2020 ALL JAPAN EV-GP SERIES』が、11月14日(土)の第7戦(最終戦)をもって11年目のシーズンを終了しました。テスラ『モデル3』で7戦中6戦を制した地頭所選手が総合チャンピオンタイトルを獲得しました。

国内電気自動車レースシリーズが2020シーズン終了〜総合チャンピオンは地頭所光選手

テスラ『モデル3』の圧勝となった1年

ALL JAPAN EV-GP SERIES(JEVRAシリーズ)は、2010年の協会設立以後、電気自動車(および燃料電池車などの電動車)によるコンペティティブな50kmレースを毎年展開してきました。2020年シーズンのJEVRAシリーズは、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、開幕が5月末にずれ込みましたが、無事に全7戦までを開催し、シーズンを終了しました。

JEVRAシリーズは、細かくクラス分けがなされており、各クラスでチャンピオンが誕生しました。全7戦延べ68台が参戦した中での総合チャンピオンには地頭所 光(じとうしょひかる)選手(#1 TAISAN 東大 UP TESLA 3)が獲得しました。地頭所選手はモデルSで参戦した2018年からの連続タイトルの記録を「3」へと伸ばしました。

地頭所選手は、昨年モデルSでタイトルを確定したものの、最終戦でモデル3に完敗を喫しました。そのため今季開幕戦に合わせて、地頭所選手もモデル3を投入し、ここから再び連勝記録を伸ばすこととなり、欠場した第5戦を除いて、すべて優勝という素晴らしい成績でこのタイトルを獲得しました。

好天に恵まれたこの最終戦も、予選で2番手以降に2秒以上の差を付けた1分56秒829でポールを獲得し、午後3時過ぎに行われた決勝レースでも、後続を18秒離して11周を走り切り、優勝を手中に収めました。

同じく今季からモデル3で参戦を開始したTAKAさん(#33 適当LifeアトリエModel3)は、その地頭所選手を負かすことができず、地頭所選手が不参戦の第5戦こそ表彰台の頂上に上がったものの、それ以外は2位5回、3位1回という成績で、地頭所選手に13ポイント差のランキング2位という結果となりました。

【関連サイト】
日本電気自動車レース協会 (JEVRA)

地頭所選手のコメント

圧倒的な強さを見せてシーズンを終えた地頭所選手にコメントをいただきました。

私自身としては3年目の参戦を迎えた今シーズンでしたが、過去一番面白いレースができ、充実した年になりました。テスラモデル3が(JEVRAシリーズの)主力マシンになったことにより、上位陣は圧倒的にハイレベルなレースになり、さらに同車種のライバルが増え、バトルもしのぎを削ったものとなりました。

結果としては、急な発熱で欠場した第5戦以外すべて優勝し、7戦中6勝と輝かしい成績で終えることができましたが、それぞれのレース内容はぎりぎり勝てたというものが多く、最終戦まで全く油断はできませんでした。

ライバルに少しでも差をつけるために、TeamTAISANと東京大学工学部のEVレースプロジェクトの皆でこのモデル3の開発に尽力し、タイヤや足回り、追加冷却装置のアップデートを行い、毎戦テストを欠かさず行うというストイックさが、勝利に導いてくれたのではないかと思います。

来年の体制は未定であるところもありますが、TAISAN 100勝を目指して同シリーズには参戦予定です。これからも応援よろしくお願いいたします。

来シーズンは賞金も!

また、JEVRAではこの最終戦に先立ち、来シーズンの開催概要を発表しています。12シーズン目を迎える2021年のJEVRAシリーズは、『開発支援金』という名目でシリーズチャンピオンチームに最高1680万円という賞金を出す仕組みを設けたことがその目玉ということです。

この「開発支援金」は、「DEVELOP CLASS」に参戦するチーム(チーム登録制でドライバーの変更は可能)が対象となります。エントリーフィは1戦40万円の合計280万円(税別)となり、シーズンエントリーを期日内(2021年1月29日まで)に済ませることが必要です(このエントリー台数により最終的な開発支援金の金額は変わります)。

これまで開催してきたような個人のエントリー(5万円/レース)も継続しますが、こちらは「開発支援金」対象外となる「ENTRY CLASS」でのエントリーとなります(ドライバー登録制でドライバーの変更は不可/一戦ごとのエントリー可)。

来シーズンのスケジュールの詳細はまだ正式に決定はしていませんが、袖ケ浦、筑波、SUGO、富士、岡山国際、ツインリンクもてぎの6会場で全7戦での開催が予定されています。岡山国際サーキットは、2010年および2011年の開催以来となる復活開催です。また、同じく2016年、2018年に開催していたツインリンクもてぎも復活となるようです。

さらに、これまでJEVRAシリーズでは、レース距離50kmを基本としたレースを開催してきました。2014年からは同一シーズンで複数回JEVRAレースを開催するサーキットではレース距離を変える変動制を採用し、近年、レース距離は50kmをベースに40kmから60kmの範囲で開催されていました。しかし、テスラモデル3の他を圧倒する走行性能と他の車両との速度差の均衡を図るため大胆なレース距離の変更を検討中とのことです。2021年シーズンの詳細については追って発表されるということです。

(取材・文/青山 義明)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 今でこそ環境性能を前面に押し出しているEVですが欧州では相変わらずのスペック競争をしていますし、動力性能で車選びをしている層の方がいるのは事実ですね。
    車に限りませんが人や物資の移動の歴史はスピード競争の歴史でもあるわけで否定はしませんが正直この手の記事に興味のない人も多くいるようで書き込みがありませんね。
    EVは環境に優しい乗り物だという感覚を持った人がこのサイトでは多数を占めていると解釈してもよろしいでしょうか。

    と敢えて書き込みしてしまいました。不適切と判断されましたら公開しないでください。

    1. 軽貨物さま、コメントありがとうございます。

      私見ですが、駆動用電池の大容量化、急速充電の高出力化ばかりに傾倒するのは、あまり気持ちよい方向ではないという考えには同感です。

      一方で、27年ほど前、私が日本EVクラブの活動に関わるようになったのは、モータースポーツを楽しみ続けるには電動化するしかない、という思いがありました。エコロジーとモータースポーツに相反するところがあるのは理解できますが、スピードや競争を楽しみたいというのも人間としての愛すべき性質だと思います。
      いろいろと、賢く楽しめるようになるといいですね。

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					青山 義明

青山 義明

自動車雑誌制作プロダクションを渡り歩き、写真撮影と記事執筆を単独で行うフリーランスのフォトジャーナリストとして独立。日産リーフ発売直前の1年間にわたって開発者の密着取材をした際に「我々のクルマは、喫煙でいえば、ノンスモーカーなんですよ。タバコの本数を減らす(つまり、ハイブリッド車)のではないんです。禁煙するんです」という話に感銘を受け、以来レースフィールドでのEVの活動を追いかけている。

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