ヒョンデ『IONIQ 5フードツアー』で感じた「ライフスタイルはちゃんと選ぼう」という気付き

Hyundai Mobility Japan が開催したイベント『IONIQ 5フードツアー』に参加してきました。コーディネーターである五十嵐シェフの美味しい料理をいただき、お話しを聞いて感じたのは「ちゃんと選べば人生はもっと豊かにできるかも」ということでした。

ヒョンデ『IONIQ 5フードツアー』で感じた「ライフスタイルはちゃんと選ぼう」という気付き

1日3組限定の抽選に見事当選

ヒョンデが開催した『IONIQ 5と食 – IONIQ 5フードツアー』は、農家兼シェフである五十嵐創氏がコーディネートする持続可能な食のありかたを体験するツアーです。開催日は6月18日(土)と19日(日)の2日間。イベントは日帰りで8時集合の17時30分解散予定。抽選で各日数組の当選者が参加できるというものでした。

ヒョンデ公式サイトでの参加者募集を見つけたEVsmartスタッフのテスカスこと畑本さんが応募したところ見事に当選。19日に参加できることになりました。1組4名まで同乗参加可能ということですが、テスカスさんは1人だけ、ということで「誰か一緒に行きませんかー!」と、業務連絡のSlackで叫んでいたので、私も同行することにしました。

おおまかな日程は以下の通りです。

参加者のために用意されたIONIQ 5。

9時/横浜市内の駐車場に集合

各組、ヒョンデが用意したIONIQ 5に乗って相模原市(旧藤野町)の藤野倶楽部へ移動。

有機無農薬栽培の畑「Hyundai Farm」で野菜を収穫。

収穫した野菜などを、IONIQ 5の電気で料理。

アウトドアのテーブルでランチを楽しむ。

各自、IONIQ 5で横浜に戻る。

17時30分ごろ/解散。

簡潔にまとめると、IONIQ 5で無農薬栽培の畑に出かけ、収穫とアウトドアランチで楽しもう! って感じです。

1日に何組くらい参加するのか、事前には知らなかったのですが。朝9時、集合場所の横浜ハンマーヘッド駐車場に到着してみると、用意されているIONIQ 5は3台だけ。なんと、1日3組限定という狭き門でした。

料理は抜群に美味しかったです

百笑の台所には急速充電器もありました。

横浜からIONIQ 5で向かったのは「百笑(ひゃくしょう)の台所」というお店。ここは、藤野倶楽部という農業法人が運営しており、「安心農園で採れた野菜を中心に、四季折々の食材を使いひとつひとつ丁寧に仕込んだナチュラルな本格韓国料理」を楽しめます。

敷地内にグランピング施設やバーベキュースペースがあって、このBBQスペースにIONIQ 5を乗り入れて、クルマから取り出した電気で料理。草原のウッドデッキにしつらえたテーブルで、自分たちで収穫して作ったランチをいただける、という趣向です。

収穫を楽しむ参加者のご家族。

野菜を収穫する「Hyundai Farm」は、百笑の台所からクルマで2分くらいの場所にありました。ここは、五十嵐シェフが有機生ごみ堆肥を使い、無農薬栽培を手掛けている畑で、今回のイベントのために「Hyundai Farm」の名前を冠し、参加者に「好きなだけ収穫してください」と開放されました。

箱いっぱいに収穫。食べきれなかった野菜はお土産にいただきました。

私自身、自宅で小さな無農薬家庭菜園をやってたりします。6月中旬というのが、夏野菜にはまだ少し早くて、少し中途半端な時期ではありましたが、畑には水菜やラディッシュ、ニンジン各種、ビーツ、カブ、ハーブ各種などの畝があり、小一時間ではありましたが収穫体験を楽しみました。

百笑の台所のBBQコーナーに戻ると、ヒョンデハウス原宿で五十嵐さんが手掛けた展示でも使われていた特製のモバイルキッチンを組み立てて、収穫したばかりの野菜でサラダを料理。ホットプレートで、五十嵐シェフが用意してくれていたニュージーランド産の「グラスフェッドビーフ」という、牧草だけで育った牛の肉を焼いたりなんかして。

水菜を敷いて、ニンジン、ラディッシュ、ビーツなどの輪切りを並べたサラダ。これは、おもに私が作りました。
ビーツの葉っぱが美味しそうだったので、バターで炒めてステーキの付け合わせに。
五十嵐シェフ特製のソースをかけて、グラスフェッドビーフのステーキが完成。
フレッシュなハーブティも美味しかったです。
この雰囲気だけでもご馳走です。

この日は晴天だったので日よけのタープを立てて、野原に用意されたテーブルの雰囲気は上々。五十嵐シェフが「今朝焼いてきた」というパンなどとともに、美味しく料理をいただきました。

ある意味、主役は「室外V2L」

屋外での調理。ホットプレートや電気ポットが手軽に使えるのは、IONIQ 5の全グレードに標準装備されている「室外V2L」のおかげです。普通充電口からAC100V 1600Wを取り出すことができるコネクター。トヨタプリウスPHVでオプション設定(今は標準装備になったようです)されたのが世界初だと思いますが、IONIQ 5にも用意されました。

これ、すごく便利です。EVには当然の装備になるといいのに、と思うので、最近、いろんな新型EVの試乗会に行くと、開発関係者の方に「こういうのが欲しいんですよ」と、あえてリクエストするようにしています。

ついでに紹介しておくと、IONIQ 5には「室内V2L」として、車内(リアシート下部)にもAC100V 1600Wのコンセントが全グレードに標準装備されています。

五十嵐シェフ自身、人生のシフトアップ中

楽しかった、美味しかったとレポートしても、参加してない読者のみなさんにすると「勝手に美味しい思いしやがって」って感じですよね。

私が今回、このレポートでお伝えしたいと思ったのは「ライフスタイルを選べば人生はもっと豊かにできるかも」という気付きです。この「ライフスタイルを選ぶ」というアクションは、これからのEV普及に関する大切な意味や示唆を含んでいると思っています。

まず、今はまだ日本メーカーの多くがエンジン車やハイブリッド車を中心に販売している現状であり、マイカーに「電気自動車を選ぶ」こと自体が、ライフスタイルの選択であると言えます。

電気自動車には、走行時にCO2を排出しないとか、ガソリンスタンドに行かなくても自宅で充電できるといったメリットがあります。一方で、バッテリー容量が大きく一充電航続距離が長いEVはおしなべて高価だったり、バッテリーが小さいEVは航続距離が短いといった「エンジン車との違い」を受け入れる必要があるのも事実です。

それでも、脱化石燃料=再生可能エネルギーへのシフトを実現しつつ便利でパーソナルなモビリティを持続可能にしていくには、EVシフトは最も有効な方法です。つまり、エンジン車と比べてちょっとした我慢や違いは承知の上で電気自動車を選択するのは、脱化石燃料、脱炭素に向けた個人のアクションであり、ライフスタイルの表現、だと思うのです。

五十嵐創シェフ。

五十嵐シェフ自身、以前は実家である東京・世田谷区内の中華料理店の料理人だったそうですが、食品ロスや生ごみの問題に関心をもったことをきっかけに「循環型有機農業」に着目。数年前、夫婦で藤野(相模原市)に移住して、「土とシェフ」をキーワードに掲げ、野菜の有機栽培を手掛ける農家兼シェフとして、畑を舞台にした料理教室などの活動へのチャレンジを始めているところです。

2月から5月まで開設されたポップアップストア「ヒョンデハウス原宿」では、さまざまな分野の専門家とコラボしたライフスタイル提案を展開。五十嵐シェフは「食」をテーマにした提案をしていました。ライフスタイル提案はIONIQ 5のコンセプトでもあります。今回、五十嵐シェフから循環型有機農業への思いや、自らの人生をシフトアップしている真っ最中であるといったお話しを伺って、IONIQ 5が具現するライフスタイルの提案者としてぴったりであるということに合点がいきました。

五十嵐さんのお話しの内容は、テスカスさんが動画でまとめる計画なので、完成したらこの記事からもリンクします。

幸せに、なれる人からなればいい

かつて、中国で鄧小平氏が唱えた「先富論」が話題になりました。先に豊かになれる者が富み、社会全体を引き上げればいいという改革開放政策です。

私自身、30年近くEV普及に関わってきて、さまざまな経験から「電気自動車はエンジン車よりも幸せなモビリティ」であると痛感。2012年にKindleで上梓した拙著『電気自動車で幸せになる』でも、先富論に倣って「幸せに、なれる人からなればいい」と提示しました。

現状の日本ではまだまだ電気自動車に対する不理解や誤解がまん延してはいますが、電気自動車というライフスタイルを選択した多くの人は、先んじてその「幸せ」を理解し、享受しています。

IONIQ 5は、より多くの人が電気自動車の幸せを享受するために、コストパフォーマンスに優れた魅力的なEVだと思います。おおむね500万円クラスという車両価格は、大多数の庶民がマイカーとして所有するにはまだまだ高価ではありますが。エンジン車との比較で日産リーフや三菱i-MiEVが割高だった2012年当時のことを思えば、市場で買える電気自動車は格段の進化を遂げました。

IONIQ 5がワールドプレミアされた時に抱いた「これが日本にも導入されるといいのにな」という思いが、ちゃんと実現されたことに感慨を覚えます。

Hyundai IONIQ 5 World Premiere | Power Your World

先日、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんの「太陽光発電とEVでエネルギー自給自足を目指した自宅」を紹介する記事を公開しました。電気自動車に限らず、マイホームから日常的に使う家電ひとつに至るまで、サステナブルかどうかを問われる選択肢は世の中にたくさんあります。よりサステナブルなものを選ぶと、より高価だったりもするので、それを選択する余裕がある人から手に入れて、次第に広がっていけばいい、ということですね。

現在、30kWhリーフオーナーである自分自身がIONIQ 5を購入するかどうかはまだ検討中って段階ですが。車種はともあれ、幸せな電気自動車ライフを選択する、賢明な21世紀型オヤジでありたい、と思っています。

そんなわけで本日は、美味しい体験で感じた「たわごと」をお届けしました。今回は無料招待のイベントでしたけど、正直、「これって、有料でも参加者続々の価値あるツアーじゃないか」と感じました。

ちなみに、横浜ハンマーヘッドから百笑の台所までは片道約80km。出発時のバッテリー残量は80%程度でしたが、往復で約160km&ランチの調理で使った電力くらいは、バッテリー容量72.6kWhのIONIQ 5にとっては無問題。まったく電池残量は気にすることもなく、50%ほど(まったく気にしていなかったのでちゃんと確認するのさえ忘れました)の電気を残して往復することができました。ほんとに、幸せなEVだと思います。

いよいよ納車が始まりました!

このレポート記事を書いて公開準備を進めていたら、7月6日、JAIA(日本自動車輸入組合)から2022年6月度の輸入車新車登録台数速報が発表されました。

Hyundai(ヒョンデ)の乗用車登録台数は「37」です。ブランド別概況の統計なので、詳細な車種名は未確認ですが、ほとんどがIONIQ 5と考えていいでしょう。2010年の乗用車販売撤退から久しぶりに、日本市場での新たな一歩が始まりました。

台数が少ない? とも感じましたが、考えてみれば5月2日の販売開始時には納車は7月からとされていました。ヒョンデに確認したところ、事前の調整で一部の車両が早めに日本へ入荷したため、初期にオーダーした顧客のなかで「早期納車可能な方には7月を待たずにお届けしました」とのこと。

現在の納車は、8月末まで期間限定のポップアップスペース「Hyundai Mobility Lounge 丸の内」を開設しているアスコット丸の内か、顧客指定場所へのデリバリーというカタチで行っており「7月も着実に納車を行ってまいります」とのコメントでした。

晴れて納車されたみなさん、末永くお幸せに!

(取材・文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. 今の車がヘタってしまい新しい車が至急必要になり、アイオニック5という韓国製のEVが5月に発売されるのを知り購入しました。アイオニック5に失礼なんですが、一番の理由は半導体不足にもかかわらず7月に納車されることでした。
    ただ、調べてみるとかなり優秀なEVなんだと感じるようになりました。特にV2Lは本当に良いと思いました。台風による長期の停電を経験しているので、レジャーというより災害時に有効だと感じました。V2Hの設備がなくても給電できるのが魅力です。逆にアリアにないのがかなり疑問です。
    来週納車なので楽しみです!

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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