岡山「ハートアップワールド」にヒョンデ販売拠点開設/フラッシュ240kW器3基も設置

岡山市にオープンした「Heart Up World」岡山野田本店にヒョンデのショールーム「Hyundai Mobility Lounge」が開設されました。同店はテスラ認定工場でもあり駐車場にはFLASHの240kW急速充電器3基を新設。EVファンの新たな巡礼地となりそうです。

岡山「ハートアップワールド」にヒョンデ販売拠点開設/フラッシュ240kW器3基も設置

躍進するクルマ屋さんの新たな旗艦店舗

2024年11月9日、岡山駅にもほど近い岡山市内の一等地にHeart Up World(ハートアップワールド)岡山野田本店がグランドオープン。オープニングセレモニーを取材してきました。

岡山市中心部にオープンした新店舗。左下にチラッと見えている赤いのが急速充電器。

ハートアップワールドは、公式サイトの説明を引用すると『岡山の中古車・輸入車・スポーツカーならお任せ!Tesla (テスラ) カスタマイズパーツ「KOKORO」車検・板金・修理・買取全てお任せのクルマ屋さん』。つまり「クルマ好きの味方」的な整備工場です。社長の佐藤義寛氏が小さな整備工場からスタートして着々と成長し、D1グランプリなどモータースポーツにも参戦。一方で2011年に予約開始されたテスラモデルSを自身で早々に購入するなどEVへの感度も高く、ディーラー網を展開しないテスラ、そしてヒョンデの認定工場になっています。

すでに生産終了してますが、2014年に登場した伝説的EV『Tommykaira ZZ』の正規代理店の看板も掲げているあたり、ハートアップワールド自体がすでに箕面市のビーライトなどと並ぶ伝説的EVファクトリーであるといえるかも知れません。

2019年には倉敷店を開設。今年8月には輸入車整備に強い鳥取県米子市の「でいとな」を買収して米子店を開設。そして今回の野田本店のグランドオープンと、日本でのEV普及を後押しするかのように躍進を続ける「クルマ屋さん」なのです。

「Hyundai Mobility Lounge 岡山」が新規オープン

ヒョンデマネージングダイレクターの七五三木氏(左)と佐藤社長(右)。

ハートアップワールド岡山野田本店の1階ショールームには、ヒョンデのショールームである「Hyundai Mobility Lounge(ヒョンデモビリティラウンジ)岡山」が開設されました。オープニングセレモニーではヒョンデ・モビリティ・ジャパンのマネージングダイレクター、七五三木(しめぎ)敏幸氏が「(新店舗の立地は)岡山市街で自動車販売に最も適した場所であり、周辺に販売店が並ぶ中でもナンバー1の存在感がある」と、新店舗オープンを祝う挨拶を行いました。

新店舗は岡山駅にほど近く、市役所庁舎前を東西に貫く大通り沿い。周辺にはトヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、スズキ、マツダ、ボルボ、アウディ、フォルクスワーゲン、フィアットなど多くの自動車(中古車含む)販売店が集まっている一等地です。

ご承知のように、ヒョンデはいわゆる「ディーラー網」を展開していません。とはいえ、実車を見たり試乗できる拠点は必要ということで、都市型ショールームの「Hyundai Citystore」や、他企業とのコラボレーションでライフスタイル提案型のショールーム&試乗や納車の拠点となる「Hyundai Mobility Lounge」、オートバックス店舗の一角に車両を展示して試乗ができる「Hyundai Corner」などを展開しています。

新店舗は、東京ベイ東雲、京都四条、富山などに続く中国地方で初めての「Hyundai Mobility Lounge」となります。岡山在住のIONIQ 5オーナーの知人もいるので、この場を借りて祝福しておきたいと思います。

テンフィールズファクトリーの市川社長と遭遇

テンフィールズファクトリー市川社長(左)と佐藤社長もがっちり握手。

店舗前の広場でセレモニーの開始を待っていたら、超急速充電器FLASH(フラッシュ)の充電ネットワークを展開するテンフィールズファクトリーの市川裕社長にばったりと会ってご挨拶。「なぜここに?」と尋ねると、新店舗の駐車場にNACSケーブル併設で最大出力240kWを誇る最新型を3基設置したとのこと。

この日のオープン目指して工事を進めてきたものの、電気工事が間に合わずまだ稼働していなかったですが、テスラの認定工場でもあるハートアップワールドにNACSケーブル搭載の高出力器複数口設置というのは理にかなっています。市川社長には、モデル3で埼玉県に設置されたフラッシュを使ってみて「はたして使われる充電器になるのか?」と疑問を呈する記事を先月書いたばかりということも白状した上で「ここはいいですね!」と賛辞を送らせていただきました。

まだ未稼働ですが市川社長に確認すると「なんとか年内には」とのことでした。

前述のように、新店舗は山陽道岡山ICからは約8kmと少し離れてはいるものの、岡山市の中心部で岡山後楽園や岡山ドームにも近くて経路充電スポットとして好立地。周辺には集合住宅も多く、テスラやヒョンデの認定整備工場とあって基礎充電代替のスポットとしても有望です。

66円/kWh(現在キャンペーン中で当初料金の88円/kWhに戻るかも)という充電料金は家庭の電気代や55円/10分≒kWh(エネチェンジの場合)の普通充電サービスに比べると割高ではあるものの、超急速の利便を求めるなら納得の範囲。従量課金だから、急速充電性能が低い軽EVやPHEVで使っても150円/kWhとか200円/kWh以上といったバカ高い電気代を払うことにもなりません。

今後、4000円以上の月会費を忌避して公共充電インフラネットワークであるe-Mobility Powerの充電カード(提携含む)を所有しないEVユーザーが増えることが想定できるので、会員登録などが不要でその場でクレジットカードやQRコード決済ができるサービスには価値があります。

営業時間内であればハートアップワールドの店舗内で過ごせるし、少し歩けばコンビニやファーストフード店もあります。前述の埼玉県内のスポットや、「まちかど超高出力器」で充電してみた/1分90円の急速充電が必要なEVとは? という記事で指摘したのは「この充電器をいったい誰がどのように使うのか?」という疑問です。でも、ハートアップワールドのフラッシュはそうした懸念を見事にクリアしている上に、3基(口)設置されているので充電待ちのリスクも低いはず。市川社長には「ぜひ、こういうスポットを増やしてください」とお願いしておきました。

ハートアップワールド公式サイトから引用。

ハートアップワールドでは、倉敷店にもフラッシュ(こちらはチャデモ規格のみの180kW器を1口)を設置しています。佐藤社長に「フラッシュを選んだ理由」を尋ねると「会社のイメージカラーが赤だから」とのこと。なるほど、以前の本社や倉敷店の写真を見ると、真っ赤な看板に黄色の文字で、まさにフラッシュ急速充電器のカラーリングとマッチしてました。

さらに、市川社長の愛車であるモデルSがハートアップワールドに入庫中とのこと。引き渡し間近のモデルSは、もともと白だったボディを真っ赤にラッピングして、シートなどインテリアも赤と黄色のフラッシュカラーにカスタマイズされてました。

日本のEV普及を進めるには、国内メーカーが安価で必要十分な性能を備えた新型EVを繰り出してくれることが重要ですが、EVに関わる人たちのこうした熱意が大きな原動力になるはずです。快適で幸せな未来へ向けて、前進していきましょう!

取材・文/寄本 好則

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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