レクサス新型『RX』にPHEVモデルをラインアップ〜LEXUS Electrified へ前進

レクサスのラグジュアリーSUV『RX』がモデルチェンジして5代目となり、6月1日に発表(情報解禁)された。RXとしては初めてPHEVモデルをラインアップしたほか、売れ筋のハイブリッドモデルに新しい4WD技術の「DIRECT4」を採用した。

レクサス新型『RX』にPHEVモデルをラインアップ〜LEXUS Electrified へ前進

SUVの人気モデルを7年ぶりにフルモデルチェンジ

レクサスはトヨタのラグジュアリーブランドとして1989年に発足。2019年に「LEXUS Electrified(レクサス・エレクトリファイド)」を掲げ、電動化に舵を切った。2021年12月の「バッテリーEV戦略に関する説明会」では、30年までに全カテゴリーでBEVを設定し、35年にはグローバルで新車の100%BEV化を目指すとしている。

1998年にラグジュアリーSUVとして誕生し、これまでに約350万台を販売したレクサスの屋台骨であるRXは、2005年の2代目にSUVとしていち早くHEVをラインアップしたことでも記憶される。15年に登場した4代目の人気は長く続いたが、この度7年ぶりの全面刷新となった。

左から『RX』『RZ』『NX』『LX』。フラッグシップのLXには電動モデル未設定。

同社の売れ筋車種ではほぼ唯一旧世代のプラットフォームを用いていたRXだが、新型ではようやく新世代のエンジン横置き各モデルが用いるGA-K(TNGA)を採用した。パワートレーンのラインアップは、2.4Lターボエンジンを積むICEのRX350、2.5Lエンジンを積むHEVのRX350h、2.5Lエンジンを積むPHEVのRX450h+、そしてパフォーマンスモデルとして新設された2.4Lターボエンジンを積むHEVのRX500hの4種(エンジンはいずれもガソリン)。

昨年登場したひとまわり小さなNXは、2.4Lエンジンを積むICEのNX250、2.4Lターボエンジンを積むICEのNX350、2.5Lエンジンを積むHEVのNX350h、2.5Lエンジンを積むPHEVのNX450h+の4種を設定する(エンジンはいずれもガソリン)。乱暴に言えば、2.4Lターボエンジンを積むICEの“350”を軸に、NXは下に手厚く、RXは上に手厚いラインアップとなっていると言える。

自動的にEVとHV走行を切り替える先読み機能搭載

PHEVのRX450h+は、パワートレーンの基本的構造はNX450h+に準じ、駆動用リチウムイオンバッテリーの総電力量(18.1kWh)も同じ。カーナビに目的地を設定すれば、システムが電池残量とルートの属性などを考慮し、自動的にEV走行とHV走行を切り替える先読みエコドライブ機能が備わる。FWDと4WDがあり、4WDは前後トルク配分を100:0〜20:80の間で制御する。

新設のRX500hは、リアを駆動する高出力モーター「eAxle」を活用した「DIRECT4」なる4WDシステムが売り。車輪速センサー、加速度センサー、舵角センサーなどを用い、前後トルク配分を100:0〜20:80の間で制御するのは450h+と同じ。コーナリング時、操舵し始めにはフロント寄り(70:30〜50:50)の、コーナー脱出時にはリア寄り(50:50〜20:80)の配分にすることで、ドライバーが気持ちよいと感じる旋回フィーリングを演出する。

RX500hの2.4Lターボエンジンと組み合わせられる6速ATは伝達効率アップを目的にトルクコンバーターではなくクラッチを採用したのが特徴。変速ショックはモーターの緻密な制御で打ち消すことができるのだろう。ターボエンジンの“ラグ”の部分をモーターアシストすることでカバーし、応答性がよくパワフルな加速を実現しているという。先般発表されたマツダCX-60のAT同様、トルコンの代わりにクラッチを採用するのが電動車のATの新たなトレンドになるかもしれない。

新型RXのサイズは、全長4890mm、全幅1920mm、全高1695mm、ホイールベース2850mm。現行型に比べ、全幅が25mm拡幅され、全高が10mm低められ、ホイールベースが60mm延長された。第一印象は従来型とかなり異なるのだが、歴代モデルが踏襲する要所を押さえることでRXの新型だと認識しやすくなっている。

まずフロントグリルが縁取りがないシームレスなタイプとなった。これまでレクサス各モデルはクロームで縁取った大きなスピンドルシェイプのグリルが特徴だったが、BEVのRZはグリルレスデザインを採用した。レクサスはこの部分を「スピンドルボディ」と呼ぶ。PHEV、HEVをもつRXは、レクサスが今後ICEとHEV中心のラインアップから全車BEVへと移行していく課程を表現したようなグリルに見える。

RXの一番のビジュアル的特徴である、ウインドウグラフィックが狭まって収束していくDピラーデザインは健在。これのおかげでひと目でRXとわかる。また歴代RXはまだ“クーペSUV”という言葉が生まれる前から角度が寝たリアウインドウを採用し、トレンドを一部先取りしていたが、その角度も維持された。フロントウインドウ(Aピラー)の角度も従来型と同じだが、ピラーの位置が後ろへ移動している。リアコンビランプはUXやNXと同じ左右がつながり一体化したデザインとなった。

インテリアはセンターに14インチの大型タッチスクリーンを配置。従来よりもステアリングスイッチで行う操作の比率を高め、同時にヘッドアップディスプレイの表示面積を拡大して情報量を増やすことで、ドライバーの視線移動を減らし、ステアリングホイールから手を離すことなく運転に集中できる環境を追求している。

新型RXの発売は今秋。価格は未発表。

(取材・文/塩見 智)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. >PHEVのRX450h+は、パワートレーンの基本的構造はNX450h+に準じ、
    ってどういう意味ですか?
    +がついているので、NX450h+はPHEV以外無いので何の説明にもなってないですし、その後に
    >駆動用リチウムイオンバッテリーの総電力量(18.1kWh)も同じ。
    とあるので、レクサスに詳しくない方が、NX450h+にはPHEVのものとそうでないものがあると勘違いされて書かれてませんか?

    1. コメントありがとうございます。

      編集部としては「(RXにはハイブリッドモデルもあって)PHEVのRX450h+ は」と理解しています。
      モデル呼称について、「h」とか「h+」とか、少々わかりづらいですね。個人的には、明確に「PHEV」って呼ぶのがわかりやすいのに、とも感じています。

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					塩見 智

塩見 智

先日自宅マンションが駐車場を修繕するというので各区画への普通充電設備の導入を進言したところ、「時期尚早」という返答をいただきました。無念! いつの日かEVユーザーとなることを諦めません!

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