メルセデス・ベンツがPHEVの新『GLC 350 e 4MATIC クーペ』を日本導入

メルセデス・ベンツ日本は4月3日、バッテリー容量を増やすなどしたプラグインハイブリッド(PHEV)の4輪駆動モデル『GLC 350 e 4MATIC クーペ』を発売しました。バッテリー容量を増やし、バッテリー走行での航続距離は45.2kmになりました。

メルセデス・ベンツがPHEVの新『GLC 350 e 4MATIC クーペ』を日本導入

家庭への普通充電器設置や充電サービスをサポート

今回、メルセデス・ベンツのプレミアムミドルサイズSUV「GLC」のラインナップに追加された『GLC 350 e 4MATIC クーペ』は、2リッター直列4気筒ターボエンジンにメルセデス・ベンツの最新型PHEV「EQ Power」を組み合わせています。

2016年に発売されたPHEV『GLC 350 e 4MATIC Sports』などに搭載しているパワートレインを改良したもので、バッテリー容量を増やすなどして性能を向上させた第3世代のPHEVシステムになります。日本でも昨年10月に発売された『E 350 e』と基本的には同じものです。

日本での価格は922万円(税込み)で、右ハンドル仕様になっています。

現在、メルセデス・ベンツ日本では、E 350 e に続いて GLC 350 e 4MATIC クーペでも、PHEVの良さを広く知ってもらうために、充電時間を短縮できる充電出力6kW(200V/30A)に対応した家庭用の交流普通充電器を無償で提供するサービスを実施しています。加えて、この普通充電器を設置する場合は10万円を上限に費用負担をしています。

メルセデス・ベンツ日本公式サイトより引用。

また、メルセデス・ベンツ日本が提供する充電サービス「Mercedes me Charge」に加入すると、月額3000円の基本料金で、全国約15000カ所にあるNCS(合同会社日本充電サービス)仮名の交流普通充電器を無料で使うことができます。

第3世代のPHEV「EQ POWER」に進化してEV走行が増えそう

第2世代PHEVシステムの大きな改良点のひとつは、リチウムイオンバッテリーの容量を先代の8.31kWhから、約1.5倍の13.5kWに増やしたことです。これにより、バッテリーのみの航続距離は約30kmから45.2km(※)に伸びました。

動力性能を見ると、エンジンとモーターを合わせたシステム上の最高出力は235kW(320PS)で変わっていませんが、最大トルクは560Nmから700Nmに向上しました。これは、モーターの最高出力が85kW(116PS)から90kWに、最大トルクが340Nmから440Nmにパワーアップしたことを反映しています。加速性能は、アメリカのメルセデス・ベンツサイトを見てみると、0→60mph(約96km/h)の加速が5.6秒となっています。

早いだけでなく、モーターだけでも130km/hで走行できるので、電気自動車(EV)のような乗り心地を感じることもできると思います。バッテリーだけでの航続距離も長くなっているので、EVモードでの走行を増やせば燃費が大きく改善しそうです。

その燃費は、WLTCモードで12.4km/Lで、車のパフォーマンスを考えると良好な数値と言えそうです。モーターに関する走行モードには、EV走行モードの「Electric」、充電レベルを維持する「Battery Level」があります。PHEVの場合、走り方で燃費は一変することがあるので、実燃費がどうなるかはドライバー次第と言えそうです。

モーター走行に関するちょっとうれしい機能としては、インテリジェントアクセルペダルの「プレッシャポイント機能」があります。モーターだけで走行しているときに、エンジンが始動してハイブリッド走行モードになってしまうアクセル開度を検知して踏み込み抵抗を増やし、ドライバーに知らせるのです。これがあれば、不用意にエンジンを回してしまって無駄に燃料を消費するようなことを防いでくれそうですし、アクセルワークに神経を使って脚がつるのも予防できるかもしれません。

GLC 350 e 4MATIC クーペには、「Cクラス」や「Sクラス」で利用できる運転支援システムと同等の機能も搭載されています。そのほか、右折時に、直進してくる対向車と衝突する危険がある場合に、10km/h以下の車速だと自動ブレーキが作動する「アクティブブレーキアシスト」も搭載しています。

いろいろな機能がついているのは便利だし安全性が高まるのですが、頼りすぎないようにしないと人間の性能が落ちてしまいそうなので気をつけるようにします。

第3世代のEQ Powerを搭載したGLC 300も登場

ところでメルセデス・ベンツは、4月9日に欧州で第3世代のプラグインハイブリッドシステムを搭載した『GLC 300 e 4MATIC』を発表しました。

GLC 300 e 4MATICは、欧州ではSUVとクーペの2ラインが販売されています。価格は、英国ではSUVが付加価値税込みで約4万9000ポンド(約658万円)から、クーペが約5万2000ポンド(約699万円)からとなっています。

ちなみにイギリスでのガソリンエンジンのモデルとPHEVモデルの価格差を見ると、PHEVのGLC 300 e 4MATICは、ガソリンエンジンのGLC 300より約7000ポンド(94万円)高くなっています。一方、日本でのGLC 300とGLC 350 e 4MATICクーペの価格差は約100万円。さすがにまだ、ガソリンエンジン車に比べるとPHEVの価格は少し高めではあります。

GLC 300 e 4MATICのスペックを見ると、エンジン出力/トルクは155kW(211hp)/350Nm、モーターの出力/トルクは90kW/440Nmで、システム全体の出力/トルクは235kW(320hp)/700Nmとなっていて、現在のGLC 350 e 4MATICと同じです。

また走行性能は、最高速度230km/h、モーターのみの最高速度は130km/h。バッテリーのみの航続距離は39~43km(WLTP)なので、これも変わりがありません。

燃費は2.5~2.2L/100kmなので、換算すると40km/L~45.5km/L(NEDC)になります。WLTPのデータはイギリスのカタログにもまだ出ていませんでした。ただ、バッテリー容量やシステムを考えると、日本で販売するGLC 350 e 4MATIC クーペと大きな違いはないと言えそうです。

GLC 300 e 4MATICは、実質的にGLC 350 e 4MATICの後継車にあたるモデルです。欧州では、GLC 350はラインナップから落ちていて、300に集約される傾向があります。日本でもGLCは300が中心で、350はPHEVだけになっています。

価格帯も性能も同じような構成になっていることを考えると、日本でもいずれはGLC 300 e 4MATICのラインナップが登場することになるのかもしれません。パワートレインや機能には大きな違いはないのですが、とにかく最新版が欲しい、というのであれば「待つ」という選択肢もありえそうです。もっともGLC 350 e 4MATICのパワートレインが一新されているということは、それに伴って装備も最新版になっているので、乗り比べないと違いはわからないとは思います。

メルセデス・ベンツは2020年までにPHEVを20モデル以上にするという計画を発表していました。日本で販売されているPHEVはまだ4モデル。今回のGLC 350 e 4MATIC クーペはまだ端緒に過ぎないはずです。一日も早く、日本でも多様なバリエーションからPHEVが選べるようになることを願っています。

(文/木野 龍逸)

※外部充電による電力だけで走行可能な距離を示すプラグインレンジのうち、バッテリーに蓄電した外部電力により行った仕事量に相当する部分。仮に外部電力のみをエネルギー源とした場合は、そのエネルギーだけで走行可能な距離

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					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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