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「メルセデス・ベンツ・チャージング・ハブ」第1号拠点オープン/従量課金ですべてのEVユーザーが利用可能

「メルセデス・ベンツ・チャージング・ハブ」第1号拠点オープン/従量課金ですべてのEVユーザーが利用可能

「Mercedes-Benz High-Power Charging」の第1号ステーションとなる「Mercedes-Benz Charging Hub千葉公園」の開所式が開催されました。設置されたのはパワーエックス製の蓄電池付き急速充電器で最大出力は150kW。オリジナルの新機能などを搭載した新モデルです。メルセデス・ベンツの充電カードのほか、パワーエックスアプリを通じて全てのEVユーザーが利用できます。

目次

メルセデス・ベンツが独自展開する充電ネットワークの初ステーション

2025年7月8日、「メルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本合同会社」が、メルセデス・ベンツが独自に展開するEV用高出力急速充電ネットワーク「Mercedes-Benz High-Power Charging(HPC)」のサービスをスタートし、第1号拠点となる「Mercedes-Benz Charging Hub千葉公園」の開所式を開催しました。

都市公園である千葉公園の中でも、広い芝生の広場を囲んでBMX用のパンプトラックやスタバなどのカフェ、フィットネススタジオ、ベーカリーなどが整備された「芝庭」に面した千葉公園第2駐車場(みどりの駐車場)内。「いつでも、だれでも、くつろげる」をコンセプトに昨年開設された芝庭は千葉市民をはじめ多くの人が集う場所であり、駐車場やトイレは24時間利用できます。

開所式ではメルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本合同会社のCEOであるアンドレアス・レーア氏が登壇。Usability=最大150kWの高出力やタッチスクリーンによる快適な充電体験」、「Accessibility=すべてのブランドの電気自動車が利用可能。都市圏を中心としたステーション設置」、「Sustainability=再生可能エネルギーを用いた電力供給」という3つのポイントを軸に、HPCのネットワーク拡大を進めていくビジョンを紹介。HPC の充電サービスに使用する電力は、2025 年末までに実質再生可能エネルギー100%を目指すことも示されました。

メルセデス・ベンツの充電カードとパワーエックスアプリで利用

ステーションに設置されたのは、株式会社パワーエックス製の蓄電池型超急速EV充電システム「Hypercharger」が1基2口。1口使用時の最大出力が150kW(10分間のブーストモード)、2口使用時は各120kWというスペックはパワーエックスが展開するステーションの充電器と同じです。

認証課金の方法は、メルセデス・ベンツが自社EVオーナー向けに提供している充電サービス「MB.CHARGE Public」の充電カードと、パワーエックスアプリの2通りが選択可能。従量(kW)課金の料金は次のように設定されています。

月額基本料金
(税込)
充電料金
(税込)
MB.CHARGE Public
充電カード
急速・普通充電器併用プラン
5,720円/月94.6円/kWh
パワーエックスアプリ0円100円/kWh

「MB.CHARGE Public」については、最後にもう少し解説します。ともあれ、パワーエックスアプリを通じてMB車以外のEVオーナーが充電する場合は、100円/kWhとなります。パワーエックスが独自に展開するステーションでの充電料金は月額無料の一般利用で65円〜75/kWh(以下、料金はすべて税込)、月額900円の「PowerX First」会員料金では45円〜55/kWh(再エネ比率などで料金に少し幅がある)なので、少し高めではあります。

とはいえ、従来のパワーエックス「Hypercharger」にはなかった大画面液晶モニターやNFCカードリーダーなどを備え、本体のデザインも一新。ちょっとゴツいけど使い勝手良さそうなケーブル吊り下げ機構などを備えた充電器は、メルセデス・ベンツ向けに新開発されたオリジナル。スリーポインテッド・スターが輝く新型充電器を気持ちよく使うための心付け価格と理解しておくのがよさそうです。

ちなみに、テープカット終了後の立ち話でパワーエックスの伊藤正裕CEOに伺ったところ、新開発のケーブル吊り下げ機構や液晶モニター(表示されたQRコードをアプリで読み込んで充電開始)などは、ユーザーの反響をみながらHPC向け以外のHyperchargerにも採用していくなど、自社製品のアップデートにも前向きに取り組んでいきたいということでした。

千葉県柏市や東京都世田谷区へのステーション開設を準備中

この日、第1号ステーションが開設されたメルセデス・ベンツのHPC。開所式で配布されたリリースには「今後の展開予定」が紹介されていました。

名称所在地充電口数オープン時期
Mercedes-Benz Charging Hub
かしわ沼南
千葉県柏市風早1-3-1342025年8月
Mercedes-Benz Charging Hub
駒沢
東京都世田谷区駒沢2-342025年9月

いずれも「設置場所はより急速充電ニーズの高い3大都市圏周辺を中心に検討しており、長距離移動時や基礎充電設備の不足による充電の不安を解消し、EVの実用性を高めます」という主旨に沿って選定された場所といえそうです。

住所でググってみたら、千葉県柏市のステーションは、「NEW YEAR EV MEET 2025」(関連記事)が開催されたスーパーオートバックスかしわ沼南。世田谷区駒沢は、以前「ENEOSマルチモビリティステーション」(関連記事)があったSS跡地のようです。どちらも、好立地だと思います。

メルセデス・ベンツに確認したところ、いつまでに何カ所といった具体的な設置数の目標はまだ検討中とのこと。「三大都市圏」はもちろん大切ですが、急速充電ネットワークとしては基幹高速道路ネットワーク沿線もぜひカバーしてくれることを期待したいと思います。手始めに、愛知県の刈谷ハイウェイオアシスとかどうでしょう。東京=大阪間の経路充電、MBのEVであればこの1カ所だけでもなんとかなるのではないかと思います。念のため、東名最高地点となる御殿場あたりにもう1カ所あってもいいですね。

「MB.CHARGE Public」の料金プラン

最後に、メルセデス・ベンツ・ジャパンが提供する「MB.CHARGE Public」の料金プランなどを紹介しておきます。「MB.CHARGE Public」は、いわゆるe-Mobility Power提携の充電カードで、全国各地のeMP提携充電器を規定の割安料金で利用できます。表内の料金はすべて税込の金額です。

急速・普通充電器
併用プラン
普通充電器用
プラン
月額基本料金5,720円/月3,000円/月
普通充電 (e-Mobility Power)0円/分0円/分
急速充電 (e-Mobility Power)16.5円/分
Mercedes-Benz High-Power Charging94.6円/kWh

正規販売店で新車購入時には、月額料金および充電料金が一定期間無料、認定中古車購入時にも6カ月間無料となるサービスがあります。

とはいえ、宿泊施設などの目的地充電インフラも着々と拡充されています。たっぷりバッテリーを搭載したMBのEVで、経路充電が切迫して必要になるのは年に数回の遠出ドライブの時だけって方が少なくないはずで、無料期間が終わったら、5,720円の月額基本料金に「意味あるのかな」と疑問に感じる方が多くなることでしょう。MBに限らず、自動車メーカーによるeMP提携カードの基本料金がなかなかの金額になってしまうのは、eMPの会員料金が「急速・普通併用プラン」で月額4,180円となかなかの金額であることが主な要因です。

毎度の叫びで恐縮ですが……。「eMPの月額基本料金、もっと安くしてください!」と大声でお願いしておきたいと思います。

「Mercedes-Benz High-Power Charging」のネットワークが、好立地にプレミア感高く発展していくことを応援しています!

取材・文/寄本 好則

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この記事を書いた人

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

コメント

コメント一覧 (9件)

  •  車のディーラーではないところに24時間使える場所に置くというのが良いかなと思いましたが、値段は少し割高なの緊急時には便利なのかもしれません。これまでBMWのディーラーに置いてあるPowerXは何度か使っていますが、こちらは値段的にもトータルで良い感じでした。24時間稼働の箇所を増やしてほしいとは思いますけれど。新見市憩いとふれあいの公園(現在故障中?)や「みやこめっせ」などはすごく便利です。24時間ではないもののスターバックスなどもとても便利です。「ユーザーの有益なスポット」にどんどん増えていってほしいです。
     経路充電に便利な場所に、テスラのようにコンビニにスーパーチャージャーがあるように、トライアルとかの24時間大型スーパーなどにもPowerXなどがあればすごくありがたいのですが。

     あとはNFCカードリーダーが付いたということで、もっと自由な支払いが増えてくることを期待しています。アプリで予約している直前に充電器に来た場合はどうなるのだろうかと思いますが、遠すぎて自分で試せないのでYouTuberの方の検証に期待したいと思います。

     いろいろ充電のサービスが増えてきていますが、充電カードを持っていても使えるようになってほしいと思います。充電カードを持ってなくても便利な充電器、ではあるものの、充電カードがあるのに割高だから・という理由で使ってない充電器も増えてます。

  • 月額基本料金 5,720円/月に加えて急速充電料金が94.6円/kWhと聞いてのけぞりました。
    例えば月1回50kWhを入れるのに1万円越えってガソリンなら60L程度の料金ですね。
    この金額ならHEV車では少なくとも600-900kmは走れますが、EVでは300km程度でしょうか。
    これならあえてEVを選ばずともHEV車で十分という結論になりますね。自分はEVに乗っていますが、絶対に利用しない充電スポットになりそうです。

  • 最近道の駅などにもこういった高額な充電料金設定の充電事業者が猛威を振るっていますが、
    こんな単価で一体誰が使うのか理解できません。
    8年くらいEV乗ってますが、決済が複雑怪奇で意味分からないところばかり。
    おまけにアプリやカードも乱立し、コネクターを刺さすまで料金が分からないなんてのも罷り通ってます。
    役人はこれで投じてる補助金が有効に使われていると思っているんでしょうか。

  • みなさま、コメントありがとうございます。従量料金の高さを指摘するご意見多いですね。パワーエックスの独自スポットに比べて高いのは、記事中でも紹介した通りです。
    とはいえ、現状の日本のEV普及状況のなか、超高出力充電サービスで採算をとるにはこのくらいの価格設定が必要ということかと思います。また、メルセデス・ベンツ的プレミアムEVライフな相場感、ってことでしょうか。
    だからこそ、立地やユーザーの利便を大切に考えることが大事になりますね。

    • 頼本様

      超高出力充電サービスで採算をとるにはこのくらいの価格設定が必要ということかと思います。

      と書かれて居ますが、FLASHは44円/kWhの料金ですよ。
      何故FLASHは安くできるのか、他の充電プロバイダーは何故高いのかの深堀記事を希望します。

  • FLASHの44円は「キャンペーン価格」で、採算は合わない(高圧受電のデマンド基本料金だけで「44円/充電利用1台あたり」くらいは吹っ飛ぶはず)と認識しています。パワーエックスが無料キャンペーンを行っていた(今もアウディの charging hubなどでは8/31まで無料ですね)ように、利用促進が目的と理解して静観していましたが、結構期間が長くなってきたので、一度「今後の計画」など取材したいと思っていました。深掘り記事、検討します!

  • FLASHは蓄電池搭載の為、デマンド値を低く抑えてかつスポット価格の安いときに貯めておくことができるのでかなり有利なはずです。
    蓄電池搭載の為に高いであろう設備費の償却は必要ですが、電力料金(基本+従量)については44円で赤字という事はないように思います。(もちろん充電器利用率によります)
    一方で、EVユーザーには高出力充電器の利用にかかる費用についての一定の理解をお願いしたいとは思っていますし、ゆっくり充電にはそれなりの廉価な環境であるべきと思っています。

    • 蓄電池搭載してるのはパワーエックスのハイパーチャージャーで、このMBのスポットも大型蓄電池を備えていました。
      従量単価は、MBブランドのプレミア設定と理解しています。

  • おっと失礼いたしました。蓄電池搭載はPowerXでしたね。
    そうすると確かに、FLASHの44円は利用率によっては厳しいラインかもしれません。
    ブランドプライスについては了解です。
    完全従量料金の場合は単価が安いとゆっくり充電の車両が利用してしまう懸念があるので、100円/kWh程度は妥当な水準だと思います。

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