京都駅前でEVレンタカーがないかと探してみたら……
11月2日の記事で紹介した京都「みやこめっせ」にパワーエックスの蓄電池型高出力急速充電器「Hypercharger(ハイパーチャージャー)」が開設されるセレモニー。京都市のご担当者からも「ぜひ取材に」という要望をいただき、京都まで取材へ行ってきました。
【関連記事】
京都「みやこめっせ」にパワーXの高出力急速充電器が登場〜12月末まで無料で利用可能(2023年11月2日)
個人的にハイパーチャージャーはまだ利用したことがなかったし、京都までセグ欠け30kWhリーフで走るのは時間もエネルギーもエコじゃないので、東京から新幹線で往復し、京都駅前でEVのレンタカーを借り、ついでに開設されたばかりのハイパーチャージャーで充電もしてみよう、と思ったのですが……。
会員になっている日産レンタカーの予約サイトで「e-Power・EV」を車両検索しても、京都新幹線駅前店にノートやキックスのe-Powerはあるけど、リーフもサクラも見当たらず。「京都駅 EV レンタカー」でググって見つけたのが、エムケイハートレンタカーの日産サクラでした。
MKグループのレンタカー部門ですね。グループのMKタクシーといえば、2022年7月から電気自動車のヒョンデ IONIQ 5を50台順次導入していたり、ほかのEV車種も積極的に導入し、今年9月にはみやこめっせにも設置されたパワーエックス「ハイパーチャージャー」の採用を決定(まだ納品されてないようですけど)するなど、EVフレンドリーなタクシー会社です。
ちなみに、京都では都タクシーもEV導入に前向きだし、BYDのEVバスが日本初導入されたのも京都のプリンセスラインだし、実はEVに先進的な古都なのでした。
WEBで簡単予約&返却時は充電など不要
エムケイハートレンタカー、予約はWEBサイト(公式サイトはこちら)から簡単に行えます。取材予定日の2週間ほど前に予約を入れて、10時〜18時の8時間で料金は6,500円。これに免責補償の1,100円を加えて7,600円で借りられました。
当日、案内してくれた女性スタッフの方も親切でいい感じだったのですが、事前に取材であることはお伝えしていなかったし、現場スタッフに詳細を確認することは遠慮して。後日、レンタカーを運営するMK石油の本社に電話して企画室の竹次裕紀子さんに記事にすることをお伝えし、気になるポイントを確認させていただきました。
エムケイではサクラの「わ」ナンバー車を9台保有。今回私が利用した京都駅八条口店に5台、またMK石油のSSにあるレンタカー店舗用に2台を配備。さらに、京都駅八条口、左京区の銀閣寺SS、山科区の東インターSSではアプリで会員登録して利用するカーシェアのサービスを提供していて、2台のサクラを運用しているとのことでした。
エンジン車の場合、たとえe-Powerであってもレンタカー返却時には満タン給油が必要ですが、エムケイのEVレンタカーはそもそも給油はできないし、充電も不要です。したがって、燃料代や充電代は掛かりません。
バッテリーが減った状態で返却されたサクラは、系列のSS内にある拠点で車内清掃や充電を行って店舗へ配置。バッテリー残量は80%以上で貸出をする運用になっています。拠点SSには複数口のEV充電用200Vコンセントが設置してあるそうです。
残量80%のサクラで安心して走れる距離は100〜120km程度でしょう。京都市内の1日観光にはこれで十分ですが、遠出するという場合にはZESP3の充電カードを無料で貸し出してくれるので、利用の際は事前にお願いしておきましょう。
今年4月からスタートしたという京都駅前のサクラレンタル。今のところ、まだあまり知られていなかったり、「EVは不安だから」と敬遠する人も多いようで、利用率はそれほど上がっていないとのこと。なんとももったいないことです。
EVsmartブログ読者のみなさん、京都に出かけてレンタカーを借りようかなって時には、ぜひMKのEVレンタカーを利用しましょう。
エムケイハートレンタカー京都駅八条口店は京都駅八条口から八条通りを挟んだ目の前ですごく便利。予約サイトなどは大手レンタカー会社に比べてちょっと頼りない感じはありますが、サクラレンタカーの使い勝手は抜群でした。ただし営業時間が9時〜18時で、18時を過ぎると返却できず翌日まで借りなきゃいけなくなるので、営業時間外に貸りたり返したりしたいという場合にはすぐ近くの駐車場がステーションになっているカーシェアを活用(上記リンクの公式サイトに案内があります)するのもいいですね。
4時間ちょっとでどのくらい電池残量を減らせるか……
この日、私が借りたサクラのバッテリー残量は97%でした。セレモニーが行われるみやこめっせに到着してもSOHは90%もありました。セレモニーの取材はお昼ごろに終了し、パワーエックスのアプリから16時30分にハイパーチャージャーの充電を予約。というわけで、ここからは「4時間ちょっとでどのくらい電池残量を減らせるか」というミッションを自らに課したのでした。
EVのバッテリーを減らすには、山道を登るのが効果てきめんです。そこで、最初の目的地は比叡山延暦寺に設定。ドライブモードを「SPORT」にして、比叡山ドライブウェイのワインディングを駆け上りました。
でも、頂上に着いてSOCはまだ65%も残っています。
そこで、次の目的地は京都市郊外にあり、まだ訪れたことがない大原三千院(延暦寺から約30km)に設定。普通に下ってしまうと回生ブレーキでバッテリー残量が回復してしまうので、シフトをニュートラルにしてコースティングを多用するという意味不明なドラテクを駆使。16時10分過ぎ、みやこめっせに戻った時には、80km弱の走行で90→32%へ、60%ほどの電力を使うことに成功(?)したのでした。
以前の記事でも報告しましたが、ハイパーチャージャーで30分充電したサクラのバッテリー残量は32%から87%に回復。エムケイのスタッフさんに「え、充電してきたんですか?」と驚かれながら、無事にレンタカーを返却することができました。
今回、私は「新設の急速充電器を試したい」というお題があったのでアホな走り方をしましたが、京都の1日観光で借りるなら、サクラの航続距離で何も問題ないことを実感できました。まして、京都市内には細い道も多く、軽EVの機動力がありがたい。
また、京都に限らず、日帰りの用事でレンタカーを借りる機会はみなさんにもあるでしょう。エンジン車を借りたけど大した距離は走らず、返却前にわざわざ立ち寄った給油がほんの2〜3リッター、なんてのもよくあること。
私は地方出張の際、日産レンタカーでまずはリーフを探し、なければノートe-Powerを借りることが多いのですが、ここ数年、各地の新幹線駅前や空港のレンタカー営業所にリーフが配備されていないケースが多くなっているように感じています(実情を日産レンタカーに質問中)。
新幹線駅前や空港のレンタカーにこそEVはうってつけ。レンタカーやカーシェアへのEV導入は、EV普及のひとつの理想的な方法だと思っています。全国各地で、エムケイのようなチャレンジを進めてくれる事業者が増えることを期待しています。
取材・文/寄本 好則