ポルシェが新型電気自動車『タイカンクロスツーリスモ』を発表〜電動アシスト自転車も!

2021年3月4日、ポルシェがオフロードバージョンの新型電気自動車(EV)『Taycan Cross Turismo』のワールドプレミアを行いました。欧州での価格は約9万4000ユーロ(約1210万円)〜。また、2タイプの電動アシスト自転車も同時に発表しました。

ポルシェが新型電気自動車『タイカンクロスツーリスモ』を発表〜電動アシスト自転車も!

オールラウンドEVとして4グレードをラインナップ

日本では2月末から『Taycan(タイカン)』のデリバリーが始まったポルシェですが、本国ドイツでは3月4日(現地時間)、オフロードタイプの新型EVである『Taycan Cross Turismo(タイカン クロスツーリスモ)』のオンラインワールドプレミア(世界初公開セレモニー)が開催されました。

発表の様子は、YouTubeのポルシェ公式チャンネルでも公開されています。

Taycan Cross Turismo: Digital World Premiere

※3分ごろから本編が始まります。

用意されたバリエーションは4グレード。いずれもタイカンと同じ800Vのシステムを採用し、全グレードが全輪駆動となっています。グレードごとの主なスペックは以下の通りです。

搭載するバッテリーは、いずれも Performance battery Plus で容量は93.4kWhです。前後2モーターで、リアモーター側に2速のトランスミッションを備えているのもタイカンと共通です。

Taycan4 Cross Turismo
最高出力280kW(380PS)
OB時出力350kW(476PS)
0-100km/h 加速5.1秒
最高速度220km/h
最大トルク500Nm
航続距離389 – 456 km(WLTP)
約350km(EPA推計)
Taycan4S Cross Turismo
最高出力360kW(490PS)
OB時出力420kW(571PS)
0-100km/h 加速4.1秒
最高速度240km/h
最大トルク850Nm
航続距離388 – 452 km(WLTP)
約346km(EPA推計)
Taycan Turbo Cross Turismo
最高出力460kW(625PS)
OB時出力500kW(680PS)
0-100km/h 加速3.3秒
最高速度250km/h
最大トルク850Nm
航続距離395 – 452 km(WLTP)
約352km(EPA推計)
Taycan Turbo S Cross Turismo
最高出力460kW(625PS)
OB時出力560kW(761PS)
0-100km/h 加速2.9秒
最高速度250km/h
最大トルク1050Nm
航続距離388 –419km(WLTP)
約346km(EPA推計)

表内の「OB時出力」というのは、「Overboost power for Launch Control」と記されていて、ローンチコントロール使用時にオーバーブーストをかけた際の最高出力という意味です。要するにこれが「最高出力」じゃないの? とも思いますが、よくわからないので改めて確認してみます。もし詳しい方いらしたら、コメントでご教示いただけるとありがたいです。

航続距離は公開されたリリースに基づいて記入しました。欧州WLTP値で「ミニマム〜マックス」の範囲で紹介されています。「4」や「4S」よりも高出力な「Turbo」のミニマム航続距離が長いのはなぜか、というのも謎ではあります。EVsmartブログでは実用値に近いアメリカEPA基準の航続距離を示すことにしているので、ミニマムの公表値を、WLTPからEPA値を推計する際の参考指数である「1.121」で割った距離を記しておきました。実用的な航続距離は「こんな感じ」とご理解ください。

DCチャージ(急速充電)の最大出力は270kWですが、これは欧米でのことであり、日本の急速充電インフラではこんな性能は発揮できません。日本国内のチャデモ公共充電網はおおむね最大50〜90kW。ポルシェジャパンが独自に最大150kWの充電網を整備しているところです。

気になる価格は、ドイツでの価格が「93,635ユーロ(約1210万円)から」で、今年の夏から発売が開始されると紹介されています。グレードごとの価格について、ポルシェからのリリースに詳細はありませんでしたが、アメリカの『CAR AND DRIVER』誌の記事に紹介されていました。記事中に示されていた価格比較のチャートがわかりやすくて興味深かったので、引用させていただきます。

CAR AND DRIVER』ウェブサイトより引用。

ちなみに、この記事著者であるエリックさんのおすすめは、約11万ドルの「4S」らしいです。アメリカでの「S」の価格が約9万2000ドル(約1000万円)となっているので、補助金などを勘案するとアメリカのほうが安く買える、ということでしょうか。まあ、庶民感覚からすると「安い」とはいえないですが。

オフロードタイプとはいえ、車高は1409mmとシャープなフォルム。スポーツカーであるタイカンと比べ、リアのラインがステーションワゴンのように高いまま伸びています。とはいえ、真横から見ないとわからないくらい、全体として「え? 普通にタイカンですよね」という印象にまとまっています。リリースによると後部座席のヘッドクリアランスが36mm高くなっているようです。また、オプションのオフロードパッケージでは、最低地上高が30mmアップして悪路走破性が高まるとのこと。普通のタイカンではなくクロスツーリスモを選ぶなら、個人的にはオフロードパッケージがいいな、と夢想しています。

電動アシスト自転車も同時に発表

eBike Sport

eBike Cross

タイカン クロスツーリスモの発表に合わせて、ポルシェブランドで2タイプの電動アシスト自転車も発表されました。タイカン クロスツーリスモ発表のリリースにも「タイカンクロスツーリスモのためにポルシェは最大3台の自転車用のリアキャリアを開発。リアキャリアがロードされているときでもテールゲートを開くことができる機能が革新的」で、「2タイプの高品質電動自転車を同時に発表。タイカンクロスツーリスモと完璧にマッチします」と力を込めてアピールしています。

発表された電動アシスト自転車は、シティユース想定の『eBike Sport』とオフロード向きの『eBike Cross』の2タイプ。ポルシェによると、そもそもこの自転車は「タイカンにインスパイアされて開発された」そうです。

タイカンやタイカン クロスツーリスモにはなかなか手が届かないけど、自転車なら! と思いましたが、価格は少しお手頃なeBike Crossが7990ユーロ(約103万円)、eBike Sportが9990ユーロ(約129万円)でした。

ともあれ、タイカンのバリエーションがオフロードタイプにまで広がって、ポルシェは自転車まで電動化に突き進むということ、ですね。はたして、タイカンクロスツーリスモの走りはどうなのか。って、すごく便利で気持ちいい高級車に違いありません。日本でも予約受付は始まったようですが、デリバリー開始時期は未確認です。専用キャリアにこの自転車積んで中央道を走るタイカンクロスツーリスモに出会ったら、心の底から「羨ましいぃ!」とため息がこぼれそうです。

(文/寄本 好則)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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