Porsche NOW Tokyoで開催された『Taycan Touch & Feel Day』独占取材〜ポルシェターボチャージャーも設置

東京有明にポルシェジャパン初のポップアップストア『Porsche NOW Tokyo(ポルシェ ナウ 東京)』がオープンしました。EVsmartブログではグランドオープンに先駆けて開催された『Taycan Touch & Feel Day』を独占取材。タイカンを間近でチェックしつつ、屋外に設置されたポルシェターボチャージャーなどを確認してきました。

Porsche NOW Tokyoで開催された『Taycan Touch & Feel Day』独占取材〜ポルシェターボチャージャーも設置

期間限定! 日本初のポルシェポップアップストア

2020年7月9日、東京都江東区のゆりかもめ有明テニスの森駅前に、日本初となるポルシェのポップアップストア『Porsche NOW Tokyo』がグランドオープンしました。ポップアップストアとは、ポルシェブランドを広く訴求するために期間限定のフレキシブルなコンセプトでポルシェが世界に展開している潜在ユーザーとのコミュニケーション拠点です。

日本で初めて開設される『Porsche NOW Tokyo』は、2020年7月9日から2021年8月31日までの期間限定。まずはポルシェ初のフル電動スポーツカーであるタイカン(Taycan)を中心にしたポルシェ車が展示されるほか、店内にはポルシェモデルのVR体験スペースを設置。「ポルシェプロ」が常駐してポルシェに関するあらゆる質問に答えてくれるスポットとなります。

屋外の一角には、ポルシェが全国に展開するタイカンのための急速充電器、ポルシェターボチャージャーも設置されました。最大150kWの出力で充電できるターボチャージャーは、2020年内に国内21カ所のポルシェセンターに順次設置。さらに東京、名古屋、大阪などの公的施設に、1カ所につき2基ずつ以上を備えた「ポルシェターボチャージングステーション」を展開することを明言しています。

液冷ケーブルを採用すると伝えられている150kWのチャデモ急速充電器。初めて見られることを楽しみに出かけたのですが、今回設置されたのは新電元の90kW器と同様のケーブルを備えたターボチャージャーで、出力は当面90kWに抑えて運用するということでした。

なにはともあれ、ターボチャージャー、かっこいいです。

広報のご担当者に確認したところ、チャデモ150kW用の液冷ケーブルは、充電器を作るABBのオランダ本社で開発中とのこと。全国のターボチャージャーはひとまず90kWで運用し「来年夏までをメド」に150kWにアップデートしていく計画で進んでいるそうです。150kWの実現が少し遅れるのは残念ですが、タイカン発売とともに独自の充電インフラ整備にも積極的に取り組むポルシェの姿勢を応援し、賛辞を送りたいと思います。

『Porsche NOW Tokyo』の一般公開は7月12日(日)から、営業時間は11時~20時で定休日は「なし」ですが、新型コロナウイルス感染予防対策として混雑時は入店制限が実施されることもあるそうです。駐車場は台数に制限があるので、クルマで訪ねる際は交差点を挟んで斜め向かいにオープンしたばかりのショッピングモール『有明ガーデン』の駐車場を利用するのが便利です。

『Porsche NOW Tokyo』紹介ページ

予約したユーザーを招待して先行公開

左から、クアース氏、島下氏、安川氏、細川氏。

グランドオープンとなった7月9日にはネット生中継のプレスカンファレンスが行われましたが、それに先立つ7月8日(水)、すでにタイカンを予約して納車を待っているユーザーさんを招待した『Taycan Touch & Feel Day』が開催されました。トークショーにEVsmartブログを運営するアユダンテ株式会社代表取締役の安川さんが登壇したこともあり、EVsmartブログがこのイベントの様子を単独で取材することができました。

トークショーは、ポルシェジャパン広報部長の黒岩真治氏が司会を務め、ポルシェジャパンからプロダクトマネージャーのアレキサンダー・クワース氏、E-Performance/WLTP担当マネージャーの細川英祐氏、ゲストとしてモータージャーナリストの島下泰久氏、そしてEVsmartの安川洋氏が登壇。

昨年行われたワールドプレミア直後にヨーロッパでタイカンを走らせたという島下氏がタイカンの乗り味やパフォーマンスについて解説。充電スポット検索アプリ『EVsmart』やこの『EVsmartブログ』を運営し、先駆的なEVユーザーでもある安川さんが、電気自動車でのロングドライブのポイントやポルシェの充電インフラに対する姿勢などについて解説しました。

司会の黒岩氏から「電気自動車の魅力」についてのコメントを求められると、「電気自動車はポルシェの魅力でもある人馬一体感がさらに高い乗り物。アクセルへのレスポンスが敏感かつ正確で、安全に走りを楽しむことができる」(安川氏)や、「タイカンを走らせるとポルシェらしさがしっかりと継承されていることを実感できる。そして、たとえば旋回中にも前後モーターを緻密に制御できる電気自動車の特性によって、ポルシェの理想のさらに一歩先を体感させてくれると感じている」(島下氏)という、それぞれ、かなり魅力的なポイントを解説。参加したユーザーのみなさんがちょっと前のめりにうなずいているのが印象的でした。

質疑応答で、いくつか興味深いやりとりがあったのでピックアップしておきます。

Q. 高性能は理解できたけど、速すぎて怖いようにも感じるのですが……

よく切れる包丁を手にしている感じ。タイカンならではの制御や2速トランスミッションによって、今までのどんなEVとも違うドラマを感じられるはずです。(島下氏)

迂闊なフル加速はたしかに要注意。でも、交差点での右折時など、対向車にとっても自分にとってもお互いにストレスのない動きをしてくれる。ポルシェのEVならではの上質な速さをお楽しみください。(安川氏)

Q. バッテリーの寿命や交換費用が気になるのですが……

詳細な条件などは未公表ですが、8年16万kmの保証をコミットメントしています。(黒岩氏)

最新EVの駆動用バッテリーは車体よりもむしろ長寿命。事故などのトラブルがない限り、途中でバッテリー交換する必要はないと考えていいと思います。(安川氏)

トークショー終了後、参加者の方から「EVsmartブログ読んでますよ」とお声がけもいただきました。ありがとうございます。納車が待ち遠しいですね!

デリバリー開始は11月ごろか?

7月9日にYouTubeのライブ配信で実施されたプレスカンファレンスでは、ポルシェジャパンCEOのミヒャエル・キルシュ氏と、プロダクトマネージャーのアレキサンダー・クワース氏がプレゼンテーション。

『Porsche NOW Tokyo』ではタイカンなど「Eパフォーマンス」がコンセプトの中核となること。展示車両は頻繁に入れ替えるが、必ず1台はタイカンの実車を展示。ユーザーへのデリバリー(正規販売店への導入)は11月頃になる見込みであることが紹介されました。デリバリーが始まるころには、この『Porsche NOW Tokyo』で試乗もできるようになる予定とのことです。

プレスカンファレンスライブから引用。

また、クワース氏のプレゼンテーションでは、タイカンの予約プログラムに申し込んだ人について、新規ユーザー(初めてポルシェを買う人)が45%、現在はエンジン車に乗っている人が95%であったという説明がありました。ポルシェも電気自動車も初めて! という方が多いということですね。「Eパフォーマンス=電動化」が、ポルシェにとっても新しいフィールド(市場)を開拓していると理解できます。

2021年夏には千葉県木更津市内に日本初、世界で8番目となる『ポルシェ・エクスペリエンスセンター・ジャパン(関連ページにリンク)』を開設することも発表されています。詳細は未発表ですが、マイポルシェを持ち込んでいろんなコースを走れたり、憧れのポルシェに試乗できる、いわば、ポルシェのアミューズメント施設、ですね。

スポーツカーブランドとして世界最高峰のひとつといえるポルシェですが、自動車へのニーズやモータリゼーションを取り巻く環境が激変する中で、従来のブランド価値を守るだけでは通用しなくなると捉えて、新たなブランド価値を創出し、幅広い、新たなユーザーとコミュニケーションするためのチャレンジを始めているのです。

個人的には、もうちょっと価格抑えめで、もう少しコンパクトなタイカン、というか、4人乗れるボクスターかマカンくらいのポルシェのEVが発売されたら、人生を賭して購入を検討することもできるのですが。。。

タイカンを注文されたみなさま、晴れて納車されたら、パワフルでハッピーな電気自動車ライフをぜひ取材させてくださいまし。

(取材・文/寄本 好則)

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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