ポルシェが『マカン』の電気自動車を発表! 639馬力、航続距離613km、270kWの急速充電に対応

ポルシェは2024年1月25日、『Taycan(タイカン)』に続く電気自動車として『Macan (マカン)4』と『Macan Turbo』を発表した。プレスリリースによる情報と写真や動画から読み取れた特徴をお伝えする。

ポルシェが『マカン』の電気自動車を発表! 639馬力、航続距離613km、270kWの急速充電に対応

ベースグレードの『Macan 4』でも十分な性能

電気自動車のMacanは、『Macan 4』と『Macan Turbo』の2モデル。両モデルともに前後に各1基のモーターを搭載したAWD(全輪駆動)だ。主なスペックは下記の通り。

Macan 4
最大出力300kW(408PS)、最大トルク650Nm、航続距離613km(WLTP)、0-100km/h加速5.2秒、最高速220km/h

Macan Turbo
最大出力470kW(639PS)、最大トルク1130Nm、航続距離591km(WLTP)、0-100km/h加速3.3秒、最高速260km

ボディサイズは全長4,784mm、全幅1.938mm、全高1,622mm、ホイールベース2,893mmだ。

両モデルともにバッテリー容量は100kWh。この電動Macanから新開発の800Vアーキテクチャーのプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)を採用している。

急速充電(DC)性能は最大270kWで、(欧州などに設置されているコンボ(CCS2)規格で十分な最大出力を備えた急速充電器であれば)約21分で10%から80%まで充電することができると発表された。普通充電(AC)は最大11kWに対応している。

アダプティブリヤスポイラーやフロントエアインテークのアクティブクーリングフラップなどによるポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)の効果もありCd値は0.25に抑えられている。

トランク容量は540L、リヤシートを畳むと1,348Lまで増やすことができる。ボンネット下にもキーのボタン操作で開けられる84Lの「フランク」が用意された。

ボンネット下のフランク容量は84L。テスラモデルXの183Lに比べると小さめだ。

メーターディスプレイは12.6インチ、センターディスプレイとオプションの助手席ディスプレイは10.9インチだ。

ポルシェコミュニケーションマネジメント(PCM)は「ヘイ、ポルシェ」で呼び出し、充電スポットを含むルートの提示もしてくれる。サードパーティーのアプリをインストールすることもできるそうだ。

Macan Turboにはエアサスペンションが標準装備されており、オプションでコイルスプリングも選択可能。ポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)は新たに2バルプテクノロジーが採用され、ドライビングの幅を快適なものからスポーティなものまでより広い範囲で実現することができるそうだ。

リヤアクスルステアリングもオプションで選択できる。30km/hまではリヤタイヤを最大5度、フロントタイヤと逆位相にすることで11.1mのターニングサークル(最小回転半径は5.55mか)と高速走行時のより高い安定性を実現している。

日本での価格は950万円〜程度か

グローバルでは2024年後半に納車を開始する予定。近年、輸入車の日本導入は本国販売から遅れることが少なくなってきたので、今年中には日本でも発売されるかもしれない。

日本での価格も発表されていないので、ポルシェのラインナップの中で唯一のBEVであるTaycanのAWDモデルと、Taycanと同等の車格であるICEの『Panamera(パナメーラ)』のAWDモデルを比較し、それをベースにして、現行のICEのMacanからBEVのMacanの価格を考察してみる。

TaycanのAWDモデルは『Taycan 4 Cross Turismo』の1424万円から『Taycan Turbo S』の2609万円まで7モデルがヒットするが、Macan 4とMacan Turboの関係性からすると上位モデルはTaycan Turbo SよりもTaycan Turboの2188万円が妥当だと考える。Taycan 4 Cross TurismoとTaycan Turboの価格差は764万円と1.5倍の開きがある。

そしてPanameraはAWDに絞ると価格が発表されているのはPanamera 4の1449万円のみだった。こうしてみると、Taycan 4 Cross Turismoの1424万円とPanamera 4の1449万円は、価格差わずか25万円、しかもICEモデルの方が高いという興味深い結果になった。

以上のことを踏まえつつ、まずMacanの現行のICE(全てAWD)モデルの価格をみると、Macanの838万円とMacan Sの1073万円が今回発表されたBEVモデルとの関係性に近しく思える。価格差は235万円で1.28倍の開きだ。

ちなみに簡単なスペックとしては、Macanは2リッターの直4ターボエンジンで265PS、0-100km/h加速は6.4秒、Macan Sは2.9リッターのV6ターボエンジンで380PS、0-100km/h加速は4.8秒だ。BEVモデルの方が速い(Macan 4:5.2秒、Macan Turbo:3.3秒)ことに驚く。

BEVとICEの差を見るために比較したPanameraとTaycanの結果は、Panameraの方がわずかに高かったが、通常はICEよりもバッテリーコストによりBEVの方が高くなる傾向であることを考慮すると、今回発表されたBEVのMacan 4は950万円(838万円プラス100万円程度)、Macan Turboはその1.3倍ほどの1250万円くらいになるのではと予想してみる。

早く実車で確認したい特徴の数々

ここからは写真や動画から読み取れた特徴も含めてお伝えしたい。

エクステリアの特徴として、Taycanとそっくりの4点光りのライトが与えられているが、実はこれはDRL(Daytime Running Light)で、ヘッドライトはその下のバンパー内に収められている。フロントフェンダーの「electric」のロゴもTaycanと一緒でポルシェファミリーのBEVであることが示されている。

Macan Turboは、テールランプ下にアウトレットが設けられており、より空力を意識した設計になっているようだ、ダウンフォース量もMacan 4より多いのだろうか?

充電口のフタはタイカンと同様に電動で内側に入っていく構造だ。左右のリアフェンダーそれぞれに開口部があるのもタイカンと同じ(タイカンはフロント部)で、普通充電用と急速充電用の充電口を別々に備えていると思われる。

CCS2仕様の充電口。

Macan Turbo、はボンネットとステアリングホイールの真ん中にあるポルシェクレストがモノクロになっているのが新鮮だ(ただのオプションかもしれない)。

インテリアは、前席から後席までをカバーするガラスルーフのおかげで、明るく開放感のある室内空間を実現していそうだ。中央に切れ目があるので、前半分は開けられるかもしれない。

シフト操作は(左ハンドルの場合)、ドライバー用のメーターディスプレイの右側にあるスイッチで、「P」だけ独立したプッシュ式のボタンで、「RND」は前後に動くスイッチになっているようだ。車両自体のシステムON/OFFスイッチはメーターディスプレイの左側に確認できる。

HUD(ヘッドアップディスプレイ)はフロントガラスに照射される幅と奥行きがこれまでの自動車の中で最大クラスのものではないだろうか。カラフルかつ小さい文字もはっきり確認できるので視認性も良さそうだ。ACC使用時の先行車との車間距離設定が道路上に白いドットでも表されている点も新しい。

ポルシェが市場に放つBEV第二の矢。日本での正式発表を楽しみに待ちたい。

文/烏山 大輔

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					烏山大輔

烏山大輔

1982年生まれ、長崎県出身。高校生の時にゲームソフト「グランツーリスモ」でクルマに目覚め、 自動車整備専門学校を卒業後は整備士、板金塗装工、自動車カタログ制作、 自動車雑誌カーグラフィック制作、ALPINA総輸入代理店のNICOLEで広報・ マーケティングと一貫してクルマに関わる仕事に従事。 現在の所有車はインテグラ・タイプR、ハイゼットとガソリン車のみだが、BEVにもFCEVにもとても興味を持っている。

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