謎の「モデル3」が筑波サーキット1分3秒台を目指してリベンジに挑戦!

筑波サーキットで1分4秒730のラップタイムを記録していたテスラモデル3が、2月21日、目標としていた1分3秒台を目指してリベンジのタイムアタックを行いました。はたして、タイムアップには成功したのでしょうか?

謎の「モデル3」が筑波サーキット1分3秒台を目指してリベンジに挑戦!

見事に「1分3秒382」を達成!

1月26日の記事『謎の「テスラ モデル3」が筑波サーキットでタイムアタック』で紹介したモデル3が、2020年2月21日(金)、再び筑波サーキットでのタイムアタックを行いました。ドライバーは、前回のタイムアタックで1分4秒730のベストタイムを記録していた根來玄さんが再び務めました。

結果は、ベストタイムはタイムアタック1本目に記録した「1分3秒382」。見事に目標としていた3秒台の、それも前半のタイムを記録することに成功しました。

タイムアタックを行った「モデル3パフォーマンス」は、アメリカでテスラ車のチューンナップパーツを開発&販売している『Unplugged Performance』のパーツで、足回りやブレーキを強化。レース用のバケットシートを備え、ある程度の軽量化などが施されています。
(日本国内では『A PIT AUTOBACS SHINONOME』などで扱っています)

前回のアタック時「少しアンダーステアが出るのが気になった」(根來さん)ため、その改善策としてフロントタイヤのサイズを「275」から「305」へ、リアと同じサイズに変更。サスペンションの車高調整機能を活用して、フロントの車高を少し下げて、リアのスタビライザーの強さを「ハード」から一段階下げてマイルドにするセッティングを行ったそうです。

ただし、モーターやコントローラーなどのパワートレインはノーマルのまま。ことさらに「特別なモデル3」というわけではありません。

この日のタイムアタックの動画が、Unplugged Performance のFacebookに投稿されています。

投稿によると「マクラーレンF1を1.5秒打ち負かした」とありますが、はたして「筑波で1分3秒台」というタイムは、どの程度の速さなのでしょうか。ドライバーの根來さんが経営する埼玉県三芳町のチューンナップショップ『UNPARALLELLED(アンパラレルド)』を訪ねて、お話しを伺ってきました。

タイヤを交換すれば1秒台も可能

根來さんはチューンアップショップを経営しながら、自ら『idlers(アイドラーズ)』というモータースポーツ愛好家団体のレースに参戦するなど、レースや筑波サーキット走行経験は豊富です。

ドライバーを務めた根來玄さん。

「今回のモデル3は、ミシュランのタイヤを装着していたんですが、たとえばブリヂストンのSタイヤなどより高性能なタイヤを履けば1秒台は出せるなという感触がありました。パワートレーンはノーマルでこのタイム。実感としては、35GTRに匹敵する速さですね」(根來さん)

先に紹介した動画では、走行中のスピードやGが表示されています。筑波を1分3秒で走ると、ストレートで180km/h以上の速度が出て、コーナーでは1.3G以上の重力がかかっているのがわかります。なにはともあれ、モデル3はノーマルでも存分に速い、ということですね。

ちなみに、レース仕様のチューンアップカーにとって、筑波サーキットでは「分切り(1分以下)が大きな壁」とのこと。目安としては「350〜400馬力のマシンがSタイヤを履けば分切りが目標タイムになる」イメージらしいです。

ところで、取材時に拝見した根來さんの愛車は、コンパクトなボディに400馬力を超える5リッターエンジンを搭載したレクサス『IS F』でした。根來さんがEVで走るのは前回に続いてこれが2回目。日頃から軽量なチューンアップマシンでレースを楽しんでいる根來さんにとって、モデル3のタイムアタックは、本当に楽しむことができたのでしょうか?

根來さんの愛車『IS F』

「エンジン車で走るときには、エンジンの回転数やギアの選択など、やることがいっぱいありますよね。でも、EVはオートマですらなくて、パワーの谷間がないんです。ハンドルとブレーキ、アクセル操作に集中できるので、走りやすいし、とても楽しいですよ」と根來さん。やはり、EVでのサーキット走行は、エンジン車よりもシンプルで楽しい、のです。

とはいえ「欲を言うと、バッテリーがもう少しもつといいんだけどな」という感想もありました。

今回、30分ずつ2回のタイムアタックのチャンスがあったのですが、ベストタイムを記録したのは満充電でスタートした1回目の3周目。実は、アタックを開始した2周目の1コーナーでスピンしてしまったので、実質は最初の周回でのタイムです。

1回目のタイムアタックでは30分のうち15分だけ走って、バッテリー残量が70%程度になったところで走行を終了。すぐに車載車にモデル3を積んで近所の日産ディーラーで急速充電。2回目のアタックでは残量88%からアタックをスタートしたものの、ベストタイムは1分4秒114。1回目のタイムを超えることはできなかったそうです。

いや、1分4秒台でも十二分に速いのですが。。。残量が70%程度になってくると、裏ストレートで「あれ、遅いな?」と感じてしまったと根來さん。ベストパフォーマンスを発揮するためには、満充電に近いほど有利ということが、サーキットではシビアに実感できるようです。

モデル3には「Track Mode V2」も登場か?

また、根來さんの感覚としては「あえてリアを滑らせたいと思っても、電子制御が介入してしまうのが少し気になる」ということでした。モデル3にはサーキット走行などをエンジョイするための「Track Mode」が備わっていますが、現状の設定ではドリフトのような状態にならないように、自動的に姿勢が制御されてしまうのです。

ところが、3月初め、アメリカでモデル3に「Track Mode V2」が導入されることが紹介されました。詳細は要確認ですが、スタビライザーの介入度合いや回生ブレーキ、前後のトルクベクタリングなどが細かく設定できるようになり、ぐりぐりのドリフト走行なども楽しめるようです。また、地図上でスタート(ゴール)位置を設定してラップタイムを計測したり、加速度計などを表示する機能もあるようです。

【NEW Tesla Model 3 Track Package & Track Mode v2 Review!(YouTube)】

日本にいつ導入されるかなどは未確認ですが、モデル3でスポーツ走行を楽しむバリエーションが広がりますね。

チューンドモデル3はニュル挑戦へ旅立ちました

「カーボンフリーなサーキット走行を楽しもう!」シリーズ第二弾。謎のモデル3の筑波リベンジ編、でした。このチューンドモデル3は、この後、ニュルブルクリンクタイムアタックに挑戦するため、ドイツへ旅立ったそうです。

そもそも、サーキット走行を楽しむこと自体が社会にとっては「無駄なこと」ともいえるので、あえて「カーボンフリー」を強調しても切ないですが、少なくとも走行時に燃料を燃やさず、CO2を排出しないことは間違いありません。電気自動車だからこそ、地球に優しく無駄を楽しむことができるのです。

ちなみに、このモデル3がわざわざ車載車で近所の日産ディーラーへ充電に行ったのは、筑波サーキットに設置されている急速充電器が25kWと非力なタイプであることに加えて、なぜか「テスラ車は使用不可」だからとのこと。先日オープンした「広島スーパーチャージャー」がある『LECT(レクト)』駐車場のCHAdeMO充電器も、EVsmartで調べると「テスラ車使用不可」となっていました。

また、フォルクスワーゲンが『e-UP!』の日本導入を見送ったのはCHAdeMOで充電できない場所があったからと噂されていますし、ジャガー『I-PACE』でも充電できないタイプのCHAdeMOがありました。CHAdeMOは国際規格のはずなのに、規格に準拠しているにも関わらず「充電できない」車種(ことに輸入車)があるのは、CHAdeMOの「ガラパゴス化」を進めてしまう懸念があります。

筑波サーキットを含めて、このあたり、改めて取材してみたいと思います。

(取材・文/寄本 好則)

6 thoughts on “謎の「モデル3」が筑波サーキット1分3秒台を目指してリベンジに挑戦!”

  1. 私は2015年製のBMW i3で時々急速充電を使いますが、幸い充電出来なかった事はありません。購入当時は、長谷テック製の急速充電器では一部輸入車が充電出来ないという話もありましたが、該当する充電器でも実際に問題が起きた事はありません。最近はそういう注意書きも見かけなくなりました。

    ただし、日産製の充電器では充電終了時に充電器と車両の両方で必ずエラーが発生するという問題がありました。充電は出来るので実害はないのですが、ディーラーに相談しても「相性らしいです」で終わりでした。

    それが、2019年の車両ファームウェアのアップグレードでついに解消され、今ではエラーフリーです。

    CHAdeMO準拠であれば充電不具合もソフトウェアの更新で解消される場合が多く、より深刻な問題であれば、各社もっと早く対応するでしょう。 本来は導入前に洗い出しておいて欲しいところですが、ノウハウは蓄積されて以後のモデルでは改善されていくと期待しています。

    世界中のDC充電インターフェースが統一されなかったのはユーザーにとって不利益な事ですが、各地のメーカーの主導権争いでもあり、簡単に解決されるものではないと思います。私も、欧州車ファンとしては不利益を感じますが、かといって日本がCHAdeMOを諦めるべきとは簡単には思えません。各地域で棲み分けるでも構わないと思います。

    ただ、100kW機の普及も遅々として進まず、350kW/800V仕様作成でも大きく遅れをとったCHAdeMO陣営の不甲斐なさは非常に残念です。

    国内でのBEV売り上げも伸びず、国内メーカーも新型車の発表がリーフ以降なく、充電器の性能向上もない。まさに三すくみといった感があって暗澹たる気分になります。

    この打破にはやはり魅力ある国産新型モデルの発売に期待したいところです。

    1. MZY さま、コメントありがとうございます。

      i3と長谷テックQC。私も一度、京都府の道の駅丹波マーケスでエラーが出て焦ったことがありました。でも、そのとき私の直前もi3で問題なく充電できていたので、個体差があるんだな、と解釈してました。

      大陸で規格が異なるのは、それぞれ対応すればいいことでもあるので、さほど深刻な問題ではないと思っていました。でもご指摘のように、規格に参加して対応しているはずの輸入車が使用できず「相性が悪い」とかの理由で、充電器メーカーやCHAdeMO側がさしたる対応を取っていないように思われることに対して「それでいいの?」と、そこはかとない疑問と不満を感じていた、というわけで。
      約束に従えば、使えるからこその規格のはず、と思うので、そのあたり、CHAdeMO協議会などにも確認してみたい、と思っています。

    1. i.nagano さま、コメントありがとうございます。

      詳細は調べていませんが、ほぼノーマルの35GTRでプロドライバーの方が59秒台を出したというのは、根來さんとの取材時にも話題になりました。この記事中では、「匹敵する」という根來さんの実感として例に挙げています。
      個人的には、トラックモードV2にアップデートしてSタイヤを履き、モデル3の分切りを見てみたいとも思いますが。サーキットはEVで走っても楽しいよね、っていうのが記事の趣旨なので、ご理解いただけますと幸いです。

      ご指摘をいただき再読して、筑波のタイムの目安の説明が足りないな、と気付きました。少し加筆しておきます。

  2. 速い!
    流石フレーム付きです。
    モノコックではあり得ないでしょうね
    ブレーキは?何周ぐらい大丈夫なんでしょうか?

    1. tora さま、コメントありがとうございます。

      ブレーキは、モデルSが抱えてた課題はもうない、そーです。コロナがなければ、15日にサーキット走行で楽しみつつ確認できたはずなんですけどねぇ。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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