テスラ『モデル3』長距離実走レポート:東京=兵庫【充電1回でOKだった!編】

EVsmartブログチーム社有車のテスラ『モデル3』で、東京=兵庫県北部の片道約620km(最短ルートの場合)を往復してきました。今回は一人旅。レポートは2回に分けてお届けする予定。前編では、道中の「充電」にフォーカスしてレポートしてみます。

テスラ『モデル3』長距離実走レポート:東京=兵庫【充電1回でOKだった!編】

夏休み恒例の長距離実走レポートです

兵庫県北部は私の郷里。今までにも日産リーフやジャガーアイペイスなどで長距離実走レポートをお届けしてきました。

【アーカイブ記事】
日産リーフ30kWhで長距離実走レポート:東京~兵庫【往路編】(2019年5月1日)
日産リーフ30KWHで長距離実走レポート:兵庫~東京【復路編】(2019年5月5日)
ジャガー I-PACE で長距離実走レポート:東京~兵庫【往路編】(2019年8月10日)
ジャガー I-PACE で長距離実走レポート:東京~兵庫【復路編】(2019年8月16日)

今回は、EVsmartブログチーム(アユダンテ)社有車のテスラ『モデル3』で実走します。このモデル3では今までにも淡路島(兵庫県)や陸前高田(岩手県)へのロングドライブレポートを紹介してきました。今回のレポートではまず、端的に道中の充電状況を紹介します。また、7月26日にお届けした『電気自動車の電費と巡航速度〜80km/hと100km/h でどのくらい違うか試してみた』で検証した、東京=海老名の巡航速度を入れ替えたパターンと、新東名120km/h区間の「120km/hと90km/h巡航の違い」を試してみました。

往路は余裕をもってスーパーチャージャー2回+草津PAで充電

では、端的に今回の行程中の充電について紹介していきます。

まず、借り受けた時点の電池残量は77%。自宅ガレージの200Vで約3時間半充電して、スタート時のSOC(残量)表示は97%でした。21時30分ごろスタートしました。

8月11日 21時30分/スタート

途中、巡航速度比較の記録を取るため、海老名SA、静岡SA、遠州森町PAで軽くピットストップしつつ、0時30分ごろ、浜松スマートインターからすぐの、テスラスーパーチャージャー浜松に到着しました。

8月12日 0時30分/浜松SC

到着時のSOCは38%。32分間で約40kWhを充電し、SOCは91%になりました。

8月12日 3時03分/草津PA

45%で草津PA(下り線)に到着。浜松の次は、新設されて間もないスーパーチャージャー大阪豊中で充電する予定で、電池残量は十分足りるのですが、この草津PAには新電元の90kW器が増設されたばかり。EVsmartブログで加入した日産「ZESP3」カードも使ってみたかったので、10分1回分だけ充電してみることにしました。10分を超えないように8分で手動停止して52%に。

8月12日 3時54分/大阪豊中SC

SOC37%でテスラスーパーチャージャー大阪豊中に到着。

ここには8基のスーパーチャージャー(120kW出力)が設置されています。さすがに真夜中とあって、誰も充電はしていませんでした。ちなみに、お盆ではありますが、東京からここまで渋滞も皆無でした。

ここはテスラのサービスセンターでもあるのですが、深夜は当然営業時間外。この写真で信号が見えてる「上津島」交差点からそれぞれ100m以内くらいの場所に、コンビニ(ファミマ)と牛丼の松屋があります。お腹は減ってなかったので、コンビニでアイスコーヒーを買い、36分間、約42kWhを充電。SOCは94%まで回復。実家には66%を残して到着できると表示されました。

今まで、何度かモデル3でロングドライブをする度に感心するのが、この「走行データ」の残量予想グラフの正確さです。液晶パネルで「エネルギー」を選択するとサクッと表示。線が波打っているのがわかると思いますが、これ、ルートの高低差とかもきちんと計算されていて、変にアクセルを踏みすぎたりしない限り、ほぼ、この予測値通りに走りきることができます。こうしたユーザビリティへの感想については、後編レポートで詳しく語りたいと思います。

8月12日 6時ごろ/郷里到着

午前6時ごろ、実家近くの道の駅に到着。SOCはほぼ予測値通りの65%でした。

所要時間は9時間弱。充電は草津でのオマケを入れて3回で、たっぷり電池を残して到着です。2019年5月にリーフ30kWhでほぼ同じルートを走った際は、充電5回、所要時間が11時間ほどだったことを考えると、夢のように楽ちんです、ね。

滞在中は道の駅で2回充電

実家滞在中は、いくつか所用をこなしつつ、昨日の「速報」で紹介したように、道の駅村岡ファームガーデンの50kW器で2回充電しました。

この充電は電池が減ったからというよりも、復路スタートに向けて「それなり」に電力を蓄えておくためです。結果的にこの道の駅に設置されていたJFEの充電器が「21分で止まる」現象に見舞われたこともあり、1回のQCで回復するSOCは15〜18%程度だけ。東京へ戻るルートはまだ決めていませんでしたが、空き時間を利用して、最初に目指す大阪か神戸あたりのスーパーチャージャーまで、余裕をもって走れる60%くらいのSOCをキープするための充電でした。

復路はなんと、実質1回充電で走破!

郷里での所用を手短に終えて、東京に戻るスタートを切ったのは、13日の夕方でした。

70%くらいの残量で出発する算段だったのですが、高校剣道部OB会のゴルフコンペに参加して、ベストグロスを出した後輩が国産自動車ディーラー勤務ということもあり緊急モデル3試乗会を実施。高原の畑を突っ切る道で「よし、ここでアクセル全開に踏めぇ!」とかやってしまったので、復路出発時のSOCは63%になっていました。

8月13日 18時ごろ/郷里出発

「さて、まずはどこのスーパーチャージャーを目指そうか」と液晶モニタで確認してみると、約270km離れたスーパーチャージャー岐阜羽島まで、8%残して到着できると出ています。

示されているのは福井県敦賀市から北陸自動車道を経由するルート。京都府福知山市から先の舞鶴若狭自動車道を走るのは初めてだし、SC岐阜羽島を使うのも初めて。到着時の残量予測が8%というのは、途中、ちょっと気持ちよく走ってしまうと心許ない余力ではありますが、最悪の場合、手前のSAPAにチャデモ器があります。ものは試し、岐阜羽島を目指すことにしました。

京都府綾部市から先の舞鶴若狭自動車道は対面通行区間が多く、トラックに行く手を阻まれたり、追い越し区間で軽くアクセル踏み込んで抜き去ったりを繰り返し。とはいえ、ほぼ全線オートパイロット任せでゆったり走ることができました。途中で「目的地に到着するには100km/h以下で走行してください」というアラートが出たりしましたが、そもそも制限速度100km/h未満の区間がほとんどだし。

8月13日 21時20分/SC岐阜羽島到着

SOC5%で岐阜羽島に到着。およそ58%の電力で270kmを走り切ったことになります。

ショッピングモールの駐車場に4基が設置されているスーパーチャージャー岐阜羽島。先客のモデルSが充電中だったので、1台空けて充電を開始。

お腹も空いてきたので、駐車場脇の回転寿司の店に入りました。

オーダーストップまであと5分! ということで一気に注文。目の前にお寿司がズラリと並びます。あわてて全部で8皿くらい頼んだのですが、ちょっと食べ過ぎました。満腹です。

この時点では、次は「初体験のSC御殿場で充電するか」と思っていたので、45分、89%になったところで充電停止。名神高速に乗り直しました。

8月14日 2時30分/海老名SA(上り線)

途中、このまま世田谷まで行けるじゃんと気づいて御殿場をパス。SOC20%で海老名SAに到着しました。エネルギーグラフを確認すると、自宅まで13%残して到着できると表示されています。復路も渋滞は皆無。この先も混んでいないので、気持ちよく走ったとしても10%は残して到着できるでしょう。つまり、兵庫〜東京まで、今回のルートでは約640kmほどの道のりを、SC岐阜羽島での充電1回で走破できた、ということになります。

SC岐阜羽島から世田谷区の自宅までの距離は約370km。モデル3パフォーマンスのEPAレンジは499km、電池が90%でも450km近く走れるはずなので当然と言えば当然ですが、実際に走ってみると「すごい!」ですね。

独自のスーパーチャージャー網を整備して、十分な電池容量と性能を備えたクルマを提供しているテスラ車の、グランドツアラーとしての底力を痛感できました。

お盆とあってトラックも少なめ。平和な新東名~東名のドライブを楽しめたのですが、足柄を過ぎるあたりから猛烈な眠気に襲われたのと、自宅200Vで空近くから充電するのも大変なので、巡航速度比較の記録のためにピットインした海老名で充電しておくことに。

海老名SA上り線のQCは3台とも空いてました。新電元の90kW器で30分。約21kWh充電できて49%まで回復。

8月14日 3時45分/自宅到着

というわけで、SOC41%で無事自宅へ帰還。往路より20kmほど遠回りのルートだったのと、舞鶴若狭道の巡航速度が低めだったので所要時間は約9時間45分でした。海老名で充電しなければ、ほぼ往路と同じ9時間程度で走れた計算にもなります。上出来です。

ご参考までに、テスラのシステムによる充電ログを紹介しておきます。

巡航速度による電費の違いを再検証

さて、冒頭で予告したように、今回のロングドライブついでに『電気自動車の電費と巡航速度〜80km/hと100km/h でどのくらい違うか試してみた』で実施した東京=海老名間、この記事では東京→海老名を80km/h、海老名→東京を100km/hだったのを入れ替えて走ってみました。

また、この記事へのコメントでリクエストがあった新東名120km/h制限区間で、120km/h巡航と90km/h巡航の違いを試してみました。

【実走結果〜その1】
●東京→海老名(約31km)
100km/h巡航/バッテリー残量 96%→88%/電力消費量=8%
●海老名→東京
80km/h巡航/バッテリー残量 49%→42%/電力消費量=7%
結論:80km/h巡航が100km/h巡航よりも1%分電費がいい

【実走結果~その2】
●静岡SA→遠州森町PA(約43km)
120km/h巡航/バッテリー残量 53%→43%/電力消費量=10%
●遠州森町PA→静岡SA
90km/h巡航/バッテリー残量 57%→48%/電力消費量=9%
結論:90km/h巡航が120km/h巡航よりも1%分電費がいい

と、巡航速度が高い方が電費は悪いという当然の結果は検証することができたのですが。実は、静岡〜森掛川間の120km/h制限区間で、上り、下り線ともに約40km区間の半分くらいが工事中で速度制限がかかってました。従って、往路で120km/h巡航できたのは10数キロ程度。あまりにも曖昧な検証になってしまいました。

しかも、テスラのトリップメーターには、区間の電費を計測できる機能があることに、往路の途中で気付いた次第……。

今度、機会を改めて、この機能を活用してもっと参考になる計測を行ってみたいと思います。

ちなみに、今回のロングドライブの走行総距離は1386km。総合電費は159Wh/kmでした。つまり、エアコンフル稼働、大半が高速道路の走行で実質電費が約6.3km/kWh。6.3km×75kWh=約473kmと、おおむねEPAレンジ通りの電費性能でした。

(取材・文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 何と言ってもスーパーチャージャーが良いですね。
    「いつ寄っても大抵はすぐ急速充電可能」という安心感は、他のEVよりも大きなアドバンテージになっています。
    日産がZESP2からZESP3に移行してしまった今、日本国内における長距離EV選びはテスラ一択になりそうです。

    EVでの長距離移動は、移動すること自体が楽しいですよね。
    今年の夏休み、旅先の自粛警察の目を鑑みて、プライベートでの長距離旅行は自粛してしまいました。
    しかし蓋を開けてみれば、地元へきている県外ナンバー車も多く、高速道路も例年よりは交通量が少ないものの、居ない訳ではないというのが実情でした。
    予定していた長距離旅行を断念して消化不良を起こすのだったら、感染予防をしっかりした上で旅行を楽しめば良かったと後悔しているところです。
    EVで500kmを超える長距離旅行が出来る機会は年にそう何回もあるわけではないだけに・・・
    宿泊予定だった宿泊施設も歓迎ムードだっただけに、自分の判断を恨んでます。
    次は敢行したいと考えています。

  2.  貴重な情報有難うございます。
    ルーシッド エアが出たら、同じルートで電費チェックしてください!
     よろしくお願いします。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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