テスラ『モデルSロングレンジ・プラス』のEPA航続距離が400マイルを超えた!

電気自動車業界を牽引するテスラのセダン、モデルSが米国EPA基準の航続距離で400マイル(約644km)を超えた初のEVとなりました。東京から北は岩手県、西は岡山県あたりまで途中充電無しで走行できる航続距離です。CleanTecnicaからの詳報を、全文翻訳でお届けします。

テスラ『モデルSロングレンジ・プラス』のEPA航続距離が400マイルを超えた!

Tesla Model S Long Range Plus Exceeds 400 Miles Of Range, EPA Confirms by Johnna Crider on 『CleanTechnica

テスラ モデルSロングレンジ・プラスはEPA航続距離が400マイル(約644km)を超えた初の電気自動車となりました。

モデルS。画像はテスラ公式より。

2012年から、テスラは電気スーパーセダン(CleanTechnicaの造語です)であるモデルSを完璧にしようと動いてきました。オリジナルの航続距離は265マイル(約426km)しかありませんでしたが、自社ができ得る最長航続距離と最高のパフォーマンスを持つ電気自動車を作り出すため、テスラはデザインのすべての側面を見直しました。

現在、北アメリカにあるすべてのテスラ『モデルSロングレンジ・プラス』車両のEPA公式航続距離は402マイル(約647km)となりました。同じバッテリーパックデザイン搭載の2019年モデルS100Dに比べて20%の増加です。

テスラ モデルSはEPA航続距離400マイル以上となった初の電気車両!

テスラは自社ブログでこの偉業はテスラの「効率性とエネルギー節約への執念」が反映されたものであり、ハードウェアとデザインの変化にこれが見られます。新しい仕様は2020年にテスラがモデルSロングレンジ・プラスをフリーモント工場で生産開始した際に組み込まれました。社はさらに車に関する複数の新事実をブログに書いていますので、これから見ていきましょう。

重量の大幅な軽減

テスラはモデル3とモデルYを製造した経験から多くを学び、モデルSとモデルXにも応用したと説明しています。これにより評判の見た目や感触といったものをキープしつつ重量を減らすという新しいドアを開きました。さらにテスラはシート生産を標準化し、バッテリーパックとドライブユニットに軽量化された材料を使うことによって重量を減らしました。

エアロホイールタイヤの旋風

テスラには現在、以前のモデルSロングレンジに比べて空気抵抗を減らせる8.5Jリム幅のエアロホイールがあります。転がり抵抗を減らすよう、特別にデザインされた新しいカスタムタイヤと組み合わせると、トータルの航続距離が2%伸び、EPAもこれを分かっています。

ドライブユニット効率性の向上

テスラは車両後方にある、AC誘導ドライブユニット内の機械オイルポンプを、電動のものに変えました。この新しいポンプは「車両速度とは関係なく、オイル注入を最適化して摩擦を減らします。」言い換えると、テスラは車両がどれだけ速く進もうと摩擦を減らす方法を編み出したのです。

もう1つの改良部分はモデル3、Yと共通のモーター内にあるギアボックスです。ここを改善したことにより、高速道路走行中の航続距離が2%伸びました。

回生ブレーキ能力の最大化

新しい機能である『HOLD』が導入され、モーターの回生ブレーキが物理的なブレーキと合わさってアクセルペダルを弱め、車両を楽に止めることができます。スムーズにこの動きを行うために、テスラの回生ブレーキは低速・減速の際に作動し、そのお陰でドライブ・エクスペリエンスをテスラ基準に保ちながら、より多くのエネルギーをバッテリーに送れます。テスラはドライブ・エクスペリエンスで有名なのです、そこを軽んじてはいけません。

スーパーチャージングへの投資継続

テスラは顧客にどこへでも行ける解放感を持ってほしいと考えており、スーパーチャージャーネットワークが存在するのはそのためです。ネットワークは速いペースで構築され続けています。実際、私のアパートから5分の所にも1つできました。今までに検索したことがなければ(もしくは最近検索していないのなら)、上に貼ったリンク先のマップから、あなたのエリアもチェックしてみてください。

テスラは最新バージョンのスーパーチャージャーであるV3スーパーチャージャーを3つの大陸に配備しました。充電速度は速く、V2スーパーチャージャー・テクノロジーに比べて、最大50%の時間短縮となります。

EPAとテスラのメロドラマ

1カ月ちょっと前にテスラCEOのイーロン・マスク氏が、モデルSロングレンジ・プラスの最初のテストには欠陥があり、再テストされる予定で、その暁には400マイル以上の航続距離が出るだろうと発言してちょっとした物議を醸したのを覚えている方もいるかもしれません。EPA側はなぜかテストに欠陥があったとは認めず、マスク氏を困惑させたようです。

モデルSの航続距離は400マイル?EPAがテストに欠陥があったことを認めず。

テスラがモデルSの航続距離は400マイルであり、テスト中EPA側がドアを開けっ放しにしていたと主張

EPAが開けっ放しにされたドアのせいでモデルSの航続距離が下がったとするマスク氏の主張を否認

イーロン・マスクがテスラ モデルSのEPAについて嘘をついたと代理人が語る

テスラ モデルSはEPA航続距離400マイル以上となった初の電気車両!

具体的に言うと、EPAのモデルS用の最初のテスト時に、試験官はドアを開けたままにしていたと伝えられています。マスク氏が電話会議でこれに言及した際、EPA側は認めず、多くのヘッドラインがそれに続きました。一部のライターはモデルSのEPA航続距離が低いままになるという推測のもと記事を作り、マスク氏が嘘をついたと書きました。実際にはマスク氏は正しく、彼の予測通り航続距離は400マイル以上でした。

これはテスラ否定派、批評家、マスク氏とテスラを追いかける面の皮の厚いヘッドラインらの批判にも関わらずテスラが確固たるものにした多くの成功のうちの1つに過ぎません。テスラはEPA航続距離400マイルという目標を402という数値で達成し、昨日の自動車産業を21世紀にふさわしいものに再編し続けるでしょう。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. ガソリン車でもカタログ燃費×燃料タンクの容量やサイトなんかの実燃費とタンクをかけた航続距離を考えると、これくらいあれば一般人の乗用車としての需要はほぼほぼ満たせるのではないかと。

    無論価格とマーケティングからしてこれは高級車みたいなもんですけど。
    逆に言えばそれを問題にしない富裕層にすれば完全な実用車としての欠点がなくなるわけで、燃料電池車の長所はほぼなくなるどころか、水素スタンドの数(さすがの富裕層でも自宅に水素スタンドを持てる人ってどれくらい?)というデメリットで相殺される。
    miraiは初代は650キロ、二代目でもその1.3倍くらいと言っていたので単純計算で850キロですから
    その分をコスト減で進歩しているらしいですけど、初代はかなり無理した(売れば売るほど赤字と言っている。)価格で、
    それでコストが半減というトヨタのエンジニアの話をそのまま信用するにしても
    500万とかそのくらいの価格になるだろうし(コストが半額だからと言ってそのまま半額の350~400万という価格はきついと思われる。その価格で出せるなら 水素インフラを整えればワンチャンありますけど。)

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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