テスラのギガ上海製モデルYを分解した結果「世界で最も統合されたEV」と判明

テスラの電気自動車SUVであるモデルYを、中国のZhihu Automobileが分解して調査しました。垂直統合がかなり進んだ企業であるテスラの効率性が見られる結果だったようです。TESMANIANから全文翻訳記事でお届けします。

テスラのギガ上海製モデルYを分解した結果「世界で最も統合されたEV」と判明

元記事:Tesla Giga Shanghai’s Model Y Teardown Shows the Crossover SUV Is World’s Most Integrated EV by Eva Fox on 『TESMANIAN

最も統合が進んだ電気自動車

最近、Zhihu Automobile(知乎)は中国製モデルYの分解調査を完了しました。社は車体構造、内部の相互作用、電気システム、バッテリーの安全性などを含む包括的な分析を行い、モデルYは疑いようもなく、現時点で最も統合された電気自動車だと結論付けました。

これまでモデル3とモデルYは70%の同じ部品を共有していると思われていましたが、今回、そうではないことが判明しました。両車が共有しているのは25%程度だったようです。例えば2つの車のフロントサブフレームは同じですが、スイングアーム、ステアリングナックル、フロントサスペンションやブレーキが違っています。それぞれの車のパーツはかなり似ているのですが、そのほとんどでモデルY用に改良される必要がありました。

モデルY。画像提供元:Tesla, Inc.

モデルYが8つのパーツに分解されると、鋳造された、単一部品のリアが見られました。研究者によると、この車の中で単一の鋳造パーツで作られている部分は1つだけですが、テスラは業界の中でも図抜けていると言います。鋳造技術のおかげでリア部分は10~20%軽くなり、設計コストを劇的に減らし、細かいパーツが組み合わさる場合に比べて開発サイクルもかなり短くできます。元々700~800ある接合ポイントは、50まで減らされました。パーツの生産時間は、1~2時間から3~5分に短縮されています。

さらに、強固な鋳造のおかげでサスペンションの取り付けが簡素化されて動作も良くなり、シャーシが平たくなったので運転中のノイズも減りました。コストに関してですが、アルミニウム合金は型押しされたスチールプレートよりも高く、鋳造用マシンも安くはありません。しかし統合された鋳造技術のおかげで必要な部品が減り、多くのスチールプレートに必要な溶接がいらなくなったので最終的なコストは増えていません。

テスラ・モデルYのヒートポンプも、競合とかなり差がついているパーツです。モデルYには、内部に8つの流路があるバルブが付いており、『オクトバルブ』と呼ばれています。このヒートポンプでパワーシステム、バッテリー、運転席など車内のあらゆる熱を回収し、温度管理システムが熱を一括管理しています。

テスラが様々な方法で経済性を考慮した痕跡が、他の多くのパーツでも見られます。例えばバッテリーのパッケージング方法を前世代のものと比べると、モジュール間の隙間を埋める接着剤の量が減らされ、またモジュールのプラスチックプレートは使われなくなりました。バッテリーセルに針で穴を空けるテストでは、そのセルはいつも通り焼け落ちましたが、ポッティング(※機械の隙間を特殊な材料で埋める技術)剤のおかげで他のセルやモジュール全体への影響はありませんでした。

分解調査の結果、Zhihuは現時点でモデルYが疑いようもなく最も統合された電気自動車であり、テスラはさらに統合を続けるためにたゆまない努力をし続けていくと結論付けました。高レベルの統合によりコストが削減されたおかげで、すでに中国の消費者は手の届きやすい車両価格の恩恵を受けています。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)4件

  1. 当たり前のことですが、テスラがきちんと経済性を押さえつつ最先端の設計をしていることがよくわかります。
    6,7年前だったか、横浜でモデルSに試乗した際、完成度の高さに「これはやばいな」と感じたことを思い出しました。ただ、1,000万円超の手作りのクルマだったので、コストダウンや電池容量とか考えると、本当に来るかどうかは怪しいしね〜、などと否定しようとしていたことも覚えています。
    でも、モデル3の生産が軌道に乗り、モデルYの最先端技術がつまびらかになり、いよいよ本当に主役交代の時が来る、と覚悟せねばならない、と感じました。
    まだ解決すべき課題は少なくないかもしれませんが、すべての意味において関係者は取り残されないようにしなくては。

  2. ion Lithium電池は充電する時も放電する時も熱を発する、勿論、熱は電池の劣化に生るが更に言えば、モーターも稼働する度に熱を発生する。
    モーターは誰もが知る熱の上昇率がある領域を超えると磁束密度が回復不能状態に陥る、モーターのトルク劣化の始まりが起きる。
    冷却機能は簡単に進むとは思えない。

    1. 宮田様、コメントありがとうございます!テスラの冷却機構についてはいろいろ解説しているサイトもありますが、よろしければ少し調べてみてください。
      温度管理の様子は車両にCANバスモニターを付けることで、観察することができます。「簡単でない」とおっしゃる前に、ご自身で実際に装着し、走行されてみることをおすすめします。
      https://blog.evsmart.net/tesla/model-x/using-tm-spy-via-tesla-diagnostic-connector/

  3. 日経”新聞”でも報道して欲しい。日本人が知らないテスラの正体を早く知って欲しい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

執筆した記事