2022年1〜7月の販売台数はぶっちぎりの世界一
テスラのミドルサイズSUV『Model Y(モデルY)』(もちろん完全な電気自動車)は、先日『2022年7月は世界で新車販売の10%が電気自動車に』の記事でお伝えしたように、今年1〜7月の販売台数が34万4928台で、2位の宏光MINI EV(24万4961台)におよそ10万台の差を付けて、プラグイン車(BEV&PHEV)販売台数ランキングでぶっちぎりの1位となっている人気車種です。
モデルYは、同ランキングで3位(23万6518台)となっている『モデル3』とプラットフォームを共有する兄弟車。2020年にはアメリカでデリバリーが開始され、中国では2021年から、欧州でも今年になってデリバリーが始まっていました。日本向けモデルは上海のギガファクトリーで生産されており、コロナ禍などの影響で遅れていましたが、今年6月に受注を開始。約3カ月後の9月8日、いよいよ納車がスタートしたのです。(初日のこの日は、全部で20台が納車されたそうです)
テスラデリバリーセンター有明(東京都江東区)では、受注開始早々に注文した3名のオーナーへの納車の様子がプレス向けに公開されました。立体駐車場の一画を借り切って納車を待つモデルYがズラリと並び。中央の通路にはイベントで納車される3台が用意されていました。
先頭の1台はなんとEVsmart号
いち早く納車されたオーナーさんを、このイベントのために集結したテスラスタッフのみなさんが囲んで祝福の拍手! の様子を記念撮影。実は、先頭の赤い「パフォーマンス」は、EVsmartを運営するアユダンテが社用車として購入したもので、3組のオーナーさんの左に立っているのは、アユダンテ社長でEVsmartブログでもおなじみの安川さんです。
駐車場に並んだ納車予定のモデルYには、やはりボディカラーの追加料金が不要のパールホワイトで日本ではベースモデルとなる「RWD」が多く、赤いパフォーマンスはひときわ輝いてました。
ちなみに、借り切り展示スペースの奥には、テスラが展開する主力4車種、モデルS、モデル3、モデルX、モデルYが並べられていました。イーロン・マスク氏の「S3XY(セクシー)なクルマに」というユーモアで、テスラの車種ラインナップが広がってきたことはよく知られたエピソード。これで、日本でも「S3XY」が勢揃いしました。
改めて確認してみると、社用車としての購入ではありますが、2014年(受注開始は2013年)のモデルSに始まり、モデルX、モデル3、そして今回のモデルYと、安川さんはテスラの「S3XY」を全て素速くポチり、初日に納車されてきたそうです。
【追記】
そういえば、9月8日という日付、まったく偶然とのことですが、8年前にモデルSのデリバリーが始まったのも9月8日だったとのこと。テスラジャパンにとって記念すべき日になりました。「そうはいっても、少し狙った?」なんて野暮な勘ぐりはせず、クルマも人も「持ってるヤツ」はいるものだ、と考えておきましょう。
先ほど、YouTubeのEVsmartチャンネルに、テスカスさんが動画レポートも公開してくれました。納車手順などわかりやすく解説しているので、ご覧ください!
【日本初】テスラモデルYが納車されました!
若い人たちに「クルマ=EV」の楽しさを感じて欲しい
EVsmart(アユダンテ)では、EVsmartブログのいろんなレポートで活躍してくれているモデル3に加え、今年4月には日産アリアが納車されました。今回のモデルYはモデル3とのリプレイスということですが、社用車として次々に最新EVを購入することにはどんな意図があるのか。私もEVsmartブログ編集長を名乗ってはいますがアユダンテの社員ではなくフリーランスです。おそらくは読者のみなさんと同じ「すごいなぁ」という印象を抱きつつ、「どうして?」と安川さんに尋ねてみると……。
「魅力的なEVだからですよ!」とのわかりやすい回答でした。さらに「今の若い人たち(社員や関係スタッフを含め)はクルマを所有しない人が多いし、クルマが高くて購入しない人も少なくないですよね。でも、クルマによる自由な移動がもたらしてくれる楽しみの広がりってあるじゃないですか。ましてEVにはEVならではの楽しさがある。それを感じて体験して欲しいんですよね」とのこと。
また、アユダンテはSEOコンサルティングなどを中心とするIT関連、つまりはソフトウェア開発に関わる社員やスタッフが多く、「たとえば、テスラ車のUIはソフトウェア開発にとって大切な勘どころを感じる、教えてくれる一面があると思います。そのあたりも、実際に自分で乗って使って、体感してもらうのは大切なこと」だからこそ、社員やスタッフが気軽に最新EVを利用できる環境を提供しているということでした。
若いテスラスタッフのみなさんの心意気も実感
テスラが斬新なのは、UIだけではありません。たとえば、今回のイベントが開催された「テスラデリバリーセンター有明」は、東京湾岸地区に新しく登場した複合施設である「有明ガーデン」の立体駐車場に納車する車両を用意して、駐車場の通路からショッピングセンターに入ってすぐの左手にあるカウンターを備えただけの、納車専用拠点です。こういう施設があるのも、既存の自動車ディーラーのやり方からすれば想定外。テスラでは、この有明のほか、名古屋、豊中(大阪府)の拠点で購入した車両を受け取るか、自宅や職場など指定場所へ配送してもらうかを、購入したユーザーが選択する仕組みになっています。
今回はプレス向けイベントで盛大でしたが、通常の納車はカウンターで手続きしたら、立体駐車場で自分のナンバープレートが装着された1台を探し出し、自分でキズなどをチェック、そのまま乗って帰ります。車両の操作方法などは「車の特徴や機能については、運転席に座りながらTeslaのタッチスクリーンでビデオチュートリアルをご覧いただくか、Tesla アドバイザーにお問い合わせください」と案内(サポートビデオはウェブサイトでも公開)されていて、つまり、ぶっちゃけ自分で調べて学んでね、というスタンスです。
こうしたメソッドを「無愛想でサービスが悪い」と受け取るか、「気楽でいいね」と感じるかはカスタマー次第。許せん! という頑固な人は、きっとテスラを購入することはないのでしょう。
イベントで印象的だったのが、納車されるオーナーさんを祝福するために集結していたテスラスタッフのみなさんの若さと明るいノリでした。個人的に、悪くない、いえ、とってもいいと感じます。
ともあれ、EVsmartチームの新たな社用車となったモデルY。さっそく、別件取材を兼ねた長距離試乗をやってみたいと思っています。楽しみです。
(取材・文/寄本 好則)