テスラ2020年第3四半期株主総会の質疑応答をレポート(全文翻訳版)

先日EVsmartブログでもテスラの2020年第3四半期決算の内容をリポートしましたが、それを踏まえてオンラインの質疑応答が10月21日にありました。テスラCEOのイーロン・マスク氏と各部門の役員への事前質問に加え、ライブでの質疑応答も行われました。全文日本語訳でお届けします。

テスラ2020年第3四半期株主総会の質疑応答をレポート(全文翻訳版)

Teslaからの参加者

Elon Musk – CEO
Zachary Kirkhorn – CFO
Martin Viecha – IR シニア・ディレクター
Drew Baglino – パワートレイン&エネルギーエンジニアリング副部長
RJ Johnson – エネルギー部門シニア・ディレクター
Jerome Guillen – 自動車部門トップ

電話会議の参加者

Rod Lache – Wolfe Research(ウルフ・リサーチ)
Colin Rusch – Oppenheimer(オッペンハイマー)
Adam Jonas – Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)
Pierre Ferragu – New Street Research(ニュー・ストリート・リサーチ)
Dan Levy – Credit Suisse(クレディ・スイス)
Gene Munster – Loup Ventures(ループ・ベンチャーズ)
Ben Kallo – Baird(ベアード)
Philippe Houchois – Jefferies(ジェフリーズ)

Tesla Q3 2020 Earnings Call (old live version) YouTube

かなりの長文記事となりましたので、簡単にINDEXを入れておきます。

INDEX

  1. 冒頭あいさつ
  2. 私達の歴史の中でベストな四半期となった
  3. 自動運転は検索エンジンのように良くなっていく
  4. 自動車部門の売上総利益は18.7%から23.7%に増大
  5. パワーウォール、メガパック、ソーラールーフも順調に成長
  6. 個人投資家からの事前質問
  7. 電気を生み出す美しい屋根、それが僕たちが欲しい未来
  8. 機関投資家からの事前質問
  9. モデルYの最新空調システムは家庭にも応用可能
  10. 手が届きやすい価格の車を提供したい
  11. オンラインでの質疑応答
  12. 固体電池〜リチウムだけでできた負極はそこまで素晴らしいものでもない
  13. テスラを真似するのは非常に難しい
  14. LiDARは、無料でも使わない
  15. サイバートラックのデリバリーは2021年末までにスタートしたい
  16. 来年の生産台数は100万台レベル?
  17. セミのメガチャージャーは出力350kWでも十分ではない
  18. 古い企業がテスラに追いつけない理由
  19. テスラが電力網の安定化にも貢献する
  20. 玩具を作るように車を作る

冒頭あいさつ

司会者
皆様、お待ちいただきありがとうございます。テスラの2020年第3四半期決算報告と質疑応答のウェブキャストにようこそ。今回は、すべての参加者は”聞くだけモード”の設定になっています。プレゼンの後に質疑応答のセッションを行います。
それではまず、IR部門のMartin Viecha氏にお話し願いましょう。

Martin Viecha
皆様こんにちは、テスラの2020年第3四半期質疑応答ウェブキャストへようこそ。今日はElon Musk、Zachary Kirkhornその他役員とともにいます。私達の第3期の結果が、このウェブキャストと同じアップデートページで午後1時頃に発表されました。

今回の発表の間に、我々のビジネスの展望について話し、また将来に関する発表もします。コメントは現時点での将来予測に基づいたものになります。実際に起こる出来事や結果は、直近のSECとのケースを含めリスクや不確実な要素があるので違ってくるかもしれません。

今日の質疑応答の部分では1人1問、1回答までとします。その前に、イーロンから初めに話したいことがあるようです。

私達の歴史の中でベストな四半期となった

Elon Musk

マーティン、ありがとう。第3期は私達の歴史の中でベストな四半期となりました。デリバリーの数、GAAP基準、非GAAP基準両方での収益、純利益、フリーキャッシュフローの14億ドルなどで新記録を出しました。テスラチームの素晴らしい働きによるものです。これ程素晴らしい人達と一緒に働けて、最高に誇りに思います。世界中でものすごいパフォーマンスが繰り広げられました。

さてバッテリーデーがありましたが、そこではフォームファクターレベルや化学の面、特に生産面で将来どう拡大するのか、コア・バッテリーテクノロジーやコア・セルテクノロジーをどう改良するのかというのをお見せしました。過去に私が言ったと思うのは1つだけなのですが、テスラの長期での競争力とは基本的に生産の部分になります。現状にそぐわないかもしれませんが、そうなることに自信があります。

チームがバッテリーに関して長い間仕事を重ねてきたことをお伝えしました。バッテリーに関しては基本に立ち戻り、一から考えたいと思いました。まず、市場にある他の製品と比べるのではなく、基本的な物理の観点から見て、物理的なリミットとは何か、完璧で理想的なセルとは、自分達はそこにどれだけ近づけるか、そういったことが、私達が望んだことでした。

良いアプローチの仕方をしていると思いますし、時間が経つにつれ良くなるでしょう。バッテリー設計と生産の重要な部分に関するエンジニアリング・ソリューションはすべて網羅しました。このまま続けて、コアセルとバッテリーテクノロジーを改良していきます。結果として数年以内にコストが半分になり、必要な設備投資費は今の3分の1かそれ以下になるでしょう。またギガ・ベルリンが初の大規模なバッテリーセル生産ラインを持つことになります。

完全自動運転のベータ版リリースについて。自動運転チームもスター揃いです。私は多くの時間ベータ版と過ごしましたが、多くの本当に才能のある人材がチームにおり、ベータ版を出すため尽力してくれました。彼らのハードワークにも感謝したいです。とても頭の良い人達の集まりです。

世界は複雑で乱雑であるため、私達のスタートはとてもゆっくりで、注意深いものです。昨晩ベータ版を出しましたが、成り行きを見て、さらに多くの人に今週末か来週早い時期にリリースします。それからできれば今年末までに段階的にもっと多くの人に提供したいです。

自動運転は検索エンジンのように良くなっていく

Elon Musk

もちろん、システムはデータを収集するにつれ強固になっていきます。グーグルが検索エンジンとしてどのように良くなっていくのか? と考えるようなものです。質問を常に投げかけて、(ユーザーが)特定のリンクをクリックしながらプログラミングがされているからです。この過程で素晴らしいフィードバックを得られ、非常に効果的な検索エンジンとなっているのです。これが自動運転にも当てはまるのです。

100万台の車がフィードバックを返してくるお陰で、シミュレーションで考えつかないような変わった曲がり角のフィードバックを得られるのです。これは非常に価値があります。分かりやすいものではありません。分かりやすいものはシミュレーションできます。しかし奇妙な曲がり角のケースに関しては、現実だけがそれを見せてくれるのです。曲がり角の状況に関してシステムにトレーニングを施し、類似例を探し、その類似例に関してもトレーニングを施して、難しい曲がり角のケースへの対処を改良するのです。

強調しておきますが、これはニューラルネットを基にしたアプローチです。高精度の地図や、携帯電話を繋げる必要はありません。コネクティビティがなくても、またあなたやテスラ車が行ったことがない初めての場所でも、車(システム)が人間のように運転できるよう設計しています。これが今年開発・リリースしようとしているシステムです。

生産規模についてですが、3つの主な工場の改革をすすめています。上海を拡大し続けていますが、テスラの中国チームのもと非常にうまくいっています。このチームにはいつも感嘆させられていて、とてもスマートで勤勉です。予想を常に超えてくるのです。

ベルリン(独)とオースティン(米)の工場は建設中です。ここの進捗状況も良い感じです。なので全体的にうまくいっています。ベルリンとオースティンからのデリバリーは来年始まるでしょう。ただ、特に新しいテクノロジーを使う工場は、指数関数的な成長をする性質を持っているので、非常にスローなペースで始まり、後に非常に大きいものになるでしょう。

建設中のギガ・ベルリン。

基本的に生産過程はS字曲線に従います。(※生産カーブについての詳しい内容はこちらの記事で紹介しています)工場を作った後、多くの時間を割いて規模の生産ができるようになります。そこまでいくのに12〜18ヶ月はかかるでしょう。特に新しいテクノロジーに関しては、これは非常に速いペースです。12〜24ヶ月かかると言えるかもしれませんね。生産規模は始めから長い間過小評価されます。それからどこかで過大評価に変わります、S字曲線なので。指数関数から直線、対数関数に変化します。大量生産技術を備えようとするのは、非常に大変なことなのです。

まず一次近似値を用いて考えます。1万種類のパーツを作るとして、それぞれが各自のS字カーブ上で生産され、またその過程では予測できない動きが含まれます。X軸が横にずれるにつれ(時間が経つにつれ)、最終的に巨大な自動車工場ができあがります。この動きの中で効率が悪い過程、良い過程を見極めるのですがそれは常に変化していて非常に難しい。今までの挑戦の中で最も難しいものの一つです。

さて最後に、ありがとうございます。何万人ものテスラの従業員やサプライヤーの尽力なしに今まで達成したことはできませんでした。これからもコストのコントロールと品質の向上をしつつもできる限り速いスピードで成長し続けます。

そして究極的には、素晴らしい製品を手の届く価格で提供する、ベストな会社になるのが私達のゴールです。テスラの将来に関して今日ほど前向きに感じられたことはありません。どんな時も一緒にいてくれた投資家の皆さんにも感謝したいです。さらに良いものが出てきますよ。

では、質問に移りましょう。

自動車部門の売上総利益は18.7%から23.7%に増大

Martin Viecha

イーロン、ありがとう。CFOのZachary Kirkhorn からもコメントがあります。

Zachary Kirkhorn

ありがとう、マーティン。イーロンが言った通り、第3四半期はまたしてもすべての面において素晴らしい四半期となり、私達の全体的な財務体質は急速に改善しています。5期連続で収益性を上げ、過去最高純利益を出し、2桁に迫る操業利益を得ました。

第3四半期の収益性の構造について、2つの要点を挙げたいと思います。1つ目は規制クレジットのビジネスが予想より力強く動いており、今年は去年の倍の収益を得る見込みです。2つ目に、会社の時価総額が上がったため、2回目と3回目のCEO報酬が今期中に支払われました。加えて今期中にあと1回、全部で大体3億ドルほどの報酬になるです。コアビジネスの体質の真の状況を見るには、これらの部分を除くのが妥当でしょう。

規制クレジットを含めた自動車部門の売上総利益は18.7%から23.7%に大きく増え、いくつかの部門では25%以上の利益を出しました。ただ第2四半期の利益は工場閉鎖による影響が出ていたことは覚えておいてください。

生産・操業コストは減らし続けます。ローカルで製造・デリバリーをする車の数の増加も見られ、昨年末は全体の50%だったのが、直近では70%になり、これはコスト削減戦略のコアの部分になります。車両の信頼性も改善され、経済的な恩恵を受けています。

中古車ビジネスとサービス運営の効率性に支えられ、サービスその他の部門でも利益が上がりました。エネルギービジネスでは、メガパックとパワーウォール製品の生産と設置数が伸び、蓄電システム設置数の新記録を出しました。加えて、短期技術者の雇用も倍に増え、この面でも前進していきます。

テスラのMegapack。画像はテスラ公式より。

キャッシュフローの面では、フリーキャッシュフローの14億ドル込みの現金残高が145億ドルに増え、過去最高となりました。営業用キャッシュフローは24億ドルで、期日が短かったにもかかわらず売掛金と在庫のバランスが向上したため運用資金から6億ドルの益が出ました。主な運営キャッシュフローの流れがコア・オペレーションを強化したためにできたものです。

モデルYを上海、ベルリン、オースティンで製造するための準備で、資本支出は10億ドルに増えました。フリーモントのモデル3と上海のモデルY用の以前の投資のように、今年度末までにはこれらの投資も回収できるでしょう。

2021年と2022年に向けて、潤沢な流動資産がありキャッシュフローも見込まれることから、資本支出の予測を25億ドルに見直しました。これはバッテリーセル生産を含む内部調達の増加と、将来の規模拡大への投資によるものです。

投資へのリターンが非常に良いまま続くと予想していますが、追加設備とロケーションコスト(の減少)のお陰で、投資の回収には上海のモデル3とフリーモントのモデルYよりも少し長くかかるかもしれません。

9月に株主資本が50億ドル増えたので運転資本が減り、財務活動によるキャッシュフローは45億ドルとなりました。第4四半期の早い段階の返済に10億ドルが使われます。基本的には2021年分のものですが、2022年と2024年分のものにも使われます。

先の見通しとしては、ビジネスのコアの部分を強化し続けていきます。需要に見合うよう生産量を増やし、ローカライゼーションを含めてコストを下げ、ビジネス全体の効率性を上げ、キャッシュ・コンバージョン・サイクルを引き締めます。この側面においては過去1年半で大きく向上しました。

また今年オペレーションの休止がありましたが、元々2020年のゴールとしていた50万台のデリバリーを今も達成しようとしていています。社全体でしっかりこなせば、達成可能だと信じています。

改めて、テスラのチームには素晴らしい四半期と1年をおめでとう。今年テスラに入社してエネルギービジネス部門をリードするRJ Johnson氏、お願いします。

パワーウォール、メガパック、ソーラールーフも順調に成長

RJ Johnson

ザック、ありがとう。まず初めに、私にもチームにおめでとうと言わせてください。エネルギービジネスの第3四半期は好調で、蓄電と太陽光を引き続き強固に成長させる準備も整っています。メガパックはビジネスにとって大きな成長部門となり、商品生産が最大規模に達するに従って急速に設置が進むでしょう。2021年を通しては供給よりも需要が多く、2023年以降もこれまでにない世界中からの需要に見合うため生産を拡大します。2023年の注文票は多くのギガワット規模の注文であっという間に埋まってきています。

世界中の多くの地域で、大規模な太陽光と蓄電の組み合わせの方が、化石燃料発電よりも経済効率が良くなっています。コストを削減してこのトレンドが続けば、既存のものと新しいもの両方の化石燃料発電に取って代わるでしょう。(太陽光なしの)蓄電だけでもそうだと言えます。

最先端のリアルタイム入札戦略を提供する、最適化されたハードウェアとソフトウェアシステムのAutobidderは市場よりもパフォーマンスが優れており、これを顧客は活用してリターンを最大化しています。

パワーウォールに関しては、顧客がより高い信頼性と自家発電のバックアップを求めているため、引き続き大きな需要を見込んでいます。未処理のオーダーを現在多く抱えており、顧客の要求に応えるため規模を拡大するよう投資し続けます。

テスラ パワーウォール。画像はテスラ公式サイトより。

電気を使わない時や、バックアップ用電源がある場合に電気を電力網に送り返して(売って)いる人がおり、私達はそのような太陽光と蓄電を最大限に使おうとしています。ここにシステムコストを減らす大きなポテンシャルがあり、世界中で電力網をより効率的にできます。

アメリカでは、住宅用太陽光装置の値段を1ワット1.49ドル(税金の優遇を受けた後)に下げました。これは業界最安値です。オンラインの車両オーダーシステムを活用し、セールスとマーケティングにかかるソフト面でのコストを大幅に減らすことによりこれを可能にしました。

結果として、生産量と効率性が増加し、設置ビジネスの収益性が上がったために固定費は比較的フラットになりました。サービスを含めエネルギービジネス全体で同じ方法を使い、会社のテクノロジー・バックボーンを収益に繋げていきます。

去年設置プロセスに関して私達が大きな経験を積んだソーラールーフ事業は、特にエキサイティングなもので、ビジネスのスケールを拡大する鍵となります。最近ではソーラールーフの設置を1日でできるのをお見せしました。これには嬉しく思っていますが、設置個所にある屋根を取り外して準備をするのには1,2日かかります。

もちろんサイズ、複雑さ、気候その他の要因によって、設置時間は変わってきます。しかし全体として、設置時間が減ったことにより良い顧客体験を提供でき、規模が大きくなれば効率性も上がるので、ビジネスも飛躍的に成長するのです。

最後に、収益性を最大化するために規模の拡大とコスト削減に集中し、エネルギー部門はしっかりと成長していくと私達は確信しています。改めて頑張っているチームに感謝をし、次の四半期も良いものになることを楽しみにしています。

個人投資家からの事前質問

Martin Viecha
皆さん、ありがとうございます。個人株主からの最初の質問は、「テスラはギガ・ベルリンで4680のセル生産を車両生産と同時に始めるのですか? フリーモントのバッテリーセル用ラインのパイロット版から、どの部分をシェアするのか教えてもらえますか?

Drew Baglino
エネルギーと車両の両方に4680設計を組み込んでいきます。フリーモントのパイロット版設備も、ベルリンが拡大するにつれサポート用に使われます。

Martin Viecha
次の質問に行きましょう、「テスラのタブレスセル設計により、充電速度のピークはかなり速くなりますか? テーパーのカーブは改善されますか?

Drew Baglino
はい。リチウムイオン電池の充電速度に制限をかからなくするには、基本的に負極のリチウムプレーティングを抑える必要があります。充電速度が速い状態が続いた際に電力密度が高まるタブのアーキテクチャは過熱を防ぎますが、負極のプレーティングは避けられません。電極設計と負極の原材料の方が、よりダイレクトに最大充電速度に影響し、リチウムプレーティングの問題を解決するかにも関わってきます。

Martin Viecha
ありがとう。次の質問ですが、「FSD(完全自動運転)は次に買う自分の車両に移植できますか、またその費用はかかりますか? ブランドに対するロイヤルティが生まれると思います。ゲーム会社や携帯電話会社はアップグレードしたハードウェアに既に購入したものを移植できるようにする”エコシステム”を構築して顧客を囲い込んでいます。(※プレイステーション4を持っていてプレイステーション5を買った場合、4のゲームも5でできるなど)」

Elon Musk
そうですね、考えておきます。

Martin Viecha
4つ目の質問は、「太陽光発電システムの設置の規模を大きく拡大するのに今ネックになっているものは何ですか? カール?」

Carl
はい、僕がカールで、ソーラールーフエンジニアと設置のチームにいます。ソーラールーフ拡大の最大の足枷はトレーニングを受けて経験を積み、準備のできた設置用人材が十分に集まっていないことです。第3四半期で大きく前進しましたが、引き続き人材を募集しています。次に現場での物資のフローを改善することです。工場で多くの議論をしましたが、適切なパッケージングをしてキットを作り、設置者が屋根の上で必要なものをすぐに手に取ることができるようにします。また、ソーラールーフの設置を望む顧客を持つ屋根業者から良い反応をもらっていて、彼らは将来の成長のための大きな材料となります。

テスラのソーラールーフ。画像はテスラ公式サイトから。

Martin Viecha
カール、ありがとう。

電気を生み出す美しい屋根、それが僕たちが欲しい未来

Elon Musk
僕がこの商品に関して考えるに、世界にどのようになってほしいか、自分の近隣地域で10年後、何が欲しいのか、どのような商品があれば人生が楽になるのか、どのような将来が欲しいのかと考える必要があります。頑丈で壊れてもすぐ回復する、普通の屋根よりもベターな、電気を生み出す美しい屋根、それが僕たちが欲しい未来です。来年からそれが見られるでしょう。

Martin Viecha
個人株主からの最後の質問です。「あなたは最近テスラをスタートアップのコングロマリットと表現しました。電気自動車の製造以外に、次5~7年で最も重要なビジネスは何でしょうか? そのうちのどれかがテスラから飛び出すと考えられますか?

Elon Musk
そうですね。テスラ内には12を越えるスタートアップがあります。メジャーな生産ラインはすべてスタートアップだし、新しい大きな工場はすべてスタートアップです。そこから学ぶこともあります。

サービスやセールスなんかもスタートアップなのです。他の自動車会社や企業は、自分でセールスやサービス部門を持ちません。私達は自分のサービスネットワークを作らなければなりません。セールスとデリバリーネットワークを作る必要があります。40の国で、複数の言語で、です。

あまり知られていないのが、会社を動かしているコアテクノロジーを書いている、テスラの内部アプリケーションチームです。僕たちは他企業の作ったソフトウェアに依存していません。この意味が分かる人にはすごいことでしょう。このチームには脱帽です。彼らはまるで神経網の様で、テスラ社のオペレーティングシステムであり、根幹の部分になります。

保険が重要な部分を占めるのは明白です。なので車両ビジネスのバリューの30〜40%が保険事業と言えるかもしれません。前に話した通り、フィードバックを多く貰えれば、統計的ではなくもっと具体的に保険事業をできます。僕たちの保険を選ぶ必要はありません。しかし多くの人が選ぶでしょう。コストが低く内容は他より良いのです。そうしない理由はなんでしょう?

自動運転全部がスタートアップですね。コンピューターチップの設計もスタートアップでした。セールスもスタートアップです。自分達のパワーエレクトロニクスを設計・生産したり、モーター、充電器、スーパーチャージャーネットワークを作ったのもスタートアップ。人々はテスラがスタートアップのチェーン店だと理解していないのです。今までは一部のスタートアップでちょっとスローだったかもしれませんが、失敗したとは考えていません。今のところ非常に良い。独立させる気はありません。複雑さが増すだけです。

機関投資家からの事前質問

Martin Viecha
ありがとうございます。次に機関投資家からの質問に移りましょう。1つ目は、「ライドヘイリングネットワークの橋渡し役として、顧客がみずからの車両をアプリを通して貸し出し、お金を稼げるように保険商品を活用できないでしょうか?

Elon Musk
私達はロボタクシーシステムにフォーカスしています。ロボタクシー全体からすると(質問内容は)サブセットですね。友人や家族間で車をシェアし、ネットワークに追加したり、外したりもできます。UberやLyftのドライバーなら、10台を管理できるでしょう。これは羊飼いのようなもので、シンプルに数を増やせば、より有効活用できると思います。そんなに難しくはないと思いますが、自動運転ネットワークに集中することにしています。UberやLyft、Airbnbの要素もありますが。

モデルYの最新空調システムは家庭にも応用可能

Martin Viecha
2つ目の質問は「住宅での電力消費により、交通機関と大体同じくらいの炭素が排出されています。現在のボイラーやエアコンは電気を多く消耗します。モデルYとともに出てきたHVAC(空調システム)について詳しく教えてもらえますか? また、室内のシステムに使うことは可能ですか?

Drew Baglino
できます。モデルYと今のモデル3のポンプシステムで焦点を当てたのが、パワートレイン、バッテリー、キャビン、室内外など車の全体に、それからマイナス20℃〜30℃の環境で熱を全体に行き渡らせられる、きっちり統合されたシステムをどうやって作るのか、ということでした。家の暖房や冷房、水道にも確実に同じことが言えます。イーロン?

Elon Musk
その通り。熱とエネルギー貯蔵両方のバッテリーを使える車のヒートポンプはすごいものです。家用の温水暖房も同じです。カナダの発電・蓄電システム、暖房、冷房、フィルター、浄水をまとめた統合ホームシステムのポテンシャルがあると思います。プロトタイプを作ったというわけではありませんが、コンセプトとして持っておくのは良いですね。

手が届きやすい価格の車を提供したい

Martin Viecha
3つ目の質問は、「長期の目でみた顧客のマス層が、自動車ビジネスでの収益目標である2桁台前半を達成するのが不可能となるような値下げを要求してきた場合、応じますか?

Elon Musk
車はもっと手の届きやすい価格にしていきたいです。価格に見合った商品かというのと、手の届きやすさは分けて考えるのが重要です。どんなに価値があっても、商品の価格が高すぎたり、顧客の銀行にお金がなかったら単純に彼らは物を買えません。よってちょうど買える値段に設定することが重要なのです。

私達の商品に求める水準は低くないですが、買い求めやすさは欠けている部分です。人々の手が届くよう、商品価格を改善する必要があります。時間が経つにつれさらに多くの車を届けたいですし、生産コストも改善したいです。毎年少しずつ良くなってきています。収益性については、自動運転を考えると全体的に面白いくらい小さなものになるでしょう。

Drew Baglino
2つ付け加えたいことがあります。まず間違いなく、私達はできる限り生産量を押し上げ続けています。イーロンが先程S字曲線とタイムライン上で工場がどのように表されるのか話しましたね。トップスピードで現実的にできるところでボリュームをどんどん増やしているんです。

2つ目のコメントは、過去1.5年の会社の経緯を見ると、数回価格を下げたにも関わらず生産量と総利益が増えました。またこの期間にOPEX(事業経費)も安定してカットしました。

ここで鍵となるのが、イーロンが話したことです。車両をさらに求めやすい価格にしなければなりません。COGS(売上原価)だけでなく、OPEXのコスト構造を改善し続ける必要がありますが、これは過去1.5年でかなりの成功をしており、車両の価値も同時に上がっています。車のコスト削減に加え、車そのものも良くなっているのです。これが生産量を増やす公式です。ここに焦点を当てているのです。

Martin Viecha
ありがとうございます。機関投資家から4つ目の質問、「蓄電設備の設置数を再び増やし始めるのに十分な内部・外部バッテリー量を確保できるのはいつになりますか?

Elon Musk
蓄電設備はどんどん増やしています。来年には倍になります。どんどん加速させたいですね。

Drew Baglino
今年も倍にするということは、成長は……

Elon Musk
そうですね、倍にし続けていけば宇宙規模になりますね。木星をセルに変える必要が出てくる。

Martin Viecha
機関投資家から最後の質問です。「生産は難しく、遅れが生じます。ベルリンやテキサスでのモデルYの生産目標を達成するのに内部でのセル生産が役立つと思いますが、支障が生じた際にどのような対策を考えていますか?

Elon Musk
内部でのセル生産にほとんど依存することがないようにして2021年のリスクをなくそうとしています。2022年の拡大時期に内部セル生産は役立ちますが、21年にはそれに頼りません。

Andrew Baglino
生産システムそのもののリスクをなくすために、フリーモントにパイロット版設備を作りました。生産規模拡大のために、製品と設備のフィードバックを重ねながら素早く作り上げていったのです。

Elon Musk
パイロット版の生産ラインはかなり大きいです。セル工場としては地球上でもトップ10に入るんじゃないかな。

Martin Viecha
ありがとうございます。ではオンラインのアナリストからの質問に移ります。シェリー?

オンラインでの質疑応答

初めの質問はWolfe ResearchのRod Lache氏からです。どうぞ。

Rod Lache
こんにちは。バッテリーデーで言及されたターゲットについて質問です。2030年までに2,000万台という話でしたが、例えば2025年などもう少し中期でのターゲットについての情報を共有してもらえますか。それに必要な投資額は?

Elon Musk
指数関数的な動きの途中経過を予測する時にトリッキーなのが、毎年倍になっていくとか、50%の成長だけだとしても、1年ずれるだけで結果に大きな影響が出るところなんです。なのでそれは多すぎるとか、少なすぎるとかいう話になるのですが、それが巨大なS字曲線です。多数の大きなS字曲線が合わさって巨大なS字曲線になります。よって中期を予測するのは困難です。それから確実に2,000万台とは言っていませんが、良い目標ですね。毎年世界の車両の1%を変えられるのですから。化石燃料の1%を取り換えているのでなければ、世界を変えているとは言えないですね。

2,000万台という数字は、少なくても年間1%の車両を変えていなければ話にならない、ということなんです。世界の車の台数は増えていますので、将来はもっと数字が増えるでしょう。2030年に2,000万台と言いますが、それをこねくりまわして数値はどんなものだか見ているのです。

固体電池〜リチウムだけでできた負極はそこまで素晴らしいものでもない

Rod Lache
分かりました。2つ目に、固体リチウム電池が出てくるとして、それについての意見を聞かせてもらえますか? テクノロジーが変わったら現在使っているものを他の目的に使えますか?

Elon Musk
まず初めに、セル生産システムは難しくて、負極、正極、電解質なんかもよく分からないものなのです。セルのあらゆる面は変更が可能です。例えば、リン酸鉄(リチウムイオン電池)やニッケルマンガンを作る事は可能だし、私達も対応できます。でも純粋にリチウムだけでできた負極はそこまで素晴らしいものでもないんです。体積面でリチウムのみを使うと良い部分があまりないのです。

Drew Baglino
リチウムの密度はシリコンと混ぜられたものよりも低いです。プレゼンで見せた通り、負極のコストはキロワット時間当たり1、2ドルです。よって負極の原料を変えることにあまり価値がありません。

Elon Musk
その通り。でもリチウムだけで作られた負極が正しい方向性だと分かったら、それに適応するのに問題はありません。

司会者
次の質問はOppenheimerのColin Rusch氏からです。どうぞ。

Colin Rusch
様々なプロセスに関して内部生産の話をしていますが、どの設備を内部生産にし、どの部分を外注にしますか?

Elon Musk
セル生産についてですか?

Colin Rusch
セル生産もそうですが、前に話していた鋳造に関してもです。CAPEX(資本的支出)予算について話していましたが、どの設備を内部で作るか、買うかという部分です。

テスラを真似するのは非常に難しい

Elon Musk
分かりました。テスラは自動車会社だけでなくどんな種類の会社よりも極めて垂直統合が進んだ会社です。自分達で作り上げた巨大な内部生産技術を抱えています。言葉通り、機械を作るのです。何を作りたいかを考えて、機械の設計をし、機械を作るんです。

だからテスラの真似をするのは非常に難しいんです。実際僕たちは真似されるのに抵抗はないのですが、カタログ通りのエンジニアリングをやっているわけではないのでそれは非常に難しい。カタログを見て、この機械とあの機械を買ってテスラと同じようにしよう、とはできないのです。

カタログがないから、僕たちは自分で機械を作り、その機械が次の機械を作り、またその機械が次の機械を作り……終わりませんね。正直、アウトソーシングはなるべくしたくないのです。できたら良いんですけどね、アウトソーシングができたら、それに関わっている人に別のことをやってもらえる。でも、僕たちは内部で尋常じゃない量の機械を作っています。テスラはよく理解されていません。工場を歩き回れば、少しは何か感じるかもしれません。これがスマートなやり方かは分かりませんが、先に進もうとした時に必要な機械を誰も持っていないならば、自分で作るしかない。だからやるのです。

Colin Rusch
分かりました。2つ目の説明ですが、バランスシートがかなり変わりました。かなりすり減ったあと、現時点では大きな余剰ができました。それに、オーナーシップや財務面のコストをなくせる保険事業のチャンスもあります。需要を喚起し、資金を使って(車以外の)他の商品を有効活用することに関しどう考えていますか? 過去とは変わってきていますか?

Elon Musk
保険はテスラの内部アプリケーションチームが作った商品の良い例です。保険商品を作り、車に繋げ、データを見てリスクを計算する。これはすべて内部ソフトウェアプリケーションでなされています。

必要な資金は低く、リターンは大きい。今の計画は現金をできるだけ速く使い、無駄にしないことです。とにかく無駄にしないようにしています。一切無駄にしないのは難しいのですが、分別のある使い方をし、コストよりも価値が出るように、出来る限り素早く使おうとしています。

司会者
次の質問はモルガン・スタンレーのAdam Jonas氏です。どうぞ。

LiDARは、無料でも使わない

Adam Jonas
LiDARに関する質問です。もしLiDARが無料だったなら、車に使いたいと思いますか? このテクノロジーはFSD用のニューラルネットワークのトレーニングにとても役立ちますか?

Elon Musk
ただでも使わないと思います。

Adam Jonas
分かりました。続けましょう。Amazonが自動運転や電気交通網に投資しているようですが、Zuk、Aurora、Rivianなどにも投資していますジェフ・ベゾス氏の努力にアドバイスはありますか?

Elon Musk
彼がどの位本気なのか分かりませんが、多くの資金を投資していますね。自動運転に取り組むなら、ビジョンに焦点を当てる必要があります。道路システムの全体がオプティカルフローを基にした作りになっているからです。

オプティカルフローが自動運転システムのソリューションになります。これを解決すれば、自動運転に付随する問題は解決される。だったら他のことをやる必要はないんじゃないですか。

Adam Jonas
ありがとうございます、イーロン。

Martin Viecha
次の質問に行ってください。

司会者
New Street RerearchのPierre Ferragu氏からの質問です。どうぞ。

Pierre Ferragu
質問させてくれてありがとう。非常に簡単な質問です。サイバートラックについて今日はあまり話していませんでしたね。あの商品の生産量の拡大具合はどうなっていますか? いつ路上で見られるようになりますか?どの位の速さで大量生産できるようになりますか? 答えを聞いたあと、さらに簡単な質問をしたいと思います。

サイバートラック。画像はテスラ公式サイトより。

サイバートラックのデリバリーは2021年末までにスタートしたい

Elon Musk
実は先週金曜日にサイバートラック改良のためにチームとスタジオにいたんです。既に発表されているよりも良いものを作ることを目標にしています。自動車会社はいつも素晴らしい見た目の車を発表して、それが作られるのが待ちきれない、っていう気分にさせられます。で、実際の出来はそれよりもかなり悪い……なんでそんなことをするのでしょう?

そういうわけで、僕たちは発表時よりも良い車を常に届けたいと思っているんです。サイバートラックのゴールもそこにあります。発表されていたよりも、多くの小さな改良ポイントがあります。オースティンで作られますので、この工場の完成にかかっています。それから非常に硬い外骨格に関する新しいテクノロジーもあります。今までに無かったものですので、途中でさらに挑戦もあるでしょう。

それから、これだけ固くて傷がつかないものを形成するのも難しいのは明白です。ここで製造面での挑戦が出てきます。だからこれだけクリーンな見た目なんです。

上手く行けば、サイバートラックのデリバリーは来年の終わりに始められるでしょう。予測するのが難しいのですが。来年末までに多少、2022年には多くのデリバリーができると思います。

来年の生産台数は100万台レベル?

Pierre Ferragu
分かりました。さて来年がどのようになるのか知りたいと思います。今年末の生産規模を見ると、年85万台となります。上海の生産量を増やし、ベルリンをオープンしますね。オースティンもオープンすると今日あなたは言っていました。よって恐らく100万台を超えると思われます。来年1年のデリバリーが84万台から100万台の間になるという私の予想は合っていますか?

Drew Baglino
次の総会の後で2021年のガイダンスを提供します。

Elon Musk
その辺の数値です。遠くないところにいます。

Pierre Ferragu
ありがとうございます。

司会者
次はCredit SwissのDan Levy氏です。どうぞ。

Dan Levy
こんばんは。今期に関する質問から入りたいと思います。ザック、モデルYと中国製モデル3の売上総利益はフリーモントのモデル3に比べてどうだったのか、教えてもらえますか? また売上総利益についてももうちょっと詳しく知りたいです。生産量が増えたおかげだったのか、それとも完全自動運転からの収益もありましたか?

Zachary Kirkhorn
完全自動運転に関しての質問ですが、少しの量ですが収益化の先延ばしをしました。今期の1,000万ドルの幅では特別重要なものではないのですが。商品利益に関しては、すべての商品のコスト削減からきています。

上海はうまくいっています。モデルYも生産量が増えるにつれコストがどんどん下がっています。過去にモデルYのコストは大まかに言ってフリーモントのモデル3と同じ位になるべきだと説明しました。まだそこまではいっていませんし、フリーモントのモデル3のコストも下がってきておりターゲットは動いています。モデルYのコストも一緒に下がるべきです。でも基本的には上海の収益性やモデルYの収益性の強さが見えています。フリーモントのモデル3、S、Xの収益も遠からずです。商品にとっては良い四半期でした。

Dan Levy
素晴らしい、ありがとうございます。それを踏まえてお聞きしたいのですが、ヨーロッパでの戦略についてです。基本的な戦略は、コストカットをし、価格を下げ、生産量を増やす、というものですね。中国でのLFP(リン酸鉄リチウムバッテリー)の活用が良い例だと思います。

そこでベルリンの大量生産がはじまった際、欧州での価格はどのようになりますか? 規制クレジットでの収益を増やすため、価格設定はどれくらい柔軟になるのでしょうか。車からの直接の収益を少なくする代わりに、規制クレジットで相殺するという考えです。

Zachary Kirkhorn
製品を世に出すのをしばらくの間優先事項としてきました。製品によって、色々な変化が加わったり、物流のルートが変わったり、市場によって様々なことも起こっている中、価格を決めるのは難しいものです。ここで優先したいのはできるだけ早く大量生産の規模に辿り着くことで、それ以上(大量生産するにはどうしたら良いのかを)考えなくて済むようになることです。

Martin Viecha
次の質問に行きましょう。

司会者
次の質問はLoup VenturesのGene Munster氏からです。どうぞ。

Gene Munster
セミトラックに関しての質問です。メガチャージャー、プラトーン(自動追従機能)、それからできたらテスラ・セミの自動運転に関しての考えを聞かせて下さい。それからEVを超えてトラック業界にセミが与えるインパクトについてどうなると思いますか?

テスラのセミ・トラック。画像はテスラ公式より。

セミのメガチャージャーは出力350kWでも十分ではない

Jerome Guillen
セミの開発は続けます。メガチャージャーに関してですが、想定していた350kWが、セミには十分ではないと分かりました。よって休憩時間に充電が終わるよう、もっとパワフルなものを模索し始めました。セミを充電するためだけに時間を無駄にすることがないようにしたいのです。それが目標です。スタンダードなインフラをすべての顧客が使えるように設置するため、第三者機関とも協力しています。すべての人に役立つものを提供するために動いています。

Elon Musk
セミに関してですが。セミには多くのセルが必要になります。乗用車の5倍ほどです。セルの数に制限があると、セミの大量生産が難しくなります。よってセミの大量生産に入る前に、セルの問題を解決する必要があります。セミの進捗でここだけが問題です。

セル生産の制約問題には何度も直面しています。色々こねくりまわしてどうにかしています。さらに多くの蓄電システム、車両、車両生産ラインのためにも、もっとセルが必要です。

Gene Munster
なるほど。ここで質問ですが、ロボタクシーとそれが人の動きに与える影響について話していましたね。長期で見た際にセミが運送業界に与える影響をどう考えますか? これは単に新しい市場でテスラのテクノロジーを補完するのに役立つものなのか、実質的なビジネスなのか。

Elon Musk
かなり実質的なものです。かなり長い視点で見ると、すべての交通は自動運転になります。なのでセミの数も増えるし、結構なものになります。

Zachary Kirkhorn
セミに搭載しているテクノロジーは、他の車両に搭載しているものとまったく同じです。

Elon Musk
そうですね。単により大きくて、モーターの数も多いだけです。

古い企業がテスラに追いつけない理由

司会者
次の質問はBairdのBen Kallo氏からです。どうぞ。

Ben Kallo
古いタイプの企業が持つ構造的問題の最たるものは何だと思いますか? 複数の企業が協力してテスラに追いつこうとしていますが、ここの問題点は? またあなたは世界に自分達の先を行ってほしいと話していました。どのような未来の話ですか?

Elon Musk
将来他の自動車会社も存在すると考えています。テスラだけにはなりません。しかし他の自動車会社が自動車業界でやっていることは、テスラの小さい一部分だけ切り取ったものです。

テスラは設計と構築をします。垂直統合がかなり進んでいます。既存のサプライベース、私はカタログ・エンジニアと呼んでいますが、主にそれに頼っている他企業よりも、設計・構築をしている部分が多いのです。他企業はこの仕組みのせいであまり冒険をせず、古い商品と同じようなものを作るのです。

他企業は既存の構成品を継承すると同時に、既存の制限とコスト構造も受け継ぐのです。新しい素材、パーツなどを必要としても、それを作る機械がありません。新しいパーツを作るには新しい機械を作る必要があります。その点でテスラは他の自動車会社に比べてかなり垂直統合されています。今そうでないとしたら、将来確実にそうなるでしょう。

また40の国、そのうち100以上の国で、セールス、サービス、配送のシステムを作り上げなければなりません。他の企業はこれをやっていません。

(他企業は)部品の入っている桶から組み立てをして、ディーラーに渡すような感じです。ただのセールスを自動車会社と比べていると言うか、テスラの一部分にしかならないことをやっているのを、テスラ全体と比べている感じです。テスラと他企業で共通しているのは10%位じゃないでしょうか。

Martin Viecha
最後の質問に行きましょう。

司会者
JefferiesのPhilippe Houchoisから、今日最後の質問をどうぞ。

Philippe Houchois
2つあります。1つ目ですが、テスラの蓄電システムのビジネスモデルを理解しようとしましたが、大きく2つの方向性があります。1つ目はハードウェア販売で、コストプラスビジネスのようです。テスラが電力事業で得た資金を共有し、例えば電力網の安定化をすることはできますか? 数年前のオーストラリアのビジネスで得た資金を見ると、ハードウェアはもっと高い値段で売ることができたはずです。ビジネスがどう動いているのか教えていただけますか?

テスラの大規模蓄電池の成功がもたらした驚くべき結果
テスラが豪州南オーストラリア州に設置した大規模蓄電池

テスラが電力網の安定化にも貢献する

Elon Musk
正しいと思います。RJ、ザック、どう思う?

Zachary Kirkhorn
オーストラリアでは既に(顧客が発電した)電気を電力網に送り返すことにより、顧客と電力会社双方向で価格が下がってきたのが見られます。この傾向は世界中で見られるようになります。そして住宅レベルと大規模ビジネスレベルの両方に起こります。

メガパック(大規模ビジネス)とパワーウォール(住宅)を組み合わせ、Autobidderというソフトウェアのレイヤーをかぶせ、ハードウェアプラットフォームとソフトウェアを同時に使えば、電力網をもっと効率的にできます。

RJ Johnson
それからはっきりさせておきますが、オーストラリアにある最大の蓄電パワープラントのように、私達は市場で収益を上げ続けます。システムそのものの売り上げが減っても、パワープラントからの収益は上げ続けられます。

玩具を作るように車を作る

Philippe Houchois
ありがとうございます。続けての質問なのですが、バッテリーデーにセルの車両統合アプローチについて話していましたね。非常に面白いです。それを踏まえて考えると、今多くの車が使っているスケートボードデザインは廃れていきますか?

Elon Musk
長期的には使われなくなります。何年も経ってからですが。あるパックが車の構造を支えているとして、上下のプレートをその構造は蜂の巣のように支えており(※蜂の巣の形は構造上外部からの力が加わった際に壊れにくい)、(この支えは)2つもいらないわけです。重くなるし、コストもかかる。これはフロントとリアの鋳造にも同じことが言えます。

玩具を作るように車を作ろうとしているんです。ミニカーだったら、本当に安くて見た目も素晴らしい必要があります。それをどうやって作るのか、鋳造で作ります。型押しされたメタルの小さな部品を複雑な方法で組み合わせるなんて馬鹿げています。なので自然な方法です。蓄電システムや、バッテリー構造にも同じことが言えて、飛行機の翼やロケットもそうです。

航空産業でも、昔はロケットの翼の部分と燃料部分が別々になっていたのですが、それが意味を成さないとみんな気付きました。それで統合されたんです。燃料タンクを翼の形にしたり、ロケットのボディの形にしたのです。箱の上に箱は作らない方が良い。僕はこのことを1年で考えたわけではありません。何年もかかりました。時間が経てば、また違った構造を持った方が競争力が高まると考えています。

Martin Viecha
ありがとうございます。残念ですが今日の質疑応答の時間は終了です。素晴らしい質問をありがとうございます。大体3カ月以内にまたお会いしましょう。さようなら。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)5件

    1. EVに不必要な化石燃料車に関わる人材、工場ライン、
      ディーラー網、莫大な広告宣伝費
      BEVの天下になればそれらレガシー資産が無駄なコストとなって業績悪化の要因となる訳で。
      それ等を最初から所有していない、投資していないテスラの強みになるのでは無いでしょうか?

  1. 断片的に伺っていた内容もまとめて頂き理解できました。
    質疑応答を読んでテスラ社の体質は、会社の有り様すら全く新しい物なんですね。
    競合他社は、既存のビジネスを淡々と繰り返し続けて来たことは、堅実とも思えますが成長は止まっていると言えますね。
    テスラのイノベーションは、製品だけでなく働く人々にも当てはまると思いました!
    翻訳に感謝します。
    ありがとうございます。

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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