テスラが2022年第1四半期の台数速報を発表〜2期連続で30万台超えを達成

テスラ社は2022年4月2日(現地時間)、2022年度第1四半期(2022年1月~3月)の生産台数と納車台数の速報値を発表しました。いずれも前年同期比で70%近い伸び率になり、30万台を超えました。半導体不足やコロナ禍が続く中としては上々の2022年の滑り出しと言えそうです。

テスラが2022年第1四半期の台数速報を発表〜2期連続で30万台超えを達成

前年同期比で70%増を記録

電気自動車(EV)メーカーのテスラ社は週末にあたる2022年4月2日に、2022年度第1四半期の生産台数と納車台数の速報値を発表しました。生産台数は、『モデルS/X』が1万4218台、『モデル3/Y』が29万1189台で、合計30万5407台となり、2期連続で30万台を超えました。

発表データを元に作成。

納車台数は、『モデルS/X』が1万4724台、『モデル3/Y』が29万5324台、合計31万0048台で、こちらも2期連続で30万台を超えました。

ただ、この1年間は四半期ごとに伸びていたのが、前期比では横ばいにとどまりました。複数のメディアが31万台以上というアナリスト予想を伝えていましたが、わずかに届いていません。

テスラ社は、「サプライチェーンの課題と工場の閉鎖が続いているにもかかわらず、30万5000台以上の車を生産し、31万台以上を納入しました」とコメントしています。社会情勢を踏まえると、第1四半期の結果は満足できるものだったようです。

サプライチェーンの問題は継続

こうした結果についてテスラ社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はツイッターにこう投稿しました。

「サプライチェーンの中断と中国のゼロコロナ政策により、*非常に*困難な四半期でした。テスラチームと主要サプライヤーによる優れた仕事が、その日(the day)を救いました」

テスラ社はこれまで、使用するチップの変更などで世界的なサプライチェーンの状況悪化を回避してきました。それでも、半導体不足が長引く中で影響は避けがたいようです。

加えて2022年が明けてから中国で新型コロナの感染が広がり上海エリアがロックダウンされた中で、テスラ社の工場も3月最後の4日間、生産を停止したとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じています。テスラ社は各地域の生産台数を公表していませんが、WSJによれば上海は昨年、47万台を生産しました。だとすると4日間の生産停止で5000台強の減算になりそうです。

余談ですが、マスクCEO自身も2度目のCOVID-19陽性の可能性があり、コロナ禍の厳しさを改めて感じているようです。

ところで2022年の大手自動車メーカーの状況を見てみると、GMが4月1日に発表した第1四半期のグローバルでの生産台数は前年同期比で20%の減少でした。

トヨタも2022年1月~2月に、北米と欧州で主にサプライチェーンの問題により前年同期から生産台数が減少しています。ただし中国では前年超えで、日本を除くアジアの他地域も前年がコロナ禍の影響で低調だったことから、今期は前年超えになっています。

このような状況の中、テスラ社が30万台超の生産/納車台数を確保したことは、EV、特にテスラの需要が堅調に推移していると考えて良いのではないかと思います。

大幅な値上げでも販売台数は伸びる見通し

他方、楽観視できない要因があるという見方を示すメディアもあります。日経新聞は2022年4月3日、速報値を伝える記事の中で、「価格破壊でEVの普及を加速させる従来の成長シナリオは転機を迎えている」とし、『モデル3』の価格が過去1年間で1万ドル値上がりしたことを取り上げています。

そして、テスラ社とは別に、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターを例に、値上げが「電動化戦略の出ばなをくじくおそれもある」と予想しています。

『モデル3/Y』の値上げについてはWSJ(2022年4月2日付)も、過去1年間で30%も上昇したと報じています。ただしWSJは、それでも納車が年間150万台に達するだろうというアナリストの見方を伝えています。

マスクCEOは3月、テスラ社とスペースXは原材料と輸送について重大なインフレ圧力があるとツイートしています。昨年11月には、年間を通してサプライチェーンは悪夢のような状況であって、まだ終わっていないとも書いています。

大幅な値上げはこうした状況に対応するための施策でした。ただ、これほど値上げ幅が大きかったのにもかかわらず、生産/納車台数は減っていません。テスラ社に関しては、むしろ大幅な値上げにもかかわらず従来の拡大傾向を維持している事に驚きを感じるのです。

ベルリン工場稼働の結果は次の四半期に

GIGA FACTORY BERLIN – BODY SHOP ※2021Q4レポートより引用。

2022年3月には、法律上の手続きの関係で始動が遅れていたベルリン工場が稼働を始めました。テスラ社は各地域の生産台数を公表していませんが、複数の報道によれば、ベルリン工場は年間50万台の生産が可能です。

テスラ社は前期(2021年第4四半期)に初めて生産台数と納車台数が30万台を超え、年間の生産/納車台数がともに93万台強となり、100万台の大台まであとわずかに迫りました。ここにベルリンの数字が上乗せになると、それだけで年間150万台に手が届きます。

そこまで順調にいくかどうかはわからないし、またニューヨーク・タイムズが伝えている一部アナリストによる年間200万台になるという予想は楽観的すぎると感じますが、素人考えにしても悲観視する要因もあまりないように思うのです。

もちろん、ウクライナ情勢の悪化によるエネルギー危機という最悪のシナリオは否定できません。BBCは先日、イギリスの家庭では年間の電気代が10万円ほど上がる可能性を報じました。

ただエネルギー問題はEVに限ったことではなく、原油価格の上昇は既存の内燃機関の車すべてに影響します。テスラ社だけの問題ではないので、あまり論じてもせんないことです。

さて、7月に発表される第2四半期には、ベルリン工場の実績が反映されるはずです。ここがどんな数字になるかで、年間の見通しが明確化してくると思われます。刮目して待て、です。

そういえばテスラ社がベルリン工場での生産の様子をYOUTUBEで公開していました。生産ラインに沿ってドローンで撮影したようです。

ということで、次は4月20日に、テスラ社の第1四半期の決算発表が予定されています。結果が出たら、できるだけ早くお伝えする予定です。

(文/木野 龍逸)

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					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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