急速充電可能なPHEV〜メルセデス・ベンツ『A250eセダン』に試乗【吉田由美】

メルセデス・ベンツAクラスのプラグインハイブリッドモデルである『A250 e Sedan』にカーライフエッセイストの吉田由美さんが試乗。急速充電も試してみた試乗レポートをお届けします。

急速充電可能なPHEV〜メルセデス・ベンツ『A250eセダン』に試乗【吉田由美】

コンパクトモデルで初めてのPHEV

私たちジャーナリストはほぼ毎週のように試乗会に参加したり、気になる車種の広報車をお借りしてたくさんのクルマに試乗します。試乗会などでは「数時間程度」ということも多いのですが、今回は11日間。少し長めに試乗してみると「プレスリリースにも書かれていないことを体験できることがある」。そんなことを実感したメルセデスベンツ新型『A250 eセダン』の試乗レポートをお届けします 。

Aクラスはメルセデス・ベンツの最小モデル。新型Aクラスはデザインが一新され、若々しくスタイリッシュになりました。ただし、今回試乗したセダンはベンツらしい落ち着きも感じます。

さらにプラットフォームも完全新設計。対話型インフォテイメントシステム「MDUX」(メルセデスベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)という最新技術がメルセデス・ベンツとして初めて投入されました。コンパクトモデルでも手を抜かない、全方位でベストを目指す手抜きのない姿勢は、さすがメルセデスという印象です。

その、新型Aクラスにプラグインハイブリッド(PHEV)モデルが追加されました。メルセデスベンツのコンパクトクラス初のPHEVです。基本のセダンモデルは普通にラインアップされるものの、ハッチバックの『A250e』は、受注生産となるそうです。

1.4ℓ直列4気筒ターボエンジン+プラグインハイブリッドシステム。

1.4ℓ(カタログスペックでは1332cc)DOHC 直列4気筒 ターボエンジンの最高出力は118kW、最大トルクは250Nm。ハイブリッドモジュールのモーターは最高出力75kW、最大トルク300Nmを発揮してくれます。

ガソリンモデルとの見た目の違いは、エクステリアのサイドにメルセデスベンツの電動化モデルの証「EQ Power」のバッジ。そして、リアに「A250e」の最後の「e」の文字が輝いていること。

インテリアではメーターパネルにバッテリーのマークが表示され、電池の残量などがわかります。

ドライブモードは6つ。デフォルトは「コンフォート」で、ほかに「エコ」「スポーツ」「インディビジュアル」、そしてPHEVらしく「バッテリーレベル」と「エレクトリック」というモードがあります。

「バッテリーレベル」は、充電量を一定レベルで温存し、ハイブリッド走行をするモード。「エレクトリック」は、モーターのみで走行するモード。

パドルシフトでエネルギーの回生量を5段階で調整可能。左側のパドルを手前に押すと、回生量が大きくなり、より強いブレーキとなります。

モーターでの走行ができなくなる直前、アクセルペダルの抵抗がさらに増えてドライバーに知らせる「プッシュポイント機能」を備える「インテリジェントアクセルペダル」を搭載しています。

バッテリー容量は15.6kWh

フロア下には15.6kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しています。

時速140㎞/hまではモーターのみでの走行が可能。バッテリーに電気が残っていれば、ほぼモーターだけで走れるということです。満充電時からモーターのみでの航続走行可能距離は70.2㎞(WLTC)ということです(編集部注※実用に近いEPA換算推計では約56km)。

そして、PHEVとしての大きな特徴が、3.2kWまでの普通充電(200V×16 A)に加えて、24kWまでの急速充電(CHAdeMO)に対応していること。現在、ほとんどの輸入車メーカー製PHEVは、普通充電だけの搭載で急速充電の装備はありません。

国産車では三菱の『アウトランダーPHEV』、『エクリプスクロスPHEV』が急速充電にも対応していて、トヨタ『プリウスPHV』もオプションで急速充電機能対応可能です。

PHEVは「エンジン」と「モーター」で最適な制御を行うハイブリッドにさらに外部から充電できる機能があるので、電欠の不安なく電動ドライブの気持ちよさを満喫できるのが大きなメリット。

とはいえ、出力3kW程度の普通充電だけだと、満充電までには5時間以上掛かります。自宅や通勤する職場のガレージに充電設備があれば問題ないでしょうけど、今の日本の現状ではそこがネックになったりします。

でも、急速充電できるスポットはかなり多くなったので、PHEVでも急速充電可能であれば、たとえば集合住宅に住んでいて「車庫に充電設備がない」という方でもEV走行を堪能しやすいですから、購入へのハードルが下がるように感じます。

充電も3回試してみました

今回、私は10泊11日で総走行距離624㎞の試乗となりました。そのうち充電は3回。給油は2回。

車を受け取った時は、累計走行距離表示2573㎞、航続可能距離は404㎞。EV走行可能距離は満充電の100%で「54㎞」の表示でした。

1回目の充電は普通充電。走行距離表示が2693㎞だったのでここまでの走行距離は120.3㎞。バッテリー残量は1%。所用で行った先に無料の普通充電器があったので繋いでおいたのですが、充電時間は34分だけだったので、EV走行可能距離の表示はわずか4㎞分しか増えませんでした。当然と言えば当然ですが、ちょっと「ガクッ」っていう感じ(笑)。

次の充電はそこから330㎞走行し、圏央道厚木SAで30分の急速充電を試しました。

ここで事件(?)が起きたのです。充電している30分間、私は車内で過ごしていましたが、ふとメーター表示を見ると30分少し前でバッテリー残量は98%! 急速充電器を見ても、止まる様子も無いし。確か「急速充電器では100%にならないはず」と思っていたのですが……。

しかし、その後も充電は止まらず、急速充電器30分の充電で、しっかり100%になってしまったのです。

これには驚きました。というか、それを通り越して少し不安になりました。気のせいか、触ってみると充電ケーブルや車体のプラグ部分も熱くなっている気がするし。念のため、メルセデス・ベンツの広報に電話して「急速充電で100%にしても問題ない?」かどうかを確認すると「問題ない」という返事で、安心はできたのですが。

ちなみに100%でEV走行可能距離は「60㎞」という表示。しかし、驚いたのが電気料金です。私はチャージカードをもっていないのでビジターで充電を行いました。11.4kWh、60㎞分充電できて、30分間の充電料金は1650円。単純に計算して、1㎞走るのに27.5円もかかります。これだと全然お得じゃない、というかむしろ高い。

このあたり、プレスリリースやカタログには書かれていないことなので、実際に試乗して体験しないと気付かないですね。PHEVでも急速充電できれば「購入へのハードルが下がるかも」と感じましたが、充電料金のことを考えると微妙です。

そして最後は仕事で行った某自動車メーカー駐車場で借りた普通充電器。バッテリーはほぼ空の状態から1時間50分の充電でバッテリー残量は33%に。22㎞走行可能分の充電ができました。

ちなみに、メルセデス・ベンツには『Mercedes me Charge』という充電カードがありますが、このモデル発表時の『EVsmartブログ』の記事を確認すると、A250eにはこのカードは付いてこないようです。

充電は、無料のところもあるのでそこを利用するという手もありますが、もし自宅や職場に普通充電器が設置されていない場合はどうすればいいのか。EVsmartブログ編集長に聞いてみると「できるだけ充電しながらA250eを楽しみたいという方は、認証の手間を考えても、ディーラーに相談してMercedes me Chargeに入会するか、日産の『ZESP3』会員になるのがおすすめ」のようです。

【充電カード選択肢の例】

カード種別発行手数料月額料金急速充電料金普通充電料金
Mercedes me Charge普通充電用無料3000円利用不可無料
急速・普通併用無料5720円16.5円/分無料
日産『ZESP3』シンプル1650円550円550円/10分1.65円/分
プレミアム101650円4400円
2750円※3年定期契約
100分相当分は無料
以降385円/10分
無料

ともあれ、今回試乗の総走行距離は624㎞。給油は2回。合計27.34ℓを給油しました。

充電口は急速充電も普通充電も、直に蓋をワンプッシュすればそのまま開きますが、給油口は、車内のドア内側のスイッチを押さなければ開かないようになっています。

このことからも、ガソリンを給油するより、電気を充電することがA250eではデフォルトなんだと感じました。ちなみに、ボディ右側後方にあるのが急速充電口、左側が給油口。普通充電口は右側後ろのバンパーの角に設置されています。この普通充電口が意外とうれしい場所。プラグイン車では充電器の設置場所に合わせて、車を止めなければなりませんが、どんな場所に充電器があっても充電しやすい位置でした。

メルセデス・ベンツらしいハイクオリティを確保

ボディサイズは全長4560m×全幅1800×全高1460㎜。見切りもいいし、室内空間やラゲッジルームにもコンパクトカーという言葉以上の余裕を感じます。最小回転半径は5mで、メルセデスのすべてのモデルに共通する「小回りの良さ」は健在。

選択したドライブモードごとにディスプレイが切り替わりますが、液晶パネルに映し出されるグラフィックが近未来感的。

エンジンのスタートスイッチを押すと、静かにメーターパネルが作動します。発進時もモーターで走り始めますが、発進時の加速は想像通り静かで滑らか、かつ軽やかな加速。車両重量は1690㎏ですが、重さは感じられません。

ドライブモードを「エコ」「コンフォート」「スポーツ」と変えても、「エコ」がスタンダードだとしたら、期待通り。モーターで走行している途中で、エンジンに切替わっても、あまりに静かで滑らかに変わってしまうので、よっぽど意識しないと気が付かないと思います。

ハンドリングはクセが無く、自然なので誰にでも扱いやすいと思います。まさにバランスの取れたクルマだと思うのですが、ちょっと気になることが一点。信号待ちで停止する際に、変な止まり方をすることがありました。たぶん「エコ」モードでだと思うのですが、停止する直前にガガガと引っかかる感じが。シフトダウンが上手くいかない領域があるのかもしれません。それまでが滑らかなだけに余計に気になるのかも。

センターディスプレイの「EQ」モードスイッチも、メルセデスベンツのEQシリーズならでは。「充電オプション」「消費」「エネルギーフロー」「車両」「エンジン」「取扱説明書」などが表示されます。

もちろんA250 eにもクラス最高レベルの安全性能を誇る「インテリジェントドライブ」は標準装備されています。さすがメルセデスベンツ。すべてのモデルで高いクオリティを確保していることを改めて実感できる、ちょっと長めの試乗となりました。

(取材・文/吉田 由美)

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この記事の著者


					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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