XEAMが導入する『ZERO DS & FXS』試乗記〜中高年ライダーの爽快! 電動バイク初体験

電動バイクブランド『XEAM』が導入した『ZERO』の軽二輪モデルに、自動車評論家の諸星陽一氏が試乗。最近は四輪車ばかり運転していてバイクは久々。「コケないように」注意しながら、まずは軽二輪モデルの『DS』と『FXS』の紹介です。

XEAMが導入する『ZERO DS & FXS』試乗記〜中高年ライダーの爽快! 電動バイク初体験

実は、電動バイクに乗るのは初体験でした

最近、SNSなどを見ていると同年齢の人達が一度乗ることをやめていたバイクにふたたび乗り始めていることを知ることが多い。もう数年前から言われているが、いわゆるリターンライダーが増加しているのは明らか。というか、バイクに乗っている若者はほとんど見かけることがなく、バイクに乗っているのは中高年ばかりだ。

かくいう私は3ない運動真っ只中に高校生活を送っている。にも関わらず16歳で原付免許を取得し、その原付に乗って教習所に通い中型免許を取得、のちに限定解除という免許歴だ。大きな事故も経験し、高校は4年間通うハメとなったが、純粋にバイクが好きで、距離も台数も年数もずいぶんと乗ったものだが、ある日を境にぱったりと乗らなくなってしまった。ある日がいつだったのか? なんて覚えていないが、20世紀末に状態のいいCB750を中古で手に入れたのが最後の所有車だった。

私はまさにリターンライダー世代ではあるのだが、リターンはしていない。クルマ関係の仕事をしていると、ホンダやBMWといった2輪も製造しているメーカーのイベントなどで、たまにバイクに乗る機会があるのだが、乗るたびに「こりゃあ、スーパーカブからリハビリしないととてもじゃないけど乗りこなせないな」と痛感させられることばかりだったのだ。

乗るチャンスのあるバイクと言えば、比較的ハイパフォーマンスのものが多く、しばらくバイクから離れていた者にとっては、お気軽に乗るには畏れおおい高性能。

4輪は安全デバイスによってたぐいまれなる乗りやすさを確保した。アクセルを踏みすぎてもスピンすることはないし、ステアリング操作がおぼつかなくても、デバイスの助けを得てそれなりに走れる。30年前に600馬力のクルマを乗ることはそれなりにテクニックが必要だったが、今は誰でも乗れてしまう。

しかし、これがバイクとなると話は違う。現代のバイクはパワーもあるし、ABSなどの安全デバイスも装備されている。しかし、バランスを崩すとコケる……これは今も昔も変わらない。しかも、走り出す前にコケることもあれば、走り出した瞬間にコケることもある。

そんな弱腰の私に、EVスマートブログ編集長が「電動バイクに乗ってみませんか?」と声を掛けてくれた。せっかくの声掛けだし、電動バイクはスイカヘルメットのスクーターですら乗ったことがないのだから、これはこれでチャンスである。何事も経験してみなければ話にならない。

まずは、軽二輪規格の『DS』と『FXS』に試乗

参加したのは、電動バイクブランド『XEAM(ジーム)』が開催したプレス向け試乗会。ジームではかねてから「バイクのテスラ」と称される『ZERO』の『SR/F』という大型バイクを並行輸入で発売しており、今回新たにSR/Fをよりスポーティにカウルで固めた『SR/S』という大型バイクと、軽二輪規格の『DS』、『FXS』というモデルを導入。そのお披露目を兼ねた試乗会を開催したというわけだ。ZEROは2006年に起業したアメリカの電動バイクベンチャーである。

試乗会のあらましやジームを展開するMSソリューションズの塩川社長へのインタビューは、先日編集長が記事にしていたのでそちらもご一読いただきたい。

試乗車は4台が用意されていた。最初に乗ることなったのはDSというモデル。モーターの最高出力は34kW(46馬力)、最大トルクは106Nmで免許は普通自動二輪(AT限定可)となる。

そう、電動モデルなのでミッションもクラッチも存在しない。カタログ記載の最高速は158km/h。つまり、右手首のひねりだけで158km/hまでをコントロールできる。システムを起動すればすぐに動き出してしまうので、右側スイッチボックスにあるモーターストップスイッチを走行モードにするという操作が必要だ。これがないと不用意にアクセルが操作された際に危険だ。もちろんサイドスタンドを収納しなければ走り出すことができないのは、通常のバイクと同じだ。

試乗会ベースとなった駐車場で恐る恐るアクセルをひねって発進してみると、これがビックリするくらいに乗りやすい。車重は144kgで比較的軽い部類に入るのだろう。エンジン車の場合は高い位置に燃料を搭載する必要があるが、電動バイクは重心も低いようで安定感がある。

シート高は843mmと高めだが、シートが細身なので足つき性も悪くない(私の身長は172cmで、決して足が長いほうではない)。そして、電動バイクの素晴らしい部分に気付いてしまった。電動バイクはエンストしないのである。スクーターを除けばクラッチ付き、ミッション付きのエンジンバイクしか乗ったことがない筆者にとってはなかなかの衝撃的出来事だ。クラッチをつないだ瞬間にエンジンが停止、同時にバランスを崩してその場で立ちゴケする……、周囲の嘲笑と哀れみに満ちた目はもう二度と見たくない。

道路に出てみてもその乗りやすさには変わりなかった。ポジションは立ち気味で、背筋を伸ばし、腕を伸ばして乗るようなタイプ。タンク(ではないが?)が細身なので、ニーグリップは少しやりづらい。アクセルを開けて行くとスムーズにそして力強く加速を得られる。

クラッチレバーがないということからスクーター的な乗り味を想像していたのだが、まるで違う。クラッチレバーもミッションもないが、ライドフィールはエンジン車にずっと近い。よくよく考えてみれば、スクーターはミッションがないのではなく、CVTを介している。そこの違いがこのフィールの違いを出すのだろう。そして、風を切る音、適度なメカニカルノイズはバイクらしさにあふれていた。

続いて乗ったのはFXSというモデル。パワーユニットはDSと同様で最高出力は34kW(46馬力)/106Nm。車重はDSよりも軽く133kgとなっている。シート高は836mmでDSよりも低くさらに足つき性がいい。

DSはオフロードよりのブロックパターンタイヤ(ピレリMT-60)を履いていたが、FXSはオンロードパターンのタイヤ(ピレリ・ディアブロロッソⅡ)であったこともあり、グリップ感が高い。FXSもDSも「エコ」、「スポーツ」、「カスタム」の3種の走行モードが選べるようになっている。カスタムはオーナーが好きなセッティングができるものなので試乗時は試さなかった。

スポーツモードは加速強め&回生多め、エコモードは加速若干緩め&回生少なめというものだ。クラッチもギヤもない電動バイクではこのモード切替がバイクの性格を左右する。スポーツが4速ギヤ固定だとすればエコは5速ギヤ固定という雰囲気。アクセルの操作に対して敏感に反応するのはスポーツで、戻した際もなかなかしっかりした減速感があって単気筒車のような印象。エコモードでもスポーツモードほどでもないが、しっかりした減速感があり、いわゆるコースティングにはなっていない。バイクでコースティングはちょっと危険なので止めたほうがいいので、この設定は正解だ。

さてFXSに話を戻そう。DSに比べて11kg軽いのはかなり効いている印象で、より軽快にヒラリヒラリと……走れそうである。ずいぶん慣れたとは言え、DSに試乗した1時間弱では、さすがに身体が戻ってきていない。妙にあちこちに力が入るのだが、それでも不安なく走れてしまうのがFXSのすごいところと言えるだろう。

ただ、DSもFXSも足つき性はそこそこいいのだが、シート後方が高くなっているため、大きく足を上に上げながら回し込まないとならない……、実はこの動作がけっこうキツかった。

DSはJ1772プラグで短時間での充電も可能

充電については、DS、FXSともに100Vまたは200Vのコンセントから可能。DSの充電時間は5.2時間、航続距離は132km。FXSの充電時間は9.7時間、航続距離は161kmとなっている。カタログには100Vと200Vの充電時間は同一と記載されていた。

またDSはチャージタンクと呼ばれるオプションを取り付ける(導入されるのは装着車)ことで1.5時間まで短縮が可能。コンセント充電だけでなく、一般的なEV用普通充電器のJ1772のプラグも使用可能で、コンセント+普通充電という方法も採れる。

発電器からの100Vと普通充電器からの200Vを併用して充電中。

価格はDSが194万9800円(チャージタンク付き)、FXSが179万9800円と、エンジン車に比べるとかなり高価であることは事実だが、電動車ならではの大きな魅力を数多く備えていることが実感できた。

さて、まずは普通自動二輪免許で乗れる2台でリハビリ的試乗を行ったあとは、大型自動二輪免許が必要なモデルに試乗する。ZEROの真打ちともいえる『SR/S』、そして『SR/F』については、次回の試乗レポートをお楽しみに。

(取材・文/諸星 陽一)

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					諸星 陽一

諸星 陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。国産自動車メーカーの安全インストラクターも務めた。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。自動車一般を幅広く取材、執筆。メカニズム、メンテナンスなどにも明るい。評価の基準には基本的に価格などを含めたコストを重視する。ただし、あまりに高価なモデルは価格など関係ない層のクルマのため、その部分を排除することもある。趣味は料理。

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