個性派電気自動車『DS3 CROSSBACK E-TENSE』はまるでジュエリーボックス【吉田由美】

グループPSAから導入された電気自動車『DS3 CROSSBACK E-TENSE』を、カーライフエッセイストの吉田由美さんがエンジン車を含めたDSブランドラインナップの試乗会で初体験。ファーストインプレッションをレポートします。

個性派電気自動車『DS3 CROSSBACK E-TENSE』はまるでジュエリーボックス【吉田由美】

ブランドそれぞれ魅力的な個性を主張

2020年、プジョー、シトロエン、DS、オペルを所有するグループPSA(プジョー・シトロエン)は、前向きな電動化戦略の一環として魅力的なEVモデルをいち早く日本に導入しています。

まずはプジョー初の完全な電気自動車としてローンチされたプジョー『e-208』を皮切りに、そのSUV版『e-2008』。そして今回レポートするDSブランドの『DS3 CROSSBACK E-TENSE』と立て続けに日本に導入し、EVと電動化に対する本気度を感じざるを得ません。

この3台の共通点は、同じEV用のプラットフオームを採用していること。パワートレインの多様化を想定した『CMP』をベースに電動車用プラットフォームとして開発された『eCMP』と名付けられた新世代のプラットフォームで、これを採用することでバッテリーやモーターを効率的に配置し、広い室内空間と荷室を確保することが可能となります。

ちなみに、欧州では同じ『eCMP』を採用したシトロエンの『ë-C4-100% ëlectric』も発売済み。日本導入次期はまだ未定ですが、近いうちに、グループPSAが提案する電気自動車の選択肢がさらに増えていくのは間違いありません。

この3台(シトロエンも含めると4台)、プラットフォームは同じなのでサイズ感などは当然似ているのですが、自動車としての個性はうまくすみ分けがなされています。

e-208は明らかにコンパクトサイズのハッチバックスタイルで、きびきび走りたい方、コンパクトカー好きには圧倒的におすすめ。車内の広さやユーティリティを求める方には少しサイズアップしたSUV e-2008 。そして DS3 CROSSBACK E-TENSE はSUVとしてのユーティリティとともに、DSらしいゴージャスな個性を身にまとっています。

正直言うと、e-2008とDS3 CROSSBACK E-TENSEは、同じコンパクトSUVでキャラがカブるかな? と思っていましたが、ボディサイズは DS3 CROSSBACK E-TENSE が全長4120㎜×全幅1790㎜×全高1550㎜。ホイールベースが2560㎜。車両重量が1580㎏。一方のe-2008は、全長4305㎜×全幅1770㎜×全高1550㎜。ホイールベースは2610㎜、車両重量は1600㎏(GT Line)で、ピュアEVとガソリンモデルは共にサイズは共通。

つまり、全長はe-2008、全幅ではやや DS3 CROSSBACK E-TENSE が大きくなっています。高さは同じ。2台を並べてみると、e-2008のほうが若干大きく感じられます。

エクステリアデザインも大いに違います。それぞれに‘らしさ’が出ていてイイ感じ。

DS3 CROSSBACK E-TENSEはゴージャスな個性が魅力

プジョーe-2008はスポーティ&先進感あふれるデザイン。中でもブルーのボディカラーだと、フロントライトの3本線によってスポーツブランドの「アディダス」な雰囲気。

一方のDS3 CROSSBACK E-TENSEは、ラグジュアリー感満点。ほかのDSシリーズ同様、ゴージャスで個性的、そしてアーティスティックな世界を感じさせてくれます。

試乗したクルマのボディカラーにはそのエクステリアデザインをより際立たせる新色のクリスタルパールを纏い、中央にはDSのエンブレムではなく「E-TENSE」のオリジナルのエンブレムが施されています。クロームもE-TENSEだけのサテンクローム。

そしてクルマに近づくとドアハンドルが自動で出てくるリトラクタブルドアハンドル。これがE-TENSEに奢られた電動化テクノロジーを実感させてくれます。

車内のインテリアも秀逸。DS3 CROSSBACK E-TENSEには2グレードありますが、試乗した高級グレードの「Grand Chic」にはダイヤモンドステッチが輝くホワイトレザーのダッシュボードからのドアトリム、そしてシート。そこにフランスの匠の技(サヴォワフェール)を駆使したダイヤ柄のコントロールパネルが5つが配置されています。また、シフトレバーの両側に配置されたスイッチ類も個性的で、車内はまるでジェリーボックス。

フォーミュラEからのフィードバックも!

デザインや質感だけではありません。DS3 CROSSBACK E-TENSEのキモは、何と言ってもフォーミュラEからのフィードバックを反映した電気の走りのテクノロジーが採用されていることです。

100kWのモーターと50kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は欧州WLTPモードで320㎞(実用に近いEPA換算推計値は約285km)。日本導入モデルの急速充電はCHAdeMo規格で最大50kwに対応しています。普通充電では200V6kWでの充電にも対応可能です。

横浜での試乗会だったので、日産GHQで3分だけ急速充電を試してみました。

充電もしっかり試してみたかったのですが、残念ながら、今回の試乗会ではそこまで時間がなく、CHAdeMO規格の充電器がちゃんと使えるのを確認しただけでした。

ドライブモードは3つ。「エコ」と「ノーマル」、「スポーツ」。エネルギー回生システムがDモードとBモードの2段階でBモードでは強めのエンジンブレーキがかかる感じではありますが、BMW i3などに比べると穏やかな感じ。

電気自動車というと、発進加速やちょっとした時の加速の良さよく注目されます。DS3 CROSSBACK E-TENSEもちろんそれはそうなのですが、そこまでの強烈な加速というよりは、自然に滑らかにあくまで上品な感じの加速の仕上がりです。全長はe-2008のほうが長いけど、乗り心地はDS3のほうが静かでどっしりした印象でした。

ちなみに、DS3 CROSSBACK E-TENSE、GRAND CHICグレードの価格は534万円〜(税込)。SUV e-2008の上級グレードであるGT Lineが468万円〜(税込)なので、価格もDS3のほうが少しゴージャスです。

今回は短時間の試乗会での第一印象をお伝えしましたが、改めてじっくり試乗したレポートをお届けしたいと思います。お楽しみに!

(取材・文/吉田 由美)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. これでベルランゴにもEVが出たら最強の布陣ですね!
    あと補助金がどれ位出るのか教えていただけるとありがたいです。

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この記事の著者


					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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