ジープ『Renegade Limited 4xe』試乗レポート〜静かなクルージングが新鮮な感覚

JAIA(日本自動車輸入組合)のメディア向け電動車試乗会でジープ史上初のプラグインハイブリッド(PHEV)となる『Renegade Limited 4xe(レネゲード·リミテッド·フォーバイイー、以下4xe)』に試乗してきた。短時間の試乗で感じたインプレッションを紹介したい。

ジープ『Renegade Limited 4xe』試乗レポート〜静かなクルージングが新鮮な感覚

電動4×4システムの感触を確認

視点は高めで乗りやすい。

着座してすぐに気づいたが、メーターが楽しい。中央にデジタル式の速度表示があって、左側にタコメーター、右側にパワーインジケーターがついているのだが、どちらもアナログな針表示。内側には電池とガソリンの残量系。うまくシンメトリーのデザインにまとめてある。

シフトノブ(ATセレクター)は一般的なものがついていて、その前にあるボタンで「HYBRID」「ELECTRIC」「E-SAVE」モードを選択できる。「HYBRID」はエンジン·モーター併用。「ELECTRIC」なら、特定の条件(後述する)を除いてほぼ完全にEVとして使える。満充電での航続距離は40km(EPA換算値)という。自宅で充電ができる環境で、買い物や家族の送迎で街乗りに使う分には完全にEVとして使えるかもしれない。

聞きなれないのはE-SAVEだが、これは主にガソリンエンジンを使用することで、バッテリーの充電レベルを維持するためのモードなのだという。ここぞという時のために電気を節約しておくという感じだろうか。私には使うシチュエーションがうまく想像できなかった。どなたかPHEVに詳しい方がいれば、こういうときに便利だよ、という使いこなしをぜひ教えてほしい。

丸目とグリルがジープらしさを演出。

今回はEVsmartブログでの試乗なので、しっかりモーターを使わせてもらうことにして「ELECTRIC」をプッシュ。隣のセレクトダイヤルでは「AUTO」「SPORT」「SNOW」「SAND / MUD」というようにトラクションも変えることができるそうだが、今回は都心の舗装路でほんとにちょい乗りするだけ。電動4×4システムの本領を知るには、それなりの場所と腕が必要だろう。

「ELECTRIC」モードでアクセルを踏み込むと、EVらしく、すっと走り出す。ジープというワイルド感を演出されたクルマで、エンジン音もたてずにクルージングするのはちょっと不思議な感じ。個人的にはランクル·プラドに数年乗っていたことがあるぐらい(それもオンロードばかり)なのだが、四駆というと大排気量のトルクフルなエンジンで「ドドドッ」と走るイメージ。スムーズな電動ジープはなかなか新鮮だ。

3つのドライブモードはスイッチ式。

アクセルを踏み込むとエンジンが始動

四駆のPHEVとあって車重もかなりあるはずだが、都心部の車の流れに乗って走る分には、加速もトルク感も不足はない。どこまでパワフルなのか、フル加速の印象を知りたくてアクセルをグッと踏み込んだら、ブルルッとエンジンがかかった。必要と判断すると自動的にエンジンがサポートするシステムなのだそうだ。内燃車でキックダウンするような感じ。アクセルを離して惰性で走行していると、そのうちにエンジンは止まってモーター走行に戻った。

この挙動は私が間違えたわけではなくて、そういう仕様なのだそうだ。四駆モードでも、ハイブリッド走行に固定される。モーターは前後に2つついているのだが、前輪側はエンジンとのハイブリッドになっていて、モーターのみを動かすことができない。つまり、フルEVで走行しているときはリアのみ駆動しているというわけだ。

街乗りではのんびりとクリーンに走って、休日にオフロードなどを走りに行ったら四駆ならではのドライビングを楽しむ、という使い方が思い浮かぶ。見かけよりスポーティーなクルマを昔から「羊の皮をかぶった狼」と表現したりするけれど、静かなモーター走行ができる4xeは、そういう二面性を持っているのかもしれない。エンジンモデルが435万円に対してPHEVが584万円。補助金(令和4年度の場合45万円)などを活用しても価格差はかなりあるが、このクルマならではの味は楽しめそうだ。

あえて注文をつけるなら、四輪をすべてモーターで駆動するモードも備えてほしかったとも思う。というのも、競技経験のある開発者から、EVはトライアルやロッククローリングといった競技に向いていると聞いていたからだ。アクセルを踏む1ミリの動作にもタイムラグなしに反応して、停止状態からでも最大トルクを発生させるモーターの特性は、繊細なアクセルワークを要求される場面で役に立つのだという。今回の「史上最強のオフロード性能」というのも、おそらくモーターの特性が実現したのではないだろうか。

と言っては見たものの、悪路の走破性が実際どうなのかは、「どうぞ」と言われても私自身が判定する能力に欠ける。とても興味があるので、専門家のみなさん、詳細な評価をぜひよろしくお願いします。

「4xe」のバッジがPHEVの証し。

日本では山間部の充電インフラが貧弱なこともあるし、高低差のある未舗装路を走ったりすることを考えると、現状でいきなりBEVというのは不安が大きすぎる。4xeが、電欠の心配がないPHEVとして登場したのは理にかなっている。とはいえ、シティービークルだけでなく、オフローダーのEVシフトにも期待したいところ。自然の中を駆けるオフローダーこそ、環境負荷の小さなEVのほうが似合っているようにも思えるからだ。自然を征服するというより、共生するという感覚でEVオフローダーを選ぶ時代が来るかも。そんな未来図まで想像させてくれた試乗だった。

取材・文/篠原 知存

この記事のコメント(新着順)4件

  1. 電池残量を残しておきたい目的地というのはヨーロッパのガソリン車走行禁止の都市部の事ですね。
    日本だとたぶん住宅街に深夜に進入する時に重宝します。

    1. いもけんぴさん、コメントありがとうございます。
      なるほど! 欧州事情には明るくないのですが、騒音を立てたくないというシチュエーションにぴったりの機能ですね。納得しました。

  2. このPHEVは「200Vの普通充電」だけでしょうか?
    輸入車は、メルセデスを除いて普通充電しかなかったかと思います。
    マンション住まいの友人のBMW330eも普通充電しかなく外出先の普通充電で時間がかかることに不便さを感じていて急速充電ができないことに不満をもらしていました。
    国産のPHEVが普通充電と急速充電の両方が使えるので日本の実情を考えると双方装着がいいかと思うのですが。

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					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。車歴/アコードワゴン、BMWミニ、インサイト、ランドクルーザー、N-BOX、Honda e。バイク歴の方が長くて、いまはKTM 125 Dukeを所有。

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