日本初!ディーゼルプラグインハイブリッド「メルセデスベンツ E350de」〜吉田由美レポート

メルセデスベンツが導入した日本初のディーゼルプラグインハイブリッド車である「E350de」に、カーライフエッセイストの吉田由美氏が試乗。ビジターでの普通充電も試してみました。

日本初!ディーゼルプラグインハイブリッド「メルセデスベンツ E350de」〜吉田由美レポート

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ディーゼルプラグインハイブリッドは日本初

メルセデスベンツの主力モデルのひとつ「Eクラス」。Cクラスより大きく、Sクラスよりコンパクトサイズですが、3台の中ではコンサバ度は少し高めかも。いえいえ、メルセデスベンツはこのEクラスで様々な挑戦をしています。

そのひとつが、メルセデスベンツは2010年、日本において他のメーカーに先駆けて、環境に優しいクリーンディーゼルエンジンを搭載する「E350ブルーテック」を発売。当時、欧州をはじめとしてブームになっていたクリーンディーゼル車。もりもりのトルクを発生し、パワフルで運転が楽しく、燃料に軽油を使用するためコストを抑えることが出来たり、燃費が良いなどガソリンエンジンを上回る優れた効率を発揮することなどが人気の秘密。

しかし日本では1999年、当時の石原慎太郎東京都知事が行ったアンチ・ディーゼル車パフォーマンスのインパクトが大きく、それ以降、ディーゼル規制がとられることに。しかしこの「E350 ブルーテック」を皮切りに、続々と環境に配慮した新生「クリーンディーゼルエンジンモデル」が日本市場にも投入されるようになり、現在では長距離ドライブが多いクルマ好きの人を中心に人気を集めています。

一方、「プラグインハイブリッド」は外から電気を充電し、その電気でモーターを動かして走行することができるハイブリッドシステム。速度が低い時はモーターで、燃費効率の良い巡航状態になったらエンジンに切り替えて走ることができるのです。メリットは燃費が良いことと静かなこと、そして走行時はCO2を排出しないので環境に優しいこと。なにより条件次第ではEVとして使用することも可能なのにエンジン走行もできるため、EVの航続距離などに不安を感じている人でも安心してロングドライブを楽しめます。

しかし、クリーンディーゼルエンジンは排ガスの後処理を行わねばならないため価格が高く、車体は重くなりがち。同様にプラグインハイブリッドも外から充電できるタイプのハイブリッドエンジンのため、こちらも高額なのと車両重量が重くなることから、なかなか実現するのは難しいと思われていました。

それを見事に融合させ、世に送り出したのは、やはりメルセデスベンツEクラス「メルセデスベンツE350de」でした。これまでの「プラグインハイブリッド」モデルは、ガソリンエンジンのプラグインハイブリッドだったので、ディーゼルエンジンのプラグインハイブリッドモデルは乗用車初。そして日本初の登場です。

EVでの走りを選べます

Eクラスの現行クリーンディーゼルのモデル「220d」と同じ2リッター4気筒直噴のクリーンディーゼルターボエンジンは、最高出力194ps/最大トルク400Nm。9速のAT(9Gトロニック)を組み合わせ、そこに第4世代のコモンレールシステムや可変ジオメトリーターボ、DPF(粒子状物質除去フィルター)とSCR触媒コンバーターを統合したsDPFなどにより、スムーズで力強い走りとクリーンな状態を保持しています。これに最新の大容量13.5kWhのリチウムイオンバッテリーとハイブリッドシステムを搭載し、総合の最高出力は306ps、最大トルクは700Nm。EVモードでの最大航続距離は約50㎞(WLTPモード ※EPA推定値は約44.6km)です。外部充電は普通充電のみ対応しています。

選べるドライブモード「スポーツプラス」「スポーツ」「コンフォート」「エコ」の4つ。「スポーツ」と「スポーツプラス」では、エンジンが作動。「コンフォート」はモーターとエンジンを最適に選択し、130㎞/h以下ではEV走行。そして「エコモード」は、160㎞/h以下でEV走行。つまりほとんどEVモードで走ります。

また、ハイブリッド機構にも4つのモードがあり、基本は「ハイブリッド」。ほかにモーターだけで走行する「Eモード」、バッテリー残量を残す「Eセーブ」、バッテリーへの充電を優先させる「チャージ」があり、自由に選択できるのも楽しいところ。この車の試乗会の際は、会場内に充電設備が無かったらしく、試乗前に「チャージ」モードでエンジンをかけて電気を溜める作業を行ってくれていました。今回は検証できていませんが、エンジンで電気を作ったほうが外部充電で充電するよりは速く充電できるようです。次回はこちらも検証してみます。

そして驚いたのは、エンジンとモーターが切り替わるのも、気を付けていないとわからないレベルで、常時滑らかなこと。

また、エンジンを使うかどうかは、アクセルペダルの踏み加減で調整できます。「インテリジェントアクセルペダル」というシステムで、ハイブリッドモードで走行中、アクセルペダルが重くなるポイントがあり、それ以上深くペダルを踏み込むとエンジンがかかる仕組みになっています。

ビジター充電を試してみました

そして今回、NCSなどの会員カードは使わずに、ビジターで充電してみることにしました。

充電場所は東京・六本木の六本木ヒルズ駐車場。P2の平置き駐車場には急速充電器が1基、普通充電器が239基もあるため、私が良く使う充電スポットです。

ちなみに充電前の電池残量は8%、走行可能距離は0㎞と表示されていました。

通常、EVに乗る人の多くはEV充電のための会員カードに入会したり、クルマの購入時にメーカーの充電カードを入手しますが、私はこの時カードを持っていなかったのでカードを持っていなくても、自宅に充電器が無くてもEV生活が送れるかは気になるところ。

「E350de」の場合、リアの右側下部分に充電口があり、通常通りに前向き駐車で止められるのは嬉しいポイント。駐車場に止めて車に充電ケーブルを差し込み、充電器ではなく、少し離れた充電コントローラーを探します。

そこに書かれている「ジャパンチャージネットワーク」のパスワード発行専用URLにスマホからアクセス。後はガイドに従って進めていきます。充電スポットの場所と使用する充電器の番号を入力。クレジットカード情報を入力するなど進めていくと、パスワードが発行されます。この番号をスマホのスクリーンショットで撮影しておき、充電時間を設定すればOK 。

1時間35分後、電池残量は40%、走行可能距離は11㎞になっていました。ここまでの燃費は13.9㎞/Lでした。

「1時間35分でたったこれだけ?」とも感じましたが、普通充電だとこんなものですね。でも、自分が何か作業をしている間に充電してくれる、と考えるとちょっと嬉しいかも。

そして気になるビジター料金は「最初の15分で30円。その後、1分当たり2円」と書かれていました。電池容量は13.5kWhですから、出力が3kWの普通充電器でほぼ空の状態から満充電にするには約4.5時間くらいかかりますから、料金は450円くらいになります。

メルセデスベンツでは、C350e、E350e、E350de、S560e longという「EQ POWER」ラインアップ車種や電気自動車EQCを購入したユーザーに、自宅ガレージに設置する充電用ウォールユニット(希望小売価格13万7500円)を無償提供、設置費用10万円をサポートするキャンペーンを行っています。

今回のような外出先での充電のために、EQCのユーザーには「Mercedes me Charge」という充電カードが用意されていますが、E350deなどのプラグインハイブリッド車普通充電専用のカードは用意されていないそうです。基本的には自宅充電中心で使いましょう、ということですね。ビジター充電の手続きもそんなに難しくはなかったですが、もっとシンプルな認証システムがあると便利だなと感じます。

(文/吉田 由美)

この記事のコメント(新着順)1件

  1. ガソリン車とEV車とは製造過程においてEV車は簡略です。エンジンとモーターとの違いでモーターの方が簡単です。その割には高価すぎますね。このような現象は社会においても同様です。このようなギャップが存在し、矛盾が氾濫しています。この矛盾解決には設備投資や経費に影響されますね。その影響の度合いを価格に正当に反映すべきです。 小生はこれまで軽自働車に始まり現在では、外車と国産の電気自働車を使用しています。排気ガスを排出する車と無排出の両方を使用しています。国民の模範となるべき代議士や官公庁はぜひ排ガスの100%出ない車両が必然的かと思われます。郵便配達のバイクもそうあるべきと思料します。

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					吉田 由美

吉田 由美

短大時代からモデルをはじめ、国産自動車メーカーのセーフティドライビングインストラクターを経て、「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の目線で、自動車雑誌を中心にテレビ、ラジオ、web、女性誌や一般誌まで幅広く活動中。

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