米国ではEVの連邦税額控除の終了に伴い市場が低迷、複数の日系メーカーがEV計画の縮小を発表しています。一方で、予定通りに新型bZ(bZ4X)やレクサスRZを発表したトヨタは、好調な販売数を記録。今回は「CleanTechnica」から2つの販売数レポートを全文翻訳で紹介します。
【元記事】
Toyota bZ Sales Surge To Over 10,000 In First Part Of Year by Jake Richardson
Lexus RZ Sales Surged In 1st Quarter In USA by Zachary Shahan
トヨタbZが最初の四半期で1万台以上を販売
EVの販売状況をめぐっては、販売減を伝えるニュースが多い一方、一部では好調な結果も見られます。最近、販売関連の記事の多くはザックが担当していますが、私も別の事例を見つけました。以前のbZ4Xから名称が変わったトヨタbZ(訳注:米国での新型bZ4Xの名称)は、今年第1四半期に販売をかなり伸ばしたと報告されています。
「トヨタは水曜日、bZクロスオーバーの1~3月の販売台数が1万29台だったと発表しました。前年同期比では79%増です。好調な年明けとなったことに加え、2026年内には3つの新型EVが投入される予定で、トヨタはEVの世界で一気に、その他大勢の存在から本格的な競争相手へと変わりました」
市販の内服薬のようにも聞こえるbZ4Xから、bZへと車種名を変更したことも、追い風になったのかもしれません。トヨタはまた、航続距離、出力、充電速度も向上させています。
トヨタならEVをきちんと作ってくれると信頼
値下げも実施されており、実際にはそれが新たな販売増の主な要因だった可能性もあります。もう一つの要因は、一部の購入者がトヨタブランドに抱く信頼かもしれません。これまでに、カローラ、カムリ、RAV4を所有したことがある人は何百万人いるでしょうか。おそらく、そうした人たちは他のブランドよりも、トヨタならEVをきちんと作ってくれると信頼しているのでしょう。
さらに別の要因として、信頼性に関連する点でもありますが、テスラのCEOがテスラブランドに与えたダメージもあります。今、テスラのCEOと、彼のドナルド・トランプとの関わりを尊敬し、信頼している人はどれほどいるのでしょうか。
トヨタは何年もの間、EVで出遅れているメーカーと見なされてきました。また、bZ4Xを規制対応のためだけに作られた、冴えない車種だと切り捨てる人もいました。しかし、航続距離が約300マイルに伸びた改良版は、より多くの関心を集め、一部の購入者を獲得しているようです。
テスラのCEOは、意外な人物を参考にしてもよいのかもしれません。元アラバマ大学フットボールコーチのニック・セイバン氏です。同氏は、自分の政治的立場を公にすれば、世間の約半分を遠ざけることになりかねないと語っていました。
テスラのCEOは、政治に首を突っ込み、SNSで発信しすぎたこと、さらにSNSプラットフォームを丸ごと買収したことによって、潜在的な新規顧客や現在の顧客を何百万人も遠ざけてしまったのかもしれません。
著者:Jake Richardson
レクサスRZも販売を大きく伸ばす

日本国内向け広報画像。
米国のEV販売は、今年第1四半期に振るわず、前年同期から大きく減少しました。EV向けの7,500ドルの税額控除を廃止すると告げ、実際に廃止すれば、こうなるものです。
米国市場全体については後ほど詳しいレポートを出しますが、まずはこの四半期に見られた、興味深く、少し意外な好材料を取り上げたいと思います。
※訳注:米国の2026年Q1の車種別レポート記事(英語)はこちら。
ジェイク・リチャードソンが昨日指摘(訳注:本記事の前半部分)したように、トヨタbZは2026年第1四半期に販売を急増させました。2025年第1四半期の販売台数は5,610台で、今振り返れば同車として過去3番目に好調な四半期でしたが、2026年第1四半期には1万29台まで伸びました。ほぼすべてのEVが前年同期比で大きく販売を落とす中で、78.8%の増加となったのです。しかし、減少傾向に逆らったトヨタ自動車系列のEVは、この車種だけではありませんでした。
レクサスRZ。そう、レクサスRZも、販売を大きく伸ばしたのです。同車種にとっても過去最高の四半期となり、販売台数は4,456台でした。これは2025年第1四半期の1,454台から206.7%増となる数字で、2025年の第3、第4四半期と比べても同じように急増しています。
これはいったい、どういうことなのでしょうか。
BEVへの移行が遅れているとして、トヨタ自動車は長年にわたり、他社と同じくらい、いや、おそらく他社以上に厳しく批判されてきました。それにもかかわらず、ほぼすべての他社が米国でEV販売を急減させる中、トヨタ自動車はEV販売を急増させたのです。
なぜなのでしょうか。どのようにして実現したのでしょうか。
当然ながら、鍵の一つは、トヨタとレクサスに納車できる車両が十分にあったことです。あるいは、販売店が在庫を動かすために、大きな消費者向けインセンティブを用意していた可能性もあります。
しかし、実際に販売台数を大きく伸ばしたという点で、なぜトヨタは他の従来型自動車メーカーと正反対の動きになったのでしょうか。
レクサスのウェブサイトを見ると、最初に目に入るのは、BEVのレクサスRZを大きく見せた画像と、月額リースのオファーが利用できるという案内です。

出典:米国レクサス公式サイト
トヨタとレクサスは、今こそ消費者にEVを売り込むタイミングだと考えているだけなのでしょうか。おそらく、そうなのだと思います。もちろん、これらの日本ブランドが第2四半期、第3四半期もこの勢いを維持できるのか、とても気になります。
著者:Zachary Shahan
訳者あとがき/日米でみえた「トヨタの本気」
前述の通り、トヨタbZ(bZ4X)は米国で2026年第1四半期に78.8%増の1万29台、レクサスRZは206.7%増の4,456台で、ともに大きく販売を伸ばしました。
そしてbZ4Xは、本国である日本においても同期間に7,098台を販売し、前年同期の85台と比べて、なんと8,250.6%の大幅な増加となっています(JADAが月次で発表している「ブランド通称名別ランキング」より。2025年の販売数は増減率より計算)。
新型bZ4Xは内外装やパワートレインが進化したと同時に、価格を旧型の550万円~から480万円~に値下げ、補助金も2025年の90万円から130万円に増額。さらに新型は全国3,000以上の販売店に試乗車が配備されたとの報道もあり、販売も大幅に強化されたとみられています。

トヨタはこのあともbZ4Xツーリングの本格納車を控え、さらに2026年の冬頃にはレクサスTZの発売も控えています。直近ではレクサスLF-ZCの開発を中止するとの報道もありましたが、これは同社のEV販売台数に大きく影響する車種ではなく、必要以上に重くとらえる必要はないでしょう。これからも同社のEV販売は増え続けるのか、それとも伸び悩むのか。引き続き、日本を代表する自動車メーカーであるトヨタの販売状況に注目です。
翻訳・文/八重さくら






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