ボルボの電気自動車『EX30』日本発売開始〜欧州ではすでに大人気

ボルボ・カー・ジャパンが11月22日、新型電気自動車にしてコンパクトSUV「EX30」の国内販売をスタートしました。北欧ブランドのプレミアムカーが、補助金を使えば400万円台!の好コスパ。日本での売れ行きが注目されます。

ボルボの電気自動車『EX30』日本発売開始〜欧州ではすでに大人気

ブランド史上もっともコンパクトで身近なSUV

EX30はブランド史上最小のSUV。今年6月にワールドプレミア(関連記事)が行われ、8月に日本仕様車の発売開始が発表(関連記事)されていました。EV専用に開発されていて、同社が「今後数年間のベストセリングモデルのひとつ」と位置付けている新型車です。

価格は559万円。まだ型式認定を申請中だそうですが、経産省のCEV補助金(65万円)と地方自治体の補助金(東京都なら40万円)が見込めるので、実質400万円台で購入できます。ちなみにボルボ・カー・ジャパンのラインアップで一番お手頃なエンジン車「XC40」の新車販売価格は529万円〜。ボルボに乗ってみたい人にとっては、EVの方が敷居が低いことになります。

購入できるのはUltra Single Motor Extended Rangeのワングレードのみ。ボルボ・カー・ジャパンのEX30購入専用サイトを覗くと、好きなカラーを選べるようになっています。559万円と568万円(いずれも税込)という価格差は、19インチホイールと20インチホイールの違いです。オプション設定の20インチが9万円高。ボディカラーのバリエーションは、モスイエロー、クラウドブルー、クリスタルホワイト、オニキスブラック、ヴェイパーグレーの5種類です。

購入専用サイトはこちら

EX30は、10月からサブスクリプション(月額9万5000円、300台限定)の注文を受け付けています。広報担当者によると、かなりの人気になっているとのことで、購入かサブスクかで迷っている人はお早めに問い合わせた方が良さそうです。

今回始まったのはサブスクではない購入で、手続きはオンラインのみとなります。カラーなどを決めて、見積もりから契約、車両代金の支払いまですべてホームページ上で完結。さすがに不安もあるでしょうから、質問などに答えてくれるボルボ・カスタマーリレーションセンター(9:00~18:00、年中無休)が設定されています。また、契約はオンラインですが、下取り車の査定や新車の登録・納車、アフターサービスなどはディーラーで提供されるとのことです。

デリバリーは2024年2月から開始の予定

デリバリーは来年2月より順次開始予定で、サイト上でも納期の目安は「10週間」か「12週間」と表記されています(11月23日現在)。

主要諸元ですが、まずサイズは全長4,235mm、全幅1,835mm、全高1,550mm。一般的な立体駐車場に収まる大きさです。最高出力は200kW(272ps)、車両重量は1,790kg。リチウムイオンバッテリーの総電力量は69kWh。一充電走行距離はWLTCモードで560kmなので、実際には450km前後でしょうか。よほどのロングドライブでない限り、十分ですね。

そして急速充電については欧州仕様で最大153kWの充電能力がある、とアナウンスされています。国内仕様のCHAdeMOでも超高速充電(最大出力100kW以上への対応)が期待できます。現状では超高速充電器の数も限られていますが、充電インフラの拡充とともに利便性が大きくアップすることになるでしょう。年明けには試乗車も登場するそうなので、当ブログでも改めてロングドライブ&高出力器充電取材などを行って詳しくリポートしたいと思います。

実車の印象はボルボらしいプレミアム感も十二分

これまでにプレス向けの発表会などで接した実車の印象を振り返っておきましょう。グリルレスのフロントビューはEVらしいデザイン。日本初公開の際に聞いたところでは、担当デザイナーが「スター・ウォーズ」好きで、同シリーズに登場する賞金稼ぎ「ボバ・フェット」にインスパイアされたそうです。すっきりしている分だけ北欧神話のトールハンマーをモチーフにしたヘッドライトが目立っていて、ボルボであることが一目瞭然。

サイドのプレスラインは控えめでスッキリした印象。リアタイヤ周りからテール下部のボリュームを増すなど、伝統的なデザインを踏襲しつつ、現代的なスカンジナビアン・デザインに昇華させています。外観からもプレミアム感が漂います。クライメート・ニュートラル時代のボルボを象徴するナイス・フォルム。

インテリアには、近未来感たっぷりの大胆な提案をしています。ドライバーの前には異形ハンドルしかありません。速度や航続可能距離など運転に必要なデータは12.3インチのセンターディスプレーに表示されます。インフォテイメントシステムはGoogle搭載で5Gにも対応。航続可能距離を超えるようなドライブでは充電場所を考慮した経路を案内してくれる優れもの。

ダッシュボード部分に5つのスピーカーを配したharman/kardonのオーディオシステムも斬新。大きなデザイン上の特徴になっていますが、配線を集中させて左右対称とすることで部品点数を減らす省資源の狙いもあるそうです。サステナブル・デザインですね。シートやパネルなどにも再生可能な素材やリサイクル素材が使用されています。同乗者を楽しませてくれそうなのが室内イルミネーション。気分次第でアンビエントテーマを変えられるようになっています。

衝突回避・被害軽減ブレーキ&ステアリングや全車速追従機能付ACC(アダプティブ・クルーズ・コントール)、パイロット・アシスト(車線維持支援機能)などの先進的な安全・運転支援機能も全車にフル装備というのもうれしいところ。長年、安全性能をPRしてきたボルボらしさは、コンパクトサイズでも健在です。

ちなみに欧州では、バッテリー容量と価格を抑えたSingle Motorと、ハイパワーを打ち出したAWDのTwin Motor Performanceというグレードも販売されていて、どちらも日本導入が計画されています。

2030年までにすべての新車を完全電動化する「EV専業宣言」をしているボルボが世界戦略車として投入したEX30。日本市場でもこれまで「C40 Recharge」や「XC40 Recharge」が販売されて人気を集めてきましたが、最初からEVとして開発されたEX30の売れ行きは同社の将来を占うと言っても過言ではないでしょう。

欧州のマーケットでは発売早々大人気になっているそうです。国内での年内販売目標は2000台とのことですが、EVシフトがなかなか進まない日本でもヒット車種になりそうですね。

文/篠原 知存

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 自分はEV歴7年です。EX30は大型化を抑えたサイズは評価できます。あとは大人3名乗車、厳冬期エアコン常時ON、高速道路100km/hで確実に500km走れれば最低限の後続距離でしょう。まあそれでもガソリン車には遠く及びませんが。
    EVは経路充電で時間を食うので願わくばガソリン車の2倍以上航続距離を出さないと互角の勝負にはならないと思います。
    が、これはたぶん何十年も先になりそうなので、せめて補助金なし車両価格400万円で最低後続距離500km、または高速SAで90kw急速充電をGWなど繁忙期でも待たずにできること。このどちらか一方ができれば日本でもEVは急速に進むと思います。

  2. ファーストカーにするにはちょっと小さい
    同じような値段でモデルYRWDが買えてしまうっていう点をどう見るかですね
    まあこっちのほうが航続距離ちょっと長いし充電性能はCHAdeMOにしては
    結構いい方なので総合的には中々良い気がします

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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