ボルボの電気自動車『EX30』で「ドア・オープニング・アラート」を体感〜納車は来年2月開始予定

『EX30』は今年6月にワールドプレミアされ、わずか2ヶ月後の8月に日本で発表。そして10月にサブスクリプションの受付開始、11月からオンライン注文受付開始と、着実に納車開始までの段階を踏んでいます。今回はEX30に搭載される新しい安全装備を体験。安全にこだわるボルボらしい、他者の安全にも配慮する機能でした。

ボルボの電気自動車『EX30』で「ドア・オープニング・アラート」を体感〜納車は来年2月開始予定

ボルボ初搭載の「ドア・オープニング・アラート」

2023年12月14日、ボルボ・カー・ジャパンは東京都内でEX30に搭載される安全装備「ドア・オープニング・アラート」をメディア向けに披露するイベントを開催しました。

この装備は、EX30の乗員がドアを開けてクルマから降りる際、後方から走行してくる自転車などと衝突する危険性があるケースで、音と光の警告を出して衝突を回避するためのものです。EX30はボルボブランドでこの機能を搭載する最初のモデルとなります。

視覚による警告は、ドアミラーのブラインド・スポット・インフォメーション・システム(BLIS)が点灯、もしくは点滅します。自転車などを車両が感知した時点でBLISの赤い警告が点灯し、その状態でドアを開けると警報音とともに点滅に変わります。

警報音は4回(インストラクターの説明は「3回」でしたが、動画を見ると4回のようです)発せられます。日本車にありがちな「ピ、ピ、ピ、ピ」ではなく、「トゥ、トゥ、トゥ、トゥ」という音色に高級感を感じました。

動画を録ってみたので、YouTubeの個人チャンネルにアップ(限定公開)しておきます。

センターディスプレイの上部にも、(小さいけど)車両を模したイラストに赤い矢印の警告と「Passing traffic. Look before opening doors.」のテキストが表示されて注意を促します(デモカーはテスト車だったので、日本仕様の市販車では日本語表示になっている、と思います)。

カメラとディスプレイの相性で上部が赤くなっていますが肉眼では普通に見えてます。

警報の対象になるのは、自転車に加え、電動キックボード、ジョギングのランナー、バイク、クルマなど「動くもの全般」です。歩行者は速度が遅いこともあって対象外とのこと。

今年7月からは日本でも電動キックボードが、改正道路交通法の施行により、特定小型原動機付自転車(警察庁の略称:特定原付)として新たな車両区分に加わりました。

都内ではあちこちに電動キックボードの貸し出し場所があり、実際に街中を走行しているのもよく見かけるようになりました。ドア・オープニング・アラートの搭載は、とてもタイムリーだと感じます。

今回のイベント会場である駐車場の一角にも「LUUP」の貸し出し場所(ポート)がありましたが、キックボードは全数出払っていました。

運転席ドアだけでなく、前後左右の4枚のドア全てが警報の対象のため、助手席や後席の乗員(特に子供)にも気付きを与え、ドライバーも他の乗員に注意を促すことができるのでありがたいです。

ボルボは1959年に3点式シートベルトを開発し特許を無償公開したり、1972年にはロケット打ち上げ時に宇宙飛行士が背中を下にしていることから着想を得た「後ろ向きチャイルドシート」の採用、1991年には高強度材と衝撃吸収材を最適に組み合わせた車体構造などによる側面衝撃吸収システム(SIPS)を取り入れるなど、安全性の向上に特に力を入れてきたブランドです。

今回のドア・オープニング・アラートも、ボルボが電動キックボードの登場など時代に合わせて安全性向上を絶え間なく図ってきた成果だと感じました。自車の事故や他車の衝突から乗員の安全を守るだけでなく、サイクリストなどにも気を配る姿勢に共感します。

自動駐車システムも体験

この日の記者発表はEX30の「ドア・オープニング・アラート」をメインとしたものでしたが、自動駐車の動作も体験することができました。

使い方は簡単です。駐車枠の方向へウインカーを出すと、クルマが認識した駐車枠をセンターディスプレイに表示されるので、駐車したい枠をタップします。そしてブレーキを離すとゆっくりクルマが動き出し、ステアリングホイールも自動でクルクルと回って駐車を開始。今回のデモンストレーションでは全て一発で(一回の後退のみで)枠に駐車してみせてくれました。スムーズかつ正確なその動きは「かなり運転が上手い人」レベルです。

縦列駐車にも対応しているので、例えば表参道のパーキングメーターのように、後続車がひっきりなしにくる状況で、「一発で決めたい」時には大きな味方になってくれるはず。ただし、車両のカメラが駐車枠の白線を認識できないと作動しない、とのことでした。

納車は2月からの予定

10月2日からサブスクリプションの受付を開始し、現在ではオンラインでの注文を受け付けているEX30。気になる納車開始時期については、現時点ではサブスク、通常のオンライン注文ともに「2024年2月からの予定」とのことでした。

EX30はRWD(後輪駆動)のロングレンジ(Ultra Single Motor Extended Range)から日本に導入されます。さらに、RWDのスタンダードレンジとAWD(全輪駆動)は2024年中の導入を目指しているそうです。

駐車場内で助手席にしか乗っていませんが、段差でのショックは全く気になりませんでした。外からサスペンションの動きを観察していても、段差はきれいにストロークでいなして、ボディはほとんど揺れていないように見えました。

広報担当者も乗り心地には太鼓判をおしていたので、来年の開催を予定しているというメディア向け試乗会を楽しみに待ちたいと思います。

ディーラーにも着々と展示車が登場

近所のディーラーでもEX30の展示車がショールームにあるのを見かけました。話を聞いてみると、「購入前に試乗したい」という声が多いとのことですが、残念ながら試乗車は来年1月末から2月にならないと用意できないそうです。

私自身、まだしっかりと試乗はできていませんが、乗り心地や操作の使い勝手などは問題ないでしょう。荷室容量は318L(床下にサブスペースあり)とやや控えめ。「ボルボ最小」のコンパクトSUVですし、後席はやや狭く見えますが、座高が高い私でも天井に頭が当たるようなことはありませんでした。多くの立体駐車場に入庫可能な1,550mmの全高など、日本での都市生活にはうってつけのコンパクト&上質な電気自動車だと思います。

何より、ドア・オープニング・アラートや自動駐車を実演してくれたデモ車は、鮮やかなモスイエローのボディが陽光と木陰を映し、見れば見るほどスマートでカッコいい、という印象でした。

他メーカーのライバル車種も気になるところですが、ディーラーで実車に触れて気に入ったのなら、長いウェイティングリストの後に並んでしまわないよう、早めにオーダーを決断するのが良いかもしれません。

取材・文/寄本 好則

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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