ルートインのホテルに宿泊とEV充電の予約して到着。ところが、充電区画には充電していない高級EVが停まっていて充電できませんでした。マナー違反にがっかりしつつ。停めてた方とお話しできて「なぜ停めたのか」がわかりました。日本ではまだまだこれからのEV普及。EVオーナーが前を向き、声を上げ続けることが大切だと思います。
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予約していたEV充電区画に充電してないEVが停まってる……
2025年10月17日、翌日開催される奈良県王寺町でのEV講演会に登壇するため、私はマイカー電気自動車の「KONA カジュアル」で三重県伊賀市の「ルートイングランティア和蔵の宿 伊賀上野城前」に向かいました。以前の記事でお伝えしたように、ルートインホテルズでは今年5月から設置されているEV用普通充電器が「宿泊者に限り予約可能」になっています。もちろん、ネットから宿泊予約するのと同時にしっかりとEV充電を予約。昨年の奈良講演時には、同じホテルに宿泊して充電した上で、『宿泊施設の充電器は宿泊者が予約できると幸せです』という記事でルートインに充電器予約への対応をお願いしていたこともあり、今回は「予約充電できて快適だった!」という感謝の記事を書くつもりだったのですが……。
午後8時過ぎ、ホテルの駐車場に到着してみると、なんと充電区画には充電していない高級EVが鎮座していました(冒頭写真)。ルートインでは「充電予約あり/予約者以外駐車禁止」とはっきり書いたパイロンを置いてくれているのですが、空しく、駐車したクルマの背後に動かされていました。
ホテルのフロントで「充電予約してた寄本ですけど、充電区画に別のクルマが停まってます」と伝えると、フロントの方は「ええっ!」と驚愕。状況を確認し、駐車したドライバー(宿泊者)に電話連絡を取ってくれようとしました。でも、なんならお酒も入っているであろう夕食タイム。なかなか連絡は付きません。
ロビーで待ちながら、EV充電エネチェンジのアプリで確認すると、3kmほどのところに同じルートインチェーンの「ホテルルートイン伊賀上野 伊賀一之宮インター」があり、EV充電器も空いていました。早くチェックインして片付けたい仕事もあったので、フロントの方に「こっちのホテルで充電できるなら僕が移りますよ」と確認してもらい。宿泊&充電するホテルを変更することで、なんとか翌朝満充電スタートの計画を維持することができたのでした。

ホテルを移ってなんとか無事に充電開始。「ホテルに着けばOK」と思い、浜松SAで15分ほど充電しただけ&120km/h巡航など快速ランだったので、SOC(電池残量)は11%でした。
駐車禁止のパイロンがあるのに、なぜ停めちゃったんだろう?
さて、私としては「せっかく予約してたのに」という失望を感じつつ、何よりも不可解で不思議に思ったのは「こんなにわかりやすい駐車禁止のパイロンが置かれているのに、なぜ、充電区画に停めちゃったんだろう」ということでした。
週明け、ホテルルートイン伊賀上野のご担当者からお詫び電話をいただいたので、これから進展していくEV普及のため、そして、ルートインホテルズが導入してくれた充電予約をより円滑に進めていくためにも「当事者の方に質問したい」とお伝えし、以下のような質問をメールしました。
● パイロンを動かしてまでEV充電区画に駐車した理由を教えてください。
● ルートインホテルズのEV充電器が、夜間、宿泊者限定の予約制になっているのはご存じでしたか?
● 充電できなくなる「予約者」が困ることは想像しましたか? それでも駐車したのはなぜでしょう?
● 予約制で鍵がかかっていなければ、充電の必要はありましたか?
●(必要があったとして)ホテルフロントに充電を申し出なかったのはなぜですか?
※一部割愛
ルートインの宿泊者が充電予約できるシステムはEVユーザーとして大歓迎すべき取り組みです。充電ケーブル(プラグ)の施錠とともに、前述の「予約者あり」パイロンを置いてくれているのですが、パイロンをどかして駐車されてしまうのは、最も危惧すべき、ありがちなトラブルといえるでしょう。私自身が遭遇した今回のトラブルが「なぜ停めてしまうのか」を解き明かす事例になれば少しは有意義かも、と考えた次第です。
このホテルの常連さんが「いつものように」停めただけ
停めてた高級EVのオーナーさんはこのホテルの常連さんだったとのことで、ルートインご担当者にメールしたその日のうちに、私のケータイ(ルートインには「お返事いただけるならメールでも電話でも」と、ケータイ番号もお伝えしてありました)にわざわざお詫びの電話をいただきました。いただいた電話で長話になるのも申し訳ないので、いくつか、端的に伺った「なぜ?」のポイントを挙げておきます。
● パイロンを動かしてまでEV充電区画に駐車した理由は?
到着時にはもう暗かったこともあり、パイロンの表記は気にとめていなかった。宿泊時にEV用の区画に駐車するのがいつものことだったから、今回もそのようにした。
● EV充電器が予約制になっているのはご存じでしたか?
知らなかった。今後は気をつけるようにする。
とのこと。たしかに、今年の5月以前、ルートインのEV充電区画に置かれているパイロンには「電気自動車優先駐車スペース」と表記されていて、充電予約もまだきちんと仕組み化されていなかったので、チェックインする早い者勝ちで駐車してOKという感じでした。充電していなくても、同じ夜にEVの宿泊者が重複してトラブルになることはなかったのだと思います。予約制が導入されたのも知らなかったということなので、まったく悪気なく「いつものように駐車した」という感覚だったことがわかります。
充電の必要があったのかどうかなどは話が長くなるので確認しませんでしたが、停まっていたEVのバッテリーは大容量。大阪市内のナンバーだったので、満充電で出発していたとすればまだ80%くらいはSOCが残っていて、ホテルでの充電は必要なかったと思われます。
ともあれ、何ごとにつけ「話せばわかる!」のが人と人であることを改めて実感。今回、不便を被った私がルートインやこのオーナーさんに怒りをぶつけたところでいいことはないでしょう。でも、結果としてマナー違反をやらかしてしまったオーナーさんときちんとお話しできたことで、ルートインの充電予約システムの周知が少しだけでも前進するといいな、と感じています。さらに、せっかくだからこのエピソードを記事にして、少しでも多くの人に知ってもらいたい、ってことですね。
EV充電器設置に前向きなルートインホテルズに感謝
今回は、予約していたホテルのすぐ近くにEV充電器がある同じチェーンのホテルがあったことで、私のEV旅程はほぼ計画通りに進めることができました。早くからEV充電器設置を前向きに進めてくれているルートインに、改めて感謝です。
そして、今後のEV普及の進展を考えていくならば、ルートインに限らず、全国各地の宿泊施設の駐車場には宿泊者が予約できるEV充電器がどんどん増えて欲しいと思います。また、このようなケースに対して、プラゴやレクサス充電ステーションが導入しているような車止めがあればという意見があろうかと思いますが、より広範な普及のためにはコストがかさむしオーバースペックだと考えています。今回の2軒のホテルはともに1口だけの設置ですが、2口、いや4口とか8口とかの複数口で普通充電器が設置され、予約できるようになれば、今回のようなトラブルはおのずと減っていくことでしょう。
そのためには、日本でもっともっとEV普及が進み、ホテルに宿泊して充電器を利用するニーズが高まっていくことが不可欠だと痛感しました。まだ数少ないEVユーザーのみなさん、お互い、コミュニケーションを大切にして、EV普及かくあるべしという声を上げていきましょう。
取材・文/寄本 好則
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