※冒頭写真は『Formula E』オフィシャルサイトの『eTROPHY』イメージ動画からのキャプチャです。
初めてのEVレースで最後尾から上位に進出!
青木拓磨選手の『eトロフィー』参戦は、2月7日に公開した『車椅子の元世界GPライダー青木拓磨選手がEVレース『アイペイスeトロフィー』に参戦』でお伝えしました。
『JAGUAR I-PACE eTROPHY』は、世界を転戦する『Formula E(フォーミュラE)』のサポートレースとして開催されているジャガー アイペイスのワンメークレースシリーズです。元二輪世界GPライダーである青木拓磨選手は、横浜へのフォーミュラE招致を目指す『TEAM YOKOHAMA CHALLENGE』のドライバーとして今シーズン途中からの参戦が決定。今回のメキシコシティが、初めてのレースでした。
フォーミュラeをメインレースとする『ePRIX』は、15日(土)だけのワンデイイベントとして、eトロフィーも1日で予選と決勝のレースが行われる予定でした。
ところが、朝一番のフォーミュラe練習走行(フリープラクティス=FP)で大きなクラッシュが発生してセーフティバリアが破損。さらに路面が剥がれるアクシデントがあり、eトロフィーの予選がキャンセルとなってしまいます。
このため、決勝だけの一発勝負。前日の金曜日に行われたFPの結果でグリッド順が決まり、青木選手は11番手、最後尾グリッドからのスタートとなりました。
青木選手はEVでのレースはこれが初めて。公道を使用するフォーミュラE独特のタイトなサーキットでのレースに臨むのも初めてのこと。金曜日のFPはひとまずマシンやコースに慣れて、土曜日の予選で結果を残す意気込みだったのだろうと推察します。
eトロフィーの決勝レースは「25分+1ラップ」で行われます。チームからのリリースによると「(青木選手は)スタート直後にに2台を追い越し、何台かのクルマが順位を落としてさらに上位に⾷い込み、その後Baptista選⼿を⾒事に抜いて総合5位(プロクラス3位)を確保」したとのことです。
青木拓磨選手のコメント
今回のこの素晴らしいリザルトは、⼀番うしろのグリッドからスタートしただけに本当に嬉しいです。今回私は初めてこのレースに臨むこととなり、EV のレースもまた初めて、このサーキットも同様です。しかし、チーム横浜チャレンジのスタッフ全てが私を助けて、早くこれらに馴染めるようにしてくれました。さもなければ、このような結果を得ることは出来なかったでしょう。
また、クルマを単に私が運転できるようにしてくれただけでなく、トップポジションを狙えるようなクルマに仕上げてくれたSVO、グイドシンプレックスそしてMスポーツに、私は⼤変に感謝をしています。
前回記事でもご紹介したように、下肢に障がいがある青木選手は、アクセルやブレーキを足で操作することはできません。eトロフィーを戦うレース車両は、ジャガー・ランドローバーの特装部門である『SVO』がレース用に改造したアイペイスに、イタリアのメーカーである『グイドシンプレックス』のハンドドライブ装置を取り付け、イギリスのレーシングチームである『Mスポーツ』が仕上げたものです。
青木選手は、左手のスロットルとブレーキのレバー、右手でステアリングを操作して、初戦からいきなり素晴らしい結果を残したのです。
次戦は4月18日パリ(フランス)の予定
2019−20シーズン、全10戦が予定されていたeトロフィーですが、次の第4戦に予定されていた中国でのレースの中止がすでに決定。第5戦の4月4日ローマ(イタリア)は、eトロフィーとは別に青木選手が挑戦する『ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ』の開幕戦(スペイン・バルセロナ)と日程がバッティングするため代替ドライバーが出場予定。青木選手が次にeトロフィーを走るのは、4月18日に開催されるパリ(フランス)でのレースとなります。
フォーミュラEの公式サイトでは、このeトロフィーについても紹介。ジャガーによる『THE JAGUAR I-PACE eTROPHY SERIES』のウェブサイトにリンクして、そこでは各戦のリザルトとともに、ハイライト映像の動画もアーカイブされています。
ただ、終わったばかりのメキシコシティでのレースの情報は、まだ未掲載。『TEAMS AND DRIVERS』のページでも、まだTEAM YOKOHAMA CHALLENGEや青木選手は紹介されていませんでした。更新が待ち遠しいですね。
Jaguar I-PACE eTROPHY | Diriyah Round 2 Highlights(JAGUAR)【YouTube】
Jaguar I-PACE | Road to Race eTROPHY(JAGUAR)【YouTube】
(文/寄本 好則)