6月29日・30日にオンライン開催~参加費無料
『Mobility Transformation 2021』は、『スマートドライブ』というベンチャー企業が企画するカンファレンスです。スマートドライブは2013年に設立、モビリティに関するビッグデータの収集と活用を進めるソリューション開発を手がけています。第1回の『Mobility Transformation』は2019年に初開催。虎ノ門ヒルズの会場に1500名以上が集まり大盛況となりました。
昨年4月の第2回は、新型コロナ感染拡大の影響でオンライン開催。3回目となる今年は、2日間にわたる視聴者参加型のオンライン開催(参加費は無料)となります。
【参加申し込みなどはこちらから】
●『Mobility Transformation 2021』公式サイト
また、6月28日(月)にはプレイベントとして、各業界をリードする3社とスマートドライブによるスペシャルセッションも配信予定。14時から予定されている『Hondaが提供する二輪EV(ものづくり)とモビリティサービス(ことづくり)について』など、興味深いセッションが用意されています。
移動の進化に挑戦する「共創」のきっかけに
2019年の第1回開催以来、『Mobility Transformation』が掲げるテーマは「移動の進化への挑戦」です。今回のオンラインカンファレンスには、2025年には全てのモデルをEVにすることを宣言したジャガー・ランドローバー・ジャパン、タジマモーターコーポレーションと共同で超小型EVの開発を発表した出光興産など、まさに「移動の進化」にチャレンジする企業のキーパーソンが登壇。趣向を凝らしたプレゼンテーションのあとには、参加者とインタラクティブに意見を交わす時間も設けられます。
6月末の開催に向け、タイムテーブルも決まりつつあります。今回、EVsmartブログが注目したのは千葉県館山市での『オートシェア』を取材したこともある出光興産が、何を目指し、なぜこのカンファレンスに登壇するのかということです。主催のスマートドライブからのスピーカーとして出光興産のプレゼンテーションに登壇する先進技術事業開発ディレクターの石野真吾氏と、マーケティング部部長の大里紀雄氏、そして出光興産モビリティ戦略室の朝日洋充氏に、これまたオンラインで事前インタビューする機会をいただきました。
●まず『Mobility Transformation』の意義とは何でしょう。
大里氏(スマートドライブ) 「移動の進化への挑戦」というテーマを掲げているように、今、モビリティは100年に一度の大変革期を迎えています。変化の速度が速く、求められる商品やサービスを実現するための技術の幅も多様化しており、従来の縦割りの組織や考え方では間に合いません。実際に新たなチャレンジを始めている企業の方に登壇いただき、業界の枠を超えたさまざまな参加者に集まっていただき、インタラクティブな意見交換の機会を設けることで、新たなコラボレーション、「共創」を生み出すきっかけにしていただきたいと考えています。
●出光興産のプレゼンテーションはどんな内容に?
朝日氏(出光興産) 大きなテーマとしては「石油元売りである出光が、なぜEVメーカーになるのか」ということになります。EVsmartブログでも以前取材していただいたように、飛騨高山と館山南房総で展開してきた超小型EVのカーシェアリングサービスである『オートシェア』の取り組みでは、モビリティの進化に対して「地域が求めるもの」とは何か、そして事業者として迎え撃つ脅威と、それを解決するための方法を検証してきました。
『オートシェア』では、実際にスマートドライブと共創することによって、シェアカーの利用データを分析して、大きな成果を上げることができました。その結果、『オートシェア』事業のスタートからわずか2年足らずで「出光自身がEVメーカーになる」という選択をすることができたといえます。
●すでに、出光とスマートドライブの「共創」が実現していたんですね!
石野氏(スマートドライブ) はい。集めたデータを解析して、超小型EVを活用する事業を成長させるためのインサイトなどをご提案してきました。スマートドライブと出光興産が共創するきっかけもカンファレンスでした。
朝日氏 データを収集しても、われわれだけではなかなか上手に活用できません。スマートドライブの技術を知って、協業を打診したのが始まりですね。
石野氏 お声がけいただいてから、出光興産ご担当者の動きは速かったですね。最初のミーティングをやったその月のうちには具体的な内容の詰めが始まってましたから。
朝日氏 ミーティングの後、その週のうちには企画書をまとめて稟議を上げましたから(笑)。
編集部 おおっ! さすがです。仕事が速い。移動の進化に挑戦するためには、きっと、そのスピード感が不可欠でもありますね。
●『オートシェア』実証実験で得られた成果を、可能な範囲で教えていただけますか?
朝日氏 端的に言うと「思った以上に地域は困っている」ということですね。従来のモビリティだけでは足りない「移動体」のサービスが求められていることを確認できました。しかも、カーメーカーからの情報ではなく、我々自身がユーザーと接して得られたデータや情報であることの意義が大きかったと感じます。
その結果、新たに設立した『出光タジマEV』では新開発する超小型EVをサブスクやカーシェアで提供していく計画としました。また、バッテリーのリユースやリサイクルを含めたエコシスステムも構築していきます。データの有効活用という成果によって、新しいモビリティのカタチやビジネスモデルを具体化することができたといえますね。
●新開発の超小型EVはいつごろローンチ予定ですか?
朝日氏 10月の東京モーターショーでお披露目を目指していましたが、開催が中止になってしまったので詳細は未定です。ともあれ、年内には型式認定を取得して、できるだけ早くリリースすることを目指しています。6月30日のプレゼンテーションでは、さらに詳しいことがお伝えできるかも知れません。
石野氏 『Mobility Transformation』では、初回から、大手自動車会社、鉄道会社、保険会社などからGoogle、Microsoft、LINEやスタートアップまで多くの企業やプロジェクトの「共創」のきっかけを作ることができてきました。私たちも、出光興産との共創では「スピード感」や「オープンさ」に驚かされました。「出光との共創を模索したい」という方は、まずはぜひ、『Mobility Transformation 2021』に参加してください。
出光のプレゼンはライブや質疑応答時間を長めに設定
6月29日(火)と30日(水)の『Mobility Transformation 2021』では、12時~18時まで各日6社、1社50分プレゼンテーションが行われます。(タイムテーブルは1時間ごとに設定されています)
50分の内訳は、冒頭にライブトークが約5分、動画紹介約40分のあと、参加者と登壇者がインタラクティブにコミュニケーションする質疑応答が約5分となっています。ただし、すでに反響が大きい出光興産のプレゼンテーションは、50分というトータルの時間は同じですが、時間配分が特別仕様。冒頭ライブが約10分、動画は約30分として、質疑応答時間が約10分、たっぷり取られることになっているそうです。
ちなみに、事前インタビューに対応いただいたのは朝日さんでしたが、30日のプレゼンテーションはモビリティ戦略室次長の福地竹虎氏と、モビリティ戦略室企画担当者の青柳 鎮氏が登壇することになっています。朝日さんを含めたこの3人の方々には、私は館山でのオートシェア取材で会ったことがあります。新たなモビリティサービス創出に挑む思いがとっても熱い! ということも参考情報としてお伝えしておきます。
はたして、今年の『Mobility Transformation』から、どんな「共創」そして「移動の進化」が生まれるか期待しつつ、EVsmartブログ編集部もぜひ参加しようと思います。
(取材・文/寄本 好則)