「150万円で150km」を掲げて購入した中古リーフ
2018年の年末、EVsmartブログの編集長を引き受けたことを契機に購入したマイカーの日産リーフ。購入時のレポートなどでもお伝えしたように、当時、まだ電気自動車の選択肢が少ない中、BMW i3やフォルクスワーゲン e-Golfなどの新車は高価で手が出せず。新車のリーフにも「夏場の急速充電におけるバッテリー温度上昇による出力制御」という気になるところがあり、最終的に選んだのが、バッテリー容量30kWhの「初代後期型(AZE0)」で、エアロスタイルというBOSEサウンドシステムなどの追加装備盛り盛り仕様の中古車でした。
このとき、私が最終的なマイカー選びの基準として掲げたのが「150万円で150km」というキーワードでした。車両価格150万円くらいで、一充電航続距離が150km程度あれば十分マイカーとして使いこなせるという判断です。
購入時、リーフ特有の「バッテリー容量計(12段階の目盛りが刻まれている)」で新車時同様の「12セグ」で、満充電にすると200km弱程度の航続距離が表示され、実際に高速道路などで遠出する際には「150km以内を目安に最初の充電スポットを計画しておく」よう留意しつつ、問題なく(先日、初電欠やらかしましたが)活躍してくれています。
「150万円で150km」はやっぱり正しかったと感じつつ、高速道路SAPAへの急速充電器複数台設置の拡充を願い、「400万円で400km」を実現したBYDのATTO3に時代の展開を感じ、そのBYDからの日本進出EV第2弾となるDOLPHINには「300万円で300kmを実現して欲しい」と期待しているところです。
【電気自動車購入検討レポートシリーズ記事】
2020年まで待てない! 今、買うべき電気自動車を比較検討「コストパフォーマンス」編(2018年12月28日)
電気自動車購入は「中古車」が得? 候補車種の中古EVを探してみた!(2019年1月8日)
日産リーフの中古車を購入して確認できたいくつかの真実(2019年2月4日)
電気自動車購入でバッテリー劣化を気にする前に気付くべきこと〜中古車日産リーフ実録購入記のまとめ(2019年2月28日)
11セグからちょうど1年で10セグに……
購入から丸4年が経過しようとしている私のリーフ。最近は、高速道路の遠出で「150km」を安心して走りきるのが難しくなってきています。いわゆる「バッテリーの劣化=満充電時の容量低下」が進行しているからです。
新車時の「12セグ」からひと目盛り欠け、「11セグ」になったのは昨年12月のこと(レポート記事)でした。今年10月にOBD2ツールと「リーフスパイ」というスマホアプリでSOH(バッテリー容量の健全度)を測定した際には80%を切っていたので「そろそろ……」と覚悟はしていたのですが。
車検から戻ってきたマイカーのメーターに違和感を覚え、容量計の目盛りを数えてみました。「にー、しー、ろー、はー、、あれ?」って感じで、3回ほど数え直してみましたが、やっぱり10目盛りしか表示されていません。初度登録から7年にして、とうとう「10セグ」の世界に突入してしまったのでした。
ちなみに、日産では容量計の目盛りとSOHについて公表していません。また、ディーラーでの計測サービスもありません。参考までに、以前の記事でも紹介した『EectricVehicleWiki』に紹介されていた情報では、セグ欠けと残容量の目安は以下のようになっています。
劣化度 | SOH目安 | 推定総電力量 (30kWhの場合) | 推定総電力量 (24kWhの場合) |
|
---|---|---|---|---|
11セグ | 15% | 85% | 25.5kWh | 20.4kWh |
10セグ | 21.25% | 78.75% | 23.6kWh | 18.9kWh |
9セグ | 27.5% | 72.5% | 21.75kWh | 17.4kWh |
8セグ | 33.75% | 66.25% | 19.9kWh | 15.9kWh |
7セグ | 40% | 60% | 18.0kWh | 14.4kWh |
6セグ | 46.25% | 53.75% | 16.1kWh | 12.9kWh |
10セグになってしまった私のリーフのバッテリー容量は、新車時のおよそ78%程度。つまり「30×0.78=23.4kWh」程度になっていると思われます。
そんなわけで、最近では満充電にしても表示される航続可能距離は150km程度。充電スポットまでの「安心して走破できる距離の目安」は、100〜120km程度と考えるようにしています。
と、こういうエピソードを紹介すると、「EVはやっぱりバッテリーが劣化して使い物にならない」と早合点してしまう方がいるでしょうから、少し補足しておくと。
バッテリーが劣化しやすいのは、初代リーフの特徴、というか欠点ではありますが、最近登場している新型EVにそのまま当てはまる欠点とはなっていません。劣化の主な原因となるのが急速充電時などのバッテリー温度上昇ですが、最近の新型EVのほとんどはバッテリー温度管理システムを備えています。また、初代リーフから得た教訓を受けて、新型(ZE1)のリーフでは急速充電時などのバッテリー制御を進化させていて、型式がZE0やAZE0の初代リーフに比べると、「バッテリー劣化はほとんどしない」と言えるレベルになっています。
初代リーフでバッテリー劣化が顕著なのは、急速充電の受入出力とか、いろいろ「攻めてくれていた副作用」と私は納得しているので、今回の10セグ突入についても、むしろマイカーリーフを労ってあげたい気持ちでいるところです。
ま、購入して2回目の車検を通したし、少なくともあと1〜2年は、この「30kWh改め24kWhリーフ」と仲良くしていこうと思っています。
車検費用は約11万円でした
購入して2回目(車歴としては初度登録を除いて3回目)となる今回の車検。掛かった費用は、自賠責や自動車重量税などの諸費用が「4万6730円」。24カ月点検にワイパーブレードなどの交換を含めた整備料が「6万1974円」。合計で10万8704円でした。
前回の車検時は、諸費用が3万7750円。整備費用と代行手数料で5万655円。合計で8万8405円だったので、2万円ほど多く掛かったことになります。
ワイパーブレードを交換したり、前回は断ったブレーキフールドやギアオイルの交換をご担当者の勧めるがままにお願いしたのと、リモコンキーのバッテリー交換などをした結果です。10万円超えは想定外ですが、まあ、正規ディーラーでの車検だし、こんなものかと納得しています。
「ZESP2」は、あと1年間使えます
購入して4年目の車検で、もうひとつ気になっていたのが、ZESP2(日産ゼロエミッションサービスプログラム2)の充電カードの契約期限が切れるのでは? ということでした。私が中古リーフを購入した時、運良く利用できた「2年間無料&2年間の月額料金(2000×24=4万8000円)分の商品券プレゼント」という特典の期間である「合わせて4年間」が終わるからです。
「ZESP2の契約期間は5年間」ということはそれとなく聞き及んでいました。とはいえ、ZESP2の契約書とかをどこに保管したか失念し、スマホアプリ(NissanConnect EV)とか見ても確認する項目はなく。
車検が終わった車両を受け取る際に、念のためZESP3の申込方法を確認して「オンラインで手続きして有効化してください」と、新しいカードを貰ってきたのですが……。
サポートデスクに電話で確認したところ、私のZESP2の契約期間は「2023年12月末日まで」とのこと。あと1年間は旅ホーダイを利用できることが判明しました。個人的な思いとしては、2000円とはいえ月額料金などというあまり納得できないお金を払い、急速充電はいくら使っても無料なんていうお尻の穴がむずむずしそうな特典を使えるよりも、「従量課金で合理的に、きちんと充電インフラが持続可能な料金を支払う方が気持ちいいんだけどな」とは思っています。
受け取ってきたZESP3のカードは、もったいないので散歩のついでに返却しに行ってきます。
文/寄本 好則
バッテリ交換システムを採用すれば、バッテリの劣化も航続距離の不安とも無縁になれます。中古車の下取り査定に落胆することもないでしょう。
急速充電がそれほど優れた技術でないことにそろそろ気づいてもいいと思います。いくらこの技術が発達しても、ガソリン給油の短さと航続距離回復に追いつくことはできないと思います。ということは、内燃機関のドライバーの多くは、EVの乗り換えることはないということです。また、自宅充電があるかぎり急速充電が普及することはないと思います。充電料金が自宅充電よりも大幅に安ければ別ですが。しかし、そうすると急速充電ビジネスは成立しないでしょう。
バッテリ交換システムの技術の発達と普及に投資するほうが、EV普及を早めるのではないでしょうか。EVに出遅れているトヨタがこのシステムを採用すれば、EVの主導権を握り、出遅れを取り戻すことができると思います。
seijima さま、コメントありがとうございます。
まず、急速充電はEVの長距離ドライブには欠かせない有意義な手段です。もちろん、ガソリン車(ICE)の給油に比べると時間は掛かりますが、自分が乗るEV(性能はいろいろ)に合わせた使い方に人間のライフスタイルを進化させれば、自宅で満タンにできるなど、エンジン車以上の便利なパーソナルモビリティとして活用できます。
バッテリー交換システム。急速充電と比べて一長一短はあるでしょうが、実際に中国では大きく拡がりつつありますし、新たにエネルギー密度が高い電池セルが開発された際など、より手軽に最新の性能を享受できる方法だと思います。
ともあれ、急速充電インフラにしろ、バッテリースワップにしろ、EVという製品と一体となった仕組みであり、EVを開発して市販する自動車メーカーがまず選択することだし、メーカーはユーザーへの責任をもってこうした仕組みの拡充を担っていく必要があるのだと思います。
EVsmartブログでは、こうあるべきといった提言記事もお届けしつつ、ユーザー目線で、今あるEVや充電インフラを上手に活用するための情報発信を心掛けていきたく思っています。
おっしゃるように一長一短あるので、両方あるほうがいいですね。選択の幅が広がるし、お互いの長短が見えてくる。その点、両方が存在する中国のほうが進化しています。
なお、バッテリー交換システムは、充電に時間がかかる、航続距離が1回充電では復活しないというバッテリ固定EVの欠点を改善するためのもので、ライフスタイルの進化を否定するものではありません。むしろこの技術からは新たなライフスタイルの芽が生まれると思います。といっても、メーカーにやる気がないと「絵に描いた餅」なので、メーカーに期待するしかありません。
私のリーフ(30kwh)は6年目で、この3年の間に12セグから9セグになり、先日10万kmに到達しました。
この調子だとバッテリー保証の適用になりそうです。
カリフォルニア州のEV搭載バッテリーのラベリングに関する法規を添付します。
https://ww2.arb.ca.gov/sites/default/files/barcu/regact/2022/accii/2acciifro1962.6.pdf
今後日本でもEVバッテリーに関するユーザーへの情報提供は必要になると思います。
EVバッテリー劣化が心配な方は、自動車メーカーが提供するサブスクリプションサービスを利用する方法もあると思います。BYDのリン酸鉄ブレードバッテリーは高寿命なので、サブスクリプション(リース価格)を低く設定している様です。
EVは、搭載してある”バッテリーの性能・耐久性(=残存価値)”で評価すべきと思います。
日本ではあまり知られてないようですが 日本製の初期型リーフの正極はマンガンですが 米国 英国 生産の初期型リーフは 現行リーフとおなじ ニッケル コバルト マンガン 三元系 が使用されてます
米国 欧州では 日本ほど 初期型リーフの劣化 問題視されてないようです いまだに テスラ以上に 中古リーフは人気あります
私のリーフ(30kW)は走行距離21万キロでSOH66%で9セグ表示です(まもなく8セグになります)。
外気温10℃以下では安心して走れる距離は55kmとなります。
急速充電(50kW)も30分で10kWhが限界な今日この頃です。
初代リーフの宿命だと思いますがなかなか不便です笑
ZESP2が切れたら、電池交換するのかアップデートするのか、それとも他社に…悩みどころです。
自分の30kwリーフは中古11セグ購入後2年間で現在、走行距離約8万キロSOH69%の9セグで、バッテリー保証交換のあと1セグがなかなか欠けず。あえて急速充電酷使させていますが、66%行かないと8セグにならないのですね…
保証期間残り1年強ですが、日々セグ欠け目指す自分からしたら(あまのじゃくかもしれませんが)、これも初代リーフの宿命でしょうか。上手くいかないものですね。
オコエを許す さま、コメントありがとうございます。
セグ欠け目指す日々、というあたりには微妙な思いも感じてしまいますが。w
私のリーフも、足回りなど含めてまだまだ衰えはさほどなく。ただただバッテリーが老いていく、印象を抱いています。
以前の記事でも紹介したOZモーターズでの増量改造を視野に入れつつ、正規ディーラーでのバッテリーリプレイスやレトロフィットがよりわかりやすく&コストパフォーマンス高く利用できるようになるといいのにな、と思っています。
私のリーフも先日、走行距離 約114,000kmで10セグになりました。
初代リーフはバッテリーの劣化が激しいという話がありますが、それはZESP2の無料の急速充電などが要因であると個人的には思います。充電の仕方によってもバッテリーの寿命はかなり左右されます。
これからもリーフとバッテリーを労わりながらEV生活を楽しんでください!
zesp3のカードは返却せず、zesp2の期限が切れるまで寝かせておけば良いと思います。
私もzesp3カードは受け取ってはいましたが、自宅充電メインですので1年以上寝かせていました。
が、年末年始の何だかんだで必要かと思い今月登録しました。
手元に有れば使いたい時に登録出来ます。
要らなくなったら解約、カードの再利用は出来ないので、また来るべき必要な時に備えて未登録のカードを手元に残す。
こんな運用も良いもんです。
あとzesp3のカードデザインが変更になってますね。
現在普及しているチャデモ充電器(〜50kW程度)の能力を考えると、150万円で150kmという中古EV (バッテリー容量=30kwh)の選択は賢いと思います。150km程度の航続距離があれば、普段は自宅で普通充電して使う分には十分だと思います。熱や振動源を持たないEVは余り劣化しないので、無理して高額な新車を購入するより、程度の良い中古車が見つかればそちらの方が遥かにお買い得と思います。その場合重要なのは、搭載しているバッテリーの能力(=残存価値)と思います。出来れば優れた冷却装置を持った、高性能で高寿命なバッテリーを搭載した中古EVを選択すべきです。中古EVはバッテリー残存価値が命と思います。
ピーター さま、コメントありがとうございます。
>重要なのは、搭載しているバッテリーの能力(=残存価値)
ご指摘の通りだと思います。
とはいえ、少なくとも私が中古リーフを購入した4年前、中古車情報でSOHはまったくといっていいほど情報提供されていませんでしたし、現在もその状況はあまり変わっていないと認識しています。これもまた「エンジン車の常識」から抜け出さなきゃいけないポイントですね。
お教えいただきたいのは「熱や振動源を持たないEVは余り劣化しないので」の後「優れた冷却装置を持った」の記述です。矛盾するように感じますが真意をお教えください。
ドラコさま
しばらく返信がないようなので、横からコメントで失礼いたします。
優れた冷却装置を持った…の部分は文面からも分かるかと思いますが、駆動用バッテリーの冷却装置のことに言及しています。バッテリーは充放電時に発熱しますが、この発熱は電流量と大きな関係があります。高負荷の走行や急速充電をする際の発熱を上手に冷却できるかという部分がバッテリー長寿命化のポイントになります。
ピーターさんのおっしゃっている“劣化しない”は、足廻りや駆動系、各種樹脂パーツ、ゴムパーツなどのことを指していると思われますが、駆動用バッテリーは車両床下などに丈夫な箱に収められているので、ここの発熱は上記の部品にはほぼ影響がありません。(温度も通常60℃程度が上限です)
つまり、駆動用バッテリーの優れた冷却装置を持たない場合に劣化するのはバッテリーであって、その他自動車部品にはあまり影響はないことから、一見すると矛盾を感じられるような表現になってしまっていると推察します。
したがって、BEVはICV(エンジン車)のような熱や振動がほぼ無いので、自動車としての基本である「走る・曲がる・止まる」に関するパーツは劣化しにくいが、駆動用バッテリーは優れた冷却装置を採用していないと、バッテリーが劣化しやすく航続距離に問題を抱える中古車になってしまうので、そうではない車種を選択するべきというコメントと捉えれば良いのではないかと思います。
横からコメントで失礼いたしました。