トヨタのコンバートEV『AE86 BEV Concept』にレンタル試乗のチャンス/抽選申込受付開始

トヨタ車のサブスクなどを手掛けるKINTOが、東京オートサロンなどで注目された改造電気自動車『AE86 BEV Concept』を東京でレンタルできる企画を発表。抽選申込の受付を開始しました。当選者は3時間(2万円/税込)で試乗できます。抽選申込は9月30日まで。

トヨタのコンバートEV『AE86 BEV Concept』にレンタル試乗のチャンス/抽選申込受付開始

コンバートEVとは?

今でこそ、世界中の自動車メーカーが専用設計のEVをたくさん作っていますが、ほんの少し前まではICE車のエンジンを下ろしてモーターを搭載するというようなパターンも多く見られました。こうした方法をコンバートEVと呼びますが、EV黎明期にはコンバートEVの注目度が高かった時期もあります。

専用設計のEVが台頭してくるとコンバートEVは姿を消すのかといったら、そんなことはありませんでした。じつはヒストリカルなICEモデルのエンジンをモーターに換装しようという動きが出てきたのです。英国ジャガーは2017年に名車と呼ばれたEタイプをフルレストアしたうえで、パワートレインをEV化した「E-TYPE ZERO」というモデルを発表しています。

ヒストリカルなモデルは時を経るとともに各種パーツ供給が難しくなってくるため、エンジンをモーターに交換することはそのクルマを長生きさせるための手段として重宝されているのです。欧米では超が付くような高級車をベースとしたコンバートEVが多く登場しています。日本でもこうしたコンバートEVの動きはあるのですが、日本人の旧車マニアはネジ1本までオリジナルにこだわるような気質もあるため、ヒストリカルなモデルでのコンバートEVが大きな流れになっているとは言いがたい状況です。

レクサスが作ったAE86 BEVに試乗するチャンス!

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

そうした中、トヨタ(改造はレクサスの技術者が担当)は2023年の東京オートサロンにAE86カローラレビンをベースとした『AE86 BEV Concept』というモデルを展示しました。

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2023年の時点ではモーターはタンドラハイブリッド用、バッテリーはプリウスPHEV用を採用していましたが、現在はバッテリーをレクサスNX450h+用(容量は18.1kWhですが、このAE86のバッテリー容量は非公表)に変更。最高出力は67.4kW(93ps)から95kW(129ps)にアップ。車両重量は1030kgから1070kgに増えています。

『AE86 BEV Concept』は、AE86をEVとしただけのモデルではなく、AE86の魅力を引き継ぐモデルとして作られているため、6MT(GR86のものを流用)をあえて残したり、エンジン音をスピーカーから流すというギミックも採用されています。

本サイトでも取り上げたことがあるこの『AE86 BEV Concept』が東京でレンタカーとして試乗できることになったのです。すでに今年の2月ごろから愛知県では行われた試みですが、東日本では初めてのことです。

レンタルが行われる期間は2024年10月17日(木)~12月20日(金)の期間中の毎週木曜日と金曜日の2日。試乗時間は11時00分~14時00分の3時間に限定されています。レンタルの起点はトヨタモビリティ東京 GR Garage東京深川(東京都江東区千石2丁目12-6)で、料金は2万円(税込)です。試乗希望の方は「抽選申込ページ」からエントリーしてください。抽選のうえ試乗可能か否かが決まり、当選者にのみ当選通知がメールされます。

同申し込みサイトでは、新しいエンジンに換装したICEモデルの申し込みもできるようになっていますので、申し込みの際はご注意ください。また、運転の際はMT免許が必須で、高速道路は走行禁止。乗車定員は2名で後部座席はありません。

限られた時間での試乗ということで、推奨コースも例示されていました。

トヨタはこの『AE86 BEV Concept』を発表した際に水素エンジン車(燃料電池ではなく水素を燃料として燃やす内燃機関車)であるトレノベースの『AE86 H2 Concept』も東京オートサロンに展示していました。こちらのモデルの公道試乗もできるようにしてもらえたらより楽しいのではないだろうか? と思ってしまいました。

文/諸星 陽一

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					諸星 陽一

諸星 陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。国産自動車メーカーの安全インストラクターも務めた。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。自動車一般を幅広く取材、執筆。メカニズム、メンテナンスなどにも明るい。評価の基準には基本的に価格などを含めたコストを重視する。ただし、あまりに高価なモデルは価格など関係ない層のクルマのため、その部分を排除することもある。趣味は料理。

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