本国ドイツと同程度の価格で日本発売
BMWによるプレミアム・ミドルクラスクーペのEV『BMW i4』が、いよいよ日本に上陸です。すでに昨年、価格未定のまま日本でも予約受付を始めていましたが、今回は正式に「発売」のアナウンスがありました。
現在、BMWはSUVの『iX』、『iX M60』、『iX3』、ハッチバックの『i3』、クーペの『i4』と『i4 M50』という6モデルを世界に展開しています。BMWがこれらすべてのEVを日本でも販売するというのは、とても素晴らしい事だと思います。EVの市場拡大に真摯に取り組んでいることがわかります。
『BMW i4』は、既存の『4シリーズ グラン クーペ』のラインナップに追加されます。タイプはノーマルバージョンと、Mスポーツの2モデルになります。ノーマルバージョンは『i4 eDrive40』、『i4 eDrive40 M Sport』の2グレード、Mは『i4 M50』です。価格は以下の通りです。
●i4 eDrive40 750万円
●i4 eDrive40 M Sport 790万円
●i4 M50 1080万円
なお『i4 eDrive40 M Sport』は、2月17日時点で公開されているカタログには未掲載なのですが、BMWグループのリリースによればノーマルバージョンにMスポーツのオプションを装備したもののようです。値段があまり変わらないのはそのためと思われます。
車格は現行の『4シリーズ グラン クーペ』とほぼ同じです。価格はガソリンエンジンの『420i グラン クーペ』が税込みで632万円と673万円、『M440i xDrive グラン クーペ』が税込みで1050万円なので、ノーマルバージョンの『i4 eDrive40』では約120万円アップ、Mスポーツならほぼ同じ価格です。こうなると『i4 M50』が、ものすごくお買い得に思えてきます。
ノーマルバージョンでも、補助金の額はまだ確定していませんが外部給電などに対応しないとすると最大60万円。東京都のようにプラスアルファがあるとガソリンエンジンの4シリーズとあまり変わらない価格になります。税金の優遇措置を考えるとさらにお買い得感が増します。
もちろん筆者にはまったく手が届かない車ですが、EVとしてはかなり魅力的な価格設定になっている気がします。表現が乏しくて申し訳ないのですが、なんか「すごい」という感想です。
そういえばEVsmartブログでは日本での先行予約開始時に、ドイツ本国での価格が約750万円だったので、日本での価格は800万円台からではないかと予想していましたが、とんでもないことでした、ごめんなさい。
CHAdeMO対応を含めて日本独特の仕様があるのでコストが上がっているのは間違いないのですが、本国と同じ価格とは驚きました。BMWの強い意思を感じますね。
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急速充電は最大150kW対応〜販売店に設置も
ではスペックを見ていきましょう。とりあえずEVsmartブログとしては、電気関係から注目してみます。2020年に公表された仕様によれば、バッテリー容量は83.9kWh(実用域は80.7kWh)で、72セル/モジュール×4個と、12セル/モジュール×3個の組み合わせになっています。
BMWは2020年のリリースで、バッテリーは現行の2020年モデル『i3』と比べてセルの体積エネルギー密度が40%増加したと述べています。こういう話を目にすると、現行モデルのバッテリーを最新バージョンに交換できるサービスがあるといいなあと思います。
バッテリーは、新車登録から8年、16万キロの保証がついています。ただ、どういう状態になると保証の対象になるのかという基準は明らかではありません。
バッテリーの温度コントロールは、室内の冷暖房、駆動システムの冷却と連動したシステムで制御をしています。駆動系の廃熱利用と併せて、ヒートポンプを利用します。こうした一括管理はちょっとテスラっぽいです。
一充電あたりの航続距離と電費は以下のようになります。いずれもWLTP(欧州基準)です。
●i4 eDrive40 航続距離:590km 電費:5~6.25km/kWh
●i4 M50 航続距離:510km 電費:4.2~5.3km/kWh
なお、アメリカではすでに市場に車が出ているので、EPAの数値も見てました。
●i4 eDrive40 航続距離:484.4km 電費:市街地 5.2km/kWh・高速 5.15km/kWh
●i4 M50 航続距離:434.5km 電費:市街地 4.47km/kWh・高速 4.67km/kWh
※タイヤサイズは『i4 eDrive40』が18インチ、『i4 M50』が19インチのモデル
EPAのデータでは、『i4 M50』は市街地より高速道路の方が電費が良くなるのが特徴です。車重とパワーのバランス点が、高速走行にマッチしたのでしょう。いずれのモデルも、2トン前後と思われる車重にしては良好な電費になっていると言えそうです。日本仕様ではタイヤサイズがいずれも1インチ小さいのが標準仕様のようなので、電費がもう少し良くなる可能性もあります。
充電は、家庭のコンセントだとデフォルトで1.3kW、ウォールボックスを使うと6.4kWに対応しています。急速充電は、日本のCHAdeMO規格では最大150kW対応です。BMWは、ほぼすべての販売店に50kWを設置、一部の販売店に150kWの急速充電器を設置することを表明しています。150kWを設置する販売店の数や時期などは明らかではありません(詳細確認中)が、いちど体験してみたいですね。
なお、『i4』は各国で使用可能な複合型充電ユニット(CCU)を搭載しているため、基本性能として交流での普通充電は最大11kW、直流での急速充電は最大205kWに対応しています。350kW級超高出力急速充電網の整備が進むヨーロッパや北米ではこの機能の恩恵を受ける機会が多そうです。
日本でも急速充電器の普及状況によっては、OTAで超高出力への対応が可能になるかもしれません。けれども今は、150kW級の実現や90kW級の普及&高速道路SAPAへの複数台設置を先に進めてほしいですが。
動力性能はいわずもがなの300馬力オーバー
駆動系のスペックは、すでに公表されているデータも多いので駆け足でいきますね。
駆動方式は、『i4 eDrive40』が後輪駆動、『i4 M50』が前後に1モーターずつ配置した全輪駆動です。最高出力は『i4 eDrive40』が250kW(340PS)、『i4 M50』はシステムトータルで400kW(544PS)です。
『i4 M50』は、通常はリアモーターだけで走行し、必要に応じてフロントを駆動します。モーターの最高出力は、リアが230kW、フロントが190kWです。システム最大トルクは795Nmになります。このパワーを最大限に生かす『eローンチ・コントロール』を使えば、いわゆるカタパルトスタートも可能です。日本の一般道で使うのは、ちょっと無理かなあと思ってしまいますが、機会があれば試してみたい機能です。0-100km/h加速の性能などは今回のリリースでことさらアピールはされていませんが、『i4 M50』で3.9秒とされています。
回生ブレーキの強度は3段階で、最大制動力は『i4 eDrive40』が116kW、『i4 M50』が195kWです。
また、日本仕様でどこまで対応しているかは明らかではないのですが、基本性能としては、ナビと連動した回生レベル制御ができるのが特徴です。交差点や速度制限などに応じて、アクセルペダルを離すと自動的に回生力をコントロールするそうです。欧州はラウンドアバウトも多いので、こういうのはちょっと便利かもしれません。
ということで、価格と性能のバランスといい、ガソリンエンジンのモデルとの価格差といい、買うお金があれば手にしてみたいEVの1台です。日本独特のCHAdeMOへの対応で不具合がないかどうかは気になりますが、そのあたりは実車が出てきたらテストしてみたいと思います。楽しみがひとつ増えた気がする、日本市場への新型EV登場のニュースなのでした。
(文/木野 龍逸)
BMWi4が入庫してから1か月以上経ちます。
約1か月のデータなのですが、2,223.5kmを走りまして7.3km/kWhとなっています。
回生充電が124.4kwも有りますので平坦な道だけを走った訳ではないようです。
平坦な道を走ったのですが、56.4kmで7.7km/kWhとなっています。
回生充電が3.0kwしか有りませんので、少しの坂だけでしたね。
普段は、BMWカードを使って充電の料金は掛かりませんが、自宅で200Vだと3kWhにしましたので夜間充電だと10時間できますので、一回で30kwができるようです。
30kw×7.3km/kWh=219km走れることになりますし、30kw×13.21円(九電の深夜料金)=396円なります。
83.9kw(BMWi4のバッテリー)×7.3km/kWh=612kmのペースでは走れることになるようです。
田舎ですから都会のように止まることも少ないのでEVでも走る距離が延びるのでしょうね。
EVとはいえ内燃機関版と同じボディを利用しているのでしょうから、後席足元のセンタートンネルは残っているんですよね?
出っ張りはなくしてほしいなと思っています。
2030年頃に、1シリーズクラスの小さなモデルが500万円を切って買えるようになると嬉しいですね。
その頃は充電インフラの整備も格段に進んでいるでしょうから、電池容量は60kWhもあれば十分ではないかと想像します。