7月に発表された各社の稼働実績
電気自動車用充電設備の稼働実績(充電実績)データを公表する充電サービス事業者(CPO=Charging Point Operator)が増えています。
充電器稼働実績の公表は、まず2023年7月に株式会社e-Mobility Power(eMP)が2023年度第一四半期分から開示をスタート。その後、四半期ごとにデータを公表(充電実績データ公表ページ)しています。
その後、2024年4月からはおもに6kW普通充電器を展開するエネチェンジが続き、集合住宅などの基礎充電設備が多いユアスタンド株式会社や、「WeCharge」というサービスを展開するユビ電株式会社、「ENEOS Charge Plus(エネオスチャージプラス)」を展開するENEOS株式会社などが相次いでデータを公表しています。
まず、2024年7月に発表された、各社充電器の稼働実績などのデータをご紹介します。
ユアスタンド株式会社
7月2日、ユアスタンドが2024年6月と、2024年4〜6月期の稼働実績を発表しました。
ユアスタンドでは集合住宅の駐車場や共用部で、複数のEV・PHEVユーザーがおもに基礎充用途で使う普通充電器の設置が多く、1口あたりの月間平均充電時間が4〜6月期で1,843分/月、6月単月(速報値)では1,931分/月と、しっかりと稼働しているのが特長的です。
ユビ電株式会社
同じ7月10日には、基礎充電を中心とした「WeCharge」を展開するユビ電株式会社が『EV充電サービス「WeCharge」に関する最新の指標』として、2024年度第一四半期(4〜6月)のデータを発表しました。
ユビ電では昨年までの充電インフラ補助金で大規模な既築集合住宅駐車場への普通充電設備全区画設置などを進めていました(関連記事)。その後、経産省が設置口数の制限などのルールを定め、補助金による大規模な駐車場への全区画設置はできなくなっています。
発表の最初に「集合住宅などにおける基礎充電インフラ(個別設置型)の契約率」を強調しているのは、個別の駐車区画に充電設備があることが、日本全体と比べてEV普及が促進されていることをアピールする狙いがうかがえます。とはいえ、2021年度から設置した基礎充電設備の契約率は全体でまだ5%。補助金を費やした充電設備の95%、4年経っても84.5%が使われていないのは悩ましい現実と読み取ることもできます。
ENECHANGE 株式会社
7月16日には「EV充電エネチェンジ」のサービスを展開するENECHANGE 株式会社(エネチェンジ)が「当社運営の公共用 EV 充電器(目的地充電)の 2024 年第2四半期 稼働実績(速報)」を発表しました。
エネチェンジでは、以前の記事でお伝えしたように、利用者数が多いと見込める施設への設置を進めたり、エンジン車の駐車を防ぐため「EV充電優先区画」であることを示すコーンを充電器設置施設に送付するなど、稼働実績を高める取組を行っています。
「1口あたりの月間平均充電時間(分)」が、2024年第一四半期の888分から、第二四半期は980分と10%ほども増えているのは、そうした取組の成果と評することができるでしょう。
ENEOS株式会社
「ENEOS Charge Plus」のサービスを提供するENEOS株式会社からも、7月22日に2024年度第一四半期(4〜6月)の「充電実績データ」が発表されました。
ENEOS Charge Plusが充電器の稼働実績を発表するのは今回が初めてです。経産省も努力目標として明示している稼働実績公表が広がるのは、EVユーザーとしても歓迎したい動きです。
ENEOS Charge Plus では、急速充電のサービスが中心ではあるものの、2023年9月からは普通充電サービスを開始しており、両方を併記した発表となっています。
急速充電器の利用実績は、四半期の総充電時間が「28,741時間」となっています。分に換算すると「172万4,460分/四半期」で、ひと月あたりの稼働時間は「57万4,820分」となり、1口(台)あたりの月間稼働時間は約1,032分(約17.2時間)となります。
ちなみに、e-Mobility Powerの2023年度第四四半期(2024年1〜3月)の利用実績を同様に算出すると、急速充電器の口数が「9,103」、四半期の総充電時間が「81万5600時間=4893万6000分」で、1口あたりの月間稼働時間は約1,792分(約30時間)と求めることができます。
普通充電器の稼働時間に注目してみた
各社発表のデータを並べてみると、各社の指標がまちまちで「よくわからない」という印象もあります。おもに目的地充電用途の公共用普通充電器に注目し、EVユーザーとして気になるポイントを一覧表にしてみました。
2024年4〜6月期/普通充電器(おもに目的地)稼働状況
2024年4月〜6月 | 2024年1月〜3月 | ||||
---|---|---|---|---|---|
EV充電エネチェンジ | ENEOS Charge Plus | ユアスタンド | WeCharge | e-Mobility Power | |
設置口数 | 2,454 | 167 | 非公表 | 非公表 | 13,061 |
月間 総充電時間(時間) | 120,227 | 17,484 | 非公表 | 非公表 | 395,500 |
1口あたり 月間平均利用回数 | 7.5 | 21.7 | 7.4 | 4.8 | 5.9 |
1回あたり 平均充電時間(分) | 131 | 102 | 251 | 177 | 103 |
1口あたり 月間平均利用時間(分) | 980 | 2,094 | 1,843 | 859 | 606 |
※リリースで発表がない数値は四半期データから算出。 |
ユアスタンドは前述のように複数ユーザーが共用する基礎充電設備が中心、e-Mobility Powerのデータは2024年1〜3月期なので「あくまでも参考までに」ですが。
発表データから試算すると、ENEOS Charge Plusの1口あたり利用時間が約2094分/月と突出して高稼働という結果になりました。同社の普通充電器はイオンなどへの設置が多く、まだ167と口数は少ないですが、頻度高く利用が見込める場所にかなり絞り込んだサービス提供がなされているのかも知れません。このあたりは、改めて取材してみたいところです。
CPOとしてはTerra Charge 株式会社(テラチャージ)も目的地充電用途の普通充電器設置数は多いはずですが、現段階で稼働中の設置口数や稼働状況などの公式な発表はありません。また、広くEVユーザーが「どのくらい使われているか」を理解しやすい「1口あたり月間平均利用回数」や「1口あたり月間平均利用時間」といった数値は、各社算出方法なども統一して発表されるのがわかりやすいと感じます。
EV充電インフラの稼働状況は、充電インフラ補助金を有効に活用して「使われる充電器」を増やし、EV普及を推進するためにも重要な情報です。今後、補助金を活用して設置を進めるすべての充電サービス事業者から、よりわかりやすい情報が公開されるようになることを期待しています。
7月末には、e-Mobility Powerから2024年度第一四半期(4〜6月期)のデータが発表されるはず。引き続き注目していきたいと思います。
文/寄本 好則
電気自動車購入しますしてるものです。
日産のサクラです。
やはり充電ステーションの充実を望みます。
使う側の問題もあるとは思います。
①蜘蛛の巣がはってあるところがある
②何時まで経っても故障中の道の駅がある
③充電機に値段が出てほしい
④電源コード(容量によるのはわかりますが
結構重いものがある)の長さ•太さ•汚れ
⑤ディスプレイが見にくい
以上よろしくお願いします。
各社で6kWと3kWの充電器を設置しているので、1口あたりの月間平均利用時間は単純比較出来ないと思います。
3kWを多く設置している方が利用時間が多くなるのが自然な気がします。
もし可能でしたら、3kWと6kWを分けて月間平均利用時間を計算してもらえないでしょうか。
各社の比較資料ですが、平均利用時間が多い、少ないの差があるのは、単純に使われやすい場所にあるからなのでしょうか?充電料金も重要な要素になるかと思うのですが。
1分あたりの充電料金も資料に反映させていただけると、より有意義なデータになるかと思います。
さっき某自治体と公共施設等への充電器導入のあり方について意見交換したのですが、業者選定のプロポーザルの際にこうした利用時間数を評価点要素に加味してはどうかとの提案をしたところでした。