エネチェンジと「楽天トラベル」がEV充電器の設置でパートナーシップ契約締結

2022年11月8日、ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社が楽天グループ株式会社と、旅行予約サービス「楽天トラベル」に参画する宿泊施設を対象に、当社のEV 充電器の設置拡大でパートナーシップ契約を締結したことを発表しました。約4万軒の宿泊施設に向けた充電インフラ拡充が加速します。

エネチェンジと「楽天トラベル」がEV充電器の設置でパートナーシップ契約締結

宿泊施設のEV用充電器設置加速は重要課題

日本でもEV普及がいよいよ加速し始めた中、電気自動車(EV)用充電インフラ拡充が必要不可欠になってきています。EVの利便を高めるため、重要なポイントとして以下の3点を挙げることができます。

① 高速道路SAPAを中心とした経路充電における合理的なスポットへの高出力急速充電器の複数台設置拡充。
② 宿泊施設を中心とした目的地充電(長時間滞在型)施設への普通充電設備設置拡充。
③ 都市部を中心とした集合住宅駐車場、賃貸駐車場への普通充電設備設置拡充。

EV充電の利用シーンには、自宅で充電を行う「基礎充電」、移動途中に高速道路などで急速に充電を行う「経路充電」、外出先で継ぎ足し充電をすることができる「目的地充電」の3つのタイプがあります。

今回、エネチェンジが発表した楽天トラベルとのパートナーシップは、② に挙げた宿泊施設へのEV用充電器設置に向けた取り組みであり、EV普及に向けて大切なポイントのひとつです。

【プレスリリース】
エネチェンジと楽天、「楽天トラベル」において EV充電器の設置でパートナーシップ契約を締結(エネチェンジ)

約4万軒の登録宿泊施設へEV用充電器設置を推進

楽天トラベルに登録する宿泊施設の数は約4万軒。日本国内の祝は施設数は約5.5万軒(2022年6月現在 ※ hotelbank 調べ)とのことなので、日本の「おもな」宿泊施設のほとんどが対象になると考えていいでしょう。

今回のパートナーシップ締結の背景には、楽天トラベルが実施した「旅行・観光におけるサステナビリティへの意識調査」でも、旅行者の多くが「CO2 の削減や節電・省エネへの取り組み」を宿選びの参考ポイントに挙げるなど、社会全体のサステナビリティへの関心の高まりがあります。移動手段の脱炭素化に寄与するEV用充電設備の拡充は、今後の宿泊施設にとって重要なポイントになってきているのです。

ただし、今回の発表の内容は、登録宿泊施設のすべてに、すぐにでもEV用充電器が設置されるというわけではありません。まず、楽天は登録宿泊施設を対象に、敷地内にエネチェンジと共同ブランドで展開するEV用充電器「エネチェンジEVチャージ」の設置を働きかけます。一方、エネチェンジが宿泊施設の敷地内へのEV充電器設置に向けた宿との個別の調整と設置を行っていくというものです。

より多くの宿泊施設ご担当者に、サステナビリティとEVへの理解、EV充電器拡充の必要性についての理解が広がり、「EVで旅するときは、宿で充電できるのが当たり前」になって欲しいと願います。

エネチェンジでは6kW出力の充電器を標準採用

エネチェンジEVチャージの特長ともなっているのが、出力6kWの普通充電器を標準で採用していることです。

今年になって続々と登場している新型EVには、容量60kWhを超える大容量バッテリーを搭載したモデルが少なくありません。電池残量が20%を切るような状況で宿に到着した場合、いわゆるEV用200Vコンセントなどの出力である3kW出力では、50kWhの電力を充電するためには「50÷3=約16.7時間」も掛かることになります。いかに滞在時間が長い宿泊施設とはいえ、これでは、朝の出発時に「まだ満充電になっていない!」というケースが頻発します。

でも、出力6kWの充電器であれば、同じ50kWhを充電するのに必要な時間は「50÷6=約8.3時間」となります。ビジネスホテルなどで、20時にチェックインして翌朝7時に出発と考えても滞在時間は11時間あるので、気持ちよく満充電で出発できる、ということです。

普通充電の最大出力はEVの車種によって異なります。大容量バッテリーを搭載した新型EVのほとんどは6kWを超える出力の普通充電に対応しています。ただし、普通充電の最大出力は「3kW」にしか対応していない車種もあります。エネチェンジEVチャージの場合、利用料金が6kW出力を前提として設定されているので、3kW以下でしか充電できない車種の利用者は、少し高めの充電料金が掛かることを理解しておきましょう。
【追記】 11月11日に開催されたエネチェンジの発表会で城口CE0に質問したところ、3kWでしか充電できない場合の課金システムも早々に導入する予定であることが確認できました。(2022年11月12日)

47都道府県すべてのエリアに導入決定

10月26日には、エネチェンジは「エネチェンジのEV充電サービス、 キャンペーン開始から約4ヶ月で47都道府県すべてのエリアに導入決定」というプレスリリースを発信。2027年までに最大300億円を投じ、国内で3万台のEV充電器「エネチェンジEVチャージ」の設置を目標として、2022年6月に導入支援キャンペーンを開始して以降、約4ヶ月で47都道府県すべてのエリアにおいて導入が決定されましたことを発表しました。

EV充電インフラの拡充が、日本でも着々と進んでいます。

既報のように、2022年11月1日から、EVsmartブログの運営会社が以前のアユダンテ株式会社からENECHANGE株式会社に移行しました。すべてのEVユーザーにとって、充電インフラのニュースは重要な関心事です。運営会社となったエネチェンジからの発信に限らず、さまざまな充電サービスに関する新情報や設置事例を、EVsmartブログでは今後も積極的に取り上げていきます。引き続きご期待ください。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)2件

  1. 充電器の設置を検討している事業者です。
    電気の基本料金や高圧だと点検費が必要になりそれだけで年間100万超えてしまう。
    6kwの倍速の設備だと、補助金もらっても30万から50万くらい負担しないといけない。電気代の原価は1kw30円程度なので月に30時間稼働率4%で5000円。月に5000円エネチェンジに契約料を払わないといけないので利益は0。
    初期投資分を5年で元を取ろうと思うと稼働率12%くらいは欲しい。
    店舗があってその集客のためということで効果があるのならアリかもしれない。

  2. 温泉好きの電気管理技術者です(笑)。
    岐阜県は割と温泉豊富な地域で天下三大銘仙にカウントされる下呂温泉が有名ですが、ここ最近普通充電器の数が減っており、原因はどうもJTBの設置した豊田自動織機製3G充電器の3G停波によるeMP非加盟化が大きかったようです。
    おそらく楽天トラベルもユーザーの口コミでEV充電器の重要性は痛感しているはず、それがないばかりに評価が下がり売上が減っては痛手を被るから提携するんでしょう…ただしEVユーザーに多い一人旅に対応する旅館は数少ないし、あっても低圧受電で電気代割高かつ充電電力も少ない問題がありますが。
    自身が贔屓する鄙びた宿だと1kWローパワーチャージャーしかつけれませんが、仮に一泊16時間としても軽EVやPHEVなら満充電になります。宿の受電能力も勘案しながらつけることになりますよ!?

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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