『EVsmartブログ』は有意義な電気自動車情報メディアであり続けます~エネチェンジへの事業譲渡について

アユダンテ株式会社が、EVsmart事業をENECHANGE株式会社に事業譲渡することを発表しました。とはいえ、ユーザー目線でEV普及に資する有意義な情報発信を続け、読者と企業を繋ぐ開かれたメディアであるEVsmartブログのスタンスや編集方針は変わりません。

『EVsmartブログ』は有意義な電気自動車情報メディアであり続けます~エネチェンジへの事業譲渡について

編集体制などは従来通り運営していきます

2022年9月30日、アユダンテ株式会社(東京都千代田区、代表取締役:安川洋)は、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)向け充電スポット検索アプリ『EVsmart』ならびにEV情報メディア『EVsmart(https://evsmart.net/)』等の「EVsmart事業」を、ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社(東京都中央区 代表取締役CEO 城口洋平、代表取締役 COO 有田一平)に事業譲渡する契約を締結したことを発表しました。

EVsmart事業は、EV業界のパイオニアであるアユダンテによって、EV黎明期の2014年より開発・運営されてきたサービスです。EV情報に特化したメディアは月間100万PV、アプリは累計インストール数20万件以上を記録しており、提供するEV充電スポット情報においても全国1万8,000カ所以上をカバーしつつ約8万3,000件の口コミを掲載する等、業界最大規模にまで成長してきました。もちろん、この『EVsmartブログ』も、アユダンテが運営してきたEVsmartメディア事業のひとつです。

【プレスリリース】
アユダンテ株式会社
ENECHANGE株式会社

2022年11月以降、運営母体となる企業がアユダンテからエネチェンジに変わることになります。とはいえ、多彩な著者陣には今までと同様に執筆いただき、編集長は引き続き私(寄本)が務めさせていただきながら、EV普及を応援しつつ、ユーザー目線の中立的な立場からEVやEV関連サービスなどに関して是々非々の情報発信を行うスタンスや編集方針は変わりません。

充電ソリューション情報も是々非々でお伝えしていきます

エネチェンジは、以前、EVsmartブログの記事でもお伝えしたように、電気自動車向け充電設備の設置工事からEVユーザー向け課金アプリの提供、アフターサポートまでをオールインワンで提供するEV充電サービス「エネチェンジEVチャージ」を展開しています。目的地充電に特化して、2027年までに最大300億円を投じ、EV充電器を国内で3万台設置することを目標に掲げ、全国にサービスを拡大している企業です。

今回の事業譲渡では、「EV業界の最大規模サービスであるEVsmartのメディア&アプリの譲受により、ウェブメディアでの高品質な情報提供からアプリでの豊富な充電スポット情報の提供、検索から充電・課金までのシームレスなサービスを提供する」という目的が示されています。

つまり、充電スポット検索アプリ『EVsmart』で充電スポットを検索して利用、「エネチェンジEVチャージ」の充電スポットであれば、そのまま決済まで可能になる、というイメージです。これは、EV充電ソリューションサービスのひとつである「エネチェンジEVチャージ」の利便性向上に、EVsmart、ことに充電スポット検索アプリが寄与することになります。

EVsmartブログでは、エネチェンジに限らず、さまざまな充電ソリューションに関する情報や、充電器設置事例などの記事をお届けしています。そして、今後も充電インフラに関する取材や情報発信を行っていく方針です。ことに、普通充電ソリューションを提供している企業様にとっては、競合企業が運営母体となるわけですが、EV情報を発信するメディアとしての立場はあくまでも今までと同じく中立のユーザー目線。EVsmartブログ編集部としては有意義な情報を是々非々で発信していくスタンスは変わりません。引き続き、ご理解、ご協力いただけますようお願いいたします。

時代は着々と動いています!

最後に、個人的なつぶやきです。アユダンテ社長である安川さんの「健全なEV普及を目指した情報発信」に対する心意気に共感し、EVsmartブログ編集長をお引き受けしたのは、2018年末のことでした。

最初に執筆したのは『2020年まで待てない! 今、買うべき電気自動車を比較検討「コストパフォーマンス」編』という記事です。当時、日本で市販されていて候補としたのは8車種だけ。事実上、リーフ、VW e-GOLF、BMW i3のどれにするか。さらに言うと、新車にするか中古にするか、という限られた選択肢しかなく、結果として「150万円で150km」を理由に、中古の30kWhリーフを購入しました。

あれから4年が経過して、今年は状況が様変わり。日本国内で発売されたBEVは、2021年10月~2022年9月までの間だけでも20車種以上を数えます。軽EVや四輪駆動モデルの選択肢も増えました。

充電インフラについても、2015年以降は拡充が停滞気味でしたが、今年になってエネチェンジをはじめ、WeCharge(ユビ電)、Terra Charge(テラモーターズ)、ユアスタンド、プラゴ、ジゴワッツなど多彩な企業が、独自アプリを活用した充電ソリューション提供サービスを拡大。集合住宅での基礎充電や目的地充電設備が一気に拡大しそうな気配です。

また、急速充電インフラについてもe-Mobility Powerが新型6口器を横浜市の大黒PAに投入。高速道路SAPAへの90kW級高出力器複数台設置がかなり進展しそうな状況であるとも聞いています(まだ噂レベルですけど)。

車種の選択肢が広がり、充電インフラの拡充が進展すれば、日本でのEV普及はいよいよ本格的な幕開けを迎えることになるでしょう。2022年という、日本の電気自動車普及にとってエポックメイキングな年に、EVsmartブログがメディアとして事業譲渡というひとつのステップアップを迎えることに、改めて心意気を引き締め直したいと思っています。

あとは、今のエンジン車相場とさほど変わらぬ価格で買える、大衆車EVの選択肢が増えてくれることを願うばかり。EVsmartブログの著者ページで自分が書いた4年間の記事をざっくりと振り返っても、時代が着々と前に進んでいることを実感します。

これからも、EVsmartブログをご愛読ください!

(EVsmartブログ編集長/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)7件

  1. i-MiEV(M)10.5kWhを作業車で使うてる電気管理技術者ですー!
    電気軽自動車は正直普通充電だけで事足りる場合が多く、遠出でもない限り急速充電器の世話になることもないんでENECHENGE社の6kW普通充電器普及はメリットあると踏んでますー。
    仮に高圧受電設備があり夜間使用電力が大きい公共施設や商業施設なら基本料金をさほど上げなくとも従量課金が少ないから、主婦層に使いやすいEV充電器の普及が軽EV市場を盛り上げてくれる可能性が高いんやないですか!?
    そうなりゃ相乗効果の期待できる業務提携や事業譲渡もアリやと僕は思いますー。自身の電気保安管理業務とセットでENECHANGEのサービスも売り込めりゃ一石二鳥、趣味も実益も公益も兼ねられるんなら2つ返事でございますー。

    一般ユーザーの目線と電気保安管理上のインフラ技術者目線、相反する条件をうまく処理するのがEVsmartの役目のはず…それなら僕は数少ない電気技師目線で今後も語っていきますでー!!!もしバイアスかかったら僕は速攻でツッコミ入れますんで。
    ※代理店契約もどうしようかなーWinWinの落としどころがあればエエけど。

  2. 安川さんはEVsmartを手離して、EVの普及促進活動からは手を引く、という感じなんでしょうか?

    あれほどBEVの未来について絶対の自信を持ってブログを執筆されていたのに、なぜ事業譲渡などするのでしょうか?
    他の事業に注力したいためなのでしょうか?

    以前に自動車評論家の岡崎五朗さんとのやり取りを見ていて、やっぱりBEVの未来は明るいのかなと感じていたのですが、そうならばなぜ、EVsmart事業を譲渡するのでしょうか?

    これからBEVが流行るのなら、充電設備を案内するアプリだったり、ブログなどの情報発信媒体の価値はますます重要になっていくと思うのですが…?BEV黎明期から活動を続けているブランド力は他の追随を許さない、唯一無二の価値のように思います。
    あまりにもったいない。

    1. もーりー 様、ご助言ありがとうございます。
      これからのBEVの未来は明るいというか、普通の存在になっていくと思います。ガソリン車は100%完全に置き換えられると信じています。そして、世界は大きく変化するでしょう。自動車の構造が簡単になり、安全性が著しく向上、運転の自動化も進むでしょう。電気自動車により沿道の騒音が静かになり、タイヤのロードノイズは今以上に注目を浴びるようになり、沿道の地価も上がります。そして、自動運転の普及により、人々は夜旅行するようになり、朝から活動するような新しい旅行業が生まれることでしょう。SAPAは今まで充電にコミットしてこなかったので、人が寄り付かなくなり、充電できる場所で充電する人々が増え、休憩もそういう場所で行われるようになるでしょう。

      この時代に、サービスとしてもメディアとしても期待されるのは規模です。
      規模を追求する場合、リスクが伴います。リスクとは、事業がうまく行かなかったときのことです。その場合、残念ながら日本では、従業員の解雇という手段が取れないため、取れるリスクの範囲に限界があると思っています。これから先、BEV関連事業には規模と投資が必要です。弊社は、そこまでリスク許容度が高くなく、お取引先様と社員の幸せを優先する会社であるため、弊社内で継続は困難であると判断しました。逆に資金力の豊富で、人材の弾力的活用(つまり万が一失敗しても他の事業に振り向けられる)が可能な企業様、エネチェンジ様のような企業であれば、この事業を成功させられると信じています。

      ご助言、ありがとうございます。これから、他の事業で何かお目にかかることがあるかもしれませんね。

  3. 今回の譲渡について、大変ガッカリしています。
    本当に中立的な立場で情報発信できるのでしょうか。
    エネチェンジとのグループミーティングもあるでしょうし
    方針展開もあるでしょう。
    一部サービスに利便性ができるからと、他の充電サービスを
    提供している企業と、中立を保てるのか、とても疑問を感じます。
    エネチェンジ含めた各社のシステム比較時に、しっかりデメリットを
    発信できますか。また他社に対し不利な事柄が発生した場合に
    隠さず、記事にして指摘することはできますか。
    せめて、譲渡先は、充電ビジネスとは、少し離れた企業にしてほしかった
    ですね。とても残念です。
    これからの記事は、読者を決して裏切らない内容にしてください。
    譲渡当初は独立性を保ちますと、どこも言われますが、次第に譲渡先に
    飲まれて行くのを、過去にいろいろな案件で見ています。
    次期愛車をBEVにするため、毎日記事を拝見していますが
    心配8割、期待2割ですね。
    決まったことであり、注意深くこれからも記事を読んでいこうと
    思います。とにかく「中立性」を肝に銘じて、情報発信をお願いします。

    1. 春咲代様、コメントありがとうございます!まずは私のほうから返信させていただきますね。
      基本的にEVsmartのメディア事業は、中立というか、もっと大事なことは、自動車のユーザーに寄り添うことです。そういう意味では特定の充電サービスプロバイダーや特定の電力会社などに寄る、ということは今後もなく、推進していかれる予定であるとお聞きしています。
      またEVsmartは、皆様のコメントや(表立って発言されることはないまでも)皆様の「目」に、育てていただいています。コメントでのご意見や、目に見えない期待・失望といったものに応えつつ、これからも読者の皆様のご期待を裏切らずに、お楽しみいただけるよう尽力する所存です。

  4. これからもよろしくお願いします。
    さて、要望ですが。
    庶民に縁の無い高額車ばかり出てきているので仕方ない部分もあるのですが、
    その一方でサクラ/ekクロスEVの販売好調とのことです。
    補助金の影響があってのことだと思われますのでいずれ中古車が出てくるのだと思いますが、それはさておいて。

    お願いがあります。
    それは10年ぐらい前にブームとなったEVコンバートについてです。
    当時よりも遥かに厳しくなった規格の為に今では下火になっているようで
    ネットで検索しても情報が古く、メールをしても返信がありません。
    こちらでフォローしていってもらえないものでしょうか。

  5. いつ頃になると地方のクルマ乗りが安心してBEVを買ってもよい時が来るのだろう…と思いながら、時々EV Smartブログを拝見しています。中立的な内容は高く評価しています。
    2年ほど前に、あと10年乗ったらBEV、しかも完全自動運転機能付き!、と思ってICEVを新車で買いました。
    今後とも、EV Smartブログを優れた情報源として期待しています。どうぞよろしくお願いします。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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