宿泊施設の充電器は宿泊者が予約できると幸せです〜奈良EV講演会からの提言【02】

奈良でのEV講演会にマイカーEVで遠征したロングドライブからの提言レポート第2弾。補助金を使ったホテルの充電器は宿泊者も予約などできないルールですけど、EV旅で宿充電は必須のニーズ。なんとかならないものかというお願いです。

宿泊施設の充電器は宿泊者が予約できると幸せです〜奈良EV講演会からの提言【02】

東京〜横浜〜伊賀上野を15分充電1回で余裕の完走

先週末、EVの高速道路ロングドライブはトラックロックオン走法がおすすめって記事で予告したように、5月19日に奈良県大和高田市で開催されたEV講演会にマイカーのKONA Casual(バッテリー容量48.6kWh)で遠征した旅からの気付きレポート2発目は、宿泊施設の目的地充電についての提言です。

まず、東京=奈良の往復旅程と、充電記録を簡潔に紹介しておきます。

東京=奈良往復ドライブ旅程と充電

時刻旅程/充電SOC備考
5月18日(土)
11:00自宅を出発97%100%にしておいたけど買物で少し消費
12:30飯田邸でBBQ
横浜市都筑区
85%参加メンバーとプチ試乗会
14:00飯田邸出発82%伊賀上野のホテル目指して出発
18:10伊勢湾岸道
刈谷PAで急速充電
25→51%50%超えればOKなので約15分で停止
19:30ホテル到着
普通充電
17→100%1台だけの充電器を無事確保
朝までに満充電
5月19日(日)
8:30ホテル出発100%
9:30講演会場到着86%名阪国道の峠越えでけっこう消費
12:30講演会場出発86%
15:50新東名
浜松SA上り
17→64%150kW器で30分
自宅まで約230kmで航続距離表示は240km
18:00東名高速
足柄SA上り
29→64%夕食ピットインついでに
90kWマルチで約24分充電
20:40自宅帰着48%

講演会場は奈良県大和高田市だったのですが、近くにEV用充電器があって泊まりたいホテルが見つからず。昨年も泊まった三重県伊賀市の「ルートイングランティア和蔵の宿 伊賀上野城前」に宿泊しました。ルートインチェーンのホテルの多くには、エネチェンジの6kW充電器が設置されています。

エネルギー自給自足を目指した飯田邸のレポート記事をご紹介したのは2年前の、ことでした。
『太陽光発電とEVでエネルギー自給自足を目指した家~飯田哲也氏の思いと気付き』

出発は土曜日。環境エネルギー政策研究所所長(ISEP)の飯田哲也さんからBBQホームパーティに誘っていただいたので、伊賀を目指す前にご挨拶がてら顔出し。パーティの参加者は10名ほどで、ISEPメンバーや、ともに自治体向けのEV普及啓蒙活動に取り組んでいるみなさん。今年からISEPの主任研究員に就任されたという元京都大学特任教授で再エネ研究の第一人者である安田陽さんと初対面のご挨拶をすることもでき。私のKONAと飯田さんのモデルYに分乗して、プチEV試乗会を楽しんでいただきました。

2年前はリーフ&ニチコンV2Hだった飯田邸。モデルY&パワーウォール、ウォールコネクターに進化していました。

18日土曜日の朝は、前夜から自宅ガレージで満充電にしておいたのですが、朝一番でスーパーへ買い物に出かけたのでSOC97%からスタート。まずは三軒茶屋でISEPの古屋さんをピックアップして横浜市都筑区の飯田邸(約20km)へ。14時ごろ、飯田邸を出発し約400km先のルートインを目指しました。

往路は伊勢湾岸道刈谷PAの90kW器で急速充電。刈谷からホテルまでは100km程度で50%もあれば余裕で到着できるから、トイレに行ってコーヒー買って約15分で充電停止。電池残量に不安はないので、20時までには到着できるよう少しペースアップして駆け抜けました。

そのままホテルの6kW普通充電器で朝までにしっかり満充電。復路はホテルから会場までの片道約60kmと、会場のコープなんごうから自宅までの約480km(合計で約540km)を走ることになります。

経路充電は新東名浜松SA150kW器で1回。そのまま自宅まで届きそうではあったものの……。「晩ご飯は食べて帰る」ことにしていたので、足柄SAで夕食がてら90kWの青いマルチで24分(桜えびとしらすうどんを食べる所要時間でした)2回目の充電。最終的に50%近くのSOCを残して(足柄の充電なしでも10%以上残る結果でした)自宅に帰着できました。

大衆的EVとして「これで十分」という気付き

刈谷PA(下り)で15分だけ急速充電。

この結果報告で気付いていただいきたいと思うポイントが2点あります。まずひとつ目、市販EVの航続距離についてです。

EVは航続距離が不安という方が今でも多いことでしょう。大容量バッテリーを搭載すれば、航続距離は長くなります。私のKONAのバッテリー容量は48.6kWhで今どきのEVとしては大容量ではありません。でも、東京―横浜―伊賀上野の往路約420kmを15分の充電(つまり休憩)1回で完走し、伊賀上野―奈良―東京の約540kmを実質的に30分の充電1回で走破できれば、「これで十分」だと思いませんか? ってことですね。

以前の30kWhリーフで遠出する際は運転しながら「充電計画」を文系脳みそフル回転で考えていましたが、KONAではほぼ無頓着。往路の浜松SAを通過する時も、ナビで刈谷PAまでの距離を確認して「ま、余裕で届くな」とか、まったり考えた程度です。

東京=大阪間には90kW以上複数口設置のスポットが増えた(まだ複数口が少ない路線も着々と進化中)ので、GWや盆正月以外は充電渋滞にもほぼ無警戒でOK(一応「高速充電なび」で状況は確認するし、大混雑日には非充電車の充電区画占拠の懸念が浮上してるけど……※関連記事)です。つまり40〜50kWhのバッテリーで300〜400km程度を走れれば(私のKONAの満充電時航続距離表示は410〜430kmくらいです)、今どきのEVは「航続距離」も「経路充電」もほとんどストレスを感じることなく活用できます。

国内の自動車メーカーの方々にも「これで十分」に気付いていただき、バッテリー容量控えめでも、手が届く価格で買える大衆的&魅力的でバラエティ豊かなEV車種を、自信を持って増やしてくれることを願います。

ホテルで充電できたら遠出の旅も楽ちん

ホテル到着は19時30分過ぎ。駐車場最奥の区画で車庫入れがちょっと大変だったけど、無事に充電できました。

そして、今回記事のメインテーマでもある提言。それが「宿泊施設の普通充電器は確実に予約できると安心なんだよなぁ」ってことです。

伊賀→奈良→東京、約540kmの復路を余裕で走れたのは、宿泊したルートインで満充電にできたからです。宿泊を伴うロングドライブの場合、宿泊施設で「寝ている間に満充電」にできれば、旅程がすごく楽になります。片道が満充電からの航続距離以内(KONAの場合、安心マージンを考えて350km程度かな)であれば、経路充電はまったくせずに走ることも可能です。

今回、ネットで宿泊予約をした直後、ホテルに電話して「充電器を確保しておいてもらうことはできますか?」と確認。「予約あり」のコーンを立てておいていただくことができました。

対応いただいたホテルのご担当者に感謝です。

ただし、コーンをどけて駐車や充電してしまう方がいたらホテルとしても防ぐのは難しいはずなので、到着時間が19時をあまり過ぎないよう(19時から宿泊者専用なので、他の人が停めちゃう可能性を少しでも回避するため)、刈谷から先はちょっとペースアップして走った次第。おかげさまで、充電器&区画は無事に確保されていて、寝ている間に満充電にできました。

補助金を使った充電器は予約できない現実が

ただし、今回「充電器を予約」できたのは、早くからEV充電器を設置してきたルートインのチェーンが、設備の更新にともなってEV充電エネチェンジの6kW器を設置する際、国の充電インフラ補助金を使っていないから可能になっていることです。

充電インフラ補助金の規約では、商業施設や宿泊施設の目的地充電設備について「充電設備の利用者を限定せず、他のサービスの利用または物品の購入を条件としないこと」という要件が定められています。つまり、宿泊施設の充電器であっても「公共用」として開放しなければいけません。そのため、予約していたホテルに向かう道中で「アテにしていた充電器(2基)が両方とも使用中になってしまって大あわて」って顛末を、以前の記事で紹介したこともあります。

EVsmart(EV充電エネチェンジアプリ)で「ルートイングランティア和蔵の宿 伊賀上野城前」の情報を確認すると「19時~9時は宿泊者限定、それ以外は一般の方も利用可能です」と明記されています。でも、補助金を使って設置した充電器の場合、時間を区切ったとしても「宿泊者限定」とすることはできません。

また、充電器を設置しているルートインのホテルでも、確保してくれるかどうかといった対応は施設ごとの判断、現場の状況次第という感じだと思います。なにはともあれ、宿泊者の利便を高めてくれようとするルートインチェーンのアクションに感謝しています。

とはいうものの……。

補助金を活用して設置する充電器は「公共用」であるべきなのは納得するし、宿泊者の利用が少ない昼間の時間帯は広く開放するのはいいとして。EV旅で泊まる宿を探すとき、充電器があることは必須です。私だけでなく、ほとんどのEVユーザーがそう考えることでしょう。

補助金の要件として「商業施設や宿泊施設の目的地充電」とひとくくりにしてしまうのではなく、宿泊施設については「宿泊客が確実に予約することが可能」にすることが、EVユーザーの利便性を高めることになり、ひいては宿泊施設へのEV充電器設置を促進することに繋がる(宿選びの理由になるから)のではないでしょうか、と、経産省などのご担当者に届くよう、声を大にして(太字にしておきました)提言しておきたいと思います。

あと、今回のルートインでは「予約あり」と記したコーンを置いてくれましたが、前述のように注記をぶっちぎって停めちゃう人がいたらトラブルの元。予約可能とする時間帯などを含めた運用方法について、できるだけ公的なルールとしてきちんと定めて、EVユーザーや設置施設ご担当者への周知を図ることも大切だと思います。

なにはともあれ、先般から話題にしている「稼働率公表」などを含めて、日本のEV充電インフラはまだまだ進化の途上です。EVsmartブログでは、コメント欄やさまざまなコミュニケーションを通じて広くEVユーザーの方々の声を聞き、お願いや提言として発信を続けていく所存です。がんばれ、日本のEV普及、です。

取材・文/寄本 好則

この記事のコメント(新着順)4件

  1. ルートインホテル僕もよく利用させてもらってます。ただ今まで2回ほど充電器の区画にEVでない車が停まっていて充電出来なくて、ホテルの人にはその旨伝えさせてもらいましたが、移動してもらうことは出来なかったです。
    GWとか混んでいる時期だったので仕方ないところもありますが、せっかくの施設が有効に利用されていなくてモヤモヤした気持ちになりました。

  2. 私も宿泊する際は必ずルートインから検討するようにしています。
    自宅の近くのルートインの充電器もよく利用させてもらいますが、
    そこは予約ありのコーンが設置が常時設置されているようです。
    もちろん宿泊は者優先時間にはかぶらないように配慮して利用させてもらっています。

  3. 「宿泊施設の充電器は宿泊者が予約できると幸せ」に同感です。
    私はルートインを使用することが多いのですが、以前は3kWの2口ありましたが、
    最近は6kWに変わり1台だけが充電可能になっています。公共性のある充電設備
    ということで宿泊者以外の近隣の方も使用できる状況にありますので、いざ到着
    したら使用できないという可能性があります(事実何度かありました)。
    6kWになり充電時間も以前の半分となり、長時間の充電も不要となりましたので、
    必要な充電が終わった時に速やかに移動していただければ良いのですが、満充電
    後も朝まで差しっぱなしという方も居ます。勝手に抜いてしまう事もできませんし、
    満充電後は追加課金されるような対策を望みます。

  4.  確実に止めれるかどうかは、気になるところです。
    私は充電できる車室を決めてしまって自由度が低いのも気になっています。

     宿泊施設側で長いケーブルの充電器か、コンセントを設置して純正のケーブルでも15mぐらいのがありますので、それを使っていろんな車室に届くような感じに設置してもらえれば、ありがたいかもしれません。

     以前、神社のコンセントで充電させていただいたのですが、連休で当然EV用の区画も満車でしたが、3・4つほど離れた車室が空いたので、ケーブルが届いたので充電できました。誰かが引っかからないように人などが通らないところにケーブルは通しました。

     駐車場の角や隅などで充電できる車室が少ないよりも、1つの充電器(またはコンセント)で複数の車室に届くようなところに設置する事例がより増えてほしいと個人的には思っています。

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この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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