PCAとレクサスが急速充電ネットワークの連携を発表〜サービス開始は2025年7月から

フォルクスワーゲングループが展開する「プレミアム チャージング アライアンス(PCA)」と、トヨタ「レクサス」のEV用急速充電ネットワークが業務提携の覚書を締結。各ブランドのメンバーシップで相互利用を可能にすることを発表しました。サービス開始は2025年7月からの予定です。

PCAとレクサスが急速充電ネットワークの連携を発表〜サービス開始は2025年7月から

PCAの充電器をレクサスのEVが利用可能になる

2025年2月14日、フォルクスワーゲンジャパンとトヨタ自動車が急速充電ネットワークを、各ブランドのオーナーが相互利用可能することを発表しました。フォルクスワーゲングループでは、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの各ブランドが自社ディーラーなどを中心に急速で充電器を設置して「Premium Charging Alliance(PCA)」のサービスを提供。トヨタでは「LEXUS(レクサス)」オーナーに対して事前予約ができるなど付加価値の高い急速充電サービスとして「LEXUS Electrified Program(LEP)」を提供しています。

今回の業務提携によって、PCA会員とLEP会員の各ブランドEVオーナーは、それぞれのアプリケーションを通じて相互の急速充電サービスが利用可能になります。

各ネットワークで利用可能な急速充電器は、PCAが371拠点385基。LEPの「レクサス充電ステーション」は、東京ミッドタウン日比谷(東京都)、軽井沢コモングラウンズ(長野県)、大名古屋ビルヂング(愛知県)、グラングリーン大阪(大阪府)の4カ所で、2025年3月には名古屋のJRセントラルタワーズ(愛知県)、4月にはONE FUKUOKA BLDG(福岡県)にも開設予定。2030年までに全国で100カ所を超えるレクサス充電ステーションの展開を目指すことが示されています。

PCA、LEPそれぞれの会員向け充電料金は以下の通り。新たに表を作成しようと思ったら、レクサスが『RZ450e』を発売した際の記事で言及していたので、引用しておきます。

レクサス充電ステーションPCA
月額会員プラン
PCA
都度会員プラン
基本料金1000円1800円無料
従量料金80円/分75円/分(150kW)
45円/分(90kW)
200円/分(150kW)
120円/分(90kW)

月額の基本料金については、LEPは新車購入のオーナーは3年間、CPOの中古購入オーナーも2年間は無料。PCAについても、フォルクスワーゲンとアウディは新車購入から12カ月無料、ポルシェでは月額基本料金を含めてPCAネットワークでの充電料金が1年間無料になるサービスを提供しています。

相互利用の場合、従量(都度)料金が適用されると思いますが、LEPが「80円/分」に対してPCAは90kW器が「45円/分」、150kW器「75円/分」と異なっています。14日の発表内容では詳細が不明だったので確認したところ、現在調整中とのことでした。また、LEPの充電ステーションでは充電都度料金のほか、設置されている施設規定の駐車料金が必要です。

レクサス充電ステーションは会員以外でも利用可能

EVsmartブログでうっかり記事にしないままだったのですが、2024年6月からレクサス充電ステーションはLEP会員以外のすべてのEVユーザーに予約充電サービスが開放されています。TOYOTAアカウント登録してクレジットカード情報を入力の上、レクサス充電ステーションのウェブサイトから予約、利用が可能(公式サイト)。各ステーションにはゲスト利用者向けの優待特典も用意されています。ゲスト利用時の充電料金は120円/分と各施設の駐車料金となります。

また、PCAのネットワークは原則として会員(各ブランドのEVオーナー)限定ですが、ポルシェターボチャージャー(150kWで250円/分)と、千代田区麹町(東京都)の「アウディ チャージング ハブ」はビジター利用(詳細は公式サイト参照)が可能です。

拡がれ! 日本のEV充電サービス

このニュースを知り、個人的には「ステーション数で考えたらPCAに何のメリットが?」と感じましたが、VWグループの各ブランドにとってレクサスのEVオーナーが拠点を訪れる機会創出への期待もあるのでしょう。また、LEPとPCAそれぞれの会員としては従来使っているアプリそのままで利用できるネットワークが拡大するのはありがたいこと。LEPのステーションは都市部などのいわゆる一等地に設置されているので、PCA会員は便利に使えるステーションがサクッと増えるということになります。

PCAとLEP、どちらの会員でもない方(私を含め)にとっては今ひとつピンとこないところはあるでしょう。とにもかくにも、わかりやすく便利にしてほしいとも感じつつではありますが……。充電ネットワークが拡がり、連携(ローミング)によって使いやすくなるのは歓迎すべき一歩といえるでしょう。

日本のEV充電サービスが、ますます便利になることを期待しています。

文/寄本 好則

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


この記事の著者


					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

執筆した記事