EVバイクで東京23区一周ツーリング〜「Gachaco」のバッテリー交換で電欠知らず 

EV放浪記2.0【015】 愛車を走らせつつ電気自動車関連の話題をレポートする連載の第15回。バッテリーシェアリング「Gachaco(ガチャコ)サービス」を使って、電動スクーターのホンダ『EM1 e:』で東京23区一周ツーリングにチャレンジしました。その前編です。

EVバイクで東京23区一周ツーリング〜「Gachaco」のバッテリー交換で電欠知らず 

東京のGachacoステーションを踏破したい!

ホンダの電動スクーター『EM1 e:』に乗り始めて4ヵ月あまり。気温が下がってきたせいか、元気に走らせすぎているせいか、一充電の航続距離は30数km(カタログ上は53km)に下がっています。自分の会社で法人登録したバッテリーシェアリングサービスの「Gachacoステーション」(バッテリー交換機)がある場所を事前に確かめるのは、日常から出発前のルーティンになっています。

そんなある日、地図上に点在する充電ステーションを眺めているうちに「全部回ってみたい」という衝動に駆られました。東京23区を一周するような一筆書きルートがイメージできて、そうなると実際に走ってみたくなるのはバイク乗りのサガ。

【今回の走行ルート】

電動モビリティを支えるインフラはお出かけするためのものであって、わざわざインフラを使いに出かけるのは、ズレている感じがしないでもない。でも世の中には東に鉄塔があれば行って見上げ、西にマンホールがあれば撮影せずにはいられないような、インフラ界隈の趣味人もいたりします。Gachacoステーションには鉄塔ほどのインパクトはありませんが、レアなことは間違いないですし、ステーションのある風景、意外に悪くないのでは。

東雲2丁目ステーション(ライコランド TOKYO BAY東雲店)

冬晴れの朝、自宅最寄りの東雲2丁目ステーション(江東区)へ。ライコランドTOKYO BAY東雲店の玄関先に設置されています。ここは1日2回来ることもあるぐらい利用頻度が高いので、見慣れた風景。いつものように交換して、午前9時、ツーリングに出発です。

各地の特徴ある風景を楽しみながら快走

江東区の湾岸部は物流拠点が多くて、大型トラックが風物詩。湾岸道路の速い流れを避けて、内陸部へルートを取り、葛西橋で荒川を渡ります。橋を渡るのはどこであれ、空が広くて気持ちがいいですね。

葛西4丁目ステーション(ドン・キホーテ葛西店)

北葛西4丁目のステーション(江戸川区)はドン・キホーテ葛西店の裏手、駐輪場に置かれています。今回とは別ですが、ここは初めて別のGachacoユーザーと出会った場所。バッテリー交換には1分もかからないので、いつどこで使っても無人なのですが、たまたまばったり。ALSOKのスタッフさんで、使い勝手のことなどを雑談しました。「そういえば私もステーションで誰かと会うのは初めて」とのことでした。

続いて目指すのは小岩です。このあたりもよく走っているエリア。荒川、中川、江戸川が東京湾に流れ込む東京東部には、小さな川もあちこちに残っています。原付一種でのツーリングにおすすめしたいのが「一之江境川親水公園」。全長約3kmの細長い公園に沿ってくねくねと道が伸びています。信号が少なくて緑が多く、低速コーナリングも楽しめます。ただし住宅街の生活道路なので歩行者や自転車には要注意。

葛飾区鎌倉3丁目ステーション

一之江からも、なるべく幹線道路を避けつつ、北を目指します。新中川を渡って、目指すは小岩。一方通行が多いので時々遠回り。でもUターンも楽々です。京成小岩駅の北西にあるのが、葛飾区鎌倉3丁目ステーション。ここはロケーションが抜群。車は通れない小さな踏切のそばにあります。交換していたら警報が鳴り始めたので、電動仲間の電車とのツーショットをパチリ。

綾瀬7丁目ステーション(ナップス足立店)

ここまできたら寅さんの柴又が近いので、帝釈天へお参りしたり、お団子を食べるのも一手です(※冒頭写真は矢切の渡し)。今日は先が長いので、寄り道はやめて足立区へ。バイク用品店・ナップス足立店の店頭に、綾瀬7丁目ステーションがあります。ガチャっと本日4度目の交換。

走る機会が少ない23区北部の風景が新鮮でした

ここまでは、ステーション間の距離が10km前後で、到着時のバッテリー残量も60%以上キープしていましたが、次の高島平8丁目ステーション(板橋区)はちょっと遠い。Googleマップによると20km弱あります。アクセルは控えめにしようと決めてスタート。

が、しかし、じつはこのときルート設定を間違っていました、新設されたステーションに気づいていなかったのです。つまり、今回のツーリングは早くも「全ステーション一筆書き」ではなくなっていたのでした、とほほ。でも走っているときは気づいていなかったので、のちほど詳しく。

高島平8丁目ステーション(高島平温水プール駐車場内)

23区北部は、時々しか訪ねたことがないので、いろいろと新鮮です。荒川沿いに走ればいいので、ヤマ勘で曲がってみたり。ガード下や堤防沿いの道とか、古びた感じの路地とか、ついつい走りたくなってしまいます。再び荒川を渡り、無事に高島平に到着。ステーションは高島平温水プールの駐車場に置いてありました。こういう公共施設だと気兼ねなく使えていいですね。

ここまででルートの東側、全体の4分の1ぐらいを制覇。ここから先は初めて利用するステーションばかりなので、楽しみです。一度都心部へ向かい、練馬区の2つを拾って、また外周に戻るルートを選択。高島平から南下していく道は、意外にアップダウンが多い。パワー控えめの電動原付スクーターだと、上り坂はグッとスピードが落ちます。頑張って走ってくれてる感じが味わえます。

桜台1丁目ステーション(コインパーキング内)
練馬1丁目ステーション(コインパーキング内)

西武池袋線の桜台駅に近い桜台1丁目ステーション(練馬区)と隣の練馬駅のそばにある練馬1丁目ステーションを続けて訪ねました。2つは高架下にある駐車場や駐輪場に隣接して設置されています。通勤通学に使うには便利ですね。行き帰りにガチャっと交換すればいつでも満充電。駅近というのは、ステーション設置の基本パターンでしょう。

2ヵ所のステーションは2kmも離れていないのですが、せっかくなので交換します(料金は使用した電力の従量課金で回数は無関係)。再び外周へ。光が丘にある交換ステーションを目指します。東京エリアで唯一、埼玉県に位置しています。途中で巨大な6連ガスタンクの横を走ります。クルマで通ったこともある場所ですが、原付で走るとまったく別の風景。ガスタンクがやたら大きく感じたりして。

白子1丁目ステーション(ジェームス光が丘店)※埼玉県和光市

光が丘の住宅街を抜けていき、カー用品店「ジェームス光が丘店」の敷地に白子1丁目ステーション(和光市)を発見。地図を見ると、埼玉といってもほぼ県境。映画「翔んで埼玉」みたいに県境に関所があったら面白いのですが、東京も埼玉も景色だけでは違いはわかりませんでした。

三原台3丁目ステーション(ナップス練馬店)

土支田通りという都道をたどって、次に訪ねたのは三原台3丁目ステーション(練馬区)です。こちらもオートバイ用品店「ナップス練馬店」の敷地にあります。幹線道路沿いのカー用品やバイク用品の店というのも、ステーションと親和性が高いですね。置かれていても違和感がありません。

関町北2丁目ステーション(コインパーキング内)

さらに関町北2丁目ステーションへ。こちらも練馬区。コインパーキングの一角に設置されていたのですが、ここで路駐ブロックに遭いました。配達車がステーションにベタ付けで路上駐車。そこに止められると、使いにくいし見つけにくいし……うーん。実際、私も一回通り過ぎてしまいました。でもまぁ普通の人は、交換ステーションだと気づいてくれていないのでしょうね。

入り方がわからなかったステーションも……

柳沢4丁目ステーション(MUFG PARK敷地内)※西東京市

さらに西へ向かいます。柳沢4丁目ステーション(西東京市)なのですが、ある意味でここが最難関でした。MUFG PARKという公園の中にあるはずが、入口が見つかりません。駐車場は明らかにクルマ用。原付で入っていくのに気が引けてしまい、敷地をぐるりと一周。公園北側に歩行者・自転車用の入り口を見つけたので、バイクを押してお邪魔しましたが、攻略度高め。

あとでGachaco企画営業部に問い合わせたところ、駐車券をもらってゲートから入り、窓口の人に「Gachaco利用です」と伝えれば無料の処理をしてくれたそうです。いまはアプリに案内が追加されています。

MUFG PARKは、運動施設などがある緑豊かな公園で、天気が良ければ半日ぐらいはのんびりできそう。みんなが本を持ち寄る「まちライブラリー」というのも面白そうなので、いずれツーリングで再訪したいと思います。

桜堤2丁目ステーション(hocco敷地内)※武蔵野市

そして東京エリアの最西端ステーションに到着。桜堤2丁目ステーション(武蔵野市)は「hocco」という、おしゃれな複合施設の一角に設置されています。店舗付き賃貸住宅などが並んでいて「地域コミュニティとモビリティの拠点」を目指しているとか。おしゃれスポットにあると、同じステーションでも垢抜けて見えるから不思議です。

ここまでで12カ所のステーションを巡って、99.3kmを走行。充電率(SOC)は交換するたびに100%になって、一番減った時でも31%。Gachacoステーションを使えば、電欠の不安なしにツーリングができることが確認できました。エンジンの振動と排気音がゼロというのは、ほんとにストレスフリーで疲れも少なく感じます。お尻は痛くなってきましたが。

ただし、全制覇のためにいろいろ寄り道をしているので、出発から6時間も経っていて、早くも午後3時。帰宅するまでに日が暮れることは確定しました。営業時間が決まっているステーションもあるので、ルート変更も考えたほうが良さそうです。

続きは後編で。

私の Honda EM1 e:(2024/1/2現在)

今回は Honda eではなく、電動スクーター EM1 e:のデータです。

総走行距離 1344km
Gachaco交換 73回
平均電費 34.8km/kWh

取材・文/篠原知存

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この記事の著者


					篠原 知存

篠原 知存

関西出身。ローカル夕刊紙、全国紙の記者を経て、令和元年からフリーに。EV歴/Honda e(2021.4〜)。電動バイク歴/SUPER SOCO TS STREET HUNTER(2022.3〜12)、Honda EM1 e:(2023.9〜)。

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