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フォーミュラE「東京E-Prix」もうすぐ開催/EVレースの最高峰が持続可能性の格付けトップ評価に

フォーミュラE「東京E-Prix」もうすぐ開催/EVレースの最高峰が持続可能性の格付けトップ評価に

電気自動車(EV)レースの最高峰「フォーミュラE」が国連が主導する環境対策の取り組み『エネルギー・コンパクト・イニシアチブ』への参加を発表。スポーツ界の環境格付けで上位ランクに位置付けられるフォーミュラEが新たな挑戦を始めました。

目次

2度目の「東京 E-Prix」が間近に

電気自動車の「F1」とも呼ばれるフォーミュラE世界選手権は、2024-25年に11年目のシーズンに入りました。日本でも2024年に初めて東京で開催され、チケットが完売したこともあって成功したと言われています。
※冒頭写真は昨年の TOKYO E-PRIX。

【関連記事】
フォーミュラE「東京 E-Prix」検証【01】「成功だった」日本初の公道国際EVレース(2024年4月4日)

この評価を裏付けるように、今年は5月17日と18日に第8戦と第9戦の2戦を続けて行うことが決まっています。この週末は電気レース三昧になりそうです。

今シーズンは日産チームのオリバー・ローランドがドライバーランキングのトップを快走中(第4戦終了時点)。チームランキング、そして今シーズンから導入されたマニファクチャラーランキングでも日産がトップとなっていて、日本のファンにとっては注目度がさらにアップしています。すでにチケットが販売されているので、観戦希望の方は早めに確保することをお勧めします。現地で見ることができない人のために配信チケットも販売しているので確認してみてください。

フォーミュラE公式サイトより引用。

【関連サイト】
FORMULA E 2025 TOKYO E-PRIX公式サイト
フォーミュラE 東京E-Prixのチケット情報(イープラス)

持続可能性格付けでトップのフォーミュラE

フォーミュラEの特徴はEVレースであることはもちろんですが、スポーツ界では環境対策の取り組みが進んでいることでも高く評価されています。

スポーツ界のプロチームや団体について、持続可能性などを評価して格付けをしている「the Global Sustainability Benchmark in Sport (GSBS)」は3年連続で、フォーミュラEを参加団体のトップに位置付けました。

GSBSはコーポレート(組織)、環境、社会、ガバナンスの観点から申請団体を評価し、100%を満点として取り組みを採点しています。2024年のリポートによれば、フォーミュラEはコーポレートで89%(2位)、環境が77%(1位)、社会が88%(1位)、ガバナンスが86%(1位)で、トータル85%でトップでした。

2024年のGSBS格付けでフォーミュラEに続く2位はドイツのプロサッカーリーグ、ブンデスリーガの強豪であるボルシア・ドルトムント、3位はポルトガルの強豪プロサッカーチームのFCポルトです。

モータースポーツの気候変動対策

そんなフォーミュラEは2025年3月11日に、国連が主導する環境への取り組み「エネルギー・コンパクト」への参加を発表(プレスリリース)しました。

エネルギー・コンパクトは2021年9月に、国連事務総長の主導で始まりました。SDGsの7番目、SDG7は「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」を目標に掲げています。エネルギー・コンパクトは、脱炭素を狙いつつSDG7の達成に向けた行動を促進するように設計された、自発的かつ追跡可能な取り組みです。

フォーミュラEは、「エネルギー・コンパクトの取り組みは、電気レースの力を通じて持続可能な人類の進歩を加速するというフォーミュラEの使命に合致している」と表明しています。

フォーミュラEの持続可能性担当のジュリア・パレ(Julia Pallé)氏はエネルギー・コンパクトへの参加について、「レーストラックを超えて測定可能なプラスの影響を生み出すという当社の取り組みを強化する。単に約束するということではなく、必要な行動を取り、地球規模の気候目標に貢献する検証可能な結果を出すことだ」と述べています。

またフォーミュラEのジェフ・ドッズCEOは、「(フォーミュラEは)高性能モータースポーツと持続可能性が妥協することなく共存できることを示している。エネルギー・コンパクトに参加することでさらに重要な一歩を踏み出す」と、電気レースの意義を強調しました。

フォーミュラEによれば、開催中のシーズン11では貨物関連のCO2(二酸化炭素)排出量を少なくとも25%削減し、今シーズンの16戦全体で炭素排出量を約5500トン削減しています。

またフォーミュラEは、シーズン5と比較して2030年までに炭素排出量を45%削減することを目指しています。今シーズンは、この目標に沿った取り組みができていると自己評価しています。

持続可能なモータースポーツに向けて

モータースポーツと言えば化石燃料をガブ飲みするものという見方もできますが、最近は少しずつ環境対策も進んできました。GSBSの格付けでも、二輪レースのMotoGPに参戦するドルナ・スポーツが、スペインのサッカーチームのアトレティコ・マドリード、レアル・マドリード、FCバルセロナに続く7位を獲得しています。

この他、イギリスのモータースポーツUKや、サーキットのシルバーストーンも上位に入るなど、状況の変化が見えます。フォーミュラ1は、米国のプロバスケットボールリーグのNBAや、メジャーリーグのMLBより格付けが上です。なんか、がんばってる感じです。

GSBSは活動紹介のトップで、ラグビーを通じて人種差別撤廃を目指した南アフリカの指導者、ネルソン・マンデラの次の言葉を紹介しています。

「スポーツには世界を変える力がある。人々を鼓舞し、人々を団結させる力がある。それは他の何者にもできないことだ」

モータースポーツも環境について、この言葉を実践していくことが求められていると思います。フォーミュラEがその先陣を切って、気持ちよさ、楽しさが爆上がりするといいなあと思うのです。

文/木野 龍逸

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この記事を書いた人

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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