目次
電気自動車はどうやって走る?
そんなの電池とモーターで走るに決まっていますよね!
エンジン、ガソリンタンクはありません。大きな電池を搭載して、その電池を自宅や会社、高速道路などにある急速充電スポットや、モール・ホテル・旅館などにある充電スポットで充電します。どのくらい大きな電池かというと、例えば85kWhのバッテリーを搭載しているテスラモデルSの場合、一般家庭が1か月で消費する電力量は300kWh程度ですから、約8.5日分の電気を蓄えられるだけの量、ということになります。そして、バッテリーはこの写真のように車体下部全体を占めており、シャーシと一体化されています。これよりバッテリーの高さを厚くしてしまうと車に乗り込むときに大変になります。すなわち、このバッテリーのサイズは、この大きさの車(ちょうど、メルセデスのSクラスセダンくらいの大きさの車体です)では「限界」ということになります。これ以上バッテリーを搭載するには、フロントかリアのトランクスペースに積むという選択もできますが、重量のバランスが悪くなりますので設計は難しくなります。このバッテリー、約550kgあると言われており、車重が2.1tですのでバッテリーは26%を占めています。
モーターは写真で赤く表示されている部分です。この写真は四輪駆動の場合ですが、後輪駆動の場合には片側(写真では右側のモーター)だけになります。エンジンと比べると圧倒的に小さく、これだけでポルシェ911と同じくらいの加速が得られるのです。
走行するときは電気自動車もアクセルを踏みます。すると、バッテリーから、アクセルを踏んだ量に応じた電気がモーターに行って車は走行します。アクセルを離すと、タイヤの回転に伴ってモーターが強制的に回され、モーターは発電機になりますので、発電した電気をまた電池に戻して充電します。このように、電気自動車は加速・減速するたびにバッテリーから電気を取り出したり、逆に充電したりして走行します。もちろん、電気の出し入れに対して総合的に約30-40%くらいのロスが発生しますので、永久に走行できるわけではありません。
ほとんどの電気自動車にはリチウムイオン電池という電池が使われています。これはスマホなどに使用されているものと同じ種類のもので、電池としては大変性能のよいものなのですが、自動車用に使うと限界が見えてきます。具体的には「容積密度」と「充電速度」が大きな課題。容積密度というのは、電池が場所を取るということです。先ほどのモデルSの例でも、車体下部全体に搭載して85kWh、走行可能距離にして約400kmとなり、現存の技術で800km走行できる車を作ることはまだ不可能です。
充電速度については、リチウムイオン電池の形式でLTOタイプである東芝のSCiBでは、6分間で80%まで充電できますが、テスラが使っているNCAや日産が使っているNMCタイプでは、30-40分で80%となります。
NCAやNMCはLTOに比べ上記の容積密度が高く、同じサイズの車により多くの容量を詰め込めるため、走行可能距離が伸ばせるのですが、充電速度をこれ以上上げることは現時点では難しいのです。これを解決するため、移動中に高速に充電するための急速充電インフラに加え、自宅や会社などの常置場所での充電(自宅充電)、ホテルや旅館など行き先での充電(目的地充電)インフラが必要となり、現在急ピッチで整備が進められています。
急速充電と、自宅やホテル・旅館等での普通充電は、方式が異なります。バッテリーは直流(プラスとマイナスがある)で、モーターは(究極的には:直流モーターもありますが、直流モーターは内部にブラシがあり、プラスマイナスを切り替えているので)交流で動きます。
急速充電器は、もちろん電力会社の電力網に接続されているわけですが、電力会社は交流しか供給しないので、その交流を充電器内で直流に変換し、バッテリーに直結して充電します。
普通充電器は、構造を簡単に(=コストダウン)するために、交流のまま車に電気を供給します。ということは、バッテリーに充電するためには車内で交流を直流に変換する必要があり、そのために車載充電器が搭載されています。
もう一つ、車が減速するときにはモーターからバッテリーに電気が戻ってきますが(回生といいます)、回生時もやはり交流から直流に変換する必要があります。急速充電時、バッテリーが大きいほうが同じ時間でたくさんの電気を充電できるわけですが、回生時も同じで、バッテリーが大きいと、長い下り坂などでも無駄なく電力を回収できます。
電気自動車が走るのは電池から電気がモーターに行って走るだけ、と思いきや、案外複雑な仕組みですね。
電気自動車の仕組み
では電気自動車のブロック図を見てみましょう。電気の元から見ていきます。
まず中央部に駆動用バッテリーがあります。この中は複数のモジュールに分かれており、モジュールの中にはセルという最小単位の電池が入っています。リーフでは24モジュール、192セル(1モジュール内に8セル)構成、モデルSでは16モジュール、96グループ(1モジュール内に6グループ)、7104セル(1グループ内に74セル)という構成です。バッテリーにはバッテリーマネジメントユニットが接続されており、バッテリーを管理しています。また駆動用バッテリー内にはバッテリーを切り離すコンタクターが内蔵されており、コンピューターの指示でいつでも駆動用バッテリーを切り離すことが可能です。電気自動車に乗り込むと「カチャ」という音が聞こえますが、これがコンタクターの作動音で、エンジン車であればこの音がエンジンのかかる「ブォーン」に相当します。
駆動用バッテリーから出た400Vの電気は、高電圧ジャンクションボックスに入ります。ここから、高圧の電気はモーターに、、おっと、モーターへはインバーターを介して接続されます。インバーターには二つの役割があり、バッテリーからの直流をアクセル開度に応じて適切な周波数の交流に変換してモーターに流すこと、そして減速時にモーターで発電した交流を直流に変換して駆動用バッテリーに返して充電することです。
モーターはトランスミッションもしくはギアを介して車軸を駆動します。現存するほとんどの電気自動車は、トランスミッションは1速固定となっており、シフトやCVTの概念はありません。モーターはトルクバンドが非常に広く、毎分0回転から18000回転(18,000rpm)まで安定したトルクを供給できます。
電気自動車にも12Vバッテリーは搭載されています。ヘッドライトやカーオーディオ、カーエアコン、車載のコンピューター等は12Vで動作する部品が多く、常時駆動用バッテリーのコンタクターを開きっ放しにして12Vを作るよりも、12Vバッテリーを持ったほうが効率が良いようです。また事故などの緊急時にはFMVSS 305の規定によりコンタクターを開いて高電圧回路を遮断しなければなりませんので、12Vバッテリーがないと、事故の瞬間にすべての電装品が使えなくなり、ドアも窓も開かないしハザードも点灯できなくなってしまいます。12VバッテリーはDC/DCコンバーターという、直流の電圧だけを変換する機器を介して、自動的に駆動用バッテリーから充電されています。このDC/DCコンバーターは停車中も作動しますので、電気自動車では12Vバッテリーは上がりにくい構造になっています。
充電周りは急速充電と普通充電があります。急速充電中に急速充電器コネクターから来る400Vの直流は、直接高電圧ジャンクションボックスを介して駆動用バッテリーを充電します。一方、普通充電器コネクターは交流ですので、いったん車載充電器を介して直流に変換してから、駆動用バッテリーに充電します。回生時は、インバーターで交流を直流に変換して充電するのですが、普通充電時には車載充電器なんですね。理由はおそらく車載充電器のほうが効率が高いが、回生ブレーキのように急な大電流にはインバーターのほうが向いているからだと思います。ちなみにモデルSの回生では最大60kWの電力でバッテリーを充電できます。
電気自動車で不要になる部品
ここまでお読みいただいた方は、「何か電気自動車ってシンプル!」と思われた方もいらっしゃると思います。その通り、電気自動車は、電気自動車に固有で本当に主要な部品は先ほどのブロック図には12個しかありませんでした。表を使って電気自動車とエンジン車を比較してみたいと思います。タイヤやブレーキなど明らかに共通の部品と思われるもの・タイミングベルトなどの長期交換部品は入れていません。
部品名 | 電気自動車 | エンジン車 | ハイブリッド車 |
---|---|---|---|
エンジン | × | ○ | ○ |
燃料タンク | × | ○ | ○ |
燃料ポンプ | × | ○ | ○ |
インジェクター | × | ○ | ○ |
点火プラグ | × | ○消耗品 | ○消耗品 |
触媒・マフラー | × | ○ | ○ |
12Vバッテリー | ○消耗品 | ○消耗品 | ○消耗品 |
セルモーター | × | ○ | ○ |
エンジンオイル | × | ○消耗品 | ○消耗品 |
オイルポンプ | × | ○ | ○ |
オイルフィルター | × | ○消耗品 | ○消耗品 |
AT/MT/CVT | × | ○ | ○ |
ATF | × | ○消耗品 | ○消耗品 |
ラジエーター | 〇 | ○ | ○ |
ラジエーター液 | △消耗少 | ○消耗品 | ○消耗品 |
エアフィルター | ○消耗品 | ○消耗品 | ○消耗品 |
オルタネーター | × | ○ | ○ |
モーター | ○ | × | ○ |
インバーター | ○ | × | ○ |
高電圧ジャンクションボックス | ○ | × | ○ |
駆動用バッテリー | ○大 | × | ○小 |
バッテリーヒーター・クーラー | ○ | × | ○ |
バッテリーマネジメントユニット | ○ | × | ○ |
DC/DCコンバーター | ○ | × | × |
車載充電器 | ○ | × | ○ |
どうでしょうか。2010年の記事ですが、以下のような記述もあります。
トヨタ自動車によれば,電子化の進行などにより,現在のエンジン車の総部品点数は1台当たり10万点に増えているという。そのうち,エンジンに使われる部品の点数は「数え方によって違うが,1万~3万点ある」(同社東京技術部環境グループ長担当課長の藤田真人氏)。一方,電気自動車を駆動するモータの部品点数はわずか30~40点。モータに電流を供給するインバータは,電子部品が実装された回路基板を1と数えると50~60点にすぎない。つまり,合計しても80~100点しかない。
単にエンジンとモーターだけを比べると、電気自動車は約100分の1の数の部品が必要ということになりますね。また上の表から、電気自動車には必要な消耗品の数も少ないことが分かります。電気自動車はガソリンが要らないということはご存じでも、燃料タンクやエンジンオイル、AT/MT/CVT、ラジエーター(液も)なども要らないことはご存じなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
参考:モデルSのモーターの解説動画(英語ですが映像でも結構わかります)
上に挙げたような部品は、車を購入してしまえば頻繁に交換するものではありません。消耗品の中で交換頻度の高いものは、エンジンオイル(5000km走行ごとに交換、オイル代3000円/4l程度~)、オイルフィルター(1000円/個程度)くらいのものでしょうか。1年で1万キロ乗って、オイルフィルターは2回に1回交換すると仮定すると、1年間のエンジン車/ハイブリッド車の消耗品コストは実質7000円プラス工賃くらいのものですね。
上の表にない部品でも、電気自動車にすると消耗が少なくなる部品があります。それはブレーキパッドとブレーキディスク。電気自動車やPHEVには、大型の駆動用バッテリーとインバーターが搭載されていますので、アクセルを離すと回生ブレーキがかかり、ブレーキパッドを摩擦することなく車を減速できます。特に回生の強い電気自動車、BMW i3やテスラモデルSなどでは、信号で止まる際に最後の1mくらいでしかブレーキを使いません。そのため、ブレーキパッドやブレーキディスクの寿命も長くなるのです。
質問よろしいですか?
「2.電気自動車の仕組み」の図や文章は本やサイトから引用されましたか?もし引用されたのでしたら引用先の本の名前、URLなどを教えていただきたいです。よろしくお願いします。
さ さま、コメントありがとうございます。
お返事遅くなりました。
電気自動車の仕組みのブロック図など、筆者に確認したところ、当時、三菱i-MiEVのウェブサイトにあった図を参考にしながら、必要な内容を追加してオリジナルで作成したものです。
こんにちは。
12V補機鉛バッテリーを100Vac出力する1.5kW出力の アクセサリーや標準コンセントなどあると思います。
EVは停車中に100Vac出力しつつ、補機バッテリーがあがらないように、動力用のリチウ電池から充電させる、ということは可能でしょうか?
もし放電しながら充電が可能という場合、1.5kW出力の範囲で負荷駆動させつつ、どれぐらい鉛蓄電池のバッテリーがもつか、というのは動力バッテリーから鉛蓄バッテリーにどれぐらいの充電電力を流し込めるかで決まってくると思いますが、これはどの程度の充電が可能かご存じだったりするでしょうか?
C様、コメントありがとうございます。そのあたりはメーカー保証の範囲外となり、私の経験でしかお話できないのですが、リーフではそのような使い方をすると、12Vバッテリーが上がってしまう可能性があります。
テスラでは、電圧監視が常時入っている(そしてその代わり、待機電力が大きい)ため、1.5kWを連続して出力することが可能でした。
>動力バッテリーから鉛蓄バッテリーにどれぐらいの充電電力を流し込めるか
私たちがテスラモデルXで実験した限りでは、
https://blog.evsmart.net/tesla/model-x/attaching-100v-outlet-to-tesla-model-x/
https://blog.evsmart.net/tesla/model-x/100v-outlet-installation-to-tesla-model-x/
12Vバッテリー端子近辺から電力を取り出した場合、取り出した電力とほぼ同等の電力がDC-DCコンバーターより出力され、高電圧バッテリーからの供給となっており、12Vバッテリーには充放電はほとんど発生していませんでした。DC-DCコンバーターは2.5kW程度の定格出力のものが装着されているようです。
面白く拝見いたしました。最近では佐川の車を生産するということでも注目されている宏光MINIEVの五菱汽車ですが、この車、サイズ的にも機構的にも軽EVへの載せ替えにぴったりだと思うのですがどうお考えですか?
エアコン付きで60万、送料と組み込みで100万もあればEV化できるのであれば多くの方が検討されるのかなとも思いました。僕が旧車が好きなこともあって古い車はすべてEV化のプラットフォームで「衣替え」できるような気候なら多くの方に興味を持ってもらえると思います。もちろん充電される場所、電気の供給など基本的な課題はありますがすでにスタントカーの世界ではホイールベースから車幅まで変えられる車の骨組(ラジコンシャーシのような感じ)があり、そこに3D映像をかぶせることで映画に取り込むことがされているようですので、スタートアップなんかが始めそうだなと感じています
大変勉強になりました
ありがとうございます
ブロック図でわからなかったことがあったので教えていただきたいです
AC-インバータの配線は必要なのでしょうか?
またバッテリーマネジメントユニットは高圧ケーブル側ではダメなのでしょうか?
教えていただきたいです
TK様、コメントありがとうございます!
>AC-インバータの配線は必要なのでしょうか?
確かにその配線はいらないですね。ご指摘ありがとうございます。
>バッテリーマネジメントユニットは高圧ケーブル側ではダメなのでしょうか?
バッテリーマネジメントシステム(BMS)には高圧400Vは掛かっていないという認識で、バッテリーのセルやモジュールごとに監視しているものが多いと考え、このような図にしています。
EV車もエアコンコンプレッサーは搭載されるのでしょうか?
搭載されている場合、やはり電動コンプレッサーでしょうか?
今後のトラック市場(4t~大型)もEV化の可能性はあるでしょうか?
MM様、コメントありがとうございます。はい、電気自動車にもコンプレッサーは主にエアコンのために搭載され、エンジンがないので電動となります。
トラックについては乗用車より遅れていますが、複数の企業が電気自動車化を計画しています。すでに出ているものでは、
3.2t 三菱ふそうeCanter:https://assets.mitsubishi-fuso.com/fusoassets/2020/08/eCanter_2020_web.pdf
Volvo Electric:file:///C:/Users/hiroshiy/Downloads/Volvo_Trucks_Product_Guide_Electromobility_en-EN.pdf
これくらいです。今後出てくるものでは
Daimler eCascadia:https://www.daimler.com/sustainability/climate/ecascadia.html
Tesla Semi:https://www.tesla.com/semi?redirect=no
あたりが注目だと思います。中でもTesla Semiは大量生産すると明言しているので、実際にフリートオーナーが大量導入を進めていくかどうかが鍵になると思います。なおテスラは、車両だけでなく、販売する地域での電力供給も行い、TCOを下げると発言しているのが他のメーカーにないところです。
こんにちは。
EVですが、雨が多く、雨期には道が人の膝以上道路が冠水するような東南アジアの国でも
内部の電気系統が影響を受けなく走ることができるのでしょうか。
エンチャン様、コメントありがとうございます。
基本的にはEVはガソリン車より冠水に強く、電池や電気系統はかなり防水をしっかりされています。しかし全然大丈夫ということはないので、そのような冠水路の走行をメーカーが保証している、というのは聞いたことがありません。今後そういうニーズがあれば、防水をより完全に行った電気自動車は出てくると思います。
YouTube等でも、リーフやテスラの各モデルが冠水路を走行する様子はご覧になれると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Y9plRzRZ_PY
https://www.youtube.com/watch?v=QSR6Y2gNeI0
安川さま
興味深く拝見させて戴きました。
国も地方自治体もガソリン車は切り捨てて、車のEVシフトはもう避けて通れないようですね。そこで、気になる点が一つあるのですが教えて戴けますか。
廃車の問題です。シャーシと一体化されているリチウムイオンバッテリーはどのように処理(処分)されるのでしょうか。たぶん構造的にはバッテリー以外にもインバータ用デバイスのIGBTもシャーシと一体化されていると思います。
循環されるべきモノづくりを考えると、これらの物もリサイクルしなければならない筈ですが、経産省やメーカーはどう考えているのでしょうか。
宮本様、コメントありがとうございます。
日本ではこちらの団体で回収が義務付けられています。どの国産メーカーの電池もメーカーが回収します。日産では、リーフの電池を再利用(リユース)する企業
https://www.4r-energy.com/
もあります。
グローバルの状況に関する記事もご覧ください。
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/lithium-ion-battery-battery-recycling-and-reuse/
すみません、電気自動車でも冷却装置はあるので冷却系等は使ってますよ。
またトランスミッションオイルも使っている車種もありますので全ての車種で使ってないわけではないですよ。
AA様、コメントありがとうございます。はい、電気自動車にも冷却系はあるのですが、クーラントの量が違うことと、最大50℃程度を想定した冷却システムでかつ沸騰の危険性がほとんどないので、そもそもクーラントが減ることがないのです。設計上も、クーラント液はユーザー補充不可になっています。そういう意味で、ラジエーター液は存在するが、ほとんど交換しない、ということなのです。
トランスミッションオイルは全車種にもちろんありますが、ATFのように交換サイクルが定められていません。つまり、何か問題があれば交換する必要があるし方法も用意されているが、基本的には交換不要と認識されているという理解で良いと思います。
愛知県あと持って何年だろう?
中国では大都市中心にEV化が進んでいて、公共バスの半数以上がEVバス。その他はハイブリッドと通常のバスで、日本より大幅なEV化が進んでいます。
特に公共バスは石油代替、排ガス面から政府の支援もあり急激にEV化が進んでいます。充電も充電ステーションが多くあります。最近じゃ車の急激な増加でナンバーも一定量しか交付しないのと入札制で高くなりすぎのため、無制限のEVナンバーが増えています。
現状1割程度かもしれません。深圳市ではタクシーも半数ほどがEV化されています。これには電池の国産化、大量生産が可能なためで、トヨタなども購入予定ですね。充電は交流の普通充電(各家庭で220V充電)と急速充電となりますが、これらの設備は有名なファーウェイがメインになっています。外国勢は参入が難しいですね。
こんにちは。
EV車へのコメント、大変興味深く拝見致しました。
我家は、キャンピングトレラーを牽引してキャンプなどに出かけております。
キャンピングトレーラーの良いところは、普段はヘッド車を実用使い出来るところで、欧州などを訪れると、よく見かける事ができます。
我家もSUVタイプや四輪駆動のEV車には大変興味を持っておりますが、牽引が出来るのか?牽引した場合の走行距離がどの程度になるのかなど、牽引する文化が少ない日本では、カーディーラーの方に質問をしても的を得た回答を頂戴した事がありません。
欧州などの海外でも、牽引のヘッド車として、EV車は用いられていないのでしょうか?
古賀様、お世話になっております。日本車では牽引を意識している電気自動車はないようですね。
欧米では、テスラはモデルSとモデルX、欧州のみでモデル3がヒッチに対応しています。ジャガーのi-Pace、アウディのe-tronもヒッチをサポートしているとのことですが日本国内では確認が必要かと思います。
私はモデルXに牽引オプション付けています。牽引すると当然ですがかなり電費が悪化します。また充電場所は米国などでは牽引車両用の急速充電スタンドが設計されていることが多いですが、日本では皆無に近いため、充電するときにトレーラーを外す必要があり、結構な手間がかかると思われます。またキャンプサイトに電源があるのが米国では当然ですが(8kW程度は普通にあり)、日本では電源が取れることはあまりなく、経路充電で結構ちゃんとカバーする必要がありそうです。
今まで必要だったパーツがこれだけ不要になるって日本の自動車製造業及び下請けの部品メーカどうなっちゃうの?中国とかが安く電気自動車だしてきたりして食われるんだろうか。そうなると大失業起こりそう。
グラップラーたけし様、コメントありがとうございます。今すぐ、方向転換したほうがいいと思います。IT業界は、80年代に似たような産業構造の変化を経験しました。その結果たくさんの人が失業しましたし、今でも健全ではない形が残っています。自動車に関わる部品製造は、これから大きく変わると思います。
中国とかはすでに安く電気自動車出してきていますよ。
https://blog.evsmart.net/ev-news/kandi-ex3-nhtsa/
品質の面でも、米国で正式に販売できるレベルのものが出てきています。
PMモーターの場合に、急ブレーキをかけた時に、マグネットが減磁しないでしょうか?
IMは磁石がないため、その心配がありません。
回生を考えた場合は、IMが有利と思いますがいかがですか?
IMはロス(熱)を解決すれば、圧倒的に有利と思いますがいかがでしょうか?
Jyo様、コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、PMモーターは熱に弱く消磁とまではいかないまでも減磁するリスクはあると思います。しかしどのコンポーネントにも寿命はあります。どうも、どれがベストという正解はないようですね。現にテスラもモデル3ではフロントにIMモーターを使う一方、リアモーターは効率を重視して永久磁石を用いたSRMモーターを開発して使用しています。このあたりは、モーターまでインハウス化するサプライチェーンの思い切りが必要なのかもしれません。
車検台はガソリン車とどれくらい変わるんでしょうか??
morimori様、車検は整備代と重量税と自賠責になると思いますが、整備代についてはそもそも整備する部分が少ないため、ガソリン車より安いケースが多いです。
https://blog.evsmart.net/tesla-model-s/tesla-vehicle-inspection/
重量税は初回は無料ですからここは車によっては数万円の差が付きますね。
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-phev-subsidy/#title02
自賠責は同じです!
親切に教えていただきありがとうございました!
なるほど!
コムスにはバッテリーが6個搭載されているようです。
これを何個かだけでも増やせば馬力はあがるのでしょうか?
といいますのは坂道になるとパワー不足で40キロほどしか出ないのでもうすこし坂道がスムーズに登りたいという要望です。
和 様、コメントありがとうございます。さすがに改造はお勧めしないです。バッテリーを増やすと電圧が上がってしまいますし、他の部品の耐圧の問題も出ますからやらないほうが良いと思います。コムスで一番!?良く聞くのはリチウムイオン電池化ですが、結構高価になるのではないでしょうか?確か、タウンEVさんがやっていらしたような気がしますので、DIYでなくて実際に発注されるようでしたら、問い合わせてみられてはいかがでしょうか?
http://www.town-ev.jp/
トヨタ車体の電気自動車コムスを馬力アップさせることは可能でしょうか?何をどうすれば電気自動車はパワーアップするのでしょうか?
和 様、コメントありがとうございます!
実際に可能かどうか、もしくはご要望はトヨタ車体様にお送りいただくとして、私からは、一般的な回答をさせていただきますね。電気自動車の心臓部は、モーターではなくてバッテリーです。良くガソリン車と比較して、エンジン=モーターだから、モーターの性能が大事みたいな言い方を拝見することが多いのですが、実はモーターの効率はすでにどんなモーターでもかなり高く、ちょっとした改良程度で大きくパワーアップさせることができないばかりか、結構小さいモーターでも500馬力くらいは簡単に出すことができます。逆に、バッテリーが小さいと、500馬力のモーターでもミニ四駆くらいしかパワーを出すことができません。電気自動車には、あらかじめ設計された最高速度、加速、重量、サイズ、コストなどに合わせて最適なバッテリーが搭載されています。もしパワーアップというのが馬力のことで、加速を速くしたり最高速を上げたりしたい場合には、バッテリーの容量を増やすのが一番。しかしバッテリーの容量を増やすと、当然その分車体が重くなってしまいます。
コムスには鉛蓄電池が搭載されています。これはコストが安く、寿命が長い代わりに、大きく重い電池。主に配達用に設計されている車ですから、ヘビーに使われることを想定してそういう電池の選択になっているのだと思います。パワーアップさせるには、鉛蓄電池のままバッテリーを大きくしても重くなって結果遅くなってしまうと思うので、軽いリチウムイオン電池にする必要があると考えられます。もちろん、ユーザーサイドでの改造はできません。リチウムイオン電池は、鉛蓄電池より遥かにコストが高く、寿命が短く、充電方法や温度に非常に敏感な電池です。充電や温度を管理する装置をBMS(バッテリー管理システム)と呼びますが、リチウムイオン電池を搭載する電気自動車には必ずこのBMSが必要です。
世間ではEVは買ってはいけないとされているようですが、私が思うにはこれからのEVのために買うべきと思います。EVは昔からありましたがバッテリーがお粗末で実用的ではありませんでした、しかし現在はリチウムイオンバッテリーのおかげで実用的に使えるようになりました。これには拍手喝采です。充電時間を有効活用できれば良いことだらけです。静かさ加速度環境にも良い、これって高級車ではなかろうか。売りっぱなしのメーカーなどと批判する者に対し、最先端技術でここまでたどり着いて実績も浅いのに偉そうに裁判まで訴えるのは酷だろう。次期全個体バッテリーが主役になれば航続距離充電時間の解決につながることでしょう。電気を作るのに原油をバンバン燃やしたら環境に悪いが再生可能エネルギーで発電出来ればコストがかかっても実行すべきです。
電気自動車に日本で全部切り替わったときに、現在の発電量がどのくらい不足となりますか?
丹羽様、ご質問ありがとうございます。
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-and-fossil-fuel-power-station/#title03
こちらの記事にまとめておりますので、よろしければご参考くださいませ。現時点で日本中のすべての乗用車(営業車、軽自動車含む)が電気自動車になったと仮定して、全消費電力量は9.8%増加するとの試算です。計算根拠も書いてありますので、ご自身で検算してみてください。
日産eーノートに乗っています。取説に牽引する場合は駆動輪をレッカーでジャッキーUP
するように記載されていますが、ロープ牽引した場合はどんな問題があるのでしょうか?
お尋ねします。電気系統の問題、潤滑の問題、ブレーキやハンドル等宜しくお願いします。
川路様、ご質問ありがとうございます。
テスラモデルS/X以外の電気自動車やノートe-POWERは、モーターにIPMモーターを使用しています。このモーターは通常域で効率がIMモーターより良いのですが、永久磁石を使用しているため、駆動輪を外部からの力で回してしまうとモーターが発電してしまいます。もちろん牽引する場合はバッテリーは切り離されていますから、モーターが空回りするわけなのですが、負荷がまったくかかっていないためかなりの高電圧が発生してしまいます。これはIPMモーターではクラッチを設けない限り避けることができませんし、電動車両ではそのような設計にはなっていないことがほとんどだと思います。高電圧が発生しても周辺の回路は耐えられるように設計されているはずですが、念のための注意なのだと思います。
日産リーフには、ラジエータが付いていました。
用途はインバータを冷やす為に使われているようです。
はじめまして。
燃料車からEV車になるということは、電気配線が増えるように思うのですが、
どうなんでしょうか。
電装、電線の使用量は増えるのですか?
KTM様、お世話になっております。
電気配線は増えるんでしょうかね?そのあたりは私は不勉強であまりよく知りません。ちょっと検索してみました。
https://youtu.be/6ueDN3PLcJ8
↑テスラモデルSのワイヤリングハーネス
http://supplier-magazine.daimler.com/en/three-investigators-and-the-secret-of-the-wiring-harness/
メルセデスベンツEクラスでは3kmのワイヤリングハーネスが使われているとの記述
https://arstechnica.com/cars/2017/05/tesla-q1-2017-financials-are-in-and-its-all-about-waiting-for-the-model-3/
テスラモデルSのワイヤリングハーネスは3kmであり、モデル3では1.5kmであるとの記述
電気自動車ではこれに加えてモーターのローターや、テスラモデルS/Xではレアアース磁石を使う代わりにIMモーターを使用していますので、ステーターにも巻き線があります。電線の量はモーターがある電動車両では増えていると言えると思います。しかし、テスラは同時にモデルYではワイヤリングハーネスは100mでできるとも発言。その後、モデルYはモデル3のプラットフォームを使うと発表されていますので、100mは実現できそうにもない気がしますが、方法としては12Vバッテリーをなくし、CANバスを辞めて独自のハイスピードバスを使うことによってモジュール化を進め、組み立て工程のロボット化比率を高めるとされていました。
いろいろ説明ありがとうございました。
変速機がないというのは理解できますが、リーフの場合、DレンジとBレンジがあります。
これは何を変えているのでしょうか? プリウスにも同じ物がありますが、こちらは変速機(トルクコンバーター)を変えていると理解しているのですが・・。
しげちゃん様、ご質問ありがとうございます。
リーフの場合は、これで回生ブレーキの効き具合を調整しています。Bのほうが強く効きます。Bは、うまく使えば電費を向上させることができます。アウトランダーPHEVも同様にパドルシフトを使って回生量を調整できます。Bでアクセルを急に離すと、急ブレーキがかかります。
テスラはコントロールパネルで回生量を二段階にできます。テスラやBMW i3、新型リーフなどはもともと回生量が強く設定されていますので、それに慣れると、いちいち切り替えなくても足のわずかな調整で速度を加減できるようになります。これはもうEV専用の乗り方みたいなものですので、どなたも最初は必ず戸惑うんです。試乗したときは誰もが初めて運転するわけで、家族と一緒に試乗して、いきなりギクシャクしたら車が売れませんよね?
そのため、テスラやBMWは思い切った選択をしていると言うことになります。私の知る限り、テスラを買っても、ずっと回生は弱のままで乗っている方を知っています。なかなか運転のスタイルは変えられないものですね。
Oil車(ディーゼル車,ガソリン車)でxEV車に転換されれば、Motorの中で用途がなくなるMotorは何であり、新たに用途が生じるMotorは何ですか?
写真とか資料があればお願いします。
SeungSul Choi様、コメントありがとうございます!ちょっとご質問の意味が分からなかったのですが、電気自動車においては、電池は直流、モーターは(究極的には)交流じゃないといけません。ということは必ず間にインバーターが入るというわけです。そしてモーターの形式としてはPMモーターとAC Inductionモーター(誘導モーター)の二種類があり、PMモーターではローター(回転するほう)にPermanent Magnetつまり永久磁石が使われています。逆に誘導モーターではローターもステーター(モーターの周りの動かないところ)も電磁石なので、PMモーターより電磁石が一つ多い分、損失がありますし、損失=熱なので、ローターが過熱してしまいます。
PM:高効率、高コスト、レアアース必要
Induction:中~高効率、低コスト、レアアース不要
今のところ一般に販売している車で誘導モーターを採用しているのはテスラのみ、他のメーカーはすべてPMモーターを使用しています。しかし高出力なPMモーターほど巨大な永久磁石が必要になりますし、その分組み立てや修理にも注意が必要となります。どちらが今後主流になるか、以前の中国のレアアース輸出制限問題なども考慮した上で、検討する必要がありそうです。個人的な意見としては、今後小型車のモーターはPM、大型車や商用車のモーターには誘導モーターが使われるのではないかと思います。
私も今後電気自動車が普及してくると思っています。そして現在、電気自動車の購入を検討中なんですが、電気自動車の課税対象車以外の外国でしか販売されてない電気自動車を乗る場合、課税区分は、軽課税なのでしょうか?それとも1リッター枠あたりになあるのでしょうか?ちなみに現在考えているのは、FIAT 500e です。
米国カリフォルニア州でしか販売されていないですが、日本に持ってきて乗るとしたら減税対象になるのでしょうか?
HASHIMOTO様、コメントありがとうございます。電気自動車の課税区分は軽自動車なら軽課税、普通車なら普通車の一番安い金額になりますので、おっしゃる通り1リッター枠の課税となります。また愛知県と東京都では自動車税の課税は新車登録時から5年間、免税となります。
FIAT 500e、デザインも良いし街乗りに最適ですね。新車登録時の自動車取得税・自動車重量税も免税となるはずです。例えばテスラモデルXなども現時点では型式不明車として個人輸入のような形で日本に入ってきていますので、同じになります。電気自動車の税金についてはこちらの記事にまとめてありますのでご興味があればご覧ください。
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-phev-subsidy/
電気自動車が主流になることは、間違いありません。燃料電池車に関しては、政府も車両価格や水素ステーション設置価格等々から難しいとの見解が出ているようです。
今回の記事の通り電気自動車になりますと、従来の内燃機関と比較し簡単に車両ができますので、今は日産や三菱など国内の自動車メーカーが販売してますが、10年後にはPanasonicや日立などの電気企業製車両が登場するかもしれません。
また、古い話で恐縮ですが駆動方法も慶応大学の清水教授が考案したエリーカで採用されていたホイルインモーター(発案はポルシェ)、フレームとバッテリー一体型等の技術が主流になるかもしれませんね。航続距離が延びる=バッテリー容量が増える⇒充電器の大容量化が加速していくでしょう。・・・・テスラのオーナーさんも安心できる時代がすぐそこに
kent様、コメントありがとうございます。電気自動車について、一つだけ不安があるとすれば、今までの人類の歴史の中で、人々がそれまでとは異なる使い方を要求される商品を受け入れる際、使い方を変えないと今までより不便になる部分があるような商品は、普及に至っていないという歴史があることです。化学変化でエネルギーを蓄積する電気自動車は、どうやっても化石燃料のエネルギー密度に達することはあり得ません。夢の電池と呼ばれる全固体電池ですら、遠く及ばないのです。使い方を変えるということは消費者の認識を変えないといけないということであり、マーケティングの世界でもご法度とされていることでもあります。これを乗り越えて、大きなメリットのある電気自動車を選択する消費者や企業の方々は少しずつ出てくるでしょう。実は、企業のフリートオーナーのほうが、一般消費者よりロジカルで、コストにシビアなので、日本では電気自動車の普及はそちらから先に進むかも知れません。
ほんの10年もかからない時期に電気自動車が主流になるかと思います、車自体多くの回転部分から成り立つわけで、上手に工夫すれば無限に走行できる車が出来そうに思うのは素人でしょうか、フリーのタイヤ部分に効率的な発電機を搭載する事で、出来ないのでしょうか。
カズー様、コメントありがとうございます。無限に走行するのはやはり難しいと思います。自動車が走行しているとき、エンジンやモーターで力を加えなくても、タイヤと路面の摩擦による転がり抵抗と、空気抵抗が必ず存在します。これにより、車両は次第に減速していき、最後には止まってしまいます。発電機を付けて発電する場合、その発電機はエネルギーを生み出すのですから、どこからかエネルギーを取り出さなければなりません(エネルギー保存の法則)。このエネルギーは車両が走っている、まさにその運動エネルギーから得ることになりますので、発電すればするほど車両は減速してしまいます。これを応用したのが電気自動車の回生ブレーキで、電気自動車では、減速中もほとんどブレーキパッドを使わず、発電して運動エネルギーをバッテリーに戻して貯めています。ハイブリッド車では、この回生ブレーキのところだけをうまく活用し、ガソリンの消費量を劇的に抑えることに成功しています。