テスラの家庭用蓄電池『パワーウォール』〜日本でも本格展開始動を発表

テスラ・モーターズ・ジャパン(以下、テスラ)は8月25日、家庭用蓄電システム「Powerwall(パワーウォール)」を2020年春から日本でも設置しはじめたことを発表しました。同時にパワーウォールを利用しているユーザーのインタビュービデオを公開しました。いよいよ、日本でも本格展開が始動します。

テスラの家庭用蓄電池『Powerwall』〜日本でも本格展開始動を発表

※冒頭写真はEVsmartブログでも取材進行中の舘さんご家族とパワーウォール。

パワーウォールで安心かつ持続可能な生活に

テスラは今回、2020年春からパワーウォールの設置を開始していることと併せて、実際にパワーウォールを導入した顧客のビデオを公開しました。昨年10月の発表時には、春に販売開始という説明はあったものの、実際の導入日程や設置場所などはアナウンスしていませんでした。

今回、テスラが公開したビデオは2本。

ひとつは、富士山を望む山梨県で、太陽光発電システムと連携してクリーンエネルギーを使った持続可能な暮らしを楽しむパオリさんご夫妻を紹介した『クリーンエネルギーによる持続可能な暮らし』です。「今のテクノロジーを使えば、より快適で、よりエコな暮らしができると考えています」と言うパオリさん。テスラのクルマで自然の中を走るときでも、「とても気持ちよくドライブできます」と話しています。

クリーンエネルギーによる持続可能な暮らし

もうひとつは、東京に暮らす舘さんのご家庭を紹介している『Tesla Powerwallが生み出す安全性と利便性』です。舘さんのお宅は太陽光発電はないのですが、インタビューで舘さんは、「東京では地震や台風で停電する可能性も数年に一度あるので導入を決めました」と話しています。また、深夜電力を利用して蓄電することで、電気料金を抑えることも考慮しているそうです。

Tesla Powerwall が生み出す安全性と利便性

ということで、パワーウォールに大注目しているEVsmartブログでは今後、東京の舘さんにインタビューをし、設置時の様子や、実際に使ってみた感想をお伺いする予定です。実は記者はすでに一度、舘さんのご自宅にお邪魔してパワーウォールを見たこともあるのですが、改めて、その後の様子をお聞きしようと画策しています。お楽しみに!

国の目標を大きく超える低価格

テスラのパワーウォールは、家庭に設置して太陽光発電システムや系統電力と連携させ、発電した電力の自家消費の最適や化したり電気料金を低く抑えたりすることを可能にする、家庭用の蓄電池です。

【関連記事】
テスラの家庭用蓄電池「パワーウォール」がいよいよ日本上陸。劇的な安さと高機能で持続可能な社会実現へ!(2019年10月17日)

目を見張るのはやはり、価格の安さです。13.5kWhという大容量にもかかわらず、本体価格は82万5000円、系統連携のための「Backup Gateway」が16万5000円、合計99万円(税抜)です。

工事費は別ですが、1kWhあたり約7万3000円は、日本で販売されている家庭用蓄電池が1kWhあたり20万円以上が相場であることと比較すると破格です。資源エネルギー庁は2017年に、2015年度の実績価格で1kWhあたり22万円だったものを、2020年度に9万円に下げることを目標にしていましたが、パワーウォールは目標を大きく超えています。

パワーウォールの設置は、テスラの公式HPから申し込んで検討を進めるか、テスラの認定施工会社に相談するのが第一歩です。昨年時点では認定施工会社は3社でしたが、現在は8社になっていることについても、今回、テスラから情報提供をいただきました。

【テスラPowerwall認定施工会社 一覧(2020年8月25日現在)】

※各社ウェブサイトにリンク。順不同(テスラからの資料のまま)。

株式会社アール・エス・ティー(静岡県)
株式会社光設備(愛知県)
株式会社SIソーラー(東京都)
ゴウダ株式会社(大阪府)
JHS株式会社(広島県)
株式会社中部住器(愛知県)
株式会社横浜環境デザイン(神奈川県)
ネミー株式会社(東京都)

定置用蓄電池の価格がなかなか下がらない中、突出した価格設定になっているパワーウォールがこれからどこまで日本市場に浸透していくのか。ちょっとドキドキしている今日このごろです。

(取材・文/木野 龍逸)

この記事のコメント(新着順)13件

  1. 太陽光8kw所有。
    ニチコンV2Hプレミアムタイプ工事費込み110万
    日産リーフ30kwh中古現在11セグ 4年前購入 150万 
    ガソリン代0円
    2年に一度車検6万程度+保険代は年間3万程度。
    2020年太陽光のFITが11月で終了しました。
    中古リーフ2015年式24kwh中古 11セグ コミコミ85万で購入。
    2年車検付きです。
    来年度春に30kwhリーフのほうが車検ですので車検前まで乗って
    こちらはナンバー陸運局に返して蓄電池専用車として使います。
    蓄電池容量はトータル54kwhです。
    24kwhリーフは今後リサイクルバッテリー交換30万+工賃でできるので
    今後のことを考慮して購入しました。
    トータル350万+α です。 ガソリン代0円
    電力会社からの買電は僅かです。ほぼ電力自給自足状態です。
    EV+ニチコンV2H こちらで満足してます。
    テスラパワーウオールも気になりましたけどね。

  2. 一般人です。
    テスラパワーウォールとても気になってます。本体価格の安さを強調されてますが、他社製品に比べ工事費が高い気がします。是非工事費用の情報もアップ願います。

  3. うちもe+にV2H(ニチコン)+PVでやっていますが、自転車通勤が主体なので、
    車というより、たまに動く蓄電池、という状態です。
    塩害地域なので、高い方、補助金申請締め切り後に設置と、泣き面に蜂でした。
    元が取れるとは思いませんが、120万の安心料は高いのか安いのか、です。
    あとはe+のバッテリがどれくらい、充放電に耐えるか、ですが、60%-70%間
    で充放電している形です。どうでしょうか。
    他の方も書かれている様に、60kwはよほどの長距離でなければ、少なとも
    神奈川-清里の往復は帰路に一度充電で全く心配ありません。
    困っているのは、再初期型リーフの登録が消せず、アプリが使えない事です。
    充電器の満空情報がなんとしても欲しいです。

  4. 失礼しました。80万円というところで系統連携機の値段が抜けてていました。設置費用は70万円ほどですね。^_^

  5. 何時も貴重な情報ありがとうございます。コロナ禍の中、燃料車と40kリーフを手放し、62kwリーフにおまとめしました。色々とEVのデメリットが騒がれていますが、なんのその、化石燃料車が無くとも、全く今のところ不便が有りません。
    パワーウォール値段を見ると欲しいモードになっているのですが、設置費用が100万円近くかるのでしょうか?
    1週間2週間かかる大工事なのでしょうか!?

  6. 御二方、参考になります。
    当方も自宅のPVのFIT終了後の運用を考えたら、V2H+EVが最適解かと思っております。

    幸いにもニチコンから、これまた価格破壊と呼ばれるevパワーステーションが39.8万税別で登場したのでV2Hの大きく敷居は下がったかと。

    最大の悩みはEVを通勤で毎日使用しているのでは、休日しかPVで充電できないので、PV→EVの電力を家庭に供給できずV2Hのメリットが少ないかなと。
    そもそも、日中の余剰電力をEVに充電して日没後に家庭用の電力として活用しても、地域柄20時以降は割安な深夜電力なので経済的なメリットはあるのか疑問です。

    結局のところは停電時の【安心感】に数百万のお金を出せるかという所ですね。

    1. 電気工事士様、コメントありがとうございます。そこでトライブリッドですよ、、(笑) するとまた値段が高くなっちゃうんですよね。

      >停電時の【安心感】

      まさにそうで、これと、自分は自立しているんだ、エネルギーを自給している、という「満足感」でしょうか。特に自立が子供の頃から重視されている欧米では、非常にヒットする商品だと思います。

    2. 電気工事士さんへ
      たしかに僕も通勤距離20km以上ならEV+V2Hは諦めるかもしれません。幸い3km前後なんで平日自転車通勤で自宅に車を置けますが、妻がそのi-MiEVに乗っていくから実行できません(セレナ→リーフ買替できれば実行可能)。
      出川の充電に出てくるヤマハe-Vinoはサブバッテリーを積めば50km走れるそうです…心配なら勤務先でバッテリーを充電するよう対策すればいいのでは。
      自宅のEVを複数台にし、うち1台を待機させる余裕がないとダメですな。

      しょーんさんへ
      20~100%の設定でしたか。夏の高温で100%充電にすると劣化が進みやすいと聞いているので個人的には20~90%が適正値と判断します。
      以前日産ディーラー店員に聞いた話、普通充電100%より急速80~90%で止める方のほうが劣化が少ない場合があるとのこと。おそらく満充電が劣化促進したかもしれません(ただセルバランス調整のため半月毎に満充電推奨とありますが)。
      自身が今後リーフを買う場合の備忘録として書きましたが、アイミーブMはフロート充電対応(SCiBの仕様)なので100%放置でも劣化が遅いとか。それを研鑽し情報の完成度を上げていきたいですね。

  7. 工事費合わせて170万税別と記事で見ました。一般家庭で元を取るには何年かかるのでしょうか?計算してみました。
    深夜電力を蓄電して1kwの差額が昼間と比べて20円として容量10kw×20円を30日で最大毎月6000円の電気代削減効果でしょうか。損失計算して年間約7万。
    ものすごく甘く計算して最短のイニシャルコスト回収24年ですね。これで価格破壊と呼ばれるテスラ。他メーカーの商品は50年回収かかりますね。

    停電時の電源断リスクを考慮するなら、インバーター発電機を十万で購入したほうが費用対効果は良いのでは?

    と、電気工事士の私は思います。

    1. 電気工事士様、コメントありがとうございます。おっしゃる通り、単に電気代のアービトラージだけで元を取るのは現状は難しいと思います。特に一般家庭ではほぼ不可能だと思います。
      逆に、これはそういう商品ではないと思います。

      >インバーター発電機

      例えば災害対策。これ一つとってみても、何か災害があって地域全体が停電している中、深夜も発電機を稼働させられる方がどれくらいいらっしゃるでしょうか?無音で必須のサービス、冷蔵庫や最低限の空調、電子レンジなどの調理器具、これらを不安なく使用できるのが蓄電池の一つのメリットです。
      また、PVを設置されている方にとって、PVのメリットは電気代節約だけじゃないですよね?FIT終了した今、電気代節約でPVの元を取るのは難しい(だんだん可能になりそうですが)。電力を電力会社に依存しない、いざというときはPVと蓄電池さえあれば、電力の自給自足が可能、という機能・安心感・体験を購入されるのではないでしょうか?

    2. 同じく電気工事士(+電気主任技術者+消防設備士)の僕が来ました。
      正直パワーウォール取付けるよりV2H+EVのほうがコスパいいですね…当家はV2H+リーフe+で3.5kWソーラーを運用するとして、平日自宅に1台EVが残るなら電力会社の電力を使わなくていい計算になりました。晴天3日曇天1日雨天1日としても5日間でトータル72kWh(晴天20kWh/曇天8kWh/雨天4kWhとして)その間一日あたり9kWhずつ消費しても45kWhだから毎週平日27kWh増える計算。もう一台がi-MiEV(M)ですが仮に週一回それを充電したとして12kWh減っても15kWhは残りますよ。
      「電気自動車は動く蓄電池」と考えれば電気屋が電気自動車に乗ることこそがEV普及の鍵になるんじゃないでしょうか!?僕は日々実践中です(^^;
      理工系の話は得意ですので(逆に文系が苦手)理系の質問は遠慮なく。

      インバータ発電機は以前持ってましたが(富士ロビン製)キャブが詰まって使えなくなり知人に明け渡しました(爆)すでにi-MiEV(M)+MiEVpowerBOXがありそれで代用可能。

    3. 同じく電気工事士です。
      自宅でも三菱V2H+初期型リーフ+太陽光19kwで運用しています。
      現状はリーフを半固定蓄電池替りに使用し、売電優先させています。

      当初の予定では初期型リーフで問題ない計算でしたが、思いの外リーフの電池損耗が激しく、運用5年目で6セグとなりました。
      20%〜100%で運用していたのも問題だとは思いますが、電池が温度管理制御されていないのも問題かと思います。

      固定買取制度による買取期間が終了後に、深夜電力蓄電ではなく太陽光発電を全て蓄電し買電無し(1割程度は許容)での運用にすれば減価償却も可能なのかな?と思っています。

      パワーウォールの仕様を詳しく調べていないので分かりませんが、太陽光発電のパワコン2台以上で運用(蓄電)できるのであれば積極的に検討したいと思います。

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この記事の著者


					木野 龍逸

木野 龍逸

編集プロダクション、オーストラリアの邦人向けフリーペーパー編集部などを経て独立。1990年代半ばから自動車に関する環境、エネルギー問題を中心に取材し、カーグラフィックや日経トレンディ他に寄稿。技術的、文化的、経済的、環境的側面から自動車社会を俯瞰してきた。福島の原発事故発生以後は、事故収束作業や避難者の状況のほか、社会問題全般を取材。Yahoo!ニュースやスローニュースなどに記事を寄稿中。原発事故については廃棄物問題、自治体や避難者、福島第一原発の現状などについてニコニコチャンネルなどでメルマガを配信。著作に、プリウスの開発経緯をルポした「ハイブリッド」(文春新書)の他、「検証 福島原発事故・記者会見3~欺瞞の連鎖」(岩波書店)など。

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