米国政府が電気自動車の維持費はガソリン車よりも40%安いと発表

米国政府の最新情報によると、電気自動車の維持費はガソリン、ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッド車両よりも安くなります。『CleanTechnica』からの全文翻訳記事をお届けします。

米国政府が電気自動車の維持費はガソリン車よりも40%安いと発表

元記事:It’s Official: US Government Says Electric Vehicles Cost 40% Less To Maintain by Steve Hanley on 『CleanTechnica

パーツが少ない分維持費が安くなる

繰り返し聞く話ですが、電気自動車を所持するのにかかるコストは他の種類に比べて安くなります。理由ははっきりしています。内燃機関エンジンとトランスミッションを内包した車両を動かすには、大体1万点のパーツが回転しています。電気自動車ではその(回転するパーツ)数は10以下です。パーツが少なければ必要なサービスも少なくなり、部品を動かし続けるために技術屋に払う額も少なくなるのです。

よって直観的に電気自動車の維持費の方が安いと分かるかと思いますが、今回その証明がされました。米国政府は世界でも最多の車両を保有しているので、そのコストに関して1つや2つの知見があるはずです。

エネルギー効率・再生可能エネルギー局の最新の研究報告を引用します。

予定されているメンテナンス用コストの見積もりは、軽量電気自動車(BEV)で6.1セント/マイル(約4.2円/km)になります。内燃機関車(ICEV)は10.1セント/マイル(約6.95円/km)です。ICEVのエンジンオイル、タイミングベルト、酸素センサー、点火プラグ、その他のパーツはBEVに存在せず、それに関したメンテナンス費用もかかりません。

政府はベストを尽くし、車両維持費の詳細を細部までチェックして下のチャートを作りました。ハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車にかかる維持費も内燃機関車よりは低いですが、その差は少しです。

画像はEEREより。

大した違いがあるか疑問に思われますか? たった4セントの違いを誰が気にするかって? 考えてみましょう。米国共通役務庁によると、連邦政府が所有・運用している軽量自動車(セダン、SUV、乗用バンなど)は2019年に20億マイル(約32億1,869km)を走りました。Motor Trendによると、わずか4セント(マイル当たり)の違いは、年間7,800万ドル(約86億4,560万円)の節約になるのです。

EEREの研究で見られないのが、政府所有の車両にかかるガソリン代の削減量ですが、ちょっと推測をしてみました。車両全体の燃費平均を、20マイル/ガロン(約8.5km/L)としましょう。20億マイルを走るのに、1億ガロンのガソリンが必要になります。さてガソリンのコストを平均で3ドル/ガロンとしましょう(私は計算が苦手なので、四捨五入した数値を使いたいと思います)。1億ガロンx 3ドル= 3億ドル(約332億5,230万円)ですよね?

さらに電気のコストをガソリンの約半分としましょう。最終的に電気自動車群は毎年1億5,000万ドル(約166億2,615万円)の燃料代を節約できます。これをメンテナンスコストの節約分である7,800万ドルに加えると、米国政府の車両をすべて電気自動車に代えれば年間2億2,800万ドル(約252億7,175万円)の節約になります。

年間何億ドルもの節約をするというのは、自分達がいかに財政面で保守的か大げさに主張する共和党がやりそうなことです。しかし彼らは(電動化に)取り組みませんでした。

もし次に誰かが電気自動車は高すぎると話しているのを聞いたら、政府に燃料代とメンテナンスコストの2億2,800万ドルを毎年節約してほしいと思うか聞いてみてください。答えがイエスなら、その方法は公用軽量自動車(郵便局は別の管轄なのでここには含まれません)を電気自動車にすることです。

車両のコストがどうなるか考えてみましょう。規模の経済により、電気自動車へのシフトが進めば米国内での購入価格も下がります。誰にでも分かる話ですし、保守層への強力なアピールともなるはずです。

(翻訳・文/杉田 明子)

この記事のコメント(新着順)12件

  1. 太陽光で充電すればエネルギーコストは0ですしね。
    しかも蓄電池としても使える。
    オイル&エレメント交換、エアフィルター交換不要。
    基本的な点検やタイヤの空気入れは自分で行っていますので、プロの点検は車検ごとで十分。
    低コストだけでなく、人と会いたくない当方には嬉しいです。
    自宅で補給できるのでスタンドに行く必要無し。
    初期費用は掛かるものの、その後は楽です。
    偶に使う高速は対面通行で規制速度が70~80。
    高速を使うと言っても検討中のEVの航続距離の範囲内しか使っていません。
    当方の場合、内燃機関のメリットは無く維持費と手間が掛かるだけです。
    現状近所にセルフスタンドが無いので隣町に行くときにそこのセルフで給油しています。

  2. >現在、グローバルに、電気自動車の駆動用バッテリーは車両寿命まで交換しない、
    >というのがスタンダードになっています。
      知りませんでした。ありがとうございます
    そうなると4Rエナジーが行っているリーフ電池の再生ビジネスの先行きが
    心配になってきました

    1. しげ 様、再度のコメントありがとうございます!おっしゃる点についてですが、車は結局は廃車になりますので、その時点では廃棄バッテリーというのが出てくることになります。単に最初のころ5年くらい持っていたバッテリーが、10-15年持つようになった(個数は半減?でしょうか)というだけで、廃棄バッテリーを使用したビジネスはどんどん規模が大きくなると私は感じています。
      現時点で電気自動車の販売台数は日本で1%程度しかありません。これから10倍、50倍と売れていく商品ですから、年々廃棄の問題は大きくなっていくと思います。

  3. この計算には、駆動用バッテリーの交換費用が入っていないように見受けられます。例えば、8年で、1回駆動用バッテリーの交換(40-50kWh?)が必要とした場合計算はどのようになるのでしょうか?気になります

    1. しげ 様、コメントありがとうございます。現在、グローバルに、電気自動車の駆動用バッテリーは車両寿命まで交換しない、というのがスタンダードになっています。
      # 例外は、マツダさんだけだと理解しています。これが結構広まっています。
      https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2101/29/news052.html
      「駆動用バッテリーを交換した際にはCO2排出量がさらに増える」とあります。

      そのため、マツダさんが出されている試算以外では、維持費において交換費用が載せられてくることは基本的にないと思います。
      https://blog.evsmart.net/tesla/model-s/tesla-battery-degradation-statistics/
      通常、最新の電気自動車は(上記記事は2012年発売=9年前の車両モデルについてのものですが)25万キロくらいは走行できることを想定して開発されています。

  4. ミニキャブミーブを板金塗装に出して一週間の代車に軽のガソリン車、ガソリン満タン返しで¥4750ーでした。

    先月の三菱電動車両の代金が¥1650ー(自宅充電出来ないマンション暮らし)、このガソリン代金を1ヶ月分にしたら!

    足は短いけどミニキャブで5年辛抱します、5年後のEVに期待しています。

    1. そんなら僕もi-MiEV(M)の総経費を。
      3年間42000km走ってますが、かかった経費は中古価格95万円、電気代14円/kWh、電動車両プレミアム1650円/月(月間300km分使ってる)、電費10km/kWh、車検代8万円/回、タイヤ交換4万円/回として 950000+43680+59400+80000=1,173,080円。
      もしここでeKワゴンを買ってたとすると…中古価格80万円、ガソリン代140円/L、燃費14km/L、車検代11万円/回、タイヤ交換3万円/回、オイル交換2000円/回、フィルター交換2000円/回として 800000+420000+100000+30000+12000+6000=1,378,000円。既に2割近い差が出てますね。あと3年乗り続ければ差は4割近いかもしれまへん。
      これは実際EVに乗った人が各自算定するほかありまへんで!?幸い当家は電池劣化のきわめて少ない東芝SCiB搭載やから気にせずに済み精神的負荷も少のぅて済んだけど。

  5. 興味深い記事の全文翻訳紹介ありがとうございます。
    伝聞記事にコメントするのも野暮ですが、
    O2センサまでメンテするのにバッテリはクーラント以外はノーメンテ。
    EVモーターやインバータを冷却するクーラントは無交換、暖房にも使用し、負荷の高いEVのHVACがICEよりメンテ代が安いとか、あまりにも雑な見積り内容に驚いています。
    米国のエネルギー効率・再生可能エネルギー局は日本の環境省のようなノー天気な組織なんでしょうか?

    1. RiotNa様、コメントありがとうございます。
      画像内で、EV Battery Coolantというのがバッテリー及び、モーター、インバーターを冷却するクーラントです。電気自動車では、クーラントループは一つというのが通常であり、途中にバルブを入れて温度管理を行っています。ここが電気自動車では最大とも言ってよいノウハウになり、自動車メーカーの腕の見せ所です。良く、自動車雑誌とかでエンジンルーム映してコメントが書かれていたりしますが、電気自動車ではラジエーターとバルブがまさに心臓部、です。HVACのメンテナンスコストは、図ではほとんど同じに見えますが、「安い」とおっしゃっているのは、どの点を指摘されていますか?元データはこちらかと思われます(論文)。
      https://publications.anl.gov/anlpubs/2021/05/167399.pdf
      HVAC Service 100,000 100,000 100,000 100,000 $50 $0.001 $0.001 $0.001 $0.001 0% 1% 1% 1%
      最初から順に、ICEV,HEV,PHEV,BEVですが、すべて同じ金額がHVACのメンテナンスコストに割り当てわれていることがお分かりいただけると思います。

      なお弊社では、翻訳記事をCT社からライセンスを受け、内容も確認してある程度のファクトチェックを行ったうえで、翻訳し公開していますので、ご理解のほどお願い申し上げます。

  6. 国レベルで見るととても面白いですね、
    個人レベルだと、購入~売却まで含めるとまだガソリン車とかの方が安いイメージですね、
    今後ガソリンのリセールがさがるかもですが、当然evも全固体とかでたら今のやつはリセールが下がるので、iPhoneとかの買い取りと同じ印象ですね、

    あとは、evって車重が思いのでタイヤの磨耗とかどうなんだろう、

    1. 大統領様、コメントありがとうございます。

      >今後ガソリンのリセールがさがるかもですが、当然evも全固体とかでたら今のやつはリセールが下がる

      そうですね、今は特に日本ではEVの人気がそれほどは高くなく、そのため中古車価格もまだ安いので、おっしゃるような感じになっています。
      今後ガソリン車のリセールが下がるまでには相当長い時間がかかると思いますが、逆に電気自動車のリセールは、バッテリー寿命に関する事実が知れ渡ることにより、上がっていくと思います。実際には
      英国
      https://www.carwow.co.uk/blog/do-electric-cars-depreciate
      3年後の電気自動車の価値は48.9%で、全体の平均は40%なので、電気自動車のほうが平均的にはリセール価格が高い。
      米国
      https://www.iseecars.com/off-lease-car-deals-study
      3年後の電気自動車の価値は48%で、全体の平均は60.9%なので、ガソリン車のほうが圧倒的にリセールが高い。米国のこのデータは英国と比較する際、$7500のクレジットが中古車には適用されないことで、新車を購入した瞬間から$7500価値が低下してしまうこと、そして車両による大きな差がみられることも影響しているかもしれません。例えばテスラモデル3は、3年で89.8%もの残価を維持しています。

      車重が重い=タイヤ代がかかる、のは事実だと思います。特にハイパワーなテスラのパフォーマンスモデルやポルシェでは、それなりにキャンバー角も大きく、タイヤの寿命は短いと思っていただいたほうが良いと思います。より軽いファミリーカー(リーフやモデル3など)では誤差の範囲かなと感じます。

    2. 車種、回りの環境で効果が変わるってことが分かりました。

      ガソリンの給油回数が減る話も、テスラみたいな繋げるのみなららくだがコンセント指すタイプだとむしろ時間がかかるのかなと思いました。(日本平均距離6000km,仮に月に一回給油と比較したと考えて)出して、指して、行くときに片付けまで考えると、面倒な人もいそう

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					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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