元記事:China extends NEV purchase tax exemption policy another year, what’s next? by Lei Xing
NEV購入税免除が2023年末まで延長
過去10年間で中国の新エネルギー車両(NEV)を推進するために最も効果的だった政策の1つが、1年延長されました。8月19日に李克強首相が主催した国務院常務会議で、NEV購入税免除の政策が2023年末まで延長されるとの発表がありました。
2014年に始まり2回延長されたこの政策は、今年末に終了する予定でした。通常自動車を購入する際にかかる10%の税金を、NEVの購入者は免除されます。今年の6月から年末までは、排気量2L以下で希望小売価格が30万元(約599万円)より安いICE車両も、国内消費を刺激するために税率が半分にカットされています。
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車両価格により、消費者は数千元~数万元をセーブすることができます。計算方法は簡単で、明細を11.3で割れば分かります。例えば15万元(約300万円)のNEVを購入するならば、1万3,000元(約26万円)以上をセーブできます。
この発表は李氏が深圳のBYD本社に8月17日に訪問し、国がNEVの購入税を引き続き免除すると繰り返し話した2日後に正式に発表されました。また李氏が7月29日に開いたエグゼクティブ会議で政策が2022年以降に延長されると確認をしてから3週間以内でした。その1ヵ月強前の6月後半でも、エグゼクティブ会議で延長が取り沙汰されていました。
この政策は、過去8年間の中国NEV市場を牽引する鍵でした。政策が始まった2014年の販売台数は7万5,000台でしたが、2021年には350万台に膨れ上がり、47倍に増えました。以前私が指摘したように、年内に600万台セールスへの道を順調に歩んでいます。
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政策の延長は2017年と2020年に行われ、それぞれ3年と2年延長されました。さらにもう1年、3回目の延長をするのは自然の流れに見え、現実に実行されました。
補助金なしでもNEV販売は成長する
さて2023年以降は、NEV補助金を含めて主にどのような刺激策が敷かれるのでしょうか。
重要項目の1つが、課税収入です。8月19日の会議で出てきた詳細で興味深いのが、2023年のNEV購入税免除分に、1,000万元(約2兆円)が充てられる事です。車両1台当たりの平均免除額が1万元(約10万円)とすると、1,000万台のNEVが売られる計算、もしくは先に書いた通り2023年に売られるNEV車両の平均価格が15万元(約300万円)と仮定するならば750万台以上が見込まれている、ということです。恐らく蓋を開けてみれば、この数値のどこかに納まるのではないでしょうか(個人的には現況を鑑みると2023年に売られるNEVは、全体の3分の1以上を占めて900万台を超えるとみています)。
これで国が毎年NEV購入税の補助金にどのくらい出そうとしているのかが分かっていただけたのではないでしょうか。その上、30万元(約599万円)以下及び排気量2L以下のICE車両用にも6,000億元(約12兆円)の税金が免除されると見られます。
ということは、NEVセールスが1,000万台を超えて膨らみ続け(一方でICE販売は減少していきます)、NEV購入税免除が2024年以降にも続けば、国の歳入に大きな不足が出てくるのです。
中国乗用車協会(CPCA)は最近、NEVの購入、利用、廃棄にかかる税金は、この不足分のために遅かれ早かれ元に戻ると示唆しました。私もそろそろ時期が来ていると考えています。
今の中国で自動車販売の4分の1近くを占めるNEVは、分岐点をとうの昔に過ぎました。購入税免除はNEV販売にとって今も重要な牽引役ですが、市場には刺激策なしでも成長し続けるために十分な教育と開拓が施されました。補助金も同じで、今年の終わりには完全に姿を消します。
中国にはまた、世界で最も成熟したEV充電ネットワークがあります。China Electric Vehicle Charging Infrastructure Promotion Alliance(EVCIPA、中国电动汽车充电基础设施促进联盟)によると、6月末時点で国内には390万台の公共・私設充電スポットがあり、2021年6月に比べて倍以上に増えています。計算すると平均2.5台に1つの充電スポットがある計算です。
中国消費者にとっては幅広い価格帯をカバーする豊富なNEVの選択肢があり、そのほとんどが同等セグメントのICEに遜色ないレベルに近づいている中、充電ネットワークも拡大され続けています。刺激策の停止はNEV販売成長に傷をつけるものではないでしょう。
したがって、NEVに関して中国が正式に施策後の段階に入り、市場主導の時代を迎える2023年末にはすべての刺激策がなくなるものと、個人的には予想しています。
(翻訳/杉田 明子)