シトロエンが商用車『ベルランゴ』に欧州で電気自動車を追加~50kWhで約396万円から

シトロエンが欧州で人気の商用車『ベルランゴ』に電気自動車モデルの『ë-Berlingo』を正式に追加したことを発表しました。バッテリー容量は50kWhで、価格は約396万円(税別)〜と、かなり魅力的な設定です。ただし、日本への導入予定はありません。

シトロエンが商用車『ベルランゴ』に欧州で電気自動車を追加~50kWhで約396万円から

※冒頭写真はイギリスのシトロエン公式サイトから引用。

容量50kWhで最大出力100kWの急速充電に対応

日本で暮らす私たちにはあまり関係がないけど気になる話題、第二弾。フランスからシトロエンのニュースです。
※第一弾は「日産タウンスター」の話題です。

電動化戦略を着々と進めるグループPSAのブランドであるシトロエンが、2021年9月10日、欧州で2番目のセールスを誇る人気の商用車である『Berlingo(ベルランゴ)』に、完全電気自動車モデルの『ë-Berlingo(e-ベルランゴ)』を追加することを発表しました。

価格は税別で30,500ユーロ(約396万円)〜。フランスでの税込価格は35,300ユーロ(約458万円)〜ということですが、フランスでは4万5000ユーロ以下の電動小型商用車を新車で購入する場合5000ユーロのインセンティブがあるということなので、実質3万ユーロ(約390万円)程度で購入できることになります。

搭載するバッテリー容量は50kWh。最高出力100kWのモーターでスムーズは走りを提供し、一充電航続距離は280km(欧州WLTP)としています。実用的なEPA換算の距離としては250km程度と推計できます。UK公式ページのニュースでは「171マイル=約275km(WLTP)」となっていたので、実際の航続距離に若干の減少はあるかも知れないですが、一充電で250kmほども走れれば、不満を感じる場面は少ないでしょう。

急速充電は欧州CCS(コンボ)規格で最大100kWに対応しています。相変わらずリリースでは「わずか30分で80%の充電」という、電気自動車を実用する感覚からするとなんとも曖昧な表現でアピールされていますが。ともあれ、高出力急速充電インフラ網整備が進む欧州の環境であれば、最大出力の100kW程度で充電できるケースがほとんどであり、充電時のロスなどを考えても30分で40kWh程度の電力を補給できるでしょうから、「30分で80%」というのは妥当な数値です。

メルセデス・ベンツ『EQA』の長距離試乗&QCお試しレポートでも言及しましたが、個人的に「50kWhのバッテリー容量で100kW急速充電に対応」は、コストパフォーマンスや実用的に、ベストバランスではないか、と感じています。

全グレードに標準装備なのかどうかはよくわかりませんが、ヘッドアップディスプレイや「スピードリミッター/クルーズコントロール」など、最新の安全&快適装備が用意されているようです。ただ、クルーズコントロールが前車追従式のいわゆる「ACC」であるとは明記されていなかったので、速度設定ができるだけのものかも知れません。

ともあれ、商用車であり、またファミリーユースに便利なワンボックスタイプのコンパクトなモデルに、バランスのいいバッテリー容量や急速充電性能を備えた完全電気自動車モデルの追加。日本から眺めるしかないユーザーとしては、欧州がうらやましい、としか言いようがありません。

念のため、『ë-Berlingo』の日本導入はあるのかどうか、グループPSAジャパンに確認してみましたが、今のところ予定はしていないということでした。

商用車の電気自動車モデルをフルラインナップ

リリースでは、ミディアムクラスのバンである『ë-Dispatch』、ラージバンの『ë-Relay』をすでに発売しており、今回の『ë-Berlingo』が加わることで「100%電動のCitroënバンシリーズが完成」することもアピールされていました。

シトロエンではコンパクトカーの『Ami』もすでにリリースしているし、いつの間にか、電気自動車ラインナップの最先端を突っ走るブランドに進化しているのでは、という印象でもあります。

最先端といえば、シトロエンでは今年の6月にBEVとFCV(水素燃料電池車)のハイブリッドモデルとなる『ë-Jumpy Hydrogen』を発表もしています。10.5kWh(奇しくもi-MiEVのMと同じ)のバッテリーに、回生ブレーキと燃料電池で充電しながら走る仕組みになっていて、水素タンクが空になってもバッテリーの電力(航続距離は約50km程度と発表)で走り続けることができると紹介されています。

さらに、シンプルにBEVの『ë-Jumpy』もあって、バッテリー容量50kWh(航続距離230km)と75kWh(航続距離330km)のモデルがラインナップされているそうです。

欧州のニュースなのであまり詳細にチェックしていなかったのは迂闊でした。e-ベルランゴ発売のニュースで改めてシトロエンの情報を確認し「電動車フルラインナップって、ほんとはこういうことだよな(乗用車カテゴリーは商用車に比べてやや慎重に進めてる? とも感じますが)」と、しみじみ感じたのでした。

それにしても、50kWhで約400万円ということは、参考までに「電池単価」で計算すると約8万円/kWhと、かなりがんばってるなと感じるコストパフォーマンスです。「電気自動車だから高価」というエクスキューズは、すでに世界では通用しなくなりつつあるのかも知れません。

(文/寄本 好則)

この記事のコメント(新着順)5件

  1. 欧州メーカーってそういうことするんすよね〜
    ベンツのW205前期かW204後期か、本国だともう9速AT積んでるグレードが日本向けは在庫処理の7速ATだったりね

    1. ケイン様
      日本向けには9速は過剰だと考えてるかもしれません。
      本国と日本では巡航速度が違いすぎます。
      日本では高速でも普通は80~100km/h(一部で120km/h)暫定2車線ですと70km/h程度と低いです。
      この環境で9速ミッションが生きるとは思えません。

  2. タウンスター、e-ベルランゴもそうですが、日本導入がない理由が知りたい。 充電規格がどちらもCCS、今後CHAdeMOは欧州EVの日本輸入の障壁になるのでしょうか?

    1. ルノーにしてもベルランゴにしても日本導入は欧州では売るわけにいかなくなったディーゼルエンジン車ですな。
      ふざけんなよ欧州メーカー(怒)
      電動車が日本導入しないのは開発費が回収できないディーゼルエンジンの元を取るためです。

      というのはさておいて。
      やはり日本向けに充電規格を作っても開発費が回収できないからでしょうね。
      出来るのならルノーEVカングーは既に存在しますから。

    2. たしかに充電問題はありますな、日本の場合電気事業法が壁でCHAdeMO1が50kW以下になったことも考えねば。
      受電電力が50kW以上になると高圧受電設備の設置・電気主任技術者の選任・経産省への届出が必要など…メンドクサイですな(それを引き受ける電気管理技術者やから判りますが)。
      そして何よりの壁は国民性!エンジン車の発想を捨てられない現状での普及に無理があるとも感じまへんか!?保守的過ぎては新たなテクノロジーも普及しまへんから。ただCHAdeMOは災害大国ニッポンの事情を想定してました、証拠に元祖軽EVの三菱MiEVシリーズにpowerBOX装備で1500W電源装置取付可能の事実も忘れちゃイケまへんで!
      商用EVが普及するのは個人もしくは零細事業主がソーラー卒FITあるいは蓄電に目をつけてるかどうか!?あとは地理条件、坂の多い地域ならBEV有利やないですか…「一か所だけでなく全体を見よ」との先人の知恵がございます。

      しかし日本導入しづらい商用車って大概リヤドアが観音開きですよね…降雨の少ない地域やからかなぁ!?日本向けやないから錆の問題もありそうですが。

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					寄本 好則

寄本 好則

兵庫県但馬地方出身。旅雑誌などを経て『週刊SPA!』や『日経エンタテインメント!』の連載などライターとして活動しつつ編集プロダクションを主宰。近年はウェブメディアを中心に電気自動車と環境&社会課題を中心とした取材と情報発信を展開している。剣道四段。著書に『電気自動車で幸せになる』『EV時代の夜明け』(Kindle)『旬紀行―「とびきり」を味わうためだけの旅』(扶桑社)などがある。日本EVクラブのメンバーとして、2013年にはEVスーパーセブンで日本一周急速充電の旅を達成した。

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