元記事:10 newsworthy EV debuts at CES 2022 by Lei Xing
CESが電気自動車見本市に
ここ数年のCESでは車両テクノロジーが話題を集めており、この種のイベントでは世界最大の『CES』は、イベント名称が元々意味するところであるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(Consumer Electronics Show)と言うより、カー・エレクトロニクス・ショー(Car Electronics Show)のようでした。
過去のCESではシボレー・ボルト、バイトン M-Byte、Xpeng G3、ソニー VISION-Sなどが記憶に残るデビューを飾ってきましたが、基本的に電気自動車はCESと同義語ではありませんでした。今年までは。
コンセプトカー VS プロダクションモデル、オンライン VS オフラインに関わらず、CES 2022でデビューしたEVの数は2桁にのぼり、このイベントの歴史の中でも最多でした。個人的に今回のイベントへの直接参加はオミクロン株への懸念もありギリギリになって断念せざるを得ず、多くの記者会見をオンラインで見ることになったのですが、これらのEVデビューのお陰で2016年以降に見た中でも最も記憶に残るCESになりました。
CES 2022でのEV大躍進には様々な要因がありました。1つ目はショーそのもののタイミングと影響力で、完全デジタル(オンライン)だった2021年を経て今年は対面とオンラインのハイブリッド形式になると発表された昨年夏から、各企業はイベントで大々的な発表をする計画を立ててきました。2つ目は通常1月に開催されるデトロイトモーターショーの先行きがCESの成功もあり不透明(最後に開催されたのは3年前)で、各企業がシン・シティを新しい『モータウン』(※デトロイトの愛称)として歓迎したことです。3つ目、各企業、特に米国メーカーはコロナパンデミック以降電動化への注力を加速し、発表したい商品が多くできあがっていました。最後に、米国内外のEVスタートアップの勃興と成熟により、CES 2022が最新の商品を誇示する絶好の機会になったのです。
さて、ここからCES 2022でデビューした、注目のEV10モデルをレポートします。レガシーメーカーのGM、ステランティス、メルセデス・ベンツから、スタートアップのフィスカー、ヴィンファスト、TOGG、そして日本のエレクトロニクス大手ソニーの“復活”までご覧ください。
メルセデス・ベンツはEQXXで最高の効率性を追求
メルセデス・ベンツはCES 2022の2日前の1月3日、Vision EQXXを発表しました。空気抵抗係数は0.17でEQSの0.20やアメフトのボール(0.18-0.20)よりも低い数値です。一度の充電で航続距離は1,000kmを越え、バッテリーからホイールへのエネルギー効率は95%です。搭載されている100kWhバッテリーはEQSより体積が50%少なく、重量は30%軽く、密度400Wh/lで、EQXXは同社で最も効率性の高いモデルです。バッテリー(495kg)を含めた車両総重量はたった1,750kgしかありません。
この車のプロジェクトは白紙から完成まで記録的な速さの18ヶ月で完成しました。様々な専門家が互いの分野を行き来できるチームのため、シュトゥットガルトだけでなくフォーミュラ1や様々なスタートアップ、世界中のパートナー企業などから才能を引き抜きました。高い効率性のために、EQXXには軽量化や構造的テクノロジーはもちろん、マッシュルーム、サボテン、竹の繊維など、自然の原料も多く使われています。
EQXXはまだ生産段階には入りませんが、コンセプトカーに使われたテクノロジーや原料は、将来の生産モデルに使われると見られます。
i、X、Mの最高峰BMW iX M60
BMWのフラッグシップとして3番目の最もパワフルなモデルは、Eインクとエレクトロフォレティック・テクノロジーを使ってエクステリアの色を変えられるiX Flowほど注目を集めていません。しかし、『iX M60』はBMW i、BMW X、そしてBMW M GmbHという3つの世界のベストを体現しています。
この車はBMW M GmbH シリーズから純電気モビリティ用に開発された初のパフォーマンスモデルです。出力は2つのモーターを合わせて455kW、最大トルクがスポーツモードで1,015Nm、ローンチコントロールをオンにすると1,100Nmで、時速100kmに3.8秒で到達、航続距離はWLTP基準で566kmです。BMWから出る最もパワフルで速いプロダクションEVで、社の歴史上ピークトルクが1,000Nmを越える初のモデルでもあります。中国では発売済みで希望小売価格は996,900元(約1,806万円)です。
シボレー・シルバラードEVが率いるGMのEV屋台
かなり期待されていたF-150ライトニングへの挑戦者が遂にファンファーレとともにお披露目されました。GMのUltium EVプラットフォームを使った様々なブランドから発表が出てきました。
2024年版シボレー・シルバラードEVピックアップは2つのグレード展開で、RSTファースト・エディションとフリート用のWTモデルになります。10.2kWのオフボード充電器を使った予想航続距離は約644kmで、マルチフレックス・ミッドゲートの着いた貨物エリアはマルチフレックス・テールゲートと組み合わせると最大3.3mにもなります。その他のスペックとしては四輪駆動、ガラスルーフ、大きな17インチLCDインフォテインメント・スクリーン、そして時間と共に進化する最新の車両テクノロジーも搭載されます。
CEOのメアリー・バラ氏は、希望小売価格3万ドル(約346万円)~のシボレー・エクイノックスEV SUVとシボレー・ブレーザーEV SUVも発表しました。ともに2023年発売予定です。またGMのEVリストにはシボレーの3車種に加え、ブライトドロップ電気バン、ボルトEV&EUV、GMC・シエラEV、GMC・ハマーEV、キャデラック・リリック&セレスティックも載ります。ブライトドロップに関してはFedExが追加オーダーを発表する一方、ウォルマートもEV600電気バンを使う準備をしています。
自動運転に関しては、GMとクルーズ社が20年台半ばまでに最初の自動運転車両を納車できるように動いています。スーパークルーズは2023年までにGMブランドの22モデルに使われ、また2023年に生産開始するドアtoドアでハンズフリー運転が可能になるウルトラクルーズは、まずセレスティックを初めとするいくつかのモデルに搭載されます。
キャデラックのヘイロー・コンセプトシリーズには自動運転車両の『インナースペース』や『オープンスペース』、e-VTOLの『パーソナルスペース』、『ソーシャルスペース』が加わることが昨年のCESで発表されており、将来の多様なラグジュアリートラベルの可能性を示しています。
クライスラーは電気の2028年へ流れに乗る
クライスラーの『エアフロー』コンセプトカーは、12月に親会社であるステランティスのソフトウェアデーでカメオ出演(特別出演=チラ見せ)し、CES 2022で正式に発表されました。
しかしさらに大きなサプライズ発表は、クライスラーがエアフローをベースにした初のBEVを出す2025年から3年後の2028年までに、BEVのフルラインナップを計画していると発表したことです。
純電気のエアフローは操作性の高いAIとコネクテッド技術を用いた最先端のドライブシステムテクノロジーを搭載し、航続距離は563km~644km、機能的な急速充電もできます。この車はクライスラーの新しく現代的で先を行くテクノロジー設計を体現しており、優雅でダイナミックな外観と、グリルとヘッドランプにまたがりLEDで光るクライスラーのウィングロゴが特徴で、エアフローのなめらかで静かな電気ドライブに華を添えます。STLA Brainで動くシームレスなコネクテッドSTLAスマートコックピットはニーズに合わせてカスタム可能なスクリーンを備え、デジタルな職場や自宅環境を引き込んでパーソナルな経験が可能となります。パノラミックルーフからのライトや落ち着いた色合いがアクセントを加えるインテリアはモダンで広々とし、自宅や職場から離れてもオープンなラウンジ空間を思い起こさせます。
STLA BrainプラットフォームはOTAに完全対応しており、後に車両を改良するための新しい機能が出てきた際には素早くアップデートできるよう設計されています。またSTLA AutoDriveも搭載されており、レベル3の自動運転が可能で、こちらもOTAでアップデートができます。
静かな、新しい純電気フィアット500eはこれからの10年を見据えている
フィアット 500e EVは、伝説的なフィアット・クライスラー元CEOのSergio Marchionneが「皆さんが買わないことを願います。1つ売るのに14,000ドルかかるのですから」と8年前に言ったことで一番知られているかもしれませんが、その最新版でフィアット 500 3+1及び(500)REDに生まれ変わりました。
フィアットはプレスリリースで、新しく2つの純電気バージョンになったイタリアのアイコンが「未来の都市部における電気モビリティのニーズにふさわしい、これから10年を担う設計」であると書いています。
新しい500は生まれ故郷であるイタリアのトリノですべて開発・生産され、フィアットのBEVベストセラーとなりました。欧州、イスラエル、ブラジルで販売されており、2022年には日本でもローンチする予定です。
航続距離はWLTPで320km(郊外モードで460km)、85kWのFastchargeを使った際には通常より速いスピードで充電できます。レベル2ドライビングアシスト機能が付いた初のシティカーで、ハッチバック、カブリオ、3+1の3種のボディから選べます。
500 3+1は最も用途が広く、乗り込むのを簡単にするユニークな「マジックドア」が付いています。一方(500)REDは、これから15年以上パンデミックと戦うことにコミットする、Bono(U2のボーカリスト)とBobby Shriver(元サンタモニカ市長)が設立した団体である(RED)とパートナーシップを結び、「惑星のため、そこに住む人のため」にエシカルな方法で作られています。
LiDARとRide Pilot搭載、ボルボのXC90 電気SUVに繋がるRechargeコンセプトカー
ボルボはCES 2022に正式参加しませんでしたが、米国パートナーのLuminar社がLuminar Iris LiDARをルーフラインに自然な形で搭載したコンセプトRechargeモデルを展示しました。北米デビューを飾ったRechargeコンセプトは、ボルボの次世代XC90フラッグシップ電気SUVのプレビューとなり、5つのレーダー、8つのカメラ、16の超音波レーダーから成るLuminar LiDARが標準搭載されています。
ボルボとLuminar社はフラッグシップSUVが今年中に明かされると発表しており、車にはメルセデス・ベンツSクラスのDrive Pilotのような、高速道路上の渋滞などで使える「監視不要の」レベル3自動運転機能、Ride Pilotがつきます。上記のような状況では、ドライバーは運転をせずに読書や仕事などができるので、「監視不要」というわけです。
Ride Pilot は高速道路上での安全性が確認されたら、まずアドオンのサブスクリプションとしてカリフォルニアで使えるようになる予定です。認定プロセスの一環として、ボルボはすでにスウェーデンで自動運転機能をテストし、欧州や米国からデータを集めています。また今年半ばまでには、気候、交通状況、自動運転導入のための法規制が違うカリフォルニアの路上でテストを開始する予定です。Ride Pilotはカリフォルニアのあと、順次世界の市場や地域でリリースされていきます。
ヴィンファストは迅速な完全電気化計画を携え米国進出
米国市場入りを目指してVF e35とVF e36をお披露目し、2カ月前のオートモビリティLAでも大きく話題になったベトナムの自動車メーカーであるヴィンファストは、新たに加わった3つのモデル、新モデルのネーミングコンペ、完全電気化計画などを携えて戻ってきました。
VF e35とVF e36がそれぞれVF 8とVF 9に変わり、さらに小さいVF 5、VF 6、VF 7がデビューしました。A~EセグメントをカバーするSUVラインナップはイタリアのピニンファリーナ社とトリノ・デザイン社が設計しました。VF 8とVF 9では『エコ』及び『プラス』バージョンにレベル2自動運転機能、『プレミアム』バージョンにレベル3・4自動運転機能がつきます。またスマートホーム、モバイルオフィス、車内ショッピング、車内エンターテイメントなどのスマート機能も特徴です。
VF 8とVF 9の米国価格はそれぞれ4万1,000ドル(約472万9,000円)と5万6,000ドル(約646万円)で、10年か20万km走行の保証が付きます。予約は1月5日に開始され、ヴィンファストは受注とオーナー割り当てにブロックチェーン技術を使っています。また1ヵ月483kmのバッテリーリース用サブスクプランも提供します。
CESで発表された大きなニュースは、ヴィンファストがICE車両の生産を終了し、2022年後半から電気自動車に完全移行するというものでした。また高度な自動運転とクラウドコネクティビティ機能のためのZF社及びCerence社とのコラボレーション、ドイツに生産施設を建設、ナビやロケーションサービスのためのHEREとwhat3worsとの協業、米国では初めてのフリートの顧客であるApplus+ IDIADAとEVの安全性テストでパートナーシップを組むことも発表されました。
1月8日の時点で、ヴィンファストはVF 8とVF 9に世界で2万4,308台の予約を受けています。米国、欧州、ベトナムの顧客はそれぞれ200ドル(約2万3,000円)、150ユーロ(約2万8,000円)、1,000万ドン(約5万円)の予約金を払う必要があります。
フィスカーは世界初のデジタル・レーダーとOceanへのインテリジェント・パイロット導入を発表
フィスカーもオートモビリティLAでは電気SUV『Ocean』のデビューで、ヴィンファストのように目立っていました。
CES 2022での発表はプロダクションモデルに搭載する世界初のデジタル・レーダーと、ドライブシステムの『インテリジェント・パイロット』でした。4Dレーダーはカナダのマグナ社とコラボレーションしたスタートアップ企業のUhnderによるもので、11月からマグナがオーストリアのグラーツに持つ工場で生産開始する予定です。6万8,999ドル(約796万9,000円)のOcean 『Extreme』と『One ローンチ・エディション』には5つのセンサーセット(デジタル・レーダー)で構成されるインテリジェント・パイロットが標準搭載されており、その他すべてのグレードにデジタル・レーダーが付きます。
デジタル・レーダーは車両を200m、歩行者を80m先から認識でき、対象を背景から切り離して路上の低い位置にある障害物を感知することもできます。
トルコのEVスタートアップTOGG:ピニンファリーナがデザインしたコンセプトカー『トランジション』
トルコ初の自動車メーカーとして謎に包まれたEVスタートアップがデビューし、スマートデバイスと呼ぶ『トランジション』のコンセプト版を披露しました。
TOGGのデザインチームを率いるMurat Günak氏が、戦略パートナーであるピニンファリーナと組んで設計したトランジションはダイナミックで革新的なファストバックで、TOGGのスタイリッシュなDNAを保っています。このスマートデバイス用のスタイリングのコンセプトは、車両トップからサイドに流れるラインを基調にし、筋肉質なリアデザインとヘッドライトから始まっており、2019年12月にトルコでプレビューがあったC-SUV 2023にも見られます。
TOGGは車両だけでなく、完全なモビリティ・エコシステムである商品とサービスのセットを提示しており、このソリューションはUSECASE Mobility®と呼ばれています。
TOGGは元々トルコの北西ブルサ市ゲムリクにある工場で今年前半に車両生産をスタートする予定でした。
ソニーの3大ニュースはVISION-S 02、モビリティ会社設立、EV市場参入
ソニーは2年前のCES 2020でVISION-Sをサプライズ登場させながら一番おいしい所を残しており、CES 2022にサプライズとともに帰ってきました。それがVISION-02です。
CEOの吉田憲一朗氏は記者会見で2022年春にソニーモビリティ株式会社を設立し、EV市場へのエントリーを探ると発表しました。これは2年ほど噂されたあとにソニーがEVビジネスに参入する意思があるとほぼ宣言しているに近く、吉田氏の言葉を借りれば「クリエイティブなエンターテイメント企業がモビリティを再定義する」ことになります。ソニーがプロダクション車両をローンチする際には、VISION-Sのプロトタイプ作成に協力したマグナシュタイヤーが重要な役割を果たすかもしれません。
VISION-S 02 SUVプロトタイプはセダンのVISION-S 01プロトタイプと同じプラットフォームを使用しており、現在は一般道でテストされています。大きな室内空間と7シーターを活用したエンターテイメント体験を提供するVISION-S 02は、安全性とセキュリティ、適応性とエンターテイメントを中心に据えたテクノロジー開発をしながら、01とともにモビリティをより身近に感じられるよう進化していきます。VISION-SにはCMOSイメージセンサー、遠隔操作、コミュニケーションコントロール、360リアリティオーディオ、BRAVIA CORE for VISION-S、自宅のコンソールに接続してプレイステーションで遊べる機能など、ソニーの独自技術が多く盛り込まれています。
(翻訳・文/杉田 明子)
Thanks for the interesting daily blog posts.
Not directly related to this article but I wonder if it might be useful to do reports for businesses on what options they have for installing chargers at their places of businesses. A lot of focus is on the number of fast chargers but “destination” chargers are equally important. I’m sure there are many options available but most business owners won’t know which to choose because most don’t actually own EVs.
Things like installation cost, running cost, how customers pay, charge rate, etc.
On another note, I think spending less time on reporting about PHEVs would be good. I think there is enough pure EV news these days that time shouldn’t be wasted on PHEVs.
Thanks again for your daily blogs!
Dear Randy, thank you for your kind suggestions. I’ve tried once to write a guide for installing destination chargers for hotels and ryokans.
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/setting-up-destination-charging/
As you can see, I’m not really a fan of paid, destination standard charging…
Another EVsmart writer is planning an article about condo charging best practices and options for billing. I will ask him to include some destination charging use cases in the report.
Regarding PHEV, we see that BEVs will be much more popular once the legal framework to support condo/monthly parking charging becomes effective in Japan. As you pointed out, more and more BEVs will be available in the coming years, so naturally, we will focus more on pure electric vehicles.