アフリカのモビリティが示す電気自動車による生活の変革〜『MFA』の取り組み【パート2】

先日お伝えしたジンバブエにおけるスタートアップ企業MFAの、電動モビリティへの取り組みに関する記事の第2弾です。今回はMFA創設者のShantha Bloemen氏へのインタビューをもとに、アフリカの地方で何が必要とされているのか、電動車両がどう活用されていくのかについて、さらに詳しくレポートされています。全文翻訳でお届けします。

アフリカのモビリティが示す電気自動車による生活の変革〜『MFA』の取り組み【パート2】

元記事:Mobility For Africa Shows How Electric Vehicles Can Transform Lives Where it Matters Most – Part 2 by Remeredzai Joseph Kuhudzai on 『CleanTechnica

MFAのパイロット版プログラムは第2段階に

Mobility For Africa (MFA) は先日お伝えした2つのフェーズに分かれたパイロット版プログラムの1つ目を終え、2つ目の段階に入りました。MFAは農作物搬送サービスや一般的なタクシーサービスを含む複数のモデルをテストし、さらに試験期間を使ってプロジェクトの経済的な実行可能性を計り、異なるビジネスモデルに対するソリューションの仕分けもしました。

私達はMFAの創始者であるShantha Bloemen氏と会い、インタビューをしました。


CleanTechnica(以下CT): 第1段階の試験期間が終わりました。いかがでしたか?

Shantha(以下SB): 私達は試験第1段階で多くを学びました。既にその知識をもとにモデルに磨きをかけ、技術的ソリューションを識別するのに集中しています。 今は第2段階に入っていくところで、経済的な実行可能性、リチウムイオン電池の使用、異なる急速充電器のオプション、そしてオフグリッドの充電システムに焦点を当てます。第1段階の間、92人の女性に参加してもらいましたが、彼女たちは合わせて400人になる家族の代表者です。3人ずつで30の小さなグループを作り、三輪車をシェアして収入を得るために一緒に働きました。三輪車への需要は高く、100人以上の人が順番待ちリストに載りました。試験に参加する女性は地方に住む女性のみにしたのですが、その理由は彼女たちが基本的に

1. 自転車に乗った経験がない
2. 田舎の環境にあって最も重い物を運ぶ必要がある
3. 交通手段を所持していない場合が多い

からです。私達は、地方の女性に有効なモデルを示すことができれば、市場サイズにも真の人口が反映され、 実際の需要もはっきりさせられると信じています。

CT: 電動三輪車の航続距離はどのくらいですか?

SB: フル充電で50kmを走り、人と物を合わせて350kgまで運べます。私達は今も、より軽くて、より速く充電できつつも値段は高くないバッテリーのオプションを模索しています。

CT: バッテリーパックのエネルギー容量はどのくらいですか?

SB: 6.6kWhのリチウムイオンバッテリーパックを使っており、重さは35kgです。 試験プログラムの初期には60kgの鉛蓄電池を使っていましたが、寿命は今の半分しか保たず、充電時間はかなり長くかかっていました。

ハンバに乗る女性たち。画像はMFA公式サイトより。

CT: 三輪車の充電にはどのくらいかかりますか?

SB: 今のところ6時間かかりますが、現在充電機能の改善に取り組んでおり、将来的には2~3時間になるでしょう。

CT: 充電ステーションには何kWの太陽光パネルが設置されていますか?

SB: 最大8.1kWになります。様々な充電オプションを模索しており、需要に見合うためエネルギーがどう生成され使われるのか改善をしています。

CT: 地域コミュニティをオペレーションとメンテナンスに取り込みましたか?

SB: はい、地域コミュニティを力付けることは持続可能なモデルを構築する中心に位置付けられます。私達は存在を忘れられがちな地方の女性に、ハンバを運転し、活用してほしいのです。男性の方が自転車やバイクにアクセスしやすい状況にあります。さらに他の利点として、このタイプの三輪車は時速15~20kmでしか走らず、女性でも運転できます。バイクではなく、これだけ低速の三輪車に免許はいらず、オフロードでも使えます。私達は『Local Lady Agents(地域の女性エージェント)』 を訓練し、彼女たちがコミュニティに訓練を施し、故障を直せるようにしました。さらにバックアップを提供できる技術チームも抱えています。

CT: ジンバブエでハンバを組み立てていますか?

SB: 初日から地域で組み立てています。最近工場のリノベーションを終えたところで、この投資により生産を進めたいと思っています。

CT: 将来に向けての計画はどのようなものですか?

SB: タンザニアでBetteriesとRift Valleyとの共同試験運転をする見込みです。これらの企業は独立したエネルギー生産会社ですが、パイロット版設立のためには私達が集めた資金頼りになっています。タンザニアに試験運転を広めるのに加え、マラウィ、ザンビア、モザンビークなどアフリカ南部にもフォーカスしたいと考えています。

CT: 他にウェッザでのパイロット版から学んだことはありますか?

SB: バッテリー技術が非常に重要です。

1. サハラ砂漠以南のアフリカの田舎では電力供給率が低く、一般家庭レベルの電力はバッテリー充電に十分ではありません。
2. バッテリーは三輪車の中で最も高価な部品です。バッテリーの寿命はメンテナンスの具合によって決まります。また捨てるのではなく、リサイクルされる必要があります。

パイロット版の第2段階では、地方でのバッテリー充電の選択肢、どの位のエネルギーが必要になるのか、三輪車が1度の充電でどの位走れるのか、三輪車のライフサイクルのためのベストな運用法などをテストする必要があります。

1. 盤石なオフグリッドのエネルギー供給が必須です。
2. EVを地方で現実的に利用可能にするためには車両を支払い可能な額で提供する必要があり、オフグリッド太陽光電力パートナーの確保が必要です。
3. これはお金のかかる投資で、遠隔のより貧しいコミュニティでは、始めに助成金が必要になるかもしれません。よって事業は小規模電力網開発者と開発関係者とのパートナーシップに重きを置いています。
4. コミュニティエンゲージメント(※地域社会をよりよい方向に導く活動)が組み込まれなくてはなりません。
5. ハンバの使い方を女性にトレーニングするため、また社会規範やジェンダー関連の課題に取り組むため、コミュニティエンゲージメントが必要です。
6. 支払いをスライド制(※賃金など、特定の指標の変動に応じて調整する)にすれば、女性も影響力を示し、時間をかけて支払いができると証明できます。

三輪車を地域で修理しメンテナンスできるようにするのが重要です。

1. 地域農業生産性や、収入を作り出せる活動への追加投資により、各家庭へ大きな経済的影響を与えられます。
2. 地方の社会的・経済的活動を加速するためのモビリティの様々な可能性を模索します。

MFA は今もモデルを改善し、拡大できるリソースを探し続けています。試験プログラムから得た実際のデータと貴重な知見を武器に、MFAは開発エージェントや地域政府、商業パートナーと協力体制を築き、電動モビリティソリューションを地域のオペレーションに統合して、サービスへのアクセス改善、生産性の向上、地域コミュニティの増収、地方に住む女性の生活の質向上に繋げたいと考えています。これは崇高なイニシアチブで、既にジンバブエのウェッザにいる多くの人生を変えました。


会社はパイロット版の参加者から素晴らしい感想を聞いており、地方の女性にポジティブな影響を与えていることがうかがえます。プログラムに参加した中で最高齢のGogo Nellieさん(68)は、既に収入を3倍にしました。コミュニティのメンバーは早産となった際、夜中にクリニックに行き無事赤ちゃんを産むことができました。アボカド農業を行っている参加者は「アボカドを売るのがとても簡単になりました。以前は頭に1つのバケツだけでしたが、今はハンバで3つのバケツを運べます」と話し、また他の参加者は「今はハンバを使い4つのバケツで水を運べます。以前は頭に1つでした」と語りました。

さらにもう1つ崇高な活動として、MFAは20あるハンバのうちいくつかを、コロナウィルスパンデミックの渦中にある地域の保健業務用に提供し、食料や物資を必要とする家族に届けています。

(翻訳・文/杉田 明子)

編集部コメント/電動三輪車の力

日本でも、戦後の高度経済成長期にはオート三輪が活躍しました。構造がシンプルな電気自動車のメリットを活用するには、安価で便利な三輪自動車を量産するという選択肢は合理的。インドでも電気三輪自動車への注目度がアップしているようです。途上国の発展に、電気モビリティが貢献できることを願います。

豊かになった日本では、超小型モビリティをはじめとして、三輪自動車のような簡便なモビリティが大きく拡がる「用途」はあまりなくなってしまったようにも思います。でも、働き方や暮らし方、遊び方などを少し工夫すれば、電動だからこそ便利で楽しい使い方もありそうです。

アフターコロナの日本にも、電気三輪自動車(電動トライク)など、ユニークな電気モビリティを紹介しているベンチャー企業がいくつかあります。今後、そうした情報も楽しくご紹介できれば、と思います。

(EVsmartブログ編集部/寄本)

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この記事の著者


					杉田 明子

杉田 明子

2010年代に住んでいた海外では'94年製のフォード→'02年製のトヨタと化石のような車に乗ってきました。東京に来てからは車を所有していないのですが、社用車のテスラ・モデル3にたまに乗って、タイムスリップ気分を味わっています。旅行に行った際はレンタカーを借りてロードトリップをするのが趣味。昨年は夫婦2人でヨーロッパ2,200キロの旅をしてきました。大容量バッテリーのEVが安くレンタルでき、充電インフラも整った時代を待ち望んでいます。

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