最近のEV関連のネット上の投稿によると、フォルクスワーゲン(VW)が子会社として設立した「全米EV充電スポット・ネットワーク」 を運営する”Electrify America(EA)” は、日産リーフのようなCHAdeMO対応のEVに対しては、今後は最小限のサポートしか予定していないようです。EAによるEV用超高速充電器網は、全米をカバーするサービス網としてはテスラ以外では初めてのものです。なお、テスラもアダプターを介せば、CHAdeMOコネクターを使って充電することができます。
EAが最初に設置を完了した「充電スポット(charging station)」は、アメリカ東部のマサチューセッツ州にあるChikopee Marketplaceというショッピングセンターの敷地内に設置されました。2本の充電コネクター・ケーブルが付いた充電器本体が4つ建てられていますが、計8本あるケーブルのうち1本だけに「CHAdeMOコネクター」が装備されています。稼働当初はソフトウェア制御によって抑制された50kWの充電が可能で、後には100kWまで上げられるとのことです。このCHAdeMOコネクター以外は、150kWか350kWのいずれかの充電が「CCSコネクター(Combined Charging System:いわゆる『コンボ2』コネクター)」を介して提供されます。なお、このCCSコネクターは、アメリカで販売されている日産リーフ以外のほとんどのEVが採用しています。
全米のEV用公衆充電スポット検索サービスのほか、全米EVドライバーのコミュニティーも提供する”PlugShare”への書き込みによると、(ここの充電器の計8本のケーブルのうち)4本には「350kWまでの充電」が、そして残りのうち3本には「150kWまで」、最後の1本CHAdeMOのケーブルには「50kW」の充電がそれぞれ表示されているとのことです。この書き込みと、同所を撮影した他の写真から判断すると、どうやら2台の充電器には350kWと表記されたケーブルがそれぞれペアで装備され、1台は150kWがペアで付き、最後の1台には「CCSの150kW」と「CHAdeMOの50kW」が混在しているようです。
コンクリート舗装されたスペースやすでに埋設されている電線等の設備から、このChikopee Marketplaceの充電器は将来必要なら拡張できるようになっていることが分かります。
EAは以前、ここで初めて充電するイベントを4月25日に行うとプレスリリースで発表していましたが、伝えられるところによれば予定は変更されたようです。(4/26時点での記述)
”PlugShare”ユーザーからの書き込みによると、試しにEAのサポートの番号に電話してみたところ、自動音声によるメッセージが流れ、「充電スポットは5月1日から使用できるようになる」と言っていたとのことです。
充電料金に関してはいまだに明らかにされていませんが(のちに5/2の”Electric Revs”の記事で紹介されました)、充電器本体の表示スクリーンには「当初の料金は、全てのコネクターとも時間課金による同一料金となります」と表示されています。
同様に工事が終わった充電スポットが、アメリカ東部のバージニア州の内陸部「ロアノーク(Roanoke)」近く、「I-81(州間高速道路81号線)」沿いの「フィンキャッスル(Fincastle)」という町にあります。ここも前述Chikopeeのものと同様の形式と思われますが、”PlugShare”に投稿された写真によると充電器のうち2台にのみ充電ケーブルがはっきりと見えます。
最近のEAのプレスリリースによると、充電スポットの設置は一貫して行われています。全ての充電スポットは「CHAdeMO1(50kW)」コネクターが(少なくとも)1台付いた充電器と、追加として「CCS1(50~350kW)」コネクターが付いたケーブルが2本出た充電器が装備されています。
「カリフォルニア州大気資源局(CARB: California Air Resources Board)」は4月27日の公開の理事会で、最近の(充電器設置の)進捗状況と次年以降の実行計画に関してEAから出される初めての年次報告について討議する予定でしたが、理由ははっきりしていませんが今回の議題からは削除されていました。
(翻訳と文・箱守知己)
この記事は、EVやそれにまつわるニュース、分析などを紹介するサイト “Electric Revs” から許可を頂いて、記事の “New Electrify America sites confirm minimal CHAdeMO support” by Jeff Nisewanger on April 26, 2018 を日本語訳したものです。